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腕
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かいな
ふりがな文庫
“
腕
(
かいな
)” の例文
ただ
一呑
(
ひとのみ
)
と
屏風倒
(
びょうぶだおし
)
に
頽
(
くず
)
れんずる
凄
(
すさま
)
じさに、
剛気
(
ごうき
)
の
船子
(
ふなこ
)
も
啊呀
(
あなや
)
と驚き、
腕
(
かいな
)
の力を失う
隙
(
ひま
)
に、
艫
(
へさき
)
はくるりと波に
曳
(
ひか
)
れて、船は
危
(
あやう
)
く
傾
(
かたぶ
)
きぬ。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
きゃしゃな
腕
(
かいな
)
の青白い肌が、頑丈な鉄のような指先にむずと掴まれて、二人の少年の血色の快い対照は、私の心を誘うようにするので
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それを
故
(
もと
)
の社主は放任していたのである。新聞は新しい社主の手に渡った。少壮政治家の鉄のような
腕
(
かいな
)
が意識ある意志によって
揮
(
ふる
)
われた。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
金剛石
(
ダイヤモンド
)
がきらりとひらめいて、
薄紅
(
うすくれない
)
の
袖
(
そで
)
のゆるる中から細い
腕
(
かいな
)
が男の
膝
(
ひざ
)
の方に落ちて来た。
軽
(
かろ
)
くあたったのは指先ばかりである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、外から声をかけると、とんとんとんと二階から降りて来るらしい
跫音
(
あしおと
)
がした。同時に、ぱらと白い女の
腕
(
かいな
)
が、内から
芦簾
(
あしすだれ
)
をかかげて
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
我れに隱くすことなく我れに包むことなく、心安く長閑に落付きて、我が此
腕
(
かいな
)
に寄り此膝の上に睡るべしと、の給ふ御聲心耳にひゞく
度
(
たび/\
)
に
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
踠
(
もが
)
き疲れた
腕
(
かいな
)
なりが見えて来ないかと待ち侘びるけれど、その甲斐もなく、さっき顔を見せたのが最後のおさらばだったのだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
パチリと女は
腕
(
かいな
)
を打った。どうやら藪蚊が刺したらしい。左の腕の肩まで捲った。月光に浮いて見えたのは、ベッタリ刻られた
刺青
(
いれずみ
)
であった。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
勝平の鉄のような
腕
(
かいな
)
が何となく頼もしいように思えた。
逗子
(
ずし
)
の停車場から自動車で、危険な海岸伝いに帰って来ることが何となく
危
(
あやぶ
)
まれ出した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私は私の背後に太いロップや金具の
緩
(
ゆる
)
く緩くきしめく音を絶えず感じながら、その船首に近い右舷の
欄干
(
てすり
)
にゆったりと両の
腕
(
かいな
)
をもたせかけている。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
東京で淋しく死だ今井も、故郷の人達の友情に依って、こんなに手厚く葬られる。自分も最後の
呼吸
(
いき
)
を引取る時には、故郷の人々の
腕
(
かいな
)
に縋りたい——。
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
玉の
腕
(
かいな
)
は温く我
頸筋
(
くびすじ
)
にからまりて、雲の
鬢
(
びん
)
の毛
匂
(
にお
)
やかに
頬
(
ほほ
)
を
摩
(
なで
)
るをハット驚き、
急
(
せわ
)
しく見れば、
有
(
あり
)
し昔に
其儘
(
そのまま
)
の。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と、浪路は、抱き締められながら、骨太な
腕
(
かいな
)
の圧迫や、毒々しい体熱のぬくもりに、言うばかりない
嫌悪
(
けんお
)
を感じて、相手の言葉が、耳にも入らず、
悶
(
もだ
)
えた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
われの
腕
(
かいな
)
はむなしく相手の頭の上を通過し、われはわが力によろめき自ら腰がくだけて敗れたのである。
男女川と羽左衛門
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
地平線の上に
腕
(
かいな
)
を長くさしのべなば、われは
燃
(
もゆ
)
るかの土と
紅色
(
くれない
)
の
石榴
(
ざくろ
)
とに触れもやせん。
金光
(
きんこう
)
燦爛
(
さんらん
)
たる国土かな。鳥飛ばず、曇りもえせず、色もあせざる空の下。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
で、その問題も先づ無事に片がつくと、大統領は久し振で
可愛
