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簇々
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そうそう
ふりがな文庫
“
簇々
(
そうそう
)” の例文
此等
(
これら
)
の湿地には晩春雪解の跡に無数の水芭蕉の花が葉に先んじて、
簇々
(
そうそう
)
と白苞を抽き出し、殆ど地を掩うの奇観を呈する。
那須、尾瀬、赤城、志賀高原
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
昼間煙の
簇々
(
そうそう
)
と立っていたその方角の空を、夜に入って、今度は火焔が赤々と染める。とうとう不安のうちに一夜をその家で過ごすことになった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
それでも時たまその松が、
鹿
(
しか
)
でも水を飲みに来るせいか、
疎
(
まばら
)
に
透
(
す
)
いている所には不気味なほど赤い
大茸
(
おおたけ
)
が、薄暗い中に
簇々
(
そうそう
)
と
群
(
むらが
)
っている朽木も見えた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
元来が強い草であるから、蒔きさえすれば生える、生えれば伸びる、伸びれば咲く。花壇などには及ばない、垣根の隅でも裏手の空地でも
簇々
(
そうそう
)
として発生する。
我家の園芸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
真綿で頬かむりしたようなぜんまいが、洋髪に結んだような蕨が、
簇々
(
そうそう
)
と生い立っていた。それを根もとからぽっきりと折って籠の中に入れた時の喜びッたらなかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
▼ もっと見る
下界を固く封鎖して
了
(
しま
)
った、この下に都府あり、
簇々
(
そうそう
)
たる人家あり、男女あり、社会あり、好悪あり、号泣放笑ありといっても、これは
黎明
(
しののめ
)
が来るまでは存在しない世界である
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
けれども雲の軍勢が
鬱然
(
うつぜん
)
と勃起し、時に
迅雷
(
じんらい
)
轟々
(
ごうごう
)
として山岳を震動し、電光
閃々
(
せんせん
)
として凄まじい光を放ち、
霰丸
(
さんがん
)
簇々
(
そうそう
)
として矢を射るごとく降って参りますと修験者は必死となり
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
すると彼女は眼を挙げて、
必
(
かならず
)
外の松林を眺めた。松は初冬の空の下に、
簇々
(
そうそう
)
と蒼黒く茂つてゐた。
秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
花壇などには及ばない、垣根の隅でも裏手の空地でも
簇々
(
そうそう
)
として発生する。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
門の左右を
埋
(
うず
)
める
藪
(
やぶ
)
のところどころから、
簇々
(
そうそう
)
とつるをのばしたその花が、今では古びた門の柱にまといついて、ずり落ちそうになった
瓦
(
かわら
)
の上や、
蜘蛛
(
くも
)
の巣をかけた
楹
(
たるき
)
の間へ
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その中に、この植物は、茎の先に、
簇々
(
そうそう
)
として、花をつけた。
漏斗
(
じやうご
)
のやうな形をした、うす紫の花である。悪魔には、この花のさいたのが、骨を折つただけに、大へん嬉しいらしい。
煙草と悪魔
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
が、
庇
(
ひさし
)
の外の空には、
簇々
(
そうそう
)
と緑を
抽
(
ぬ
)
いた松が、静かに涼しさを守つてゐる。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
簇
漢検1級
部首:⽵
17画
々
3画
“簇”で始まる語句
簇
簇生
簇出
簇立
簇葉
簇擁
簇然
簇集
簇雲
簇団