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終
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つい
ふりがな文庫
“
終
(
つい
)” の例文
敵の出で来るを恐れては
勿々
(
なかなか
)
軍はなるまじ、その上に
延々
(
のびのび
)
とせば、横山
終
(
つい
)
に
攻落
(
せめおと
)
さるべし。但し此ほかに横山を
援
(
たす
)
けん
術
(
てだて
)
あるべきや。
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
作平は一度は辞退したが、源之丞がたって云ってくれるので、
終
(
つい
)
に其の提灯を借りて歩いた。藪路を出はずれると寂しい松原が来た。
魔王物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
コントのポジティヴィズムに説き及ぼし、
蜘蛛
(
くも
)
が巣を作るように段々と大きな網を広げて、
終
(
つい
)
にはヒューマニチーの大哲学となった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
間もなく
相生町
(
あいおいちょう
)
の二階で半蔵が送る
終
(
つい
)
の晩も来た。出発の前日には十一屋の方へ移って他の庄屋とも一緒になる約束であったからで。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
終
(
つい
)
に「
大雅思斉
(
たいがしせい
)
」の章の「
刑干寡妻
(
かさいをただし
)
、
至干兄弟
(
けいていにいたり
)
、
以御干家邦
(
もってかほうをぎょす
)
」を引いて、宗右衛門が
雝々
(
ようよう
)
の和を破るのを責め、
声色
(
せいしょく
)
共に
厲
(
はげ
)
しかった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
古く山行を
倶
(
とも
)
にした私の友人が
終
(
つい
)
に山が好きになれなかったのは、
確
(
たしか
)
に山に登る労力がくだらぬものに思われた為に相違ありますまい。
登山談義
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
眼前
(
めのまえ
)
には利ありとも不善によりて保ちたる利は
終
(
つい
)
に保ちがたく、眼前には福を獲ずとも善心によりて生ずる福は終に大きなるものなり。
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
然
(
しか
)
るに日本はそれと反対に、文明の利器を随所に利用して、
終
(
つい
)
には富の点に於ても欧米の列強と対抗し得るようになったのである。
東西両文明の調和を論じて帝国の将来に及ぶ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
リズムと調子に鈍感なるものはいつまで描いていてもよしと思う時がなく、
終
(
つい
)
に描き過ぎて折角の絵をなぶり殺しとする事がある。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
イエス彼にいいけるはサタンよ
退
(
しりぞ
)
け主たる爾の神を拝しただこれにのみ
事
(
つか
)
うべしと
録
(
しる
)
されたり、
終
(
つい
)
に悪魔かれを離れ
天使
(
てんのつかい
)
たち来り
事
(
つか
)
う。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
凡
(
およ
)
そ何がはかないと云っても、浮世の人の胸の奥底に潜んだまま長い長い年月を重ねて
終
(
つい
)
にその人の冷たい
亡骸
(
なきがら
)
と共に葬られてしまって
凩
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その頃漱石氏はどうして松山に来たのであったろうか。それはその
後
(
のち
)
しばしば氏に会しながらも
終
(
つい
)
に尋ねてみる機会がなかった。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
しかるに
言
(
い
)
おうと
云
(
い
)
う
望
(
のぞみ
)
は、
終
(
つい
)
に
消
(
き
)
えず
忽
(
たちまち
)
にして
総
(
すべて
)
の
考
(
かんがえ
)
を
圧去
(
あっしさ
)
って、こんどは
思
(
おも
)
う
存分
(
ぞんぶん
)
、
熱切
(
ねっせつ
)
に、
夢中
(
むちゅう
)
の
有様
(
ありさま
)
で、
言
(
ことば
)
が
迸
(
ほとばし
)
り
出
(
で
)
る。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其
跡
(
あと
)
を追ひて行く方を知らんとせし人ありけれども、絶壁の路も無き処を、鳥の飛ぶ如くに去る故、
終
(
つい
)
に住所を知ること能はずと謂へり。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ある時小畑へやる手紙に、「当年のしら滝は知らずしらずの間に
終
(
つい
)
に母を
護
(
まも
)
るの子たらんといたし居り候」と書いたこともある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
終
(
つい
)
に前約を果す能はざるを
憾
(
うら
)
む。もし墨汁一滴の許す限において時に批評を試むるの機を得んかなほ
幸
(
さいわい
)
