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申訳
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もうしわけ
ふりがな文庫
“
申訳
(
もうしわけ
)” の例文
旧字:
申譯
例せば甲武信岳の如きは、これまで古生層の山として記載された
申訳
(
もうしわけ
)
に、頂上附近に
僅
(
わず
)
か
許
(
ばか
)
りの古生層の岩片を戴いた花崗岩の山である。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「けれども私もすこし考えが御座いましたので、甥に筆を
執
(
と
)
らせましてあのような手紙を差し上げさせましたので……まことに
申訳
(
もうしわけ
)
……」
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「これはお嬢さま、何とも
申訳
(
もうしわけ
)
ございません。坊ちゃんにお見せしようと思って、その屋根の
雀
(
すずめ
)
に狙いをつけたのだが、ついはずれまして」
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
独
(
ひと
)
り
三河武士
(
みかわぶし
)
の末流として徳川
累世
(
るいせい
)
の
恩義
(
おんぎ
)
に対し
相済
(
あいす
)
まざるのみならず、
苟
(
いやしく
)
も一個の士人たる
徳義
(
とくぎ
)
操行
(
そうこう
)
において天下後世に
申訳
(
もうしわけ
)
あるべからず。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
宿へ帰って聞いてみると、県から水電会社への課税のような意味で大正池の泥
浚
(
さら
)
えをやらせているのだという。ほんの
申訳
(
もうしわけ
)
にやっているのだという。
雨の上高地
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
「
実
(
じつ
)
は、僕は二十年前の世界から時間器械に乗って、当地へやってきた本間という生徒なんです。
申訳
(
もうしわけ
)
ありません」
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
チチコフは、思いもよらぬ御迷惑をかけて
申訳
(
もうしわけ
)
ないと陳謝した。『いいえ、構いませんよ!』と、女主人が言った。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
重「へえ、あの野郎……あの野郎、誠に
申訳
(
もうしわけ
)
もございません、何んと何うも飛んだ事になりましてございます……重三郎の死骸は
何処
(
どっか
)
へ上りましたか」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お豊は自分の身こそ一家の不幸のために遊芸の師匠に
零落
(
れいらく
)
したけれど、わが子までもそんな
賤
(
いや
)
しいものにしては先祖の
位牌
(
いはい
)
に対して
申訳
(
もうしわけ
)
がないと述べる。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「お局様、殿方禁断の庭へ入った上は、世上への見せしめ、精一杯懲らしめてやろうでは御座いませんか、その
儘
(
まま
)
許しては、御台様への
申訳
(
もうしわけ
)
が立ちません」
奇談クラブ〔戦後版〕:06 夢幻の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
漸次
(
ぜんじ
)
増加する所の早稲田学園の学生諸君、もはやかくの如く群衆する所の多数の学生を
容
(
い
)
るる家のないということは諸君に対して
甚
(
はなは
)
だ
申訳
(
もうしわけ
)
のないことである。
始業式に臨みて
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
始終望んでいましたこの山へ、
後
(
あと
)
を尋ねて
上
(
のぼ
)
る事が、物に
取紛
(
とりまぎ
)
れている
中
(
うち
)
に、
申訳
(
もうしわけ
)
もない飛んだ身勝手な。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「やあ旦那、どうも二日とも投げられちゃって
申訳
(
もうしわけ
)
がございませんなア」と言う。客は笑って
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
季題はただ
申訳
(
もうしわけ
)
だけに句の中に入れてあるという類が多くって、それは季題を省いても一向に
差支
(
さしつか
)
えがない、ただ従来の俳句の型を守るがためにやむをえず季題を入れた
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
あい、
肝腎
(
かんじん
)
のお
見世
(
みせ
)
の
方
(
ほう
)
を、
脱
(
ぬ
)
けて
来
(
き
)
たのでござんすから、一
刻
(
こく
)
も
速
(
はや
)
く
帰
(
かえ
)
りませぬと、お
母
(
かあ
)
さんにいらぬ
心配
(
しんぱい
)
をかけますし、それに、
折角
(
せっかく
)
のお
客様
(
きゃくさま
)
にも、
申訳
(
もうしわけ
)
がござんせぬ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
浅草紙、やす石鹸やす
玩具
(
おもちゃ
)
など持て来るほンの
申訳
(
もうしわけ
)
ばかりの商人実際のお
貰
(
もら
)
いも少からず来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
もっともどの事件も他殺の疑いなどは毛頭なくたんなる過失として扱われたのだから、大きくは
載
(
の
)
らない。巷の出来事といったようないわば六号活字の
申訳
(
もうしわけ
)
的報道に止まる。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
その
申訳
(
