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挨拶
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あいさつ
ふりがな文庫
“
挨拶
(
あいさつ
)” の例文
だいたいあんまり本当のことを言われても
挨拶
(
あいさつ
)
のしようがないことと同じように、
御尤
(
ごもっと
)
もですという以外の幅も広さもないのである。
文章の一形式
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
しかしそんなことは下層の子供たちには普通の仕事である。オリヴィエはいつものとおり、彼女の顔に眼をやりもしないで
挨拶
(
あいさつ
)
した。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そして、ある四つ辻で別れる時には、お冬は
極
(
きま
)
った様に、少し首をかしげて、多少甘ったるい口調で、この様な
挨拶
(
あいさつ
)
をしたのである。
木馬は廻る
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
二人の美人は、無言で
挨拶
(
あいさつ
)
を
交
(
かわ
)
した。青木さんは、既に卑屈な泣きべそみたいな顔になっている。もはや、勝敗の数は明かであった。
グッド・バイ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「
今日
(
こんにち
)
は、」と、声を掛けたが、フト
引戻
(
ひきもど
)
さるるようにして
覗
(
のぞ
)
いて見た、
心着
(
こころづ
)
くと、自分が
挨拶
(
あいさつ
)
したつもりの
婦人
(
おんな
)
はこの人ではない。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
ペンネン技師の
頬
(
ほお
)
はげっそり落ち、工作隊の人たちも青ざめて目ばかり光らせながら、それでもみんな笑ってブドリに
挨拶
(
あいさつ
)
しました。
グスコーブドリの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ただ長い間同じ下宿に
立籠
(
たてこも
)
っているという縁故だか同情だかが
本
(
もと
)
で、いつの間にか
挨拶
(
あいさつ
)
をしたり世間話をする仲になったまでである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いやに儀式ばった
挨拶
(
あいさつ
)
を来る人たちへ
強
(
し
)
いられたり、着たくもない妙な
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しい着物を着せられるのであるそれが泣くほど
辛
(
つら
)
かった。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
「あのときは廷丁に
挨拶
(
あいさつ
)
したのですよ。あなたが被告だということは、私たちは知っていました。こんな
噂
(
うわさ
)
はすぐ広まりますからね」
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「アイ、目出度いのい」——それが元日村の衆への
挨拶
(
あいさつ
)
で、お倉は胸を突出しながら、その時の父や夫の
鷹揚
(
おうよう
)
な態度を
真似
(
まね
)
て見せた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
『えゝ
只今
(
たゞいま
)
、
足下
(
そくか
)
に
御關係
(
ごくわんけい
)
の
有
(
あ
)
る
事柄
(
ことがら
)
で、
申上
(
まをしあ
)
げたいと
思
(
おも
)
ふのですが。』と、
市役所員
(
しやくしよゐん
)
は
居並
(
ゐなら
)
ぶ
人々
(
ひと/″\
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
が
濟
(
す
)
むと
恁
(
か
)
う
切
(
き
)
り
出
(
だ
)
した。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
戸に
鍵
(
かぎ
)
をかけてしまって、僕が戸の隙間から『
お早う
(
ボンジュール
)
』と
挨拶
(
あいさつ
)
しても、返事もしないんだ。自分じゃ七時にちゃんと起きてたくせに。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
山人は初対面の
挨拶
(
あいさつ
)
の後で、「君はもっと背の高い人かと思った」といったが、並んでみると私よりは山人の方がずっと高かった。
文壇昔ばなし
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私が再びエケレジヤの前に差しかかつたとき、知人H君のお嬢さんが友だち二三と腕を組んで出て来て、出会ひがしらに私に
挨拶
(
あいさつ
)
した。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
これが精一杯のお世辞の
挨拶
(
あいさつ
)
だといふやうに、ぶつきら棒に云つた。そして直ぐ
椽
(
えん
)
から盆栽棚のたくさん並んでゐる庭へ下りて行つた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「おはよう」とか「御機嫌よう」とかいう言葉の次に出るのは、「お暑うございます」「お寒うございます」という
挨拶
(
あいさつ
)
でございます。
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
しかも娘の
思惑
(
おもわく
)
を知ってか知らないでか、