なり。(一月二十五日)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
終
(
つい
)
にいわゆる内閣分離を見るに至る、この分離は翌年に及んでかの有名なる民選議院論に変じ、立憲政体催促の
嚆矢
(
こうし
)
となれり。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
慈ソノ意ヲ察シ声ヲ
励
(
はげま
)
シテ発ヲ促ス。
終
(
つい
)
ニ
永訣
(
えいけつ
)
トナル。余ヤ
庚戌
(
こうじゅつ
)
ノ歳ヲ以テ金城ノ官舎ニ生レ而シテ今コレヲ金城ノ館ニ聞ク。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
終
(
つい
)
に安政四年五月下田奉行は、ハリスに
逼
(
せま
)
られて、規程章八箇条に調印し、いわゆる安政五年調印、現行条約の
濫觴
(
らんしょう
)
を造れり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
積年の病
終
(
つい
)
に医する
能
(
あた
)
わず、
末子
(
ばっし
)
千秋
(
ちあき
)
の
出生
(
しゅっしょう
)
と同時に、人事不省に
陥
(
おちい
)
りて終に
起
(
た
)
たず、三十六歳を
一期
(
いちご
)
として、そのまま
永
(
なが
)
の別れとなりぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
ある論者は人は
終
(
つい
)
には駝鳥になるものと考えると私に云うかもしれない。私はこれをうまい具合に否定することは出来ない。
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
然
(
しか
)
るに、南風競はず、北朝の勢、益々隆んなるに及び、父の遺言を
反古
(
ほご
)
にし、半生の忠節に泥を塗りて、
終
(
つい
)
に賊に附したり。
秋の筑波山
(新字新仮名)
/
大町桂月
(著)
そして
終
(
つい
)
に、肉体と精神とを挙げて犠牲にするだけの偶像を何物にも見出し得ざる悲しみを感ぜずには居られないのである。
絶望より生ずる文芸
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
漸々
(
ぜんぜん
)
不活溌となり、なおそのままに
打
(
う
)
っ
遣
(
ちゃ
)
っておけば、周囲には充分の食物があるとしても、
終
(
つい
)
には多く分裂したものが全く死滅してしまう。
進化論より見たる沖縄の廃藩置県
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
徳川の
存
(
そん
)
する限りは一日にてもその
事
(
つか
)
うるところに忠ならんことを
勉
(
つと
)
め、
鞠躬
(
きっきゅう
)
尽瘁
(
じんすい
)
、
終
(
つい
)
に身を以てこれに
殉
(
じゅん
)
じたるものなり。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
豹に尋ねると
縞狼
(
ヒエナ
)
それから熊それから象犀と本元を尋ね究めて
終
(
つい
)
に兎に尋ねると、我ら実際大音を発する怪物を見た処へ案内しようと言うた
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そして
終
(
つい
)
には「神通説法第一の
阿羅漢
(
あらかん
)
」とまでなったのです。ある日のこと、釈尊は大衆を前にして、こういわれたのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
代助は一人明るい中に腰を掛けて、どこまでも電車に乗って、
終
(
つい
)
に下りる機会が来ないまで引っ張り廻される様な気がした。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
で、沼津に移つて来てからは折あればこの松原にわけ入つて逍遥した。そして
終
(
つい
)
に昨年、その松原の松の蔭の土地を選み、自分の住家を建てた。
沼津千本松原
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
また来んと思いて樹の皮を白くし
栞
(
しおり
)
としたりしが、次の日人々と共に行きてこれを求めたれど
終
(
つい
)
にその木のありかをも見出し得ずしてやみたり。
遠野の奇聞
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
解
(
げ
)
すべからざるものをも
解
(
げ
)
し、
文
(
ふみ
)
に書かれぬものをも読み、乱れて収められぬものをも収めて、
終
(
つい
)
には永遠の闇の
中
(
うち
)
に路を尋ねて
行
(
ゆ
)
くと見える。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
終
(
つい
)
にはお瀧の方へ遣るような都合になりましたが、其の金が有りませんから、三八郎が茂之助の親奧木佐十郎の処へ参り
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
檜原
(
ひばら
)
の
山宿
(
やまじゅく
)
に一泊し、
終
(
つい
)
に
岩代
(
いわしろ
)
、
羽前
(
うぜん
)
の境である
檜原峠
(
ひばらとうげ
)
を越えて、かの
最上川
(
もがみかわ
)
の上流の
綱木
(
つなき
)
に
出
(
い
)
で、そして
米沢
(
よねぎわ
)
まで
旅次
(
りょじ
)
行軍を続けたのであった。
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
危き橋をようように這いわたりて
