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果敢
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はかな
ふりがな文庫
“
果敢
(
はかな
)” の例文
夢よりも虹よりも
果敢
(
はかな
)
い歓楽にふけっている中に、暗と血薔薇が芽を吹いて、温室の中の子胞よりも生々と、罪悪の香を漲らせます。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いよいよ
御神燈
(
ごしんとう
)
のつづいた葭町の
路地口
(
ろじぐち
)
へ来た時、長吉はもうこれ以上
果敢
(
はかな
)
いとか悲しいとか思う元気さえなくなって、
唯
(
た
)
だぼんやり
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
堅気はそうじゃあござんすまい、こうした稼業の
果敢
(
はかな
)
い事は、
金子
(
かね
)
の力のある人には、
屹
(
きっ
)
と身を任せている、と思われます。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし、殿との御仲は、恐らくその御方のお思いなすったのよりも、ずっと
果敢
(
はかな
)
いものにちがいなかった。
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
趣味の前には百万両だつて煙草の煙よりも
果敢
(
はかな
)
いものにしか思へぬことを会得しないからだ。
骨董
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
それから小屋の中からは、皆に当てた遺書が出て来たが、世を
果敢
(
はかな
)
んで死ぬると、美しい文字で
連
(
つら
)
ねてあった。あの子は仲間の噂じゃ、女学校に上っていたことがあるらしいネ
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
吾等
(
われら
)
も
何時
(
いつ
)
救
(
すく
)
はるゝといふ
目的
(
めあて
)
もなく、
浪
(
なみ
)
に
揉
(
も
)
まるゝ
泡沫
(
うたかた
)
のあはれ
果敢
(
はかな
)
き
運命
(
うんめい
)
とはなつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
まだ春寒い
夜更
(
よふ
)
けの風に吹かれて門を出ながら、しみじみと、この華やかな人の心のかげに潜む、どうしても払うことの出来ない、人世の
果敢
(
はかな
)
さというものについて考えさせられた。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
あわ好くば恨めしき者共に一泡吹かせたいと云う
果敢
(
はかな
)
い望みだった。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
が総じて、こうした小さい、
果敢
(
はかな
)
いものは好きだった。
解説 趣味を通じての先生
(新字新仮名)
/
額田六福
(著)
延び上る
果敢
(
はかな
)
い生が延びるもよい
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
いよ/\
御神燈
(
ごしんとう
)
のつゞいた
葭町
(
よしちやう
)
の
路地口
(
ろぢぐち
)
へ来た時、
長吉
(
ちやうきち
)
はもう
此
(
こ
)
れ以上
果敢
(
はかな
)
いとか悲しいとか思ふ元気さへなくなつて、
唯
(
た
)
だぼんやり
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
真黒
(
まっくろ
)
な溝の縁に、野を
焚
(
や
)
いた跡の湿ったかと見える
破風呂敷
(
やぶれぶろしき
)
を開いて、
式
(
かた
)
のごとき
小灯
(
こともし
)
が、夏になってもこればかりは虫も寄るまい、
明
(
あかり
)
の
果敢
(
はかな
)
さ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(間)俺は、あの歌を唄う彼女を見る毎に、この女は、どうしても
果敢
(
はかな
)
い運命の女だと思わずにはいられなかった。(長き嘆息)その思いは誤らなかった。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
趣味の前には百万両だって
煙草
(
たばこ
)
の煙よりも
果敢
(
はかな
)
いものにしか思えぬことを会得しないからだ。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
自分から造出す
果敢
(
はかな
)
い空想に身を打沈めたいためである。
平生
(
へいぜい
)
胸底に往来している感想に
能
(
よ
)
く調和する風景を求めて、瞬間の
慰藉
(
いしゃ
)
にしたいためである。
放水路
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
また万に一つもと、
果敢
(
はかな
)
い、細い、
蓮
(
はす
)
の糸を頼んだ縁は、その話で、鼠の
牙
(
きば
)
にフッツリと食切られたが、……
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
領主 そうだ、前の妻と二人で住んだ対岸の岩の上へ、
果敢
(
はかな
)
い恋の形見として立てたのが、あの音楽堂だ。あすこには妻の魂と、音楽と、恋心とが籠もっている。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
