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覘
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のぞ
ふりがな文庫
“
覘
(
のぞ
)” の例文
もの優しく肩が動くと、その蝋の火が、件の絵襖の穴を
覘
(
のぞ
)
く……その火が、
洋燈
(
ランプ
)
の
心
(
しん
)
の中へ、
𤏋
(
ぱっ
)
と入って、一つになったようだった。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
急に、大地は眼のまえで
断
(
き
)
れている。暗い空に岩角の線がうっすら
蜿
(
うね
)
っている。そこから
覘
(
のぞ
)
けば絶壁であろうことは疑うまでもない。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
破穴
(
やぶれあな
)
から
覘
(
のぞ
)
いていますが、これを少しも知りませんで、又作はぐい飲み、
猪口
(
ちょく
)
で五六杯あおり附け、追々
酔
(
えい
)
が廻って来た様子で
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
眼鏡屋の店先へ来ると
覘
(
のぞ
)
き眼鏡があって婆さんが一人覘いている。此方のレンズを覘いてみると西洋の美しい街の大通りが浮き上がって見える。
まじょりか皿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
玉は
覘
(
のぞ
)
いていた時から、心の中でこんな女を弟の細君にしてやりたいと思っていたので、そこで弟と結婚してもらいたいと言った。女はいった。
阿英
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
▼ もっと見る
この塔の部屋のなかは、そいつは
覘
(
のぞ
)
いて行かなかつた。あたかも百枚の扉のうしろにあるかのやうだ、二人がかうしてともにしてゐる深い眠りは。
旗手クリストフ・リルケ抄
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
良久
(
しばらく
)
して
覘
(
のぞ
)
いて
見
(
み
)
ると
魚
(
うを
)
の
歩兵
(
ほへい
)
の
姿
(
すがた
)
はなくて、モ
一人
(
ひとり
)
の
方
(
はう
)
が
戸
(
と
)
の
側
(
そば
)
に
地面
(
ぢべた
)
の
上
(
うへ
)
に
坐
(
すわ
)
つて、
茫然
(
ぼんやり
)
空
(
そら
)
を
凝視
(
みつめ
)
てゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
私が盛に哲学書を
猟
(
あさ
)
ったのも此時で、
基督教
(
キリストきょう
)
を
覘
(
のぞ
)
き、仏典を調べ、神学までも手を出したのも、また此時だ。
予が半生の懺悔
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
新舞踊の披露会を
覘
(
のぞ
)
いたり、それが二三夜続く中には「あまり外へ出歩いてセンスの肌理が粗くなったわ」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
母が先日問はず語りに云つてゐた縁談の周旋者の名前が大谷だつたので、彼れは封筒を取り上げて
覘
(
のぞ
)
いたが、手紙を引き出して讀まうとはしないで、元の所に置いた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
朝起きて顔を洗いに出ると、春が
雛
(
ひよこ
)
の
孵
(
か
)
えたのを知らせた。石田は急いで顔を洗って台所へ出て見た。白い牝鶏の羽の間から、黄いろい雛の頭が
覘
(
のぞ
)
いているのである。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
外の方をさし
覘
(
のぞ
)
けば、大空は澄める瑠璃色の外、一片の雲も見えず、小児の
紙鳶
(
たこ
)
は可なり
飛颺
(
ひよう
)
して見ゆれども、庭の松竹椿などの梢は、眠れるかの如くに、
些
(
すこ
)
しも揺がず。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
掘りかえした墓場のように
覘
(
のぞ
)
かれるシュレック・フィルンの崖の上を、左にはシュトラールエックの尾根づたい、この麓はガックの嶮のあると云う、その雪路をよろめいて
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
袴
(
はかま
)
をつけ
扇子
(
せんす
)
を持って、一字一句、活字になったときの字づらの効果を考慮し、他人が
覘
(
のぞ
)
いて読んでも判るよう文章にいちいち
要
(
い
)
らざる註釈を書き加えて、そのわずらわしさ
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
葭簾張
(
よしずば
)
りのスキ間から楽屋が丸見えだもんですから、道庵が
覘
(
のぞ
)
き込むというと、そこで在郷の役者連が衣裳、かつらの真最中で、それをお師匠番が周旋する、
床山
(
とこやま
)
がかけ廻る
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼らは影法師のうつるのも忘れてそっと障子の
孔
(
あな
)
から
覘
(
のぞ
)
いたり、または森のなかを歩いてるところを見つけて