(
かあい
)
い夫人の
腕
(
かいな
)
に
凭
(
よ
)
りかかつて教会に往つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お葉は更に
起
(
た
)
って
縁先
(
えんさき
)
に出た。左の手には
懐紙
(
ふところがみ
)
を拡げて、右の
腕
(
かいな
)
も
露出
(
あらわ
)
に松の
下枝
(
したえだ
)
を払うと、枝も
撓
(
たわわ
)
に
積
(
つも
)
った雪の塊は、綿を丸めたようにほろほろと落ちて砕けた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
同時にまた目の前へ浮かび上った
金色
(
こんじき
)
の誘惑を感じはじめる。もう五分、——いや、もう一分たちさえすれば、妙子は達雄の
腕
(
かいな
)
の中へ体を投げていたかも知れません。
或恋愛小説
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこで釣瓶を卸して、両の
腕
(
かいな
)
の力をこめて綱を引いてみると、いよいよ重い手ごたえがあります。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「君より賜いしこの
腕
(
かいな
)
、やわか粗末にせらりょうぞ、ちょっとまあ、こう
歩
(
あ
)
ゆびやいのう——」
美少年
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼女の
顎
(
あご
)
が私の肩に、私の
腕
(
かいな
)
が彼女の腰に、密接して、夢中になって踊り始めたのであります。
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
袖から見える
腕
(
かいな
)
の美しさなども
常陸
(
ひたち
)
さんなどと言われる者の家族とは見えず
貴女
(
きじょ
)
らしい。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
こういうやいなやかれは急に声をたててすすりあげ、その太い
腕
(
かいな
)
を目にあててしまった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
抱き起す手先の
腕
(
かいな
)
、松の古木のような、逞ましいのへカッと一塊の血潮が——。
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
力の張ッて来た右の
腕
(
かいな
)
へひやりひやりと当るのが実に心持のよいことであッた。
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
筆に
奮迅
(
ふんじん
)
の苦闘を
敢
(
あえ
)
てする
腕
(
かいな
)
も、勇気もあるものの、
只
(
ただ
)
彼
(
か
)
の浮世の風波に堪え得ぬ花の如き少女、おお、我が恋人は今頃いかに、
今宵
(
こよい
)
をいかに送るならんと空の彼方、見よ月に雲のかかり
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
夫は母と共に外出して
夜更
(
よふ
)
けても帰って来ない、もう病人は昏睡状態に
陥
(
おちい
)
って
婢中
(
じょちゅう
)
の
腕
(
かいな
)
に
抱
(
だか
)
れていたが、しきりに枕の下を気にして口をきこうとして唇をかすかに動かせども、もう声が出ない
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
少焉
(
しばらく
)
あって、一しきり
藻掻
(
もが
)
いて、体の下になった右手をやッと
脱
(
はず
)
して、両の
腕
(
かいな
)
で体を支えながら起上ろうとしてみたが、何がさて
鑽
(
きり
)
で揉むような痛みが膝から胸、
頭
(
かしら
)
へと貫くように
衝上
(
つきあ
)
げて来て
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
列車は
前後
(
あとさき
)
が三等室で、
中央
(
まんなか
)
が一二等室、見ると後の三等室から、髪をマガレットに
束
(
つか
)
ねた夕闇に雪を
欺
(
あざむ
)
くような乙女の半身が現われた。今玉のような
腕
(
かいな
)
をさし伸べて戸の
鍵
(
ラッチ
)
をはずそうとしている。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
「うははははは、尊公に斬り落とさるる首は、
生憎
(
あいにく
)
ながら伊賀の暴れン坊、持ち申さぬ。そ、それより、近いうちに拙者が、ソレ、その、たった一つ残っておる左の
腕
(
かいな
)
をも、申し受ける
機
(
おり
)
がまいろう」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
愛くるしい娘の子が両の
腕
(
かいな
)
に力を籠めて、200
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
其時にのみ剛強の彼の
腕
(
かいな
)
の凄きやを。 245
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
君が清き丸き
腕
(
かいな
)
、われはそと
脣
(
くち
)
づけぬ。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
子路ききて
腕
(
かいな
)
なでつつ
