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そうそう
ふりがな文庫
“
匆々
(
そうそう
)” の例文
夜に入ると
匆々
(
そうそう
)
、画伯の屍体は、寝台車に移し、赤耀館からは四里も先にある、隅田村の画伯の辺居へ送りとどけることにしました。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
コノ稿ハ昭和七年三月三十日正宗白鳥君ノ論文ヲ読ミ燈下
匆々
(
そうそう
)
筆ヲ走ラセタ。ワガ旧作執筆ノ年代ニハ記憶ノ誤ガアルカモ知レナイ。
正宗谷崎両氏の批評に答う
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
龐統は恐れをなして、
匆々
(
そうそう
)
に退出した。玄徳はまだ酔っていたとみえる。左右の者に介添えされて、ようやく後堂の寝所へはいった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まるで見当はずれなので、銀子は
可笑
(
おか
)
しくもあり、赤坂の芸者屋と
聯絡
(
れんらく
)
でも取っているのかとも思い、見料をおいて
匆々
(
そうそう
)
にそこを出た。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その代りに拷問というものを本能的に嫌うたちの男で、就任
匆々
(
そうそう
)
某署の刑事の不法取調べを告発したという
曰
(
いわ
)
く付きの男である。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
翌年の春、阪井の一家は二カ月ばかりの予定で
巴里
(
パリ
)
へ遊びに行きましたが、なぜかあわててアメリカ経由で
匆々
(
そうそう
)
に日本へ帰ってしまいました。
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「春
匆々
(
そうそう
)
あけるって芝居をそんなことでどうするんだ。——第一、小屋からしてまだはッきりしていねえんじゃァねえか。」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
この師匠、碁が道楽で、来る
匆々
(
そうそう
)
まづ一ヶ月の会費を払ひこみ、近所に結構なものができた、毎日通ふと意気込んだが、翌日からふつつり見えない。
囲碁修業
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
ここにおいて、その研究の未熟を顧みず、
匆々
(
そうそう
)
編成しきたりて、ここにこれを世に公にするに至る。その疎漏、誤脱の多き、余もとよりその責を任ず。
妖怪学講義:02 緒言
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
尤
(
もっと
)
もあなたのいつぞやのおはがきは、非常に冷嘲の意ほのめきて見え候故、それには少からず不快にて候故、そのことならば申候。念のため申添候。
匆々
(
そうそう
)
書簡 蒲原房枝宛:(一九一五年頃)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
痩せ男は頭を掻きながら、
匆々
(
そうそう
)
この座敷を退却した。さうして風通しの悪るさうな、場末の二階家へ帰つて来た。
着物
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「拝復。めくら草子の校正たしかにいただきました。御配慮恐入ります。只今校了をひかえ、何かといそがしくしております。いずれ。
匆々
(
そうそう
)
。相馬閏二。」
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
匆々
(
そうそう
)
に署外へとびだしてしまったが、ガアジン先生の怒号は依然として、うぉううぉうとひびいていたよ。
放浪作家の冒険
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
林治と今一人の人夫が様々に説諭したが、白井が自分の所へ来ている中に
匆々
(
そうそう
)
帰村したことが分った、銀山平の養蚕をしない農家は、蕎麦が半作だといっている
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
ツマリこの三人が硯友社の創立発起人でありかつ無限責任者であったが、如何なる理由があった乎して美妙斎は創刊
匆々
(
そうそう
)
無限責任を忘れて忽ち分離してしまった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
やっと木の間から盗み見るくらいで、
匆々
(
そうそう
)
に逃げ帰って来るのが普通であった。今から考えてみれば、せいぜい二十分くらいの行程のところであったように思われる。
簪を挿した蛇
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
私は出獄
匆々
(
そうそう
)
にも銀座の竹葉亭で青楓氏の
饗応
(
きょうおう
)
を受けたりしているが、その家庭で馳走になるのは之が最初であり、この時初めて同氏の家庭の内部を見たわけである。
御萩と七種粥
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
