せぬように、御無事で帰るようにとは、ほんのりとキナ臭い匂いが致して、兄ながら只ではききずてならぬ申し条じゃ。では、匇々に乗り物の用意せい
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
光陰匇々電気の鉄線を走るよりも急なり。昨日ぞ今日の昔なる。一日また一日、行きやまずんば今日において遙々万里の将来もまたたちまちにして他日の現今とならん。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
私はなんでも初めよし後悪し、竜頭蛇尾の性格で、昔やった職業でも、入社匇々は大いに好評を博するのだが、慣れるにしたがって、駄目になってしまう。飽き性というのであろう。
自作解説:怪人二十面相と少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
フンシへ小便を垂れるようになってくれたら大丈夫だと、それを頼みにしていたのだが、来る匇々からこんな調子では、直ぐにも逃げられてしまいそうに思えた。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
匇々門を締めて、余計なことに関係せぬに越したことはないから、真先きに人声が絶え、続いて次から次へと燈火を消してしまうので、冴え渡った月が独りゆるゆると寒夜の空に出現した。
来る匇々からこんな調子では、直ぐにも逃げられてしまひさうに思へた。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)