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贖
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あがな
ふりがな文庫
“
贖
(
あがな
)” の例文
いまだに
贖
(
あがな
)
われないほどの罪科を犯した自分らであったろうか。——内心の不平は、思いあまった人々の眼を血走らせるのであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
輪廻が
贖
(
あがな
)
いであり、そこに歓喜が伴うということは、鶴見が前にいっていた。彼はそれを基礎として更に考えを進めてみるのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
又、農作物は神物であつて、
害
(
そこな
)
ふ者の罪の
贖
(
あがな
)
ひ難い事を言うて、
祓
(
ハラ
)
への事始めを述べ、其に関聯して、鎮魂法の霊験を説いて居る。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
我らの
衷心
(
ちゅうしん
)
が
然
(
しか
)
囁くのだ。しかしながらその愉快は必ずや我らが汗もて血もて涙をもて
贖
(
あがな
)
わねばならぬ。収穫は短く、準備は長い。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「
世
(
よ
)
の
人々
(
ひとびと
)
の
御主
(
おんあるじ
)
よ、われをも
拯
(
たす
)
け
給
(
たま
)
へ。」
此世
(
このよ
)
の
御扶
(
おんたすけ
)
も
蒼白
(
あをじろ
)
いこのわが
罪業
(
ざいごふ
)
は
贖
(
あがな
)
ひ
給
(
たま
)
はなかつた。わが
身
(
み
)
は
甦生
(
よみがへり
)
の
日
(
ひ
)
まで
忘
(
わすれ
)
られてゐる。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
▼ もっと見る
此處の歌は七首の聯作で、ほかの歌には、『後悔いむかも
鈍
(
おぞ
)
の亞米利加』とあつたり、『罪をはや知りて
贖
(
あがな
)
ひまつれ亞米利加
奴
(
やつこ
)
』
愛国歌小観
(旧字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
考える事と、行動力は別々であった。
皮膚
(
ひふ
)
を一皮むいてしまいたいような熱っぽい感じなのである。一日一日罪を
贖
(
あがな
)
ってゆく感じだった。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
二人の
聖
(
きよ
)
い魂から去らないで、ある童貞女らの修道院において「常住礼拝」をしなければ
贖
(
あがな
)
われるものではないように思われた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
その罪の恐ろしさは、なかなか
贖
(
あがな
)
うべき
術
(
すべ
)
のあるべきに
非
(
あら
)
ず、今もなお亡き父上や兄上に向かいて、心に
謝
(
わ
)
びぬ日とてはなし。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
かの事ありしよりこの方、
暴
(
あらび
)
と
僞
(
いつはり
)
をもて
掠
(
かす
)
むることをなし、後
贖
(
あがな
)
ひのためにポンティ、ノルマンディア及びグアスコニアを取れり 六四—六六
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
想ふに羅馬市には、
黄金
(
こがね
)
の
耳環
(
みゝわ
)
を典して、客人を
贖
(
あがな
)
ひ取ることを
吝
(
をし
)
まざる人あるならん。
拿破里
(
ナポリ
)
の
旅稼
(
たびかせぎ
)
は、その後の事とし給はんも
妨
(
さまたげ
)
あらじ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そうして流転の
途次
(
とじ
)
において、二度三度
否
(
いな
)
無限に「小なる生命」を産み育てる。死は単なる現象に過ぎない。死は罪を
贖
(
あがな
)
うことは出来ない。……
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
我れ知る我を
贖
(
あがな
)
う者は
活
(
い
)
く、後の日に
彼
(
か
)
れ必ず地の上に立たん、我この皮この身の
朽果
(
くちは
)
てん後われ肉を離れて神を見ん、我れ
自
(
みずか
)
ら彼を見奉らん
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
但し罰をうければこそ、
贖
(
あがな
)
いもあると云う次第ゆえ、やがて御主の
救抜
(
きゅうばつ
)
を蒙るのも、それがしひとりにきわまりました。
さまよえる猶太人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「風当りは強いだろう、だがいずれにしても
贖
(
あがな
)
い無しというわけにはいかない、問題はそこもとの辛抱いかんにある」
葦
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
エルナニは恋敵に或る不始末を見られた
贖
(
あがな
)
ひとして、何時でも望みの時に命を遣らうと云ふ約束をしておいたが、大詰の城内の結婚式後の宴会の場で
註釈与謝野寛全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
いつの
比
(
ころ
)
より
五三
鞆
(