独軍の包囲圏は刻々縮小せられ、形勢非なるを見てとった英軍は
匆々
(
そうそう
)
本国への退却を開始した。この情況を見たベルギー皇帝は五月二十八日無条件で独軍に降伏した。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
例の覗き眼鏡の花であった都の娘さんの一家などは、事件の翌日、
匆々
(
そうそう
)
出立してしまいました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
末筆ながら、アヴドーチャ・ロマーノヴナへ、小生の並々ならぬ尊敬の情を御伝え下されたく、また貴女に対する恭順なる信服の念を御
汲
(
く
)
み取りのほど願上げ候。
匆々
(
そうそう
)
敬白
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
宗助は
匆々
(
そうそう
)
にまた宿の
浴衣
(
ゆかた
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ
棄
(
す
)
てて、
絞
(
しぼ
)
りの三尺と共に
欄干
(
らんかん
)
に掛けて、興津を去った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今を去ること三十年、我党の士が府下
鉄砲洲
(
てっぽうず
)
の奥平藩邸を去て芝
新銭座
(
しんせんざ
)
に移り、
匆々
(
そうそう
)
一小塾舎を経営して洋学に従事したるその時は、王政維新の戦争最中、天下
復
(
ま
)
た文を語る者なし。
〔気品の泉源、智徳の模範〕
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
また拝見をいたす事を得ば幸に候。今朝思ひ出で候まゝ、
匆々
(
そうそう
)
以上。七月十九日朝。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
翌朝に至りて
両人
(
ふたり
)
の者は始めて顔を合わせる。文三はお勢よりは気まりを悪がッて口数をきかず、この夏の事務の
鞅掌
(
いそがし
)
さ、暑中休暇も取れぬので
匆々
(
そうそう
)
に出勤する。十二時頃に帰宅する。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
看護婦にうながされて、私たちは
匆々
(
そうそう
)
とサン・ルームを出て横臥場に行った。
蝱の囁き:――肺病の唄――
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
上陸する
匆々
(
そうそう
)
から一人でぽつんと膳に向うのは寂しいものだ。ビフテーキの堅いことがまた切れるはずのナイフさえ徹らないのだ。女中はつつましいが、想像していたような東北弁ではない。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
と、向う岸から来た乗客のうちの年配なのが、土間の炉端の
床几
(
しょうぎ
)
へ腰をかける
匆々
(
そうそう
)
、こう口走ったのを、他の人数と同様、白雲も、更にその詳しい説明をここで聞いて置きたい気持になりました。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ところが、妙なことが起って、
匆々
(
そうそう
)
にここは引上げる始末となった。
白藤
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
葉子は電話室を出るとけさ始めて顔を合わした
内儀
(
おかみ
)
に帳場
格子
(
ごうし
)
の中から
挨拶
(
あいさつ
)
されて、
部屋
(
へや
)
にも伺いに来ないでなれなれしく言葉をかけるその仕打ちにまで不快を感じながら、
匆々
(
そうそう
)
三階に引き上げた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
仕方なく右の出版事業をそのまま
擲
(
なげう
)
っておいて、
匆々
(
そうそう
)
東京を出発する用意をし、間も無く再び東京へ出て来るから、今度出て来たが最後、大いに矢田部に対抗して奮闘すべく意気込んで国へ帰った。
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
それを聞くと浅田は
匆々
(
そうそう
)
に店を出て、数間先の露路に身を隠した。
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
彼がやって来ると
匆々
(
そうそう
)
家のなかへはいってしまうのである。
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
出る
匆々
(
そうそう
)
草鞋を泥に踏み込んで、高山の町を出た。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
匆々
(
そうそう
)
辞して起ちたりしが、主人は尚分れに臨み
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
「まだ分らぬか。わからば元より、江戸大公儀
御差遣
(
ごさけん
)
の隠密に傷一つ負わしなば、伊達五十四郡の存亡にかかろうぞ。
匆々
(
そうそう
)
