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自然
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ひとりで
ふりがな文庫
“
自然
(
ひとりで
)” の例文
M先生の
歿後
(
ぼつご
)
、思いがけなく
自然
(
ひとりで
)
に地位の押し進められていることは、自分の才分に自信のない笹村にとって、むしろ不安を感じた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そうして
自然
(
ひとりで
)
に
頭部
(
あたま
)
に手を遣りながら、「気味が悪いなあ! お雪の奴、来て見ていたんだろうか。……彼奴屹度来て見たに違い無い。」
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
それに奥様は永いご病気でずっと床に着き通しですものね。あたしこの頃になって先生のお心持ちを察するとほんとに
自然
(
ひとりで
)
に涙が出て来るわ。
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
船は小さし、
胴
(
どう
)
の
間
(
ま
)
へ
突立
(
つッた
)
って、
釣下
(
つりさが
)
って、
互違
(
たがいちがい
)
に手を掛けて、川幅三十
間
(
けん
)
ばかりを
小半時
(
こはんとき
)
、
幾度
(
いくたび
)
もはっと思っちゃ、
危
(
あぶな
)
さに
自然
(
ひとりで
)
に目を
塞
(
ふさ
)
ぐ。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
阿母
(
おつか
)
さん、柿はあゝやつて、
自然
(
ひとりで
)
に
生
(
な
)
つてゐるんやおまへんか。人間に喰べさせようと思うて生つてゐるんやおますまい。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
自然
(
ひとりで
)
に出たと云ってすむかえ、胴巻の方から文庫の中へ
駆込
(
かけこ
)
むやつがあるものか、そら/″\しい、そんな優しい顔つきを
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
(流れ屑が
自然
(
ひとりで
)
に沈む淵があったり、化け物屋敷があったりして、この
界隈
(
かいわい
)
は物騒だよ)と、私は
呟
(
つぶや
)
いたことでした。
怪しの者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「茶碗や行灯が、
自然
(
ひとりで
)
に浮きあがるものではない、眼に見えなくても、其の
周囲
(
まわり
)
には妖怪がいて、持ちあげているから、其処を捕まえさえすれば好い」
魔王物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
明るい中でみつめるものの総ては土でも木でも色々な日用品でも皆、
自然
(
ひとりで
)
に微笑が湧きのぼる様な柔い気持になる。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
私は
彳
(
たたず
)
んだり寝転んだり仰いだり俯したりしながら、到る所私の過去の生活の罪の意識に
責
(
せ
)
め苦しめられつつ、ただ何ということもなしに
自然
(
ひとりで
)
に祈っていた。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
あんなにしんねりむつつりと
首
(
はじめ
)
も尻尾もなく、小言を聞かされてはたまるものか、何んだつてもつとはつきりしないんだ、と思ふと彼の歯は
自然
(
ひとりで
)
に堅く噛み合つた。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
ヅリヤンを盗んだ者は重く罰せられるが
熟
(
う
)
れて
自然
(
ひとりで
)
に落ちたのを拾つた者は、飛んだ
幸福者
(
しあはせもの
)
として羨まれるさうで、気の長い土人達は、ヅリヤンの
鈴生
(
すゞなり
)
に
生
(
な
)
つた木蔭で
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「お通さん、この道だ、この道から横へ横へと、山の腹を縫ってゆけば、
自然
(
ひとりで
)
に
叡山
(
えいざん
)
の方へ出てしまう。……もう登りはないから楽だよ、どこか、少しそこらで休んだらどう?」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
本所の割り下水と今の自分とのあいだには、何十里、何百里の山河があるのだ、と思うと、女の眼頭が
自然
(
ひとりで
)
に熱くなって、どうすることもできない涙が一筋、ほろりと畳をぬらした。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
然
(
そ
)
うだろうね。この辺のところはこれさえ出来れば
残余
(
あと
)
は
自然
(
ひとりで
)
に分る筈だから」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それはさて、そのことのあつた後、さつそく、家を祓ひ潔めなかつた神罰でもあらうか、毎年きまつて、その同じころになると、不思議なことに、つれあひが
自然
(
ひとりで
)
に踊りだすのぢやつた。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:06 紛失した国書
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
そして子供の為めに、彼等は暖かい賑かさと、其上に
自然
(
ひとりで
)
に溢れる笑ひと嬉しさを持って食事にとりかゝったのであった。また彼等は、ごた/\した騒がしさの為に、雨風の音を耳にしない。
晩餐
(新字新仮名)
/
素木しづ
(著)
粟
(
あわ
)