とも
)
の津の袖といふ
五四
妓女
(
あそびもの
)
にふかくなじみて、
遂
(
つひ
)
に
五五
贖
(
あがな
)
ひ出し、ちかき里に
別荘
(
べつや
)
をしつらひ、かしこに日をかさねて家にかへらず。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
強者は、人からなされた善を忘れる——のみならずまた、悲しくも、自分のなした害を自分の力で
贖
(
あがな
)
い得ないと知れば、それをもただちに忘れてしまう。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
十八歳の倭文子は、両親を失い、遠い縁者に養われる身であった故か、金銭と、金銭によって
贖
(
あがな
)
い得る栄誉とに、珍らしい程、
烈
(
はげ
)
しい執着を持つ娘であった。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
怠
(
おこた
)
り、重大なる材料を流出させたる失敗を
贖
(
あがな
)
うことを命ずる。忠勇なる『赤毛のゴリラ』よ。地下に
瞑
(
めい
)
……
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もし後悔しておるとすれば、つまり愛しておるのじゃ、もし愛しているならば、そなたはもはや神の子じゃ……愛はすべてのものを
贖
(
あがな
)
い、すべてのものを救う。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
神様が人間の罪をお
憐
(
あわれ
)
みになって、その一人子を天からお
降
(
くだ
)
しになって、人間の罪の
贖
(
あがな
)
いをなされました。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
或人は東京神田
須田町
(
すだちょう
)
の某売薬株を買わせようとした。この株は今廉価を以て
贖
(
あがな
)
うことが出来て、即日から月収三百両
乃至
(
ないし
)
五百両の利があるといったのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
此
(
ここ
)
を
以
(
もつ
)
て
(四四)
三
世
(
せい
)
、
名
(
な
)
を
諸矦
(
しよこう
)
に
顯
(
あら
)
はせり。
越石父
(
ゑつせきほ
)
、
賢
(
けん
)
にして
(四五)
縲紲
(
るゐせつ
)
の
中
(
うち
)
に
在
(
あ
)
り。
晏子
(
あんし
)
出
(
い
)
でて
之
(
これ
)
に
塗
(
みち
)
に
遭
(
あ
)
ふ、
(四六)
左驂
(
ささん
)
を
解
(
と
)
いて
之
(
これ
)
を
贖
(
あがな
)
ひ、
載
(
の
)
せ
歸
(
かへ
)
る。
国訳史記列伝:02 管晏列伝第二
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
「お母さんの早く没くなって、私がつかえられなくなったのは、天が私に罪を
贖
(
あがな
)
わないためです。」
珊瑚
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
しかし工藝においてはそうではない。労働なくして工藝の美はあり得ない。器の美は人の汗の
贖
(
あがな
)
いである。働きと美と、これが分離せられたのは近代のことに属する。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「どうぞ御免なすつて下さいまし。まあ、わたくしはどういたして此罪を
贖
(
あがな
)
つたら宜しいでせう。」
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
父の子は世界の罪を
贖
(
あがな
)
うために殺される。その肉と血にあずかるのが「
聖餐
(
せいさん
)
」である。かかる密儀に関連してイエス・バラバの名は古くより知られていたと考えてよい。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
何事をも永遠に
免
(
ゆる
)
すものの目の前で、のた打ち廻るような必死の苦痛を、最初たった一人が受けたなら、その外の一切の人間の罪は、もうそれで
贖
(
あがな
)
って
余
(
あまり
)
あろうではないか。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
かの女は、今こそこの父はむす子の幼時に負うた不情の罪を
贖
(
あがな
)
う決心でいるのだと思った。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その愛というのは、人の僕となり、人に仕え、人の
贖
(
あがな
)
いとして己が生命を捨てる心です。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
己が此危険を御身に予告するのは、己が嘗て御身に禍を遺した罪を
贖
(
あがな
)
ふ
所以
(
ゆゐん
)
である。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
稚きより境遇が生む自棄の子の、あはれ全国そこここに散りしけるを、移民学園てふ名の下に一括し。土地と共に心さへ新らしき民にして育てむとて。あらゆる新平の子女を我が手に
贖
(
あがな
)
ひ得つ。
移民学園
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
陳辯
(
いひわけ
)
も
分䟽
(
ぶんそ
)
も
聽
(
き
)
かぬ。
涙
(
なみだ
)
も
祈祷
(
きとう
)
も
罪
(
つみ
)
をば
贖
(
あがな
)
はぬぞよ。それゆゑに
