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脛
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ずね
ふりがな文庫
“
脛
(
ずね
)” の例文
顔をしかめて向こう
脛
(
ずね
)
の
傷
(
きず
)
をあらっている者や、水をくんでゆく者や、たわしで
洗
(
あら
)
い物をする者などで、
井戸
(
いど
)
ばたがこみ合っている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分ながら愚かに哀れに思えたが、痛いのでいつもそのはかない真似を反射的にした。一度向う
脛
(
ずね
)
を靴で蹴られた。その担当は云った。
その人
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
氏はその時受けた感じを、たとえば何か、固い
火箸
(
ひばし
)
のようなもので
向
(
む
)
こう
脛
(
ずね
)
をなぐられたような——到底説明しがたい感じだといった。
地図にない街
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
着物を
捲
(
まく
)
って向う
脛
(
ずね
)
の古い傷あとをみせたり、四つか五つの子供のように、玩具を持って来て「いっしょに遊ぼう」とせがんだりする。
しじみ河岸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そうして着物をほころばせたり向こう
脛
(
ずね
)
をすりむいては家へ帰ってオナン(おふくろの方言)にしかられていたようである。
相撲
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
猶武士は
鐵杖
(
てつぢやう
)
にて
中
(
あた
)
るを幸ひ
打据
(
うちすゑ
)
たり因て雲助共は
頭
(
かしら
)
を打れ
脊
(
せ
)
も
痛
(
いた
)
め或は向う
脛
(
ずね
)
を
薙
(
なぎ
)
られて皆々半死半生になり散々にこそ逃去けれ武士は是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
先棒は
漸
(
ようや
)
く起き上がりましたが、
向
(
むこ
)
う
脛
(
ずね
)
を
強
(
したた
)
かにやられて、急には動けません。前後の四挺の駕籠は、このとき
漸
(
ようや
)
く下ろされて、八人の若い者が
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
脚がぶくぶくにはれて、向う
脛
(
ずね
)
を指で押すと、ポコンと引っこんで、歩けない娘も帰って来た。病気とならない娘は、なか/\町から帰らなかった。
浮動する地価
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
これは又眼も
醒
(
さ
)
めるばかり
真紅
(
まっか
)
の緋縮緬を文字通り
蹴出
(
けだ
)
したあたりに、白い
蝋
(
ろう
)
の様なふくら
脛
(
ずね
)
がチラリと
覗
(
のぞ
)
いている。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
袷衣
(
あわせぎぬ
)
一枚の全身にチクチク刺さる松や竹の枝、
露
(
あら
)
わな向う
脛
(
ずね
)
から内股をガリガリと引っ掻き突刺す草や木の刺針の行列の痛さを構わずに、盲滅法に前進した。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
高橋を渡って
海辺大工町
(
うんべだいくちょう
)
を曲り、寺町から霊岸前へ
先廻
(
さきまわり
)
をして、材木屋の処に
匿
(
かく
)
れて居て、侍の向う
脛
(
ずね
)
を
打払
(
ぶっぱら
)
って遣ろうと思い、
頻
(
しき
)
りと
覘
(
ねら
)
って居りますると
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
向う
脛
(
ずね
)
の連中が、得たり賢しと自分たちの稽古をやめて、我勝ちにと兵馬の
周囲
(
まわり
)
に集まって来たことです。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一人、
膝頭
(
ひざがしら
)
と向う
脛
(
ずね
)
、
露出
(
むきだ
)
した間に
堆
(
うずたか
)
い、蜜柑の皮やら実まじりに、
股倉
(
またぐら
)
へ押込みながら、苦い
顔色
(
がんしょく
)
。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お前の左の向う
脛
(
ずね
)
にも、たしかに傷がある筈だ。あるだろう? たしかにある筈だよ。それは俺がお前に石をぶっつけた時の傷だ。いや、よくお前とは喧嘩をしたものだ」
親友交歓
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
祖父は最後にこう呟いて、真赤にやけた向こう
脛
(
ずね
)
を
一撫
(
ひとな
)
でして腰を伸ばした。そして、菊枝を蹴起こしてやるというような意気込みで、彼女の寝ている部屋に這入って行った。
緑の芽
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「向う
脛
(
ずね
)
が
疵
(
きず
)
だらけだから、直ぐに
笹原
(
ささはら
)
が走るんだ。悪いことは出来ないよ」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
日々洋服きて役所会社に出勤する人々の苦しみさぞかしと思へど規則とあれば是非なし。むかしは武士のカラ
脛
(
ずね
)
、
奴
(
やっこ
)
の尻の
寒晒
(
かんざら
)
し。今の世には
勤人
(
つとめにん
)