現代訳論語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
(無造作に、座を立って、
卓子
(
テエブル
)
の
周囲
(
まわり
)
に近づき、手を取らんと
衝
(
つ
)
と
腕
(
かいな
)
を伸ばす。美女、崩るるがごとくに椅子をはずれ、床に伏す。)
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
妻の
腕
(
かいな
)
は、羅生門の鬼の腕を思わせる。しがみついていた良人の衾は引き剥がれ、まろくしていた背も、こッち向きに、引っ
転
(
く
)
り返されて。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白き
腕
(
かいな
)
のすらりと絹をすべりて、抑えたる冠の光りの下には、渦を巻く髪の毛の、珠の輪には抑えがたくて、頬のあたりに
靡
(
なび
)
きつつ洩れかかる。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
暖かく柔かな光子の
掌
(
たなごゝろ
)
は、とても振り放す事の出来ない魔力を持って居るように軽く私の
腕
(
かいな
)
を捕えて、薄気味の悪い部屋の方へずる/\と引っ張って行き
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
巨勢が
腕
(
かいな
)
にもろ手からみて、
縋
(
すが
)
るやうにして歩みし少女は、この店の前に来て岡の方をふりかへりて
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
牝
(
め
)
獅子の乳で育ったと
云
(
い
)
う野蛮人の猛将を、細い
腕
(
かいな
)
で刺し殺した
猶太
(
ユダヤ
)
の
少女
(
おとめ
)
の美しい姿が、勇ましい面影が、
蝕画
(
エッチング
)
のように、彼女の心にこびりついて離れなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
腕
(
かいな
)
であれ、その秀でた部分が何より第一に人眼をひき、誰も彼もが期せずして異口同音に、『どうだい、ちょっとあれを見給え、なんて素晴らしいギリシア型の鼻だろう!』
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
腕
(
かいな
)
なども細く細く細くなって影のようにはかなくは見えながらも色合いが変わらず、白く美しくなよなよとして、白い服の柔らかなのを身につけ夜着は少し下へ押しやってある。
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ヒラリと飛ぶと鷺組のお絹、地面に草に蔽われながら、横仆わっている鉄盤へ、双の
腕
(
かいな
)
をヒョイと掛けた。直径一間はあるだろう。大鉄盤が女の力で、持ち上がるべき理由がない。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
舌を
噛
(
かん
)
での狂い死にの、その
臨終
(
いまわ
)
の一
刹那
(
せつな
)
とも知らず、抱きしめの激しさに、
形相
(
ぎょうそう
)
の怖ろしさに、ぐいぐいと締めつける、骨だらけの
腕
(
かいな
)
の中から、すり抜けて思わず壁ぎわまで
遁
(
に
)
げ出し
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
五体にみなぎる
精力
(
せいりき
)
が、両の
腕
(
かいな
)
におのずから
湊
(
あつ
)
まる時、わがたましいは流るるごとく彼に通いて、はじめて面も作られまする。ただしその時は半月の後か、一月の後か、あるいは一年二年の後か。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
が、枕に凭れた
腕
(
かいな
)
が顫えて、腑甲斐なくもシドロモドロになります。
新奇談クラブ:03 第三夜 お化け若衆
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
白き
腕
(
かいな
)
のヘーレーの命傳へ來るアテーネー
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
腕
(
かいな
)
を拡げて迎え容れた椅子であろう。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
腕
(
かいな
)
拭
(
ふ
)
き
鉄
(
てつ
)
の匂にうち
噎
(
むせ
)
ぶ。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
男子のたたかいは剣と
腕
(
かいな
)
。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
“腕”の意味
《名詞》
(うで)ひじと手首との間。
(うで)意味1より転じて、肩と手首の間の総称。
(うで)わざまえ。技量。
(うで)力。
(うで)腕木。
(出典:Wiktionary)
“腕”の解説
腕(うで、かいな)とは、人間の肩から手までの部分のこと。
人間の腕は医学的には、上肢(じょうし)と呼ばれる事が多い。腕は肘を境に、肩に近い方を上腕(じょうわん)、手の方を前腕(ぜんわん)という。
(出典:Wikipedia)
腕
常用漢字
中学
部首:⾁
12画
“腕”を含む語句
手腕
両腕
腕力
腕節
腕前
腕利
腕拱
小腕
双腕
左腕
御腕
腕車
腕組
右腕
腕白盛
腕椅子
利腕
凄腕
腕木
腕時計
...