の壺と水の壺を留り木の間にようやく置くや否や、手を引き込ました。籠の戸ははたりと
自然
(
ひとりで
)
に落ちた。文鳥は留り木の上に戻った。白い首を
半
(
なか
)
ば横に向けて、籠の外にいる自分を見上げた。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
判断が中心を
外
(
そ
)
れて来て、
自然
(
ひとりで
)
に迷宮を作るような事になるのだと思います……殊に人の噂とか、当局の眼とかいうものは、物事に疑いをかける癖が付いているので、色々な出来事の一ツ一ツが
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それが本当の所でさ。そして、もっと愉快で面白い人である筈なんだが、そうは行かないんですね。ですが、あの人の悪い事にはまた
自然
(
ひとりで
)
にそれだけの報いがあるでしょうから、何も私が彼是あの人を
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
O氏は去年迎えた細君と、少し奥まったところに家を持っていた。I氏の家を出た笹村は足がまた
自然
(
ひとりで
)
にそっちへ向いて行った。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私は腹の中で、ただ呉服物の用ばかりで来ていた客かどうかと
自然
(
ひとりで
)
に疑ってみる気になった。が、もちろんそんなことを口には出さなかった。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
が、
渠
(
かれ
)
の身に取っては、食に尽きて倒るるより、
自然
(
ひとりで
)
に死ぬなら、蛇に巻かれたのが本望であったかも知れぬ。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
由「旦那何でしょう、どうもお辞儀の丁寧だってえないねえ、様子がずっとどうも、あのお辞儀の仕方は
此方
(
こっち
)
が
自然
(
ひとりで
)
に頭が
下
(
さが
)
るくらいで、丁寧で、何でしょう」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
神気
(
こころ
)
の
疲労
(
つかれ
)
が極点に達した時、相手は
自然
(
ひとりで
)
に仆れるか、自暴自棄に斬りかかって来るか、二つに一つに出ることは解っていた。そこを目掛け、ただ一刀に仕止めてやろう。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ここに最後の不思議と言えば、燐の
凝気
(
こりけ
)
が燈明の熱に解けて
自然
(
ひとりで
)
に
伸縮
(
のびちぢみ
)
して動き出したあの片頬と、猫板の上に遺して行ったおりんの墨跡とが、掻き消すように失くなっていたことだった。
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「これを
真直
(
まつすぐ
)
にお
往
(
ゆ
)
きよ、さうすると
自然
(
ひとりで
)
にワシントンのお
家
(
うち
)
の前へ出ら。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
着物も
自然
(
ひとりで
)
にできるし、
小遣
(
こづかい
)
も
適宜
(
てきぎ
)
に貰えるので、父の
存生中
(
ぞんしょうちゅう
)
と同じように、何不足なく暮らせて来た惰性から、その日その晩までも、ついぞ学資と云う問題を頭に思い浮べた事がなかったため
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして
小
(
ちいさ
)
いおりから母親に
媚
(
こ
)
びることを学ばされて、そんな事にのみ
敏
(
さと
)
い心から、
自然
(
ひとりで
)
に
故
(
ことさ
)
ら二人に甘えてみせたり、
燥
(
はしゃ
)
いでみせたりした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
呆然
(
ぼんやり
)
縁側に立って、遠くの方を見ると、
晩秋
(
あき
)
の空は見上げるように高く、
清浄
(
きれい
)
に晴れ渡って、世間が静かで、
冷
(
ひい
)
やりと、
自然
(
ひとりで
)
に好い気持がして来る。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
あの……
木葉船
(
こツぱぶね
)
はの、
丁
(
ちやん
)
と
自然
(
ひとりで
)
に
動
(
うご
)
くでがすよ……
土地
(
とち
)
のものは
知
(
し
)
つとります。で、
鷺
(
さぎ
)
の
船頭
(
せんどう
)
と
渾名
(
あだな
)
するだ。それ、
見
(
み
)
さしつた
通
(
とほ
)
り、
五位鷺
(
ごゐさぎ
)
が
漕
(
こ
)
ぐべいがね。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
甚「
悪
(
わり
)
いたって己がしたのじゃアねえ、
自然
(
ひとりで
)
に出たのだ新吉
咽喉頸
(
のどっくび
)
に筋が出て居るな、此の筋を見や」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
紙帳が
自然
(
ひとりで
)
のように動きだしたのは、その実、その中にお浦がいたのだということは、お浦の衣裳が、次々に紙帳の中から地に落ちたことによって、頼母にも悟れたのであった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小六
(
ころく
)
は
父
(
ちゝ
)
が
死
(
し
)
んで、すぐと
叔父
(
をぢ
)
に
引
(
ひ
)
き
取
(
と
)
られて
以來
(
いらい
)
、
學校
(
がくかう
)
へも
行
(
ゆ
)
けるし、
着物
(
きもの
)
も
自然
(
ひとりで
)
に
出來
(
でき
)
るし、
小遣
(
こづかひ
)
も
適宜
(
てきぎ
)
に
