層々そうそう)” の例文
百合とは、その地下の球根(植物学上でいえば鱗茎りんけい)に多くの鱗片りんぺんがあって層々そうそうと重なっているから、それでそう百合というとのことである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
一字一句のうちに宇宙の一大哲理を包含するは無論の事、その一字一句が層々そうそう連続すると首尾相応じ前後相照らして
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ほとん柱状節理ちゅうじょうせつりをなし、層々そうそう相重なって断崖に臨んでおり、山上にも多くの巨岩が、天をして聳立しょうりつしている有様ありさまは、耶馬渓やばけい鳶巣とびす山にも比すべきであろう。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
三四郎はできるだけの言葉を層々そうそうと排列して感謝の意を熱烈にいたした。普通の者から見ればほとんど借金の礼状とは思われないくらいに、湯気の立ったものである。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かく花の時は葉がなく、葉の時は花がないので、それでハミズハナミズ(葉見ず花見ず)の名がある。鱗茎りんけい球形きゅうけい黒皮こくひこれを包み、中は白色で層々そうそう相重あいかさなっている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)