トップ
>
誹
>
そし
ふりがな文庫
“
誹
(
そし
)” の例文
鍬
(
くわ
)
を忘れたと気付き、取り帰ってさすがは烏だ、内の鶏なんざあ何の役にも立たぬと
誹
(
そし
)
ると、鶏憤ってトテコーカアと鳴いたという。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
狷介
(
けんかい
)
不覊
(
ふき
)
なところがある。酒を飲めば、大気豪放、世の英雄をも
痴児
(
ちじ
)
のごとくに云い、一代の風雲児をも、野心家の
曲者
(
しれもの
)
のごとく
誹
(
そし
)
る。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ある人
咸陽宮
(
かんようきゅう
)
の
釘
(
くぎ
)
かくしなりとて持てるを蕪村は
誹
(
そし
)
りて「なかなかに咸陽宮の釘隠しといはずばめでたきものなるを無念の事におぼゆ」
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
今
猶
(
なほ
)
父をして子に
對
(
むか
)
ひて
吝
(
やぶさか
)
ならしむる者、人の己を
誹
(
そし
)
るを聞き、事の
眞
(
まこと
)
を
定
(
さだ
)
かにせんためクリメーネの
許
(
もと
)
に行きしことあり 一—三
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
その外
面
(
ま
)
のあたり人に
媚
(
こ
)
びて退いて人を
誹
(
そし
)
るとか、
表面
(
うわべ
)
で尊敬して
裏面
(
りめん
)
で
排撃
(
はいげき
)
するとか社会の人に心の礼のない事は歎ずるに余りあり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
人の己れを
誹
(
そし
)
る可きを弁えず、我家人の禍となる可き事を知らず、
漫
(
みだり
)
に
無辜
(
むこ
)
の人を恨み怒り云々して其結果却て自身の不利たるを知らず
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
より高き価値に対して盲目であることは、いかなる場合にも偏狭の
誹
(
そし
)
りを
免
(
まぬか
)
れない。道元はすでに年少のころよりこの偏狭を脱していた。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
彼
(
あ
)
の
人
(
ひと
)
あれ
程
(
ほど
)
の
身
(
み
)
にて
人
(
ひと
)
の
性
(
せい
)
をば
名告
(
なの
)
らずともと
誹
(
そし
)
りしも
有
(
あり
)
けれど、
心安
(
こゝろやす
)
う
志
(
こゝろざす
)
す
道
(
みち
)
に
走
(
はし
)
つて、
内
(
うち
)
を
顧
(
かへり
)
みる
疚
(
やま
)
しさの
無
(
な
)
きは、これ
皆
(
みな
)
養父
(
やうふ
)
が
賜物
(
たまもの
)
ぞかし
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
これについて私は余計なことをと、他の
誹
(
そし
)
りあることをよく知りながら、ぜひともこの問題を解剖し解決しようためにその仔細を開陳したいのである。
素人製陶本窯を築くべからず:――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
『
伊波伝毛乃記
(
いわでものき
)
』といふものあり。これ
曲亭馬琴
(
きょくていばきん
)
暗
(
あん
)
に人を
誹
(
そし
)
りて
己
(
おの
)
れを
高
(
たこ
)
うせんがために書きたるものなりとか。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
用に立つ人物は、十人の内六人
譽
(
ほ
)
め四人
誹
(
そし
)
るものである。十人が十人譽めるものは
侫奸
(
ねいかん
)
である。
猶
(
なほ
)
一つ心得て置くべきは權道である。これを見切と云ふ。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「十目の見るところ——言わぬが花だなあ、力めば時勢を知らないと言われるし、くさせば主家を
誹
(
そし
)
るに似たり」
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
外記はこの世に未練もなく、また懺悔すべき罪もない。笑ふものは笑へ、
誹
(
そし
)
るものは誹れ、なんとでも云はしておけ。申譯めいた書置などは要らぬことだ。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
金
(
かね
)
の力で
活
(
い
)
きておりながら、金を
誹
(
そし
)
るのは、生んで貰った親に
悪体
(
あくたい
)
をつくと同じ事である。その金を作ってくれる実業家を軽んずるなら食わずに死んで見るがいい。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
神も仏も
在
(
ま
)
しまさぬ此世に善悪のけぢめ求むべき様なし。たゞ現世の
快楽
(
けらく
)
のみこそ真実ならめ。人の怨み、
誹
(
そし
)
りなぞ、たゞ過ぎ行く風の如く、漂ふ波にかも似たり。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
のみならず、本篇が「新青年」に連載中は、褒められるにも、
誹
(
そし
)
られるにも、悉く最大級の用語を以ってせられた。事実、その渦の中で、私は散々に揉み抜かれたのである。
「黒死館殺人事件」著者之序
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それに対してロスケリヌスは、類概念を名目に過ぎずとする
唯名論
