鏘々そうそう)” の例文
そういう、暗黒街に鳴る鏘々そうそうたる連中が、いかなる用件があってか丁重きわまる物腰で、折竹の七十五番街の宿へやってきた。
人外魔境:08 遊魂境 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
前後両営の官軍二十万、馬はいななき、鉄甲は鏘々そうそうと鳴り、夜が明けてもなお陸続とたえぬ兵馬が黎陽れいようをさしてたって行った。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元来武右衛門君は中学の二年生にしてはよく弁ずる方で、頭の大きい割に脳力は発達しておらんが、喋舌しゃべる事においては乙組中鏘々そうそうたるものである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
古賀は顴骨かんこつの張った、四角な、あから顔の大男である。安達あだちという美少年に特別な保護を加えている処から、服装から何から、誰が見ても硬派中の鏘々そうそうたるものである。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
当時とうじにおける外交の事情じじょうを述べんとするに当り、小栗上野介おぐりこうずけのすけの人とりよりかんに、小栗は家康公いえやすこう以来有名ゆうめいなる家柄いえがらに生れ旗下きか中の鏘々そうそうたる武士にして幕末の事
波も死んだようでしたが、そこの岸辺の一郭に、目ざした榊原大内記侯のお下屋敷を発見すると、俄然、爪先迄も鏘々そうそうとして音を立てんばかりに、引締りました。緊張するのも無理はない。
螺鈿鞍らでんぐらをおいた駒の背にとび乗り、八文字に開かれている中門から大手の土坡口へ、鏘々そうそうと、よろい草摺くさずりや太刀の響きをさせて駈け出して来た。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さらに、その要点に言及すれば、何故に鏘々そうそうたる法医学者達が、二つの切創きりきずがともに中以上の血管では動脈を避け、静脈のみを胸腔にかけてえぐっているのに気付かぬのであろうか。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
しかし犬千代も藤吉郎も、寧子ねねの問題などは忘れ果てて、主君の愛馬を取りかこみながら、鏘々そうそうと、金属的なひびきを立てながら、大玄関のほうへ駈けて行った。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二十年前すげなく振り捨てた、先妻の衣川暁子も、その劇団と共に迎えてくれたのだし、当時は襁褓むつきの中にいた一人娘も、今日此の頃では久米幡江くめはたえと名乗り、鏘々そうそうたる新劇界の花形となっていた。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その、まっ黒な濃煙が、ゆるい運動をえがいているなかに、金吾と日本左衛門の影は、すでに法や格を無視したところの殺剣を交ぜて、鏘々そうそうたる火花をちらし合っている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と声に応じて、ひよどりのような若い将軍は、鏘々そうそうと剣甲をひびかせて、彼の眼前にあらわれた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ふがいなき味方かな」と、大将高順は部下を叱咤しったし、張飛の前に立ちふさがって、鏘々そうそう、火花を交わしたが、たちまち、馬の尻に鞭打って、潰走する味方の中に没し去った。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
千余駄の馬の口輪や金具が、馬のいななきと一緒に、鏘々そうそうとひびいた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへ、鏘々そうそうたる鎧光がいこうをあつめた一隊の駿馬は早、近づいて来た。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)