終
(
つい
)
に下り着くに滝のしぶき一面に雨の如く足もとより逆に吹きあぐるさますさまじく恐ろしく
暫
(
しばら
)
くも
彳
(
たたず
)
みかねつ。
滝見の旅
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
でも、さすがの大佐も
終
(
つい
)
にたまらない風に、ドカリと椅子の上に尻餅をついて、しばしはぼんやりと口も利かなかった。
探偵小説アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
微妙な工夫、デリケートな魅力を持たねばならぬはずの「味」は、
終
(
つい
)
に発見し得なかった。味のことばかりではない。
フランス料理について
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
仏の希望によって
終
(
つい
)
にそのままとなり、その故事を継承して、今の本堂の構造をなすに至ったのだと伝えられている。
法隆寺再建非再建論の回顧
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
終
(
つい
)
に、子達は、自己を親と云う地位に於て楽しく、悦びを以て想像することはやめてしまう。独立、自己を立てることが、生存の唯一の光明となる。
日記:09 一九二三年(大正十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
終
(
つい
)
にそれがもとで発狂して死んでしまった。もとより親戚
故旧
(
こきゅう
)
の無い身だから多分区役所の御厄介になった事だろう。
暗夜の白髪
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
しかし、その薬を
服
(
の
)
んでからは一層苦しみを重ねて、
唸
(
うな
)
り声は立てても言語をする事は出来なくなった。
終
(
つい
)
には
血嘔
(
ちへど
)
を吐いて
悶
(
もだ
)
え死に死んで
了
(
しま
)
った。
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
頬杖をつき、読みさしの新聞に
対
(
むか
)
ひしが、対手酒のほろ酔と、日当りの暖か過ぐると、新聞の記事の
閑文字
(
かんもんじ
)
ばかりなるにて、
終
(
つい
)
うと/\睡気を催しぬ。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
我この
恨
(
うらみ
)
を懐いて煩悶
終
(
つい
)
に死を決するに至る。既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし。始めて知る、大なる悲観は大なる楽観に一致するを。
巌頭の感
(新字新仮名)
/
藤村操
(著)
近く見るには西山峠、遠く見るには笹子峠、この二つが一番よいようである。私は五月某日、
終
(
つい
)
に笹子に向った。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
老人も
終
(
つい
)
には若い男の説を
納
(
い
)
れて解剖刀を捨て、二人とも
跪
(
ひざまず
)
いて少女の死屍に
祈祷
(
きとう
)
を捧げたという光景を叙して
新婦人協会の請願運動
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その十八日には
洛中
(
らくちゅう
)
の盗賊どもこぞって
終
(
つい
)
に南禅寺に火をかけて、かねてより
月卿雲客
(
げっけいうんかく
)
の移し納めて置かれました七珍財宝を
悉
(
ことごと
)
く
掠
(
かす
)
め取ってしまいます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
現代の
所謂
(
いわゆる
)
ハイカラなどという奴は、柔弱、無気力、軽薄を文明の真髄と心得ている馬鹿者共である。こんな奴は
終
(
つい
)
には亡国の種を
播
(
ま
)
く
糞虫
(
くそむし
)
となるのだ。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
そこに引籠った私は山門を境に世間と出来るだけ交渉を断ち、次第によっては僧籍にでも入りかねない気もちだったけれど
終
(
つい
)
にそこまでにはならなかった。
独り碁
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
この人々は日本を遠く去ってその名声を高めたが、海外へは
終
(
つい
)
に出なかったが、新女優の第一人者として
松井須磨子
(
まついすまこ
)
のあった事も特筆しなければなるまい。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
たゞ私は最後の願ひとして、私は本当に最後まで
終
(
つい
)
に弱者として終りました。あなたは何にも拘束されない強者として活きて下さい。それ
丈
(
だ
)
けがお願ひです。
遺書の一部より
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
彼はなにかなしその
企
(
くわだて
)
の思いつきに笑った。
一抹
(
いちまつ
)
のにぎやかさがどういう困苦のなかにいても、いつも笑いを見せる筒井らしい
終
(
つい
)
の美をとどめるに似ていた。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
終
常用漢字
小3
部首:⽷
11画
“終”を含む語句
始終
終夜
終日
臨終
終局
最終
終焉
終始
終了
始中終
終末
終宵
終幕
命終
末始終
終生
初中終
終身
終極
一部始終
...