変化
(
へんげ
)
ものの正体でも見あらわすようにじろじろと見まわしたりする。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
……此の伯母を
演
(
し
)
て居たのが酒井政俊といふ舞台数も踏んで居る芸達者な女形だつたので、……「浪子」の容態が案じられる思入で、立つて来て屏風へ手をかけて
覘
(
のぞ
)
いてみたが
癖
(新字旧仮名)
/
喜多村緑郎
(著)
「懸けた工合は……どうですな」と渡した方が旦那様の御顔を
覘
(
のぞ
)
くようにして尋ねる。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
使女A もうお嬢様、窓から
覘
(
のぞ
)
くのはお止め遊ばしませ——何んだか今夜も昨晩のように魔でもさしそうな晩でござります。——早く御寝間へおはいりなされてお眠り遊ばしませ。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
僕は自分の顔を
覘
(
のぞ
)
き込むより(何だか古い、もの寂びた井戸の底を覘くように)
雲の裂け目
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
此頃歌さんの
許
(
ところ
)
へ遊びに来出した男がある。名を井上さんという。昨夜も来た。乃公が客間へ入って行ったら二人で話をしていた。乃公は此人の顔が能く見たいから、傍へ寄って
覘
(
のぞ
)
いてやった。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
三軒が皆
行
(
ゆ
)
き
通
(
とお
)
しのようになっていて、その
中央
(
なか
)
の家の、
立腐
(
たちぐさ
)
れになってる畳の上に、木の
朽
(
く
)
ちた、
如何
(
いか
)
にも怪し気な
長持
(
ながもち
)
が二つ置いてある、
蓋
(
ふた
)
は開けたなりなので、気味
悪
(
わ
)
る
悪
(
わ
)
る
内
(
なか
)
を
覘
(
のぞ
)
いて見ると
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
溝などの中を
覘
(
のぞ
)
くと早春から既にそのセリが一杯に繁茂している。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
土間の窓が開いて、茂兵衛が顔を出し、内を
覘
(
のぞ
)
いている。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
もの
優
(
やさ
)
しく
肩
(
かた
)
が
動
(
うご
)
くと、
其
(
そ
)
の
蝋
(
らふ
)
の
火
(
ひ
)
が、
件
(
くだん
)
の
繪襖
(
ゑぶすま
)
の
穴
(
あな
)
を
覘
(
のぞ
)
く……
其
(
そ
)
の
火
(
ひ
)
が、
洋燈
(
ランプ
)
の
心
(
しん
)
の
中
(
なか
)
へ、
𤏋
(
ぱつ
)
と
入
(
はひ
)
つて、
一
(
ひと
)
つに
成
(
な
)
つたやうだつた。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けて、それが
鼠穴
(
ねずみあな
)
位
(
ぐらゐ
)
の
小
(
ちひ
)
さな
路
(
みち
)
に
通
(
つう
)
じて
居
(
ゐ
)
ることを
知
(
し
)
り、
膝
(
ひざ
)
をついて
前
(
まへ
)
に
見
(
み
)
たことのある
美
(
うつく
)
しい
花園
(
はなぞの
)
を、
其
(
その
)
路
(
みち
)
について
覘
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
みました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
そして、
紙箒
(
はたき
)
を持つて兄の机の上の埃を拂ひながら、書物の間に插んである洋紙を
覘
(
のぞ
)
いて、
拙
(
まづ
)
い手蹟で根氣よく英字を書き留めてゐるのに、感心もし、冷笑を浮べもした。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
幸兵衞夫婦は左右から長二の背中を
覘
(
のぞ
)
いて、互に顔を見合せると、お柳は
忽
(
たちま
)
ち
真蒼
(
まっさお
)
になって、苦しそうに両手を帯の間へ
挿入
(
さしい
)
れ、
鳩尾
(
むなさき
)
を強く
圧
(
お
)
す様子でありましたが、
圧
(
おさ
)
えきれぬか
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
朝早くいって
覘
(
のぞ
)
いてみると榻を空にして小翠の室にいっていた。それから元豊の病気は二度と起らなかった。元豊と小翠は夫婦の間がいたって和合して、影の形に随うがようであった。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
染色しては
覘
(
のぞ
)
いて見たが、結核菌は見当らない、今度は隔離室にいる患者の痰を取り寄せて貰って、染めて見たりして暇をつぶす、顕微鏡は私のと同じ型のを用いていた、染料の汚点だらけで
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
手足を
拭
(
ぬぐ
)
い、下駄をつっかけ、土蔵を
覘
(
のぞ
)
いてみるのであったが、入口のすぐ側に乱雑に積み重ねてある康子の荷物——何か取出して、そのまま
蓋
(
ふた