が暑中の洋服。いつの世にも勤はつらいものなり。
洋服論
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
最も答案の名作は森川信一座の俳優木田三千夫氏からのもので、これはまさに前代未聞の発想法により、現代推理小説のかつて思い及ばざる着眼点から、作者の向っ
脛
(
ずね
)
をカッ払って出てきたもので
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「
私
(
あっし
)
ばかりじゃねいんです。ガルボの奴もこれになりやした。おまけに奴ときちゃ、奥様から
悲哀
(
トリステサ
)
を
嗾
(
けしか
)
けられて、向う
脛
(
ずね
)
と頬ッぺたに喰い付かれやがって、ウンウン唸って寝込んでる始末でさあ!」
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
それは向う
脛
(
ずね
)
のあたり、という自覚が伴っている。
杉垣
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
先棒は
漸
(
ようや
)
く起き上がりましたが、
向
(
むこ
)
う
脛
(
ずね
)
を
強
(
したた
)
かにやられて、急には動けません。前後の四挺の駕籠は、このとき
漸
(
ようや
)
く下ろされて、八人の若い者が
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、飽くまでひとを煙に巻いて
逸早
(
いちはや
)
く去ろうとする気振りだったが、隙を見て、検察の一兵が、槍の
柄
(
え
)
でいきなり向う
脛
(
ずね
)
を払うと、口ほどもなく
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おちづは叫びざまに、屁十の向う
脛
(
ずね
)
を
蹴
(
け
)
った。だがそれがまずかった、二人はそういうきっかけを待っていたらしい。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そのほかのも、腰から向う
脛
(
ずね
)
のあたりに半死半生の大傷を受けて、往来から中の方がのぞかれるという始末。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
外を
歩行
(
ある
)
くも、から
脛
(
ずね
)
を踏んでとぼつきます……と申すが、早や三十年近う過ぎました、老人が四十代、ただ一度、芝の舞台で、この釣狐の一役を、その時は家元
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まあ、仕方がねえ。これビショ濡れだ、上着も帯も。それに
向
(
むこ
)
う
脛
(
ずね
)
を少し
摺
(
す
)
り
剥
(
む
)
いたね、痛いかえ」
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
缶は、横とびにとんで、艇夫長の
向
(
む
)
こう
脛
(
ずね
)
に、ごつんといやな音をたてて、ぶつかった。
大宇宙遠征隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
祖父は
炉端
(
ろばた
)
で、向こう
脛
(
ずね
)
を
真赤
(
まっか
)
にして
榾火
(
ほだび
)
をつつきながら、何かしきりに、夜
更
(
ふ
)
かし勝ちな菊枝のことをぶつぶつ言ったり、自分達の若かった時代の青年男女のことを
呟
(
つぶや
)
いていた。
緑の芽
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
柿本は、支那商館の石の窓口から、とびこむとき、向う
脛
(
ずね
)
をすりむいた。
沃丁
(
ヨウチン
)
を塗ったあとが化膿して、巻脚絆にしめられる袴下は、傷とすれた。びっこを引きながら整列に加わった。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
例えば、剣道の試合のとき、撃つところは、お面、お胴、お小手、ときまっている筈なのに、おまえたちは、
試合
(
プレイ
)
も生活も一緒くたにして、道具はずれの二の腕や向う
脛
(
ずね
)
を、力一杯にひっぱたく。
如是我聞
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
向う
脛
(
ずね
)
ぶっぱらえなんかと仰しゃるお
気早
(
きばや
)
な方もございますが、正直に申すとまア
左様
(
そう
)
言ったようなもので、
扨
(
さ
)
て
門外
(
おもて
)
にたちました一中節の門付屋さんでげすが、
頻
(
しき
)
りに
家
(
うち
)
の
内
(
なか
)
をのぞいて居ります。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
報
(
つぐ
)
る
遠寺
(
ゑんじ
)
の
鐘
(
かね
)
ガウ/\と
響
(
ひゞ
)
き渡り
最
(
いと
)
凄然
(
ものすご
)
く思はるればさしも
強氣
(
がうき
)
の者共も
小氣味
(
こきみ
)
惡々
(
わる/\
)
足に
任
(
まか
)
せて
歩行
(
あゆむ
)
中
(
うち
)
青
(
あを
)
き火の光り見えければ
彼
(
あれ
)
こそ
燒場
(
やきば
)
の
火影
(
ひかげ
)
ならんと掃部は先に立て行程に
早
(
はや
)
隱亡小屋
(
をんばうごや
)
に
近接
(
ちかづく
)
折柄
(
をりから
)
道の
此方
(
こなた
)
なる
小笹
(
をざさ
)
の
冠
(
かぶ
)
りし
石塔
(
せきたふ
)
の
蔭
(
かげ
)
より一刀
閃
(
ひら
)
りと引拔
稻妻
(
いなづま
)
の如く掃部が向う
脛
(
ずね
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「まごまごしやがると、向う
