“そうそう”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ソウソウ
語句割合
匆々21.3%
錚々15.8%
匇々12.4%
淙々12.1%
早々7.4%
怱々6.6%
曹操6.1%
鏘々2.9%
簇々2.6%
蒼々2.1%
(他:41)10.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「春匆々そうそうあけるって芝居をそんなことでどうするんだ。——第一、小屋からしてまだはッきりしていねえんじゃァねえか。」
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
宗助は匆々そうそうにまた宿の浴衣ゆかたてて、しぼりの三尺と共に欄干らんかんに掛けて、興津を去った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
董卓を守る旗本の諸将には、李儒、呂布りょふをはじめとして、張済、樊稠はんちゅうなどという錚々そうそうたる人々がいた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
火星観測——などというと、いかにも錚々そうそうたる天文学者の一行のように聞こえるけれど、実は大村昌作はサラリーマンなのだ。
火星の魔術師 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
わたしは彼の言葉の中にはっきり軽蔑に近いものを感じ、わたし自身に腹を立てながら、匇々そうそうこの店をうしろにした。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
小鴨の黄色い毛が褪せるようになってからエロシンコ君はたちまちロシヤの母親を想い出し、チタに向って匇々そうそう立去った。
鴨の喜劇 (新字新仮名) / 魯迅(著)
その初雪が解けて流れてくるのであろうか、裏秩父の神流かんな川には、水晶のように清い水が淙々そうそうと音を立てている。
雪代山女魚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
女形おやま、二枚目に似たりといえども、彰義隊しょうぎたいの落武者を父にして旗本の血の流れ淙々そうそうたる巡査である。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
級長 ねえ皆。新学期早々そうそう、これはまことに由々しき一大事だ。僕たちは、たしかに生徒たる本分を忘れていたようだね。
新学期行進曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
気のせいに違いない早々そうそう帰ろうと思って一足二足あるき出すと、またかすかな声で遠くから私の名を呼ぶのです。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
飯を食ってしまうと、二人は怱々そうそうにここを出て、新堀の川伝いに、豊海橋から永代僑の方角へぶらぶら歩いて行った。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こんな化け物屋敷に長居はできない、帰ってくれと云われたのを幸いに、喜右衛門はうずら籠をかかえて怱々そうそうに表へ逃げ出した。
半七捕物帳:41 一つ目小僧 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ところへ、許都きょと曹操そうそうから使者が下って、天子のみことのりを伝え、孫策を会稽かいけいの太守に封じた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さ、ここで陣をくのだ。さしずめ、敵の武蔵は、曹操そうそう、わしは諸葛孔明しょかつこうめいというところかな」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
安達あだちという美少年に特別な保護を加えている処から、服装から何から、誰が見ても硬派中の鏘々そうそうたるものである。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そういう、暗黒街に鳴る鏘々そうそうたる連中が、いかなる用件があってか丁重きわまる物腰で、折竹の七十五番街の宿へやってきた。
人外魔境:08 遊魂境 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
此等これらの湿地には晩春雪解の跡に無数の水芭蕉の花が葉に先んじて、簇々そうそうと白苞を抽き出し、殆ど地を掩うの奇観を呈する。
が、ひさしの外の空には、簇々そうそうと緑をいた松が、静かに涼しさを守つてゐる。
好色 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
李逵は逃げ出した。逃げはじめるやこの男廉恥れんちもない。山坂また山坂をころげ降りた。すると蒼々そうそうたる松の林が十里もつづく。松風が耳を洗う。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西生駒いこま信貴しぎ、金剛山、南吉野から東多武峰とうのみね初瀬はつせの山々は、大和平原をぐるりとかこんで、蒼々そうそうと暮れつゝある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
わたくしがこの文についてここに註釈を試みたくなったのも、滄桑そうそうの感に堪えない余りである。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
滄桑そうそうへんと云う事もある。この東京が森や林にでもなったら、御遇いになれぬ事もありますまい。——とまず、にはな、卦にはちゃんと出ています。」
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
耳は絃に打たれながら、宋江は自問自答を独り胸にささやいている。曲はすすみ、大絃たいげん嘈々そうそう、小絃は切々せつせつ——
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