何
(
なに
)
も
申
(
まう
)
すな。
急
(
いそ
)
ぎロミオを
退去
(
たちさ
)
らせい。さもなうて
見附
(
みつ
)
けられなば、
其時
(
そのとき
)
が
即
(
やが
)
て
最期
(
さいご
)
ぢゃ。
此
(
この
)
死骸
(
しがい
)
を
荷
(
にな
)
ひゆきて、
予
(
よ
)
が
命
(
めい
)
を
待
(
ま
)
て。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
いまこそ、
妾
(
わらわ
)
の憎しみを知ったであろうのう。そもじを
十字架
(
クルス
)
に付ければとて、罪は
贖
(
あがな
)
えぬほどに底深いのじゃ。横蔵を
害
(
あや
)
め、慈悲太郎を殺したそもじの罪は、いまここで、
妾
(
わらわ
)
が贖ってとらせるぞ。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
私の奴婢でも同様で、或いは主人の意志により、或いは相互の諒解により、或いは自ら
贖
(
あがな
)
って、家人に昇級したり、良民になったりしうるのである。家人を解放して良民となしうることも同様である。
賤民概説
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
贖
(
あがな
)
ふに足るべきか心を
鎭
(
しづ
)
めて
熟
(
とく
)
と思案を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
科
(
とが
)
を
贖
(
あがな
)
ふ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
すさのをの天つ罪を行うた後、
贖
(
あがな
)
ひとして、田を元の如くする様を、神人として演ずるのだ、といふ風に解する時代が、あつたに違ひない。
古代民謡の研究:その外輪に沿うて
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
復古政府は血をもって
贖
(
あがな
)
いたるこの爵位を予に否認すれども、予が子はこれを取りこれを用うべし。もとより予が子はそれに価するなるべし。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
二〇
一宿
(
ひとよ
)
を
供養
(
くやう
)
して
二一
罪を
贖
(
あがな
)
ひたてまつらんと、
二二
礼
(
ゐやま
)
ひて奥の方に迎へ、こころよく食をもすすめて
饗
(
もてな
)
しけり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
淺瀬とは、神がたゞその
恩惠
(
めぐみ
)
によりて
赦
(
ゆる
)
し給ふか、または人が自らその愚を
贖
(
あがな
)
ふか即ち是なり 九一—九三
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
人間の利己心の罪をみずから進んで
贖
(
あがな
)
ったその
潔
(
きよ
)
い婦人が、クリストフさん、人からどう判断されたとお思いになりますか? 意地悪な世間は彼女をとがめて
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
されど
故
(
わざ
)
とならぬ其罪を
贖
(
あがな
)
はんとてこそ、車上の
貴人
(
あてびと
)
は我に字を識り書を讀むことを教へしめ給ひしなれ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
これ十九章二十五節にあるヨブの
言
(
ことば
)
たる「われ知る我を
贖
(
あがな
)
う者は
活
(
い
)
く、後の日に彼必ず地の上に立たん」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
... 罪を罪と知るものには、総じて罰と
贖
(
あがな
)
いとが、ひとつに天から下るものでござる。」——「さまよえる猶太人」は、記録の最後で、こう自分の第二の疑問に答えている。
さまよえる猶太人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「君には秘密にすべきマッチ箱を売った失敗を
贖
(
あがな
)
うことを命ずる。
但
(
ただ
)
し我等の祖国は君の名をR団員の過去帖に
誌
(
しる
)
して、これまでの忠勇を永く称するであろう、いいか」
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
当局者は
能
(
よ
)
く罪を罰するを知れり、乞い問う、罪を
贖
(
あがな
)
い得たる者を救助するの法ありや、再び
饑餓
(
きが
)
の前に
晒
(
さら
)
して、むしろ監獄の楽しみを想わしむることなきを
保
(
ほ
)
し得るや。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
器の美は人の汗の
贖
(
あがな
)
いである。働きと美と、これが分離せられたのは近代のことに属する。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
放埒
(
はうらつ
)
であつた前日の非を
贖
(
あがな
)
へとばかり極端に自己を
呵責
(
かしやく
)
して、身に出来るだけの禁欲を続けて来たことは誤りであつた。肉体に加へた罰から精神までも哀れに萎縮してしまつた。
註釈与謝野寛全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
贖
漢検1級
部首:⾙
22画
“贖”を含む語句
贖罪
贖物
贖主
救贖
贖銅
御贖
相贖
贓贖司
贖償
贖宥
贖罪的
贖罪符
贖罪羊
贖罪説
贖罪金
贖面