其れ等の華美を極めた色彩は却て盛の絶頂に達して今はたゞ散るのを待つ花に對するやうな
果敢
(
はかな
)
い氣をさせた。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
砂の上に唯一人やがて星一つない下に、果のない
蒼海
(
あおうみ
)
の浪に、あわれ
果敢
(
はかな
)
い、弱い、力のない、身体
単個
(
ひとつ
)
弄
(
もてあそ
)
ばれて、
刎返
(
はねかえ
)
されて居るのだ、と
心着
(
こころづ
)
いて
悚然
(
ぞっ
)
とした。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何に限らず興行物の楽屋には舞台へ出る藝人や、舞台の裏で働いてゐる人達を目あてにしてそれよりも亦更に
果敢
(
はかな
)
い渡世をしてゐるものが大勢出入をしてゐる。
勲章
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
砂
(
すな
)
の
上
(
うへ
)
に
唯一人
(
たゞひとり
)
やがて
星
(
ほし
)
一
(
ひと
)
つない
下
(
した
)
に、
果
(
はて
)
のない
蒼海
(
あをうみ
)
の
浪
(
なみ
)
に、あはれ
果敢
(
はかな
)
い、
弱
(
よわ
)
い、
力
(
ちから
)
のない、
身體
(
からだ
)
單個
(
ひとつ
)
弄
(
もてあそ
)
ばれて、
刎返
(
はねかへ
)
されて
居
(
ゐ
)
るのだ、と
心着
(
こゝろづ
)
いて
悚然
(
ぞつ
)
とした。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
果敢
(
はかな
)
い絶望と
諦
(
あきら
)
めとを感じた。お
糸
(
いと
)
は二ツ年下の十六であるが、
此頃
(
このごろ
)
になつては長吉は
殊更
(
ことさら
)
に
日
(
ひ
)
一
日
(
にち
)
とお
糸
(
いと
)
が
遥
(
はる
)
か年上の姉であるやうな
心持
(
こゝろもち
)
がしてならぬのであつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
我を忘れてお民は一気に、思い切っていいかけた、
言
(
ことば
)
の下に、あわれ水ならぬ灰にさえ、かず書くよりも
果敢
(
はかな
)
げに、しょんぼり肩を落したが、急に
寂
(
さみ
)
しい笑顔を上げた。
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
果敢
(
はかな
)
い絶望と
諦
(
あきら
)
めとを感じた。お糸は二ツ年下の十六であるが、この頃になっては長吉は
殊更
(
ことさら
)
に日一日とお糸が
遥
(
はる
)
か年上の姉であるような心持がしてならぬのであった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
渠
(
かれ
)
はもとより両親も何もない、最愛の
児
(
こ
)
を失い、最愛の妻を失って、世を
果敢
(
はかな
)
むの余り、その妻と子の白骨と、ともに、失うべからざるものの一式、余さずこの古革鞄に納めた
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寄席
(
よせ
)
、芝居。何に限らず興行物の楽屋には舞台へ出る芸人や、舞台の裏で働いている人たちを目あてにしてそれよりもまた更に
果敢
(
はかな
)
い
渡世
(
とせい
)
をしているものが大勢
出入
(
でいり
)
をしている。
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あとの事は何も知らず、その時から、津々浦々をさすらい
歩行
(
ある
)
く、門附の
果敢
(
はかな
)
い身の上。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
宛
(
さなが
)
ら山吹の花の実もなき色香を誇るに等しい
放蕩
(
ほうとう
)
の生涯からは空しい
痴情
(
ちじょう
)
の夢の名残はあっても、今にして初めて知る、老年の
慰藉
(
なぐさみ
)
となるべき子孫のない身一ツの
淋
(
さび
)
しさ
果敢
(
はかな
)
さ。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
世を
果敢
(
はかな
)
んで居るうちは、我々の自由であるが、
一度
(
ひとたび
)
心を
入交
(
いれか
)
へて、
恁
(
かか
)
る
処
(
ところ
)
へ来るなどといふ、
無分別
(
むふんべつ
)
さへ出さぬに於ては、
神仏
(
しんぶつ
)
おはします、
父君
(
ちちぎみ
)
、
母君
(
ははぎみ
)
おはします
洛陽
(
らくよう
)
の貴公子
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
家
(
うち
)
の中はもう真暗になっているが、
戸外
(
おもて
)
にはまだ斜にうつろう冬の夕日が残っているに違いない。ああ、三味線の
音色
(
ねいろ
)
。何という
果敢
(
はかな
)
い、消えも入りたき哀れを催させるのであろう。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私
(
わたし
)
の
臨終
(
りんじう
)
の
知
(
し
)
らせなんでせうから、すぐに
心掛
(
こゝろがか
)
りのないやうに、
遺言
(
ゆゐごん
)
の
眞似
(
まね
)
ごとだけもしませうと、
果敢
(
はかな
)
いんですわねえ……
唯
(
たゞ
)
そればかりを
的
(
まと
)