嘈々そうそうとしてやまず、呂々りょりょとして尽きるところを知らぬ一節切ひとよぎりの吹きも、今はうつつであるだろうか。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鱗茎りんけい球形きゅうけい黒皮こくひこれを包み、中は白色で層々そうそう相重あいかさなっている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
百合とは、その地下の球根(植物学上でいえば鱗茎りんけい)に多くの鱗片りんぺんがあって層々そうそうと重なっているから、それでそう百合というとのことである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
庄太は忽々そうそうに出て行った。
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あすの朝早く出征する方を向う岸へ渡す約束がしてあるのだが、それに間に合うように帰って貰わなければ本当に困ってしまう、とその困っている事情の相談相手にまで私達をしかねなかったので、私達は忽々そうそうにそこから引き上げた。
晩夏 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
忠家は其処そこに気がついたから、出家することだけは見合せたが、匇匇そうそうその場は逃げ出したさうである。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この歸りに更にロダン先生に逢つた事の嬉しさを今此旅先で匇匇そうそうと書いてしまふのは惜しい氣がする。
巴里の旅窓より (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ただ蹌々そうそうとして踉々ろうろうというかたちで吾妻橋あずまばしへきかかったのです。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小脇差で、たった一打ちに、お八重の首を、ぶらんと、斬って伏せた一角は、どっどと、いかずちにあわせて鳴る大谷川の激潭げきたんのふちを、蹌々そうそうと——踉々ろうろうと——刃の血を、雨に、洗わせながら歩いて行く。
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
摩利信乃法師は夢のさめたように、慌しくこちらを振り向きますと、急に片手を高く挙げて、怪しい九字くじを切りながら、何か咒文じゅもんのようなものを口の内に繰返して、匀々そうそう歩きはじめました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この帰りに更にロダン先生に逢つた事のうれしさを今この旅先で匆匆そうそうと書いてしまふのは惜しい気がする。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
東帰とうきを急ぐ晶子は第二第三の印象を書く暇も無く匆匆そうそうとして巴里パリイを見捨てたから、その出立後しゆつたつごに受取つたそれ等の手紙の中の二三を訳して晶子へ送る事とする。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
念の為め主人と私の関係を話して置くと、私の父は幼時に維新の匆騒そうそうを越えて来たアマチュアの有職故実ゆうそくこじつ家であったが、斯道しどうに熱心で、研究の手傅てだすけのため一人娘の私に絵画を習わせた。
東海道五十三次 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
かかる折よ、熱海の浜に泣倒れし鴫沢の娘と、田鶴見たずみの底に逍遙しようようせし富山が妻との姿は、双々そうそう貫一が身辺を彷徨ほうこうして去らざるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
層層そうそうと積み重ねた石垣。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ああ、左様々々そうそう、まだ其頃のことで能く記臆して居ることがあります。
少年時代 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
小僧「本当でございますとも。曹宗そうそうという人が……。」
発明小僧 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
となし、すなわち曹爽そうそうが総指揮となって、十数万の兵を率い、長安を出て、駱口らっこうを経、積年うかがうところの漢中へ、一挙突入せんとした。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹爽そうそうはそういって退却した。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
読心術方面に至っては、察心術、読想術、観心術を詳述し、骨相術にはいっては、人相、手相、面相、爪相そうそう、足相にまで突き入った。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
微風が、お衣の袖にはらんで、一空さまは、爽々そうそうと歩いて行った。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
……元来天下の衆に先立ち、草創そうそうの功を志す以上、節に当り義に臨んでは、命をおしむべきではない。とはいえ事に臨んで恐れ、はかりごとを好んで為すは勇士の為すところと、既に孔夫子も申しておる。されば暫くこの城を落ちて、正成自害したる態になし、敵の耳目を一時眩まそうと思う。
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「ソナタ第三番=ロ短調(作品五八)」は前者——葬送そうそうソナタよりさらに完成したショパンが見られる。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
春花秋月、夏山の葱々そうそうたる、冬雪の皚々がいがいたる、これをみるものみな、その好風景に感ぜざるはなし。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
乾いたの葉の蔌々そうそうとしてひびきを立てる音が、いつもより耳元ちかく聞えたのは、両方の庭をうずめた落葉が、両方ともに一度に掃き寄せられるためであった。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)