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御主人
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ごしゆじん
「
只今御門の
前へ
乞食坊主がまゐりまして、
御主人にお
目に
掛かりたいと
申しますがいかがいたしませう」と
云つた。
お
内儀さんまことに
失礼でございますが、
何かお
土産と
云つた
処で
斯う
云ふ
仕儀でございますから、
御主人がお
帰りになつたら
一口何うぞ
上げて下さいまし。
父上なくならば
親代りの
我れ、
兄上と
捧げて
竈の
神の
松一
本も
我が
託宣を
聞く
心ならば、いかにもいかにも
別戸の
御主人に
成りて、
此家の
爲には
働かぬが
勝手
左樣覺られたからは
百年目、
若し
此一件を
他人に
洩すものならば、
乃公の
笠の
臺の
飛ぶは
知れた
事、
左樣なれば
破れかぶれ、お
前の
御主人の
家だつて
用捨はない、
火でもかけて
お
前さんは
私がこの
住居の
御主人のやうなことを
言ひますが
私は
唯こゝの
番人です。
「いゝなあ、この
山毛欅一
本が、こゝで
湖を
支へる
柱だ。」そこへ
画架を
立てた——その
時、この
峠を
導いて、
羽織袴で、
阪へ
掛かると
股立を
取つた
観湖楼、
和井内ホテルの
御主人が
へえ
頂戴を……
何うも
流石は
御商売柄だけあつて
御主人は
愛嬌があつてにこやかなお
容貌、
番頭さんから
若衆小僧さんまで
皆お
子柄が
宜いなモシ、
実に
惜しいやうですな
志しは
嬉しけれど
歸りてからが
女の
働き、
夫れのