見慣みな)” の例文
見慣みなれない小鳥ことりみょうふしまってうたをうたっていました。むすめは、いままでこんな不思議ふしぎうたをきいたことがありません。
ふるさとの林の歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
異国の空の下でむだにあくせく働いたわけで、顎やほおいちめんの異様なひげが、子供のころから見慣みなれた顔をなんともぶざまにおおっていた。
判決 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
かれ即座そくざ言葉ことば見出みいだなかつたので、いたづらに、見慣みなれたものゝうへに、さらあたらしくもないゑてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あるとき摂津国せっつのくに難波なにわまでおいでになりますと、見慣みなれないかみさまが、うみわたってこうからやってました。みこと
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そこへ見慣みなれぬ黒犬が一匹、突然猫を救いにけつけ、二十分にわたる奮闘ののち、とうとうその大蛇をみ殺した。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
継母が末の児を背負おぶひ、お作の手を引き、進は見慣みなれない男に連れられて、後を見かへり/\行つたといふことは、近所のかみさんが来ての話で解つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
かれらはみんなかの女がむすめであり、あねであることをわすれきって、女中の仕事をするのばかり見慣みなれていた。
いつも見慣みなれてゐるやぶたけなかにゐるひとですから、きっと、てんとしてあたへてくれたものであらうとかんがへて、そのうへせてかへり、つまのおばあさんにわたして
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
「これは内緒ないしょよ。気をつけないといけないわ。この村のげじげじ牧師のネッソンが、見慣みなれない七八人の荒くれ男を案内して、下から登ってくるわ。あたし望遠鏡で、それを見つけたのよ」
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これはちょっとると、いかにも紫陽花あぢさゐはな樣子ようすこまやかにうつしてあるようにえますが、じつ紫陽花あぢさゐつくつたのでなく、見慣みなれてゐるはな模樣もよう空想くうそううかべて、うつくしく爲立したてたにぎません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
もしや、それでないかと、じっと眼鏡めがねをそのふねうえけて子細しさいますと、いつかこのみなとはいった、見慣みなれないふねでありました。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
するとほとんどその途端に、ペンキ塗りの戸が勢よく開いて、見慣みなれない一人の外国人が、よろめくやうに外からはひつて来た。その勢が烈しかつたからであらう。
南京の基督 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
珍しさうに客の顔を眺めるもあり、母親の蔭に隠れるもあり、やうやく歩むばかりの末の児は、見慣みなれぬ丑松を怖れたものか、やがてしく/\やり出すのであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
などとかんがえていました。そして、ガタ、ガタとくるまをひいてきかかりますと、あちらのまつ木蔭こかげ見慣みなれないおじいさんがやすんでいました。
村の兄弟 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、あるのこと、見慣みなれないおとこ旅人たびびと門口かどぐちって、みちきました。そのときおとこは、二人ふたり父親ちちおや看病かんびょうをしているのをながめて
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二、三にちたつと、このみなと見慣みなれない一そうのくろふねはいってきました。こんなふねはめったにることがないのであります。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おまえのうたっているうたは、なんといううたなの。」と、彼女かのじょは、その見慣みなれない小鳥ことりかっていました。
ふるさとの林の歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もっとうつくしく、もっときれいに、もっとめずらしいものばかりでかざられているばかりでなく、三にんむすめらのほかに、見慣みなれない年若としわか紳士しんしが四、五にんもいました。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、見慣みなれないふねのきたことや、そのふねったから、薬売くすりうりのえなくなった、いろいろのことをおもって、しばらくぼんやりとうみうえをながめていますと、とお
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
するとあかふねは、だんだんちかづいてきて、ふねなかっていた見慣みなれないふうをしたひとは、とうまどからひめすくして、あかふねれて、どこへともなくれていってしまいました。
黒い塔 (新字新仮名) / 小川未明(著)
からすは、さっそく、やしろ境内けいだいんでゆきました。するといままで、見慣みなれないとりちかくにやってきたので、よわいはとは、一さわぎたてました。からすは、これはこまったとおもいました。
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
ここへくれば、そんな職業しょくぎょうのことなどはどうだっていいのだ。じつは、あれからもう二ねんたつが、いつも見慣みなれている、自分じぶんんでいたまち景色けしきが、ばかに昨日きのう今日きょううつくしくえるじゃないか。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この言葉ことばきつけた、こまどりは、すずめのほう見下みおろしました。そこには、見慣みなれない二とりたちが、自分じぶんのうわさをしていたのでした。すずめは、やまおくにはすんでいなかったからです。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのまち人々ひとびとは、この見慣みなれない乞食こじきうし姿すがた見送みおくりながら、どこからあんなものがやってきたのだろう。これからかぜくときにはをつけねばならぬ。でもつけられたりしてはたいへんだ。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると不思議ふしぎなことには、ちょうどそのから、まち見慣みなれないようすをしたとおか十一ぐらいのとしごろの子供こどもが、からだやぶれた着物きものて、しかも霏々ひひとしてゆきるなかに、素足すあしあしゆびあかくして
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)