“索漠”の読み方と例文
読み方割合
さくばく100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
仏印の頃は、人目のないところでは、すぐ、二人は寄り添ひ、手を握りあつてゐたものだがと、ゆき子は、索漠さくばくとした二人の現実を淋しいものに考へてゐる。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
しかもなお索漠さくばくたる砂上を踏んで歩いていると、おのれの変り果てた姿をもう一度ふりかえって見て、しかもどうにもならない微笑が浮んでくることを感じた。
みずうみ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
不二山ふじさんと、大蘇鉄だいそてつと、そうしてこの大理石の墓と——自分は十年ぶりで「わが袖の記」を読んだのとは、全く反対な索漠さくばくさを感じて、匆々そうそう竜華寺の門をあとにした。
樗牛の事 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)