膝
(
ひざ
)
で前へのり出しながら、見かけによらない
猫撫声
(
ねこなでごえ
)
で、初対面の
挨拶
(
あいさつ
)
をするのでございます。
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
亥「えゝ皆様御免なせえ、えゝお
母様
(
ふくろさま
)
、なぜ
私
(
わっち
)
が……旦那御免なせえよ、こんな時にゃア
何
(
なん
)
と
挨拶
(
あいさつ
)
して
宜
(
い
)
いのか私にゃア分んねえ」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こんな
挨拶
(
あいさつ
)
をしていた。
小君
(
こぎみ
)
の所へは昼のうちからこんな手はずにすると源氏は言ってやってあって、約束ができていたのである。
源氏物語:02 帚木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
駅前まで来た時、加世子はもう一度ホテルへ帰り父に
挨拶
(
あいさつ
)
したものか、それともこのまま富士見へ帰ったものかと、ちょっと
躊躇
(
ちゅうちょ
)
した。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
こう
挨拶
(
あいさつ
)
すると、おたかも挨拶をし返したうえ、もちまえの気の好さからだろう、昨夜から庄吉さんが梶平へ来ていますと云った。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
五十川女史はあたふたと葉子に
挨拶
(
あいさつ
)
もせずにそのあとに続いた。しばらくすると若者は桟橋の群集の間に船員の手からおろされた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
梯子段
(
はしごだん
)
を
踏轟
(
ふみとどろ
)
かして上ッて来て、
挨拶
(
あいさつ
)
をもせずに
突如
(
いきなり
)
まず
大胡坐
(
おおあぐら
)
。我鼻を視るのかと怪しまれる程の下眼を遣ッて文三の顔を視ながら
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
主人
(
しゆじん
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
は
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
明日
(
あす
)
のことにするからといつた
丈
(
だけ
)
だといふ
返辭
(
へんじ
)
である。
勘次
(
かんじ
)
はげつそりとして
家
(
うち
)
へ
歸
(
かへ
)
ると
蒲團
(
ふとん
)
を
被
(
かぶ
)
つて
畢
(
しま
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
新郎の母者人が「ドウカお
吸物
(
すいもの
)
を」との
挨拶
(
あいさつ
)
が無い前に、勝手に
吸物
(
すいもの
)
椀
(
わん
)
の蓋をとって、
鱚
(
きす
)
のムスビは残して
松蕈
(
まつだけ
)
とミツバばかり食った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
さゝ、ヂュリエットを
起
(
おこ
)
して、
着飾
(
きかざ
)
らせい。
俺
(
おれ
)
は
往
(
い
)
てパリスどのに
挨拶
(
あいさつ
)
せう。……さゝ、
急
(
いそ
)
げ/\。
婿
(
むこ
)
どのは
最早
(
もう
)
來
(
わ
)
せたわ。
急
(
いそ
)
げ
急
(
いそ
)
げ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
懸
(
かく
)
れば重四郎はイヤ來たなとは思へども
何喰
(
なにくは
)
ぬ顏にて是は/\
珍
(
めづ
)
らしく御揃ひで
能
(
よく
)
こそ御入來
忝
(
かたじ
)
けなしと
挨拶
(
あいさつ
)
なすに
頓
(
やが
)
て掃部は聲を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
また
下士
(
かし
)
が上士の家に行けば、次の間より
挨拶
(
あいさつ
)
して後に
同間
(
どうま
)
に入り、上士が下士の家に行けば、座敷まで刀を持ち込むを法とす。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
木賃宿の主人には礼金を遣り、摂津国屋へは
挨拶
(
あいさつ
)
に立ち寄って、九郎右衛門主従は六月二十八日の夜船で、伏見から津へ渡った。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
巡査達に
挨拶
(
あいさつ
)
して、二三間行った時、彼はふと海に捨つるべく、青年から頼まれたノートの事を思い出した。彼は驚いて、取って帰した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
挨拶
(
あいさつ
)
を交わして、そのままそこで立ち別れた。日はもうとっぷり暮れて、寒い寒い
乾
(
かわ
)
いた夕風が
薄暗
(
うすやみ
)
の中を音もなく吹いていた。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
お品へ目で
挨拶
(
あいさつ
)
して行った
珊瑚
(
さんご
)
の女を、孫兵衛はジッと見送っていたが、やがてその年増の姿は、同じ
河岸筋
(
かしすじ
)
の川長の店へ入っていった。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから因縁あれば両三度も落合い
挨拶
(
あいさつ
)
の一つも云わるゝより影法師殿段々堅くなって、
愛敬詞
(
あいきょうことば
)
を
執着
(
しゅうじゃく
)
の耳の奥で繰り返し玉い
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
丁度馬車と一しょに町の角を曲って来た医学士は、愛想
好
(
よ
)
く二階の窓に向いて
挨拶
(
あいさつ
)
をした。それから程なく部屋に
這入
(
はい
)
って来た。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
水夫たちは、
笑
(
え
)
みを浮かべて、火夫たちに
挨拶
(
あいさつ
)
しながら通った。それは、まるで、目をさました
獅子
(
しし
)
の第一声のようでもあった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
僕に向かってはよい顔しながら、
蔭
(
かげ
)
にまわると悪口する、はなはだ
卑
(
いやし
)
むべき人であると思って以来、丙を見てもロクに
挨拶
(
あいさつ
)
しなくなった。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「おいおい、そんな
挨拶
(
あいさつ
)
はあるめえ。……雨が降りゃア、下駄屋は、いいお天気という。……おれらは忙しくなくっちゃ結構とは言わねえ」
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
妾は、食事がすむとちょっと博士に
挨拶
(
あいさつ
)
して、すぐ帰るつもりで下へ降りて、携帯品
預所
(
あずけじょ
)
へコートを受けとりに行ったのです。
華やかな罪過
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「お前が
倉知
(
くらち
)
さんへ往っていると云うから、ついでに
挨拶
(
あいさつ
)
して来ようと思って、あがらずに来た、
何故
(
なぜ
)
そんな、つまらない
真似
(
まね
)
をするのだ」
白っぽい洋服
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼女は、驚嘆したであろう客の、
四
(
よ
)
つぶの眼の玉を充分に引きよせておいて、やおら身じろぎをした。立上って、
挨拶
(
あいさつ
)
をしようとするのだ。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
若いブレースブリッジと
親戚
(
しんせき
)
の人たちが互いに
挨拶
(
あいさつ
)
をかわしているあいだに、わたしはこの部屋をしさいに見ることができた。
クリスマス・イーヴ
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
廿二日朝、土屋君は僕を
伴
(
ばん
)
さんのところに連れて行つて呉れた。僕は初対面の
挨拶
(
あいさつ
)
をし、初診以来熱心の治療に対して謝した。
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
かれの子分のしゃもじは
国定忠治
(
くにさだちゅうじ
)
や
清水
(
しみず
)
の
次郎長
(
じろちょう
)
がすきであった、かれはまき舌でものをいうのがじょうずで、
博徒
(
ばくと
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
を暗記していた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
と
挨拶
(
あいさつ
)
した婆さんに抱いていた子供を預けると、お君は
一張羅
(
いっちょうら
)
の小浜縮緬の羽織も脱がず、ぱたぱたとそこらじゅうはたきをかけはじめた。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
黒い雲がすべって行ったのです。しかし、それこそ
挨拶
(
あいさつ
)
でした。月がわたしに送ってくれた、やさしい晩の挨拶だったのです。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
いやにしらっぱくれた
挨拶
(
あいさつ
)
をする者がありましたから、関守氏が振返って見ると、三度笠に
糸楯
(
いとだて
)
の旅慣れた男が一人、小腰をかがめている。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、愛想よく
挨拶
(
あいさつ
)
したが、思いなしか、野村にはそれが、
態
(
わざ
)
とらしく聞えた。何だかジロリと探るような眼つきで見られたような気がした。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
別れの
挨拶
(
あいさつ
)
をして置きたい友人が可成りあるので。二週間程
留守
(
るす
)
になるでせう——その間に僕の申し出を考へて置いて下さい。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「上陸第一歩に際し、イギリス官憲のみならず、イギリス高射砲隊からもこの
鄭重
(
ていちょう
)
なる
挨拶
(
あいさつ
)
をうけようとは、余の予期せざりしところである」
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
初対面の
挨拶
(
あいさつ
)
の時、わたしの義理の子ともならう筈の若者は、いかにもムツツリと構へてゐて、ひと通りの礼儀としての挨拶も
碌々
(
ろく/\
)
せぬのだ。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
挨
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
拶
常用漢字
中学
部首:⼿
9画
“挨拶”で始まる語句
挨拶振
挨拶人
挨拶代
挨拶声
挨拶旁〻