“そうそう”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ソウソウ
語句割合
匆々21.6%
錚々15.7%
匇々12.3%
淙々11.8%
早々6.9%
怱々6.6%
曹操5.7%
簇々2.9%
鏘々2.7%
蒼々2.0%
滄桑1.5%
嘈々1.2%
忽々1.2%
層々1.0%
匇匇0.7%
葱々0.5%
蹌々0.5%
匆匆0.2%
左様左様0.2%
曹爽0.2%
匀々0.2%
匆騒0.2%
双々0.2%
層層0.2%
左様々々0.2%
曹宗0.2%
漕々0.2%
爪相0.2%
爽々0.2%
艸艸0.2%
草創0.2%
葬送0.2%
蔌々0.2%
送葬0.2%
鏘鏘0.2%
雙々0.2%
颼々0.2%
騒騒0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
コノ稿ハ昭和七年三月三十日正宗白鳥君ノ論文ヲ読ミ燈下匆々そうそう筆ヲ走ラセタ。ワガ旧作執筆ノ年代ニハ記憶ノ誤ガアルカモ知レナイ。
正宗谷崎両氏の批評に答う (新字新仮名) / 永井荷風(著)
火星観測——などというと、いかにも錚々そうそうたる天文学者の一行のように聞こえるけれど、実は大村昌作はサラリーマンなのだ。
火星の魔術師 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
なるほどそう云われて見れば、あの愛敬あいきょうのある田中中尉などはずっと前の列に加わっている。保吉は匇々そうそう大股おおまたに中尉の側へ歩み寄った。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
淙々そうそう、風蕭々しょうしょう、夕闇とともにひどく冷気も迫って、謙信の胸は、なお帰らぬ麾下きかの将士のうえに、いたかなしまずにはいられなかった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
早々そうそう蚊帳かやむと、夜半よなかに雨が降り出して、あたまの上にって来るので、あわてゝとこうつすなど、わびしい旅の第一夜であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
お茶が終ると怱々そうそうに席を外して引取って行ったが、井谷は二人が立ち去ると直ぐ、遠のいて行く雪子の後影に眼をりながら
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
定正がアッチへ逃げたりコッチへ逃げたりするのも曹操そうそう周瑜しゅうゆに追われては孔明こうめいの智なきを笑うたびに伏兵が起る如き巧妙な作才が無い。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
昼間煙の簇々そうそうと立っていたその方角の空を、夜に入って、今度は火焔が赤々と染める。とうとう不安のうちに一夜をその家で過ごすことになった。
前後両営の官軍二十万、馬はいななき、鉄甲は鏘々そうそうと鳴り、夜が明けてもなお陸続とたえぬ兵馬が黎陽れいようをさしてたって行った。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秋の日落ち谷蒼々そうそうと暮るゝゆうべ、玉の様な川水をわかした湯にくびまでひたって、直ぐそばを流るる川音を聴いて居ると、陶然とうぜんとして即身成仏そくしんじょうぶつ妙境みょうきょうって了う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その頃からずっとのちに、殺風景にも競馬のらちにせられて、それから再び滄桑そうそうけみして、自転車の競走場になった、あの池のふちの往来から見込まれぬようにと
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
その弾奏は自慢だけに、堂にったところがあります。大絃だいげん嘈々そうそうとして、急雨のように響かせるところは響かせます。小絃しょうげん切々せつせつとして、私語のように掻き鳴らすところは鳴らします。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「それではお約束ですから最早もうお止め致しません。余りお忽々そうそうでございますわね」
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
一字一句のうちに宇宙の一大哲理を包含するは無論の事、その一字一句が層々そうそう連続すると首尾相応じ前後相照らして
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二、里見さとみ君の「蚊遣かやり」もまた十月小説中の白眉はくびなり。唯いささ末段まつだんに至つて落筆匇匇そうそううらみあらん。他は人情的か何か知らねど、不相変あひかはらず巧手かうしゆの名にそむかずと言ふべし。
病牀雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
春花秋月、夏山の葱々そうそうたる、冬雪の皚々がいがいたる、これをみるものみな、その好風景に感ぜざるはなし。心神を養うの術、これをもって最も便なりとす。しかるに、風景は常に一様なるあたわず。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
小脇差で、たった一打ちに、お八重の首を、ぶらんと、斬って伏せた一角は、どっどと、いかずちにあわせて鳴る大谷川の激潭げきたんのふちを、蹌々そうそうと——踉々ろうろうと——刃の血を、雨に、洗わせながら歩いて行く。
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この帰りに更にロダン先生に逢つた事のうれしさを今この旅先で匆匆そうそうと書いてしまふのは惜しい気がする。しばらく一人で喜んで居よう。(六月廿日)
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
東帰とうきを急ぐ晶子は第二第三の印象を書く暇も無く匆匆そうそうとして巴里パリイを見捨てたから、その出立後しゆつたつごに受取つたそれ等の手紙の中の二三を訳して晶子へ送る事とする。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
顔を仰向けろ……左様左様そうそう……今にわかるぞ……おれたちは飛びっきり似合いの一対になるんだ。お互いっこだ……ははア、ふるえているな。
暗中の接吻 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
左様左様そうそう。ところで、お前はおれが会いたいという言伝ことづてを弁護士から聞いたときに、どう思ったの
暗中の接吻 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
となし、すなわち曹爽そうそうが総指揮となって、十数万の兵を率い、長安を出て、駱口らっこうを経、積年うかがうところの漢中へ、一挙突入せんとした。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹爽そうそうはそういって退却した。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
摩利信乃法師は夢のさめたように、慌しくこちらを振り向きますと、急に片手を高く挙げて、怪しい九字くじを切りながら、何か咒文じゅもんのようなものを口の内に繰返して、匀々そうそう歩きはじめました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
念の為め主人と私の関係を話して置くと、私の父は幼時に維新の匆騒そうそうを越えて来たアマチュアの有職故実ゆうそくこじつ家であったが、斯道しどうに熱心で、研究の手傅てだすけのため一人娘の私に絵画を習わせた。
東海道五十三次 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
かかる折よ、熱海の浜に泣倒れし鴫沢の娘と、田鶴見たずみの底に逍遙しようようせし富山が妻との姿は、双々そうそう貫一が身辺を彷徨ほうこうして去らざるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
層層そうそうと積み重ねた石垣。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ああ、左様々々そうそう、まだ其頃のことで能く記臆して居ることがあります。前申した會田という人の許へ通って居た頃、或日雨が大層降って溝が開いたことがある。
少年時代 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
小僧「本当でございますとも。曹宗そうそうという人が……。」
発明小僧 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
秋……ことに雨などが漕々そうそう降ると、人は兎角とかくに陰気になつて、ややもすれば魔物臭い話が出る。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
読心術方面に至っては、察心術、読想術、観心術を詳述し、骨相術にはいっては、人相、手相、面相、爪相そうそう、足相にまで突き入った。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
が、それはそのときのことにしようと決心して、はだしに高下駄を突っかけて金剛寺の楼門さんもんを出た。微風が、お衣の袖にはらんで、一空さまは、爽々そうそうと歩いて行った。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
即ニシテ館ニ就ク。矢田少属ヲシテ知事清岡氏ヲ存問そんもんセシム。清岡氏モマタ僚属ヲシテ来ツテイハシメテ曰ク昨日駕ヲ税シ百事艸艸そうそうトシテイマダ就イテ起居ヲ問フノいとまアラズ。あえテ謝スト。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
然るに城中はすでに食尽き、援兵えんぺいの来る望みもない。……元来天下の衆に先立ち、草創そうそうの功を志す以上、節に当り義に臨んでは、命をおしむべきではない。
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「ソナタ第三番=ロ短調(作品五八)」は前者——葬送そうそうソナタよりさらに完成したショパンが見られる。むずかしいが、美しい曲である。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
乾いたの葉の蔌々そうそうとしてひびきを立てる音が、いつもより耳元ちかく聞えたのは、両方の庭をうずめた落葉が、両方ともに一度に掃き寄せられるためであった。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
大きな男でしたが、火葬されたので、送葬そうそう輿こしは軽く、あまりに軽く、一盃機嫌でく人、送る者、笑い、ざわめき、陽気な葬式が皮肉でした。可惜あたらおとこをと私はまた残念に思うたのでありました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
本書のいまだ整理せられざる切抜の一部と仮目次とをれたり。乱擾らんじょう尚全く平ぐに及ばず、剣戟けんげきの声鏘鏘そうそうたる九段坂上くだんさかうえの夜、公余に編輯へんしゅうを続行せし当時を思へば感慨未だ尽きず。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
渡頭ととう人稀ニ白鷺雙々そうそう、舟ヲかすメテ飛ビ、楼外花尽キ、黄鸝こうり悄々しょうしょう、柳ヲ穿うがツテ啼ク。籊々てきてきノ竿、漁翁雨ニ釣リ、井々せいせいノ田、村女烟ニ鋤ス。一檐いちえんノ彩錦斜陽ニ映ズルハ槖駝たくだ芍薬しゃくやくヲ売ルナリ。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
は払ふ 颼々そうそうの風。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
スクリュウに捲き上げられ沸騰ふっとうし飛散する騒騒そうそう迸沫ほうまつは、海水の黒の中で、鷲のように鮮やかに感ぜられ、ひろいみおは、大きい螺旋ぜんまいがはじけたように、幾重にも細かい柔軟の波線をひろげている。
佐渡 (新字新仮名) / 太宰治(著)