に捕り方退かせて、江戸へ申し開きの謝罪状でも書きしたためるが家名のためじゃ。退けい。退かせい」
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
以上、述べたように、大工事もまだ半ばの——いや、半ばにも達しない着手
匆々
(
そうそう
)
というのに、秀吉は、それをここに見に来た数日の後
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これまた御承諾さへ相成らば森先生が万事
御含
(
おんふく
)
みのやうに候とにかく芸術のためこの際御快諾の
御報
(
ごほう
)
に接するやう
祈上
(
いのりあげ
)
候
匆々
(
そうそう
)
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
あの11の単葉なら
止
(
よ
)
せ。君は赴任
匆々
(
そうそう
)
だから知るまいが、アイツは今までに二度も搭乗者が空中で行方不明になったんだ。
怪夢
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しずかを通り越して、寂しい、心細い……しまいにはへんな気になりました。——三十分ばかりいて
匆々
(
そうそう
)
外へ出ました。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
この時も、秋田オバコのこは何たる敏感さよと、到着
匆々
(
そうそう
)
重ね重ね敵の意外な敏感さにおどろくことばかりである。
安吾の新日本地理:09 秋田犬訪問記――秋田の巻――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
するうち
嵐
(
あらし
)
が
凪
(
な
)
いで、書生はその辺を飛びまわっている男の子の
機嫌
(
きげん
)
を取るし、色の浅黒い、目の少しぎょろりとした継母は
匆々
(
そうそう
)
にお辞儀をして出て行って
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
不二山
(
ふじさん
)
と、
大蘇鉄
(
だいそてつ
)
と、そうしてこの大理石の墓と——自分は十年ぶりで「わが袖の記」を読んだのとは、全く反対な
索漠
(
さくばく
)
さを感じて、
匆々
(
そうそう
)
竜華寺の門をあとにした。
樗牛の事
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
然るに『我楽多文庫』公刊
匆々
(
そうそう
)
二人が忽ち手を別ってしまったはいわゆる両雄
聯
(
なら
)
び立たずであって
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
わしは何気なく、その場をつくろって、
匆々
(
そうそう
)
お開きにすることにした。来会者達は、大方は様子を察していたが、何事も口にせず、陰気な挨拶を交して、
夫々
(
それぞれ
)
家路についた。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
が、女湯の客のうち、お照を除いた他の三人は、ひとしく
上
(
あが
)
り
際
(
ぎわ
)
だったので、隣りの騒動を
機
(
きっかけ
)
に
匆々
(
そうそう
)
逃げ去ったのであった。が、お照はただ一人、
湯槽
(
ゆぶね
)
の側で
間誤間誤
(
まごまご
)
していた。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ところがその翌晩もまたその翌晩も、十二時といえば「覚えてろ」の声を合図に姿を現し、ついには娘や女中の目にも止まるようになったので、十日あまりで
匆々
(
そうそう
)
越してしまった。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
匆々
(
そうそう
)
に天幕へ引きとって早寝してしまったのは、探検隊の一同が酔い
痴
(
し
)
れているすきに、火口壁の暗道の中へ、手動
鑿岩機
(
ドリル
)
と博士の観測機械類をひそかに運び入れておくためだった。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
比類稀なる素晴らしきグロテスクに
流石
(
さすが
)
の私も
匆々
(
そうそう
)
に煙を焚いた程の非道い目に会った事も有りまして、当時は一切其の方面の女には興味を失って居る時でしたが、其の夜は奇妙な事に
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
何だとうとう
担
(
かつ
)
がれたのか、あまり書き方が真面目だものだからつい
仕舞
(
しまい
)
まで本気にして読んでいた。新年
匆々
(
そうそう
)
こんな
悪戯
(
いたずら
)
をやる迷亭はよっぽどひま人だなあと主人は笑いながら云った。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
急に顔色をかえた私に、友野は
唖気
(
あっけ
)
にとられたらしく、
匆々
(
そうそう
)
と別れて行った。
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
匆
漢検1級
部首:⼓
5画
々
3画
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匆々頓首