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懲
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こら
ふりがな文庫
“
懲
(
こら
)” の例文
これがあの
傲慢
(
ごうまん
)
無礼な英国官吏を
懲
(
こら
)
して王室の威厳を御保持になった方とも思われないくらい、女にもしたいほどのお優しさでした。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「旦那の三郎兵衞が持つてゐた筈だが、それは表向きで、
懲
(
こら
)
しめのための
窮命
(
きうめい
)
だから、鍵はツイ廊下の柱にブラ下げてあるさうですよ」
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私が
余
(
あんま
)
りポチばかり可愛がって勉強をしなかったから、父が
万一
(
ひょっと
)
したら
懲
(
こら
)
しめのため、ポチを何処かへ
匿
(
かく
)
したのじゃないかと思う。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「はて
文盲
(
もんもう
)
の野人は度しがたい者だ。よしそれほど剛情を張るなら試してやる。あ、これ、裏坂の仁作、この儀助を一つ
懲
(
こら
)
しめてやれ」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わるい病が催して何か言い寄って参らば、そこがそちの働きどころじゃ。近寄らず近寄らせず巧みにあしらって
懲
(
こら
)
しめてやるのよ
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
▼ もっと見る
その
重立
(
おもだ
)
つた人々の顔には、言ひ合せた様な失望の色がある。これは富豪を
懲
(
こら
)
すことは出来たが、窮民を
賑
(
にぎは
)
すことが出来ないからである。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
が、あんな
獣
(
けだもの
)
のような
卑
(
いや
)
しい男を、
懲
(
こら
)
すために、お前の一身を犠牲にしては、黄金を
土塊
(
つちくれ
)
と交換するほど、
馬鹿
(
ばか
)
々々しいことじゃないか。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
直
(
す
)
ぐにお前を
捕
(
つか
)
まえて、誰とも云わず先生の前に連れて行て、先生に裁判して
貰
(
もら
)
うが
宜
(
よろ
)
しいか。心得て居ろと
酷
(
ひど
)
く
懲
(
こら
)
しめて
遣
(
やっ
)
た事があった。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
君も撲られっ放しでは気が済まないだろうから、一つ
懲
(
こら
)
しめのために訴えてやるか。誰かに聞けば直ぐ移転先きは分るだろう
越年
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
きっと芸者衆が何かひどくいけないことをなしたので父様はそれをお
懲
(
こら
)
しめになっていらっしゃったのでございましょう。
葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
これ以上昂らせることの無益は、定明の短慮焦躁の日常を知っていたから、経之は
懲
(
こら
)
しめることをしないで去って行った。
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それで手捕りにしてふん縛り、うんと
虐
(
いじ
)
め
懲
(
こら
)
しめて、今後二度と来させまいとするのが、彼等
悪漢
(
わる
)
共の思惑なのであった。
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あるいは恐る、日ごろ心
猛
(
たけ
)
かりし父の、地下より
跳
(
おど
)
り
出
(
い
)
でて我を
笞
(
むちう
)
つこと三百、声を励まして我が
意気地
(
いくじ
)
なきを責め、わが
腑甲斐
(
ふがい
)
なきを
懲
(
こら
)
し給わんか。
父の墓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
又信ず。予が殺人の動機なるものは、その発生の当初より、断じて単なる嫉妬の情にあらずして、
寧
(
むしろ
)
不義を
懲
(
こら
)
し不正を除かんとする道徳的憤激に存せし事を。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お父様もお母様も
懲
(
こら
)
しめのためにわざと御飯を片づけてしまって、お父様はどこかへ御用足しにお出かけになり、お母さんも一寸買物にお出かけになりました。
お菓子の大舞踏会
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
まだ、手を下して、人を
懲
(
こら
)
したということはないけれども、まかり間違って、この入道の怒りを買った日には、なんだか底の知れないような刑罰が下りそうだ。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
最初の動機は、Fの意気地なしの
懲
(
こら
)
しめと慰めとを兼ねて一週間も遊びに帰えすつもりだったのが、つい自分ながらいくらか意外なような結果になったのだった。
父の出郷
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
それに小兼も半治もあゝいう負けない気の奴だから、何と勧めても一つになると騒ぐので、
私
(
わたくし
)
も吉崎様へ済まねえから
彼
(
あ
)
の野郎は
懲
(
こら
)
しましたが、外に悪い事もなし
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