)
の開いている箱や、蓋から
喰
(
は
)
みだしている衣類……が
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
伝え言う……
孫右衛門
(
まごえもん
)
と名づけた気の
可
(
い
)
い小父さんが、
独酌
(
どくしゃく
)
の
酔醒
(
よいざめ
)
に、我がねたを首あげて見る寒さかな、と
来山張
(
らいざんばり
)
の屏風越しに、
魂消
(
たまげ
)
た首を出して
覘
(
のぞ
)
いたと聞く。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
赤子
(
あかご
)
が
復
(
ま
)
た
唸
(
うな
)
つたので、
何
(
ど
)
うかしたのではないかと、
愛
(
あい
)
ちやんは
氣遣
(
きづか
)
はしげに
其顏
(
そのかほ
)
を
覘
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
みました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
私の家へ入つて來る時には、私達家の者が見つからないと、無斷で上へ上がつて、書齋へでも寢室へでも、あるひは便所へでも
覘
(
のぞ
)
いて搜すので、私達は
屡々
(
しばしば
)
びつくりさゝれた。
吉日
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
と云いながら
窃
(
そ
)
っと文治郎の手を下へ置いて立上り、外を
覘
(
のぞ
)
いて見てぴったり
入
(
いり
)
□□□□□□□、□□□□□□□□、□□□□□□
閉
(
た
)
て、薄暗くなった時、文治の側へぴったり坐って
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そっと起きて
覘
(
のぞ
)
いてみると、三、四人の
女郎
(
むすめ
)
が地べたへ敷物を敷いて坐り、やはり三、四人の
婢
(
じょちゅう
)
がその前に酒と肴をならべていた。女は皆すぐれて美しい
容色
(
きりょう
)
をしていた。一人の女がいった。
阿英
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
傳
(
つた
)
へ
言
(
い
)
ふ……
孫右衞門
(
まごゑもん
)
と
名
(
な
)
づけた
氣
(
き
)
の
可
(
い
)
い
小父
(
をぢ
)
さんが、
獨酌
(
どくしやく
)
の
醉醒
(
よひざめ
)
に、
我
(
わ
)
がねたを
首
(
くび
)
あげて
見
(
み
)
る
寒
(
さむ
)
さかな、と
來山張
(
らいざんばり
)
の
屏風越
(
びやうぶご
)
しに、
魂消
(
たまげ
)
た
首
(
くび
)
を
出
(
だ
)
して
覘
(
のぞ
)
いたと
聞
(
き
)
く。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此間も、草履穿きでかまはない
服裝
(
なり
)
をして、家を締めて出掛けますと、近所にいらつしやる
主人
(
たく
)
のお友達が窓から
覘
(
のぞ
)
いて、「ヤア、村田の妻君、今日は見學か。」と冷かしなさるんですよ。
見学
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
といいながら格子の間から
覘
(
のぞ
)
いて見ると、
向
(
むこう
)
に本尊が飾って有りまする。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と
寂
(
さび
)
しい
笑顏
(
ゑがほ
)
が、
戸袋
(
とぶくろ
)
へひつたりついて、ほの
白
(
しろ
)
く
此方
(
こなた
)
を
覘
(
のぞ
)
いて
打傾
(
うちかたむ
)
いた。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云われ茂二作夫婦は驚いて、長二の顔を
覘
(
のぞ
)
きまして
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
廂
(
ひさし
)
よりか背の高い、
大
(
おおき
)
な海坊主が、海から出て来て、町の中を
歩行
(
ある
)
いていてね……人が
覘
(
のぞ
)
くと、蛇のように腰を曲げて、その窓から
睨返
(
にらみかえ
)
して、よくも見たな、よくも見たな、と云うそうだから。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鼬
(
いたち
)
が
覘
(
のぞ
)
くやうな、
鼠
(
ねずみ
)
が
匍匐
(
はらば
)
つたやうな、
切
(
き
)
つて
填
(
は
)
めた
菱
(
ひし
)
の
實
(
み
)
が、ト、べつかつこをして、ぺろりと
黒
(
くろ
)
い
舌
(
した
)
を
吐
(
は
)
くやうな、いや、
念
(
ねん
)
の
入
(
い
)
つた、
雜多
(
ざつた
)
な
隙間
(
すきま
)
、
破
(
や
)
れ
穴
(
あな
)
が、
寒
(
さむ
)
さにきり/\と
齒
(
は
)
を
噛
(
か
)
んで
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
押絵のあとに、時代を違えた、写真を
覘
(
のぞ
)
くのも学問である。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
覘
漢検1級
部首:⾒
12画
“覘”を含む語句
差覘
明巣覘
絵覘
覘眼鏡
附覘