(
ゆいめいろん
)
の立場から、父と子と聖霊の三位は三つの独立した神々であることを主張して、三神説の
誹
(
そし
)
りを甘受した。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
捕え
所天
(
おっと
)
に決して其様な罪は無い彼に限ッて悪事は働かぬとか所天が牢へ入られるなら私しも入れて下さいとか夫は/\最う聞くも気の毒なほど立腹し吾々を罵るやら
誹
(
そし
)
るやら
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
読みて、何某は
剛毅
(
ごうき
)
なり薄志弱行の徒は慚死すべしなどいふ所に到れば何となく我を
誹
(
そし
)
りたるやうにおもはれて、さまざまに
言訳
(
いいわけ
)
めきたる事を思ふなり、かくまでに零落したる乎。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
総監、私は明朝この事件が落着すると同時に捜査課長の職を辞す人間ですから、あなたに偏狭な人間だと思われようが陰険なやつだと
誹
(
そし
)
られようが、一向痛くも痒くもないのです。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
日本人の理化学思想に乏しい事を
罵
(
ののし
)
ったり、オリジナリティのない事またそれを尊重しない事を
誹
(
そし
)
ったりしているが、大正の現在でも同じような事を云っている人が多いから面白い。
断片(Ⅱ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
都うつりを
誹
(
そし
)
るならまだしものこと、歌ふに事かいて、あんなことをまで。……
春泥:『白鳳』第一部
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
還りては
一三
我が
從父
(
をぢ
)
一四
にまし、また天の下治らしめしし天皇にますを、今
單
(
ひとへ
)
に父の仇といふ志を取りて、天の下治らしめしし天皇の御陵を悉に壞りなば、後の人かならず
誹
(
そし
)
りまつらむ。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
落して
茫然
(
ばうぜん
)
として居たりけるお專は如何にも氣の毒に思ひ
種々
(
いろ/\
)
考
(
かんが
)
へしに之は全く過日の
惡物
(
わるもの
)
の
業
(
わざ
)
に非ず同村中の人
成
(
な
)
らん
斯
(
かく
)
申さば何となく人を
誹
(
そし
)
る樣なれども私しも
係
(
かゝ
)
り合ひの事なれば心に思ふ所を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
白壁の
誹
(
そし
)
られながらかすみけり 一茶
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
ドンコサックの群に湧きにし
誹
(
そし
)
り
小熊秀雄全集-15:小説
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
「わけを申せ。やいッ、そこな
猿面郎
(
えんめんろう
)
、理もなく、武士を
誹
(
そし
)
る法やある。百姓そだちの成上がり者、武士を遇する道を知らんかッ」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ある人
咸陽宮
(
かんようきゅう
)
の釘かくしなりとて持てるを蕪村は
誹
(
そし
)
りて「なかなかに咸陽宮の釘隠しと云わずばめでたきものなるを無念のことにおぼゆ」
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
父母寵愛して
恣
(
ほしいまま
)
に
育
(
そだて
)
ぬれば、
夫
(
おっと
)
の家に行て心ず気随にて夫に
疏
(
うとま
)
れ、又は舅の
誨
(
おし
)
へ
正
(
ただし
)
ければ堪がたく思ひ舅を
恨
(
うらみ
)
誹
(
そし
)
り、
中
(
なか
)
悪敷
(
あしく
)
成て終には追出され恥をさらす。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
人に対しては誰のことでも
妄
(
みだ
)
りに
誹
(
そし
)
らないのが居士の美徳ではあったが、一年ばかりでその門に足を絶ってしまった一個の青年を長く記憶していてくれたのは
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もし叶ひたりとも、そは邪道にて、正当の人の目よりはいかに汚らはしく浅ましき身とおとされぬべき。我れはさても、殿をば
浮世
(
うきよ
)
に
誹
(
そし
)
らせ参らせん事くち惜し。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
山中、外出の機会もなし、慣れてしまえば誰も、それを新しい女だといって
誹
(
そし
)
るものもありません。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
洵
(
まこと
)
に危急存亡の秋なるに、この行ありしをあやしみ、又た
誹
(
そし
)
る人もあるべけれど、余がエリスを愛する情は、始めて相見し時よりあさくはあらぬに、いま我
數奇
(
さくき
)
を憐み
舞姫
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
みだりに俗説に従うことは不見識の
誹
(
そし
)
りを免がれ得まいと私には考えられるのである。
現代茶人批判
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
「売名」「軽薄」「増長」の
誹
(
そし
)