のやうにして
目
(
め
)
を
睜
(
みは
)
つて
居
(
ゐ
)
たんですよ。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
争ったり主張したりするのではなくて苦しんだり悩んだりする哀れ
果敢
(
はかな
)
い処にある。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
可恐
(
おそろし
)
い
黄金蛇
(
こがねへび
)
の、カラ/\と
這
(
は
)
ふ時は、
土蛮
(
どばん
)
でさへ、誰も皆耳を
塞
(
ふさ
)
ぐ……其の時には
何
(
ど
)
うか知らない……そんな
果敢
(
はかな
)
い、一生
奴隷
(
どれい
)
に買はれた身だのに、一度も泣いた事を見ないと云ふ
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「じゃと申して、土を
噛
(
かじ
)
っては
腹
(
おなか
)
が承知いたしませぬ処から、余儀なく悪いことを致しまする。ああ、この世からの畜生道、
良
(
い
)
い死目には逢われますまい。
果敢
(
はかな
)
いことでござります。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
及びもつかぬわが望みの
果敢
(
はかな
)
さを悲しみぬ。ワルキールの夜には、(ワグナーのかたくなゝる事よ)
舞踏
(
バレー
)
なければ、われは徒に、ソプラノの姿より数多き女戦士の一人一人を見まもりぬ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
路地は其等の浮世絵に見る如く今も昔と変りなく細民の棲息する処、日の当つた表通からは見る事の出来ない
種々
(
さま/″\
)
なる生活が潜みかくれてゐる。
佗住居
(
わびずまひ
)
の
果敢
(
はかな
)
さもある。隠棲の平和もある。
路地
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
深夜
(
しんや
)
に、
可恐
(
おそろし
)
い
黄金蛇
(
こがねへび
)
の、カラ/\と
這
(
は
)
ふ
時
(
とき
)
は、
土蠻
(
どばん
)
でさへ、
誰
(
だれ
)
も
皆
(
みな
)
耳
(
みゝ
)
を
塞
(
ふさ
)
ぐ……
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
には
何
(
ど
)
うか
知
(
し
)
らない……そんな
果敢
(
はかな
)
い、
一生
(
いつしやう
)
奴隷
(
どれい
)
に
買
(
か
)
はれた
身
(
み
)
だのに、一
度
(
ど
)
も
泣
(
な
)
いた
事
(
こと
)
を
見
(
み
)
ないと
云
(
い
)
ふ
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
路地はそれらの浮世絵に見る如く今も昔と変りなく
細民
(
さいみん
)
の棲息する処、日の当った表通からは見る事の出来ない
種々
(
さまざま
)
なる生活が
潜
(
ひそ
)
みかくれている。
佗住居
(
わびずまい
)
の
果敢
(
はかな
)
さもある。隠棲の平和もある。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
蜉蝣
(
ふゆう
)
の命、
朝
(
あした
)
の露、そも
果敢
(
はかな
)
しといわば言え、身に比べなば何かあらむ。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
傍
(
そば
)
の
煤
(
すす
)
けた柱に
貼
(
は
)
った
荒神様
(
こうじんさま
)
のお
札
(
ふだ
)
なぞ、一体に汚らしく乱雑に見える周囲の
道具立
(
どうぐだて
)
と
相俟
(
あいま
)
って、
草双紙
(
くさぞうし
)
に見るような何という
果敢
(
はかな
)
い
佗住居
(
わびずまい
)
の情調、また
哥沢
(
うたざわ
)
の節廻しに唄い古されたような
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
我も
生命
(
いのち
)
も
惜
(
おし
)
まねばこそ、
恁
(
かか
)
る野にも
来
(
きた
)
りしなれ、
何
(
ど
)
うなりとも成るやうになつて
止
(
や
)
め!
之
(
これ
)
も
犠
(
にえ
)
になつたといふ、あはれな
記念
(
かたみ
)
の
衣
(
ころも
)
哉
(
かな
)
、としきりに
果敢
(
はかな
)
さに胸がせまつて、思はず涙ぐむ
襟許
(
えりもと
)
へ
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
毎日々々
果敢
(
はかな
)
いことが有るけれど、お前さんの顔を見たり、ものをいうのさえ聞いてれば、何にも思わないで、私ゃ気がはずむんでね、ちっとも苦労はしないけれど、そりゃ私の、身勝手だった。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
静寂
(
しづけさ
)
とこの
果敢
(
はかな
)
さの疾く来れかし。
偏奇館吟草
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
と
莞爾
(
にっこり
)
するのが、涙ぐむより
果敢
(
はかな
)
く見られる。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
果
常用漢字
小4
部首:⽊
8画
敢
常用漢字
中学
部首:⽁
12画
“果敢”で始まる語句
果敢無
果敢々々
果敢々々敷
果敢迅速