もうしわけ
)
は嘘かまことかともかく麗姫のその状態を人々は「麗姫の神遊」と呼んで居る。
荘子
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「それもだが、君が校正を済まさないと、僕は鉄雄さんに
申訳
(
もうしわけ
)
がないがね、昼間中は勉強してくれたまえよ、
上
(
あが
)
ったらすぐ旅館に鎮座さして、誰一人寄せつけないことにするからね。」
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
ところが、そう日本語に直したのでは、やはり
申訳
(
もうしわけ
)
のない裏切りの罪を犯すことになる。なぜなら原句は trad を頭韻とし、tore を脚韻とする大そう
粋
(
いき
)
な駄じゃれだからである。
翻訳のむずかしさ
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
苦しめて自分が無事でおりましては何としても心が済まず
罰
(
ばち
)
が当ってくれたらよいと存じましてなにとぞわたくしにも
災難
(
さいなん
)
をお授け下さりませこうしていては
申訳
(
もうしわけ
)
の道が立ちませぬと
御霊様
(
ごりょうさま
)
に
祈願
(
きがん
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
申訳
(
もうしわけ
)
御座らぬが、お許し下されい。……それとも又、関所の筋道に御懸念でも御座るかの……慮外なお尋ね事じゃが……」
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「それじゃ、おれはどうすればいいんだ。おれはあけみさんを愛している。君には
申訳
(
もうしわけ
)
ない。申訳ないが、この愛情はどうすることもできないんだ」
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして女は重吉がいかに疑ぐろうとしても疑ぐることの出来なくなるような情熱を見せて
申訳
(
もうしわけ
)
の代りにした。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
お
庇
(
かげ
)
を
蒙
(
こうむ
)
りまする
嬉
(
うれ
)
しさの余り、ついたべ酔いまして、
申訳
(
もうしわけ
)
もござりませぬ。
真平御免
(
まっぴらおゆる
)
され下されまし。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
孝「やい、何をしやアがるのだ、サア
何奴
(
どいつ
)
でも
此奴
(
こいつ
)
でも来い飯島の家来には死んだ者は一
疋
(
ぴき
)
も居ねえぞ、お
印物
(
しるしもの
)
の提灯を燃やしてしまって、殿様に
申訳
(
もうしわけ
)
がないぞ」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「はあ、そのわけは、わがロケットの損害があまりに大きくて——首領、どうも
申訳
(
もうしわけ
)
がありません」
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
冗談
(
じょうだん
)
じゃごわせん。そいつを
忘
(
わす
)
れちゃ、
申訳
(
もうしわけ
)
がありますめえ。——それそれ、
何
(
な
)
んでまた、
洗
(
あら
)
った
手
(
て
)
を
拭
(
ふ
)
きなさらねえ。おせんは
逃
(
に
)
げやしねえから、
落着
(
おちつ
)
いたり、
落着
(
おちつ
)
いたり
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ひろ子の家は二筋三筋
距
(
へだた
)
つた町通りに小さい葉茶屋の店を出してゐた。
上
(
あが
)
り
框
(
がまち
)
と店の左横にさゝやかな陳列
硝子
(
ガラス
)
戸棚を並べ、その中に進物用の大小の
円鑵
(
まるかん
)
や、包装した箱が
申訳
(
もうしわけ
)
だけに並べてあつた。
蔦の門
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
自分は十九歳を
一期
(
いちご
)
として父の
許
(
もと
)
へ行く——父は前年郷里で死んだ——主人には
申訳
(
もうしわけ
)
が無いから君から宜しく云うてくれ、荷物は北海道に居る母の許に送ってくれ、運賃として金五円
封入
(
ふうにゅう
)
して置く
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ほんの
申訳
(
もうしわけ
)
に食器や空瓶を並べたのが、どうかした横町に行くとザラにある。そこには必ずその白い頬と唇の赤い女が居る。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
身体
(
からだ
)
全体が頭と胴で出来ていて、足などはほんの
申訳
(
もうしわけ
)
に着いている様だった。高い
朴歯
(
ほおば
)
の
足駄
(
あしだ
)
をはいた
太短
(
ふとみじか
)
い足が地上二三寸のところでプラプラしていた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
手に
一条
(
ひとすじ
)
大身
(
おおみ
)
の
槍
(
やり
)
を
提
(
ひっさ
)
げて、
背負
(
しょ
)
った女房が死骸でなくば、死人の山を
築
(
きず
)
くはず、無理に
手活
(
ていけ
)
の花にした、
申訳
(
もうしわけ
)
の
葬
(
とむらい
)
に、医王山の美女ヶ原、花の中に
埋
(
うず
)
めて帰る。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
間もなく
或
(
ある
)
保険会社に雇われたものの、これは一時実家へ対しての
申訳
(
もうしわけ
)
に過ぎないので、半年とはつづかず、その
後
(
ご
)
はぶらぶら京子の家に遊んで日を暮している
中
(
うち
)
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
清
(
せい
)
さん、あゝ悪い事は出来ないものだ、其の
申訳
(