貰
(
もら
)
へるので、
父
(
ちゝ
)
の
存生中
(
ぞんしやうちゆう
)
と
同
(
おな
)
じ
樣
(
やう
)
に、
何不足
(
なにふそく
)
なく
暮
(
く
)
らせて
來
(
き
)
た
惰性
(
だせい
)
から、
其日
(
そのひ
)
其晩
(
そのばん
)
迄
(
まで
)
も
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
仕事は少しずつ
捗取
(
はかど
)
って来た。進行するにつれて原文に
昵
(
なず
)
んでも来たし、訂正の
骨
(
こつ
)
も
自然
(
ひとりで
)
に会得されて来た。作そのものにも興味が出て来た。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
が私はまた、
前
(
さき
)
にも言ったように、
自然
(
ひとりで
)
に心が移って行くまで待たなければ、何うする気にもなれなかったのだ。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
山「師匠相替らず
延続
(
のべつゞ
)
けだのう、どうもサ師匠の顔を見ると
自然
(
ひとりで
)
に可笑しくなるよ」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何事のおわしますかは知らねども、
忝
(
かたじけな
)
さに涙こぼるる、
自然
(
ひとりで
)
に
頭
(
つむり
)
が下りまする。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少年
自然
(
ひとりで
)
に門が
開
(
あ
)
いて、二人はらくらくとこせたのよ。お姉様あの門は?
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何を考えるともなく、
歩
(
あし
)
が
自然
(
ひとりで
)
に反対の方向に
嚮
(
む
)
いていたことに気がつくと、急に
四辻
(
よつつじ
)
の角に立ち停って
四下
(
あたり
)
を見廻した。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
孝「何うして出たか
私
(
わたくし
)
ゃ知らないよ、胴巻は
自然
(
ひとりで
)
に出て来たのだもの」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
肝まで
溶融
(
とろ
)
けて、
蕩々
(
とろとろ
)
に
膏切
(
あぶらぎ
)
った身体な、——気の消えそうな薫の
佳
(
い
)
い、湿った暖い霞に、虚空
遥
(
はるか
)
に揺上げられて、天の果に、蛇の目玉の
黒金剛石
(
くろダイヤ
)
のような
真黒
(
まっくろ
)
な星が見えた、と思うと、
自然
(
ひとりで
)
に
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一通り自分自身の踊り方が完成するまではと、つひ今日も明日も足が
自然
(
ひとりで
)
にそこへ向いて行つた。彼に取つては果敢ない生活の振蕩にすぎなかつた。
老苦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
車夫「そんなに急がなくっても車が廻るから
自然
(
ひとりで
)
に
往
(
い
)
かれるんで」
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そして
小
(
ちいさ
)
いしなやかな足に、
踵
(
かかと
)
の高い靴をはくと、
自然
(
ひとりで
)
に軽く手足に弾力が出て来て、前へはずむようであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
新三郎は
自然
(
ひとりで
)
に頭が
下
(
さが
)
る。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それでも針の手を休めながら、折々
溜息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
くことなぞある。独り長火鉢の横に坐って、する仕事のない静かな昼間なぞは、
自然
(
ひとりで
)
に涙の零れることもあった。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お今が同意とも不同意とも、はっきり言いきらないうちに、話が
自然
(
ひとりで
)
に固められて行った。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お島は話ぶりなどに
愛嬌
(
あいきょう
)
のあるその男の傍にすわっていると、
自然
(
ひとりで
)
に顔を
赧
(
あか
)
くしたりした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「そんな
事
(
こと
)
ないわ。
私
(
わたし
)
は
奥
(
おく
)
さんと
話
(
はな
)
してこようとおもふ。」I
子
(
こ
)
は
言
(
い
)
つてたが、
私
(
わたし
)
の
胸
(
むね
)
にうづまつた
彼女
(
かのじよ
)
の
顔
(
かお
)
には、
自然
(
ひとりで
)
に
善良
(
ぜんれう
)
な
微笑
(
びせう
)
が
浮
(
う
)
かんでゐるのを、
私
(
わたし
)
は
感
(
かん
)
じない
訳
(
わけ
)
に
行
(
い
)
かなかつた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
“自然”の解説
自然(しぜん、el: φύσις la: natura en: nature)について解説する。
(出典:Wikipedia)
自
常用漢字
小2
部首:⾃
6画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“自然”で始まる語句
自然薯
自然石
自然木
自然生
自然界
自然淘汰
自然物
自然法爾
自然現象
自然霊