摘発して、弱者は
授
(
たす
)
け、悪人は
懲
(
こら
)
して、社会を覚醒している結社だと云うことを承知してもらいたい
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
父
(
とう
)
さんが
幼少
(
ちひさ
)
な
時分
(
じぶん
)
に
晝寢
(
ひるね
)
をして
居
(
ゐ
)
ますと、どうかするとこの
蚋
(
ぶよ
)
に
食
(
く
)
はれることが
有
(
あ
)
りました。その
度
(
たび
)
に、お
前達
(
まへたち
)
の
祖父
(
おぢい
)
さんが
大
(
おほ
)
きな
掌
(
てのひら
)
で、
蚋
(
ぶよ
)
を
打
(
う
)
ち
懲
(
こら
)
して
呉
(
く
)
れました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
凸助
(
でこすけ
)
……いや、鼻ぴっしゃり、
芋※
(
ずいき
)
の葉の
凹吉
(
ぼこきち
)
め、細道で
引捉
(
ひッつか
)
まえて、
張撲
(
はりなぐ
)
って
懲
(
こら
)
そう、と通りものを待構えて、こう透かして見ますがの、背の高いのから順よく並んで
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分の後継者であるべきものに対してなんとなく心置きのあるような風を見せて、たとえば
懲
(
こら
)
しめのためにひどい小言を与えたあとのような気まずい沈黙を送ってよこした。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
鋭き言葉に言い
懲
(
こら
)
されて、餘儀なく立ち
上
(
あが
)
る冷泉を、引き立てん計りに送り出だし、
本意
(
ほい
)
なげに見返るを
見向
(
みむき
)
もやらず、其儘障子を
礑
(
はた
)
と
締
(
し
)
めて、仆るゝが如く座に就ける横笛。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「私、あなたなんかに
誤魔化
(
ごまか
)
されませんわ。甘く見ていらっしゃるから、
懲
(
こら
)
しめの為めよ」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
懲
(
こら
)
すも改めず罰するも恐れざるに至っては遂に施すに術なし。飲酒喫烟は悪習なり人これを知るも咎めず。
赤垣源蔵
(
あかがきげんぞう
)
は一升徳利に美談を残し
大高源吾
(
おおたかげんご
)
は煙草入の筒に風流を伝う。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
林児はめいらずに武の悪口をついた。武の叔父の
恒
(
こう
)
は寛厚の長者であった。
姪
(
おい
)
があまり怒って
禍
(
わざわい
)
を招くのを恐れたので、つきだして
懲
(
こら
)
してもらった方が好いだろうといって勧めた。
田七郎
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「さては彼の狐めが、また今日も忍入りしよ。いぬる日あれほど
懲
(
こら
)
しつるに、はや
忘
(
わすれ
)
しと覚えたり。憎き奴め用捨はならじ、
此度
(
こたび
)
こそは打ち取りてん」ト、雪を
蹴立
(
けだ
)
てて真一文字に
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
さういふ無知な状態に在つたからして、「
膺
(
う
)
てや
懲
(
こら
)
せや清國を」といふ勇ましい軍歌が聞えると、直ぐもう國を擧げて膺てや懲せや清國をといふ氣になつたのだ。反省もない。批評もない。
大硯君足下
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
チーア卿は、さっきの装置で調べると、今飛行機にあれを積んでインド方面へ向けて飛行中だが、見ていなさい、あと三十分で飛行機は空中火災を起して墜落じゃ。泥棒にはいい
懲
(
こら
)
しめじゃよ
共軛回転弾:――金博士シリーズ・11――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし日曜の散歩を一度よして、みずからおのれを
懲
(
こら
)
してしまうと、非常に退屈になって、恨みを忘れた。クリストフは例のとおり自分の方から申し出た。オットーはそれを承知してやった。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
我はかの惡少年を
懲
(
こら
)
して後、翁猶在らば、家まで送りて得させんとおもひしに、早やいづち往きけん見えずなりぬ。その後翁の事をば少しも心に留めざりしに、或日ふと
猶太廓
(
ゲツトオ
)
の前を過ぎぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
我まことにエフライムの
自
(
みずか
)
ら嘆くを聞けり、いわく汝は我を
懲
(
こら
)
しめ給う、我は
軛
(
くびき
)
に馴れざる
犢
(
こうし
)
のごとくに懲しめを受けたり、エホバよ、汝はわが神なれば我を
牽転
(
ひきかえ
)
し給え、しからば我
転
(
かえ
)
るべし。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
私もこんな
年齡
(
とし
)
に成りながら、遂そんな心配もあるまいと、迂濶に油斷をした許に取り返しのつかないあなたの娘さんへ傷をつけまして、
懲
(
こら
)
せと申されゝば野郎は手でも足でも打ち折りますが
白瓜と青瓜
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
諸氏よ、誰人かよく蛸を
懲
(
こら
)
す勇士なきや。蛸博士を葬れ! 彼を平なる地上より抹殺せよ! 諸君は正義を愛さざる乎! ああ止むを得ん次第である。しからば余の方より消え去ることにきめた。
風博士
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そして、陸上競技で