もうしわけ
)
は春見丈助必らず致します、どうか
此処
(
こゝ
)
では話が出来ませんから、蔵の中でお話を致します、
他
(
た
)
へ
洩
(
も
)
れんようにお話を
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「うん、その
志
(
こころざし
)
は有難い」と長造は一つペコンと頭を下げたが、それは
申訳
(
もうしわけ
)
に過ぎないようだった。「だが、この東京市に敵国の飛行機なんて、飛んで来やしないよ。心配しなさんな」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お
前
(
まえ
)
さん、どこへ
行
(
ゆ
)
くんだよ。
真
(
ま
)
ッ
昼間
(
ぴるま
)
ッからお
見世
(
みせ
)
を
空
(
あ
)
けて
出
(
で
)
て
行
(
い
)
ったんじゃ、お
客様
(
きゃくさま
)
に
申訳
(
もうしわけ
)
がないじゃないか。
太夫
(
たゆう
)
さんとこへお
見舞
(
みまい
)
に
行
(
ゆ
)
くなら、
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れてからにしとくれよ。——ようッてば
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
あと一丈
許
(
ばか
)
りもあろうかと思われる白い処を両手で一気に繰り拡げながら、ほんの
申訳
(
もうしわけ
)
同様に追いかけ追いかけ見て行った。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
若しあのまま京子の死骸が帰って来なかったら、旅行中の主人伯爵に何と云って
申訳
(
もうしわけ
)
をすればいいのだろう。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
とても来月の学年試験には及第する見込みがないと思っていた処なので、病気欠席の
後
(
あと
)
といえば、落第しても母に対して
尤
(
もっとも
)
至極
(
しごく
)
な
申訳
(
もうしわけ
)
ができると思うからであった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「さて、どうも
更
(
あらたま
)
りましては、何んとも
申訳
(
もうしわけ
)
のない
御無沙汰
(
ごぶさた
)
で。
否
(
いえ
)
、もう、そりゃ実に、
烏
(
からす
)
の鳴かぬ日はあっても、お
噂
(
うわさ
)
をしない日はありませんが、なあ、これえ。」
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それじゃア何か
差向
(
さしむかい
)
で
居
(
い
)
る処へ
私
(
わし
)
が上って来たから、山平殿と不義
濫行
(
いたずら
)
でもして居ると心得て、私が立腹して
此
(
こ
)
れへ上って来た故、差向で居た上からは
申訳
(
もうしわけ
)
は
迚
(
とて
)
も立たぬ
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
博士としては、これだけは確実に来会者をはっきりおどろかせることが出来る自信があり、これさえ成功するなら、あとの実験はたとえことごとく失敗に終っても、
申訳
(
もうしわけ
)
がつくと考えていた。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
人間万事身から出た錆と思うて……親不孝の
申訳
(
もうしわけ
)
と思うて、誰でも彼でも親切にしてやる片手間には、イツモ親父の石塔に頭を下げておりますが
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
返す返すも
申訳
(
もうしわけ
)
なく、それ以来ずっと
今日
(
こんにち
)
まで、私は一夜としてやすらかに眠ったことはありません。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
夜になってからはさすが厄日の
申訳
(
もうしわけ
)
らしく降り出す雨の音を聞きつけたもののしかし風は
芭蕉
(
ばしょう
)
も破らず
紫苑
(
しおん
)
をも
鶏頭
(
けいとう
)
をも倒しはしなかった——わたしはその年の日記を
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
縲絏
(
なわめ
)
に掛っては、只今は
廃刀
(
はいとう
)
の世なれども是まで捨てぬ刀の手前、
申訳
(
もうしわけ
)
のため切腹しました、
臨終
(
いまわ
)
の
際
(
きわ
)
に重二郎殿、清次殿御両人に頼み置きたき事がござる、悪人の丈助ゆえ
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
学校に
縁遠
(
えんどお
)
い方だったものでえすから、暑さ寒さの御見舞だけと申すのが、書けないものには、飛んだどうも、
実印
(
じついん
)
を
捺
(
お
)
しますより、事も大層になります
処
(
ところ
)
から、何とも
申訳
(
もうしわけ
)
がございやせん。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「水久保君。分らないというだけでは、帝都三百万の市民にたいして、
申訳
(
もうしわけ
)
にならないぞ。分らないにしても、もっと何か方法がありそうなものじゃないか。こんな風にしてみれば或いは分るかもしれない、といった何か思いつきはないかネ」
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どうもコンナに御馳走になったり、勝手なお
惚気
(
のろけ
)
を聞かしたりしちゃ
申訳
(
もうしわけ
)
御座んせんが、ここんところが一番恐ろしい話の本筋なんで
致方
(
いたしかた
)
が御座んせん。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
申
常用漢字
小3
部首:⽥
5画
訳
常用漢字
小6
部首:⾔
11画
“申”で始まる語句
申
申上
申刻
申出
申分
申立
申候
申込
申付
申譯