脛
(
ずね
)
をカッ払うぞ、石原の兄哥の手柄を喜ぶような心持になったら、改めて逢ってやる」
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
柄
(
つか
)
の長い大小を突出し、二本のから
脛
(
ずね
)
と、二本のこじりを突っ張って歩く男だての姿から来た町の
綽名
(
あだな
)
なのである。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この野郎、云うにこと欠いては組の若い者が全滅たあなんだ、
貘
(
ばく
)
がおとといの夢を吐きゃあしめえし、
途轍
(
とてつ
)
もねえことをほざくと向う
脛
(
ずね
)
をかっ払うぞ」
初午試合討ち
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
動きの取れない筆者の手の甲や向う
脛
(
ずね
)
に武者振付いて遠慮なく血を吸う。
痒
(
かゆ
)
くてたまらないのでソーッと手を遣って掻こうとすると、直ぐに翁の眼がギラリと光る。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
道を
枉
(
ま
)
げてやって来たものでげすが、どうもはや、慣れぬことで、道を枉げ過ぎちまったものでげすから、いやはや、あっちの谷へ転げ落ちては向う
脛
(
ずね
)
を擦りむき
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と思う暇もなく、一同の
向
(
むこ
)
う
脛
(
ずね
)
は、いやッというほどひどい力で
払
(
はら
)
われてしまいました。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
居屈
(
いかが
)
みしに、
憚
(
はばか
)
りさまやの、とて
衝
(
つ
)
と
裳
(
もすそ
)
を掲げたるを見れば、
太脛
(
ふくらはぎ
)
はなお雪のごときに、向う
脛
(
ずね
)
、ずいと伸びて、針を植えたるごとき毛むくじゃらとなって、太き筋、
蛇
(
くちなわ
)
のごとくに
蜿
(
うね
)
る。
遠野の奇聞
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まごまごしやがると、向う
脛
(
ずね
)
をカッ払うぞ、石原の兄哥の手柄を喜ぶような心持になったら、改めて逢ってやる」
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「まだ云ってやがる、いってえおれがいつけえず買いをしたってんだ、もういっぺんぬかしてみろ、大家だろうが
紺屋
(
こうや
)
だろうが向う
脛
(
ずね
)
をかっ払って……」
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
が——槍の
柄
(
え
)
で、向う
脛
(
ずね
)
を払われたので、信長の馬前から十歩ほどてまえで、一度、もんどり打って倒れた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
思い切り向う
脛
(
ずね
)
を掻っ払ってくれようと思って、一週間ばかり心待ちに待っていたがトウトウ来ない。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それ位に
止
(
と
)
まるならば、まだよかったのであるが、更に更に、身体は小さく
縮
(
ちぢ
)
まっていった。私はキャラメルの箱に蹴つまずいて、向う
脛
(
ずね
)
をすりむいた。馬鹿馬鹿しいッたらなかった。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ピグミーは、小さい
胡坐
(
あぐら
)
を一つ組んで、両手でもってその向う
脛
(
ずね
)
と足首のところを抱え込んで、ならず者が居催促に来たような恰好をして、寝入りばなの弁信に
退引
(
のっぴき
)
させまいとの構えです。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
夜鷹
(
よたか
)
なんか拾って来やがると、勘弁しねえよ。
薪雑棒
(
まきざっぽう
)
で
向
(
むこ
)
う
脛
(
ずね
)
をかっ払って、西の海へ叩き込んでやるから」
銭形平次捕物控:070 二本の脇差
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それからまもなく、正四郎は蓑を着、
筍笠
(
たけのこがさ
)
をかぶり、
尻端折
(
しりっぱしょり
)
のから
脛
(
ずね
)
に
草鞋
(
わらじ
)
ばきで、家から一丁ほどはなれた、道の
辻
(
つじ
)
に立っていた。三月下旬だから寒くはない。
その木戸を通って
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そのとたん、四馬剣尺は脚をあげて、いやというほど、博士の向う
脛
(
ずね
)
を
蹴
(
け
)
りあげた。机博士はあまりの痛さに、あっと叫んでとびあがったが、すぐに、木戸と波立二におさえつけられた。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
世間並みに見やがっておつりきなことを
吐
(
ぬ
)
かしゃあがると、向う
脛
(
ずね
)
を掻ッ払うぞ
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「怪我もちっとばかりしているようだよ、
向
(
むこ
)
う
脛
(
ずね
)
がヒリヒリ痛み出した」
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
脛
漢検1級
部首:⾁
11画
“脛”を含む語句
向脛
脛当
両脛
白脛
空脛
脹脛
脛巾
痩脛
片脛
脛押
赤脛
脛白
脛穿
高脛
毛脛
手具脛
太脛
八掬脛
脛骨
蚊脛
...