りを免れない事は明白で、猟奇社はつまるところ面白半分に、横綱とトリテキを組み合わせようとしているのじゃないか知らん……猟奇的な悪趣味から
江戸川乱歩氏に対する私の感想
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
神、親、人およびその蒔かれその生れし處と時と
種
(
たね
)
とを
誹
(
そし
)
れり 一〇三—一〇五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
いま曹操を討つのを、誰が無名のいくさと
誹
(
そし
)
りましょうぞ。武王の
紂
(
ちゅう
)
を討ち、
越王
(
えつおう
)
の呉を仆す、すべて時あって、変に応じたものです。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新聞記者などが大臣を
誹
(
そし
)
るを見て「いくら新聞屋が
法螺
(
ほら
)
吹いたとて、大臣は親任官、新聞屋は素寒貧、月と
泥龜
(
すつぽん
)
程の違ひだ」などゝ
罵
(
ののし
)
り申候。
歌よみに与ふる書
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
良人を
誹
(
そし
)
るは濟みませぬほどに最う何も言ひませぬ、關は立派な良人を持つたので弟の爲にも好い片腕、あゝ安心なと喜んで居て下されば私は何も思ふ事は御座んせぬ
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
扨又本章中、人を
誹
(
そし
)
り偽を言う可らず、人の
謗
(
そしり
)
を伝え語る可らず云々は、固より当然のことにして、特に婦人に限らず男子に向ても警しむ可き所のものなれば、評論を略す。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
まことに危急存亡の
秋
(
とき
)
なるに、この
行
(
おこな
)
いありしをあやしみ、また
誹
(
そし
)
る人もあるべけれど、余がエリスを愛する情は、始めて相見しときよりあさくはあらぬに、いまわが
数奇
(
さっき
)
を
憐
(
あわ
)
れみ
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
本来、柴田勝家という人が、猛将の名はあるけれども、悪人の
誹
(
そし
)
りは残していない。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
法師は唇を
舐
(
な
)
めあげて、聴衆の上をねめまわしている。巧みに領民の弱点をついて、織田家の施政を暗に
誹
(
そし
)
ろうとする口うらが
窺
(
うかが
)
える。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新聞記者などが大臣を
誹
(
そし
)
るを見て「いくら新聞屋が
法螺
(
ほら
)
吹いたとて、大臣は
親任官
(
しんにんかん
)
、新聞屋は
素寒貧
(
すかんぴん
)
、月と
泥鼈
(
すっぽん
)
ほどの違ひだ」などと
罵
(
ののし
)
り申候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
良人を
誹
(
そし
)
るは済みませぬほどにもう何も言ひませぬ、関は立派な良人を持つたので弟の為にも好い片腕、ああ安心なと喜んでゐて下されば私は何も思ふ事は御座んせぬ
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
我一身の大事は前に
横
(
よこたは
)
りて、
洵
(
まこと
)
に危急存亡の
秋
(
とき
)
なるに、この
行
(
おこなひ
)
ありしをあやしみ、又た
誹
(
そし
)
る人もあるべけれど、余がエリスを愛する情は、始めて相見し時よりあさくはあらぬに、いま我
数奇
(
さくき
)
を憐み
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
いや
夫婦
(
ふたり
)
にとれば、ただよろこびにもしておれまい。ひとの
誹
(
そし
)
り、うしろ指、さらには前途、芸道の修行も長くけわしかろう。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新聞記者などが大臣を
誹
(
そし
)
るを見て「いくら新聞屋が
法螺
(
ほら
)
吹いたとて、大臣は親任官、新聞屋は
素寒貧
(
すかんぴん
)
、月と
泥亀
(
すっぽん
)
ほどの違いだ」などと
罵
(
ののし
)
り
申
(
もうし
)
候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
良人
(
おつと
)
を
誹
(
そし
)
るは
濟
(
す
)
みませぬほどに
最
(
も
)
う
何
(
なに
)
も
言
(
い
)
ひませぬ、
關
(
せき
)
は
立派
(
りつぱ
)
な
良人
(
おつと
)
を
持
(
も
)
つたので
弟
(
おとゝ
)
の
爲
(
ため
)
にも
好
(
い
)
い
片腕
(
かたうで
)
、あゝ
安心
(
あんしん
)
なと
喜
(
よろこ
)
んで
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
されば
私
(
わたし
)
は
何
(
なに
)
も
思
(
おも
)
ふ
事
(
こと
)
は
御座
(
ござ
)
んせぬ
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
また、世間は将軍をさして、わが女房を奪われたる人よ、と蔭口をきくであろうと、わが身に
誹
(
そし
)
りを受けるより辛く思われます
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誹
漢検準1級
部首:⾔
15画
“誹”を含む語句
誹謗
誹毀
腹誹
誹諧
誹譏
誹議
誹毀讒謗
誹笑
誹語
誹論
誹諧哥
誹謗者