支那
(
シナ
)
が依然無得点であることを彼の口から確かめると、我が意を得たというような調子で、「こういうような事でも、やはり支那人は徹底的に
懲
(
こら
)
して置く必要がある」と
呟
(
つぶや
)
いた。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
十七節にいう「神の
懲
(
こら
)
し給う人は幸福なり、されば汝全能者の
儆責
(
いましめ
)
を軽んずるなかれ」と。彼は人に臨む艱難を以て罪の結果と見、従ってこれを神よりの
懲治
(
こらしめ
)
と
做
(
な
)
したのである。
既
(
すで
)
にこれ懲治である。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
助け惡を
懲
(
こら
)
さるゝ事
萬事
(
ばんじ
)
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
しとかや
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その斬って
出
(
いず
)
るや、
児戯
(
じぎ
)
をあしらう如く脚下にねじ伏せ、懇々、これを
懲
(
こら
)
して放したというような話すら
遺
(
のこ
)
っているほどである。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
侍等が出て白酒を飲んで価を償わずに花道へ入る。小団次の黒手組助六が一人の侍の手を
捩
(
ね
)
じ上げて花道から出て侍等を
懲
(
こら
)
す。侍等は花道を逃げ入る。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
お父様、あんな男に起訴されて、泣寝入りになさるような、
腑甲斐
(
ふがい
)
ないことをして下さいますな。飽くまでも
戦
(
たたか
)
って、相手の悪意を
懲
(
こら
)
しめてやって下さいませ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
暮から小さい物の盜まれるのは、榮吉も苦々しく思つてゐるらしく、これは誰の
仕業
(
しわざ
)
にしろ、
序
(
ついで
)
に平次に搜し出して貰つて、うんと
懲
(
こら
)
して頂きたいといふ意見です。
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あゝ天
何故
(
なにゆえ
)
に我を
斯
(
か
)
くまで懲らしめ給うか、身に悪事をなしたる覚えなきに、
如何
(
いか
)
なれば斯く我を苦しめ給うぞ、世にある時は人を助け、人のために人を
懲
(
こら
)
しもし
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ここは山神の
住居
(
すまい
)
であって、神聖境であるべきを、二人の者がまぎれ込んで永遠の静寂を乱したので、神が怒って
懲
(
こら
)
しめのために、この不思議さを見せたのであろうか。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
再三のことで、あまりといえば許しておけないから、当座の
懲
(
こら
)
しめのために相違ないのを、大勢がやって来て、担ぎ出し、それを天神山で焼き殺すということになっている。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その方どもの
罪業
(
ざいごう
)
は無知
蒙昧
(
もうまい
)
の然らしめた所じゃによって、天上皇帝も格別の
御宥免
(
ごゆうめん
)
を賜わせらるるに相違あるまい。さればわしもこの上なお、叱り
懲
(
こら
)
そうとは思うて居ぬ。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
よしよし捕まえて
懲
(
こら
)
して遣ろうと、ぬき足さし足うしろから近寄ってお出でになりました。
ドン
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
その詩に史上の事實を
矯
(
た
)
め、聞くに堪へざる平字の連用をなしたるなど、皆
笞
(
むちう
)
ち
懲
(
こら
)
すべき
科
(
とが
)
なるを。我はまことに甚しき不快を覺えき。かゝる事に逢ふごとに、我は健康をさへ害せられんとす。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
尊王攘夷
(
そんのうじょうい
)
という言葉は御隠居自身の筆に成る水戸弘道館の碑文から来ているくらいで、最初のうちこそ御隠居も外国に対しては、なんでも一つ
撃
(
う
)
ち
懲
(
こら
)
せという方にばかり
志
(
こころざし
)
を向けていたらしいが
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この
饒舌
(
じょうぜつ
)
を
懲
(
こら
)
さんとて、学生は物をも言わで
拳
(
こぶし
)
を
挙
(
あ
)
げぬ。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
訴状には「
御城
(
おんしろ
)
、
御役所
(
おんやくしよ
)
、
其外
(
そのほか
)
組屋敷等
(
くみやしきとう
)
火攻
(
ひぜめ
)
の
謀
(
はかりごと
)
」と書いてある。
檄文
(
げきぶん
)
には
無道
(
むだう
)
の役人を
誅
(
ちゆう
)
し、次に金持の町人共を
懲
(
こら
)
すと云つてある。
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
恐ろしい陰謀である。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
懲
常用漢字
中学
部首:⼼
18画
“懲”を含む語句
懲罰
性懲
懲戒
懲々
見懲
懲役
勧善懲悪
膺懲
勧懲
懲治監
打懲
懲役人
物懲
笞懲
撃懲
昨夜雨爾将懲鴨
猶懲
懲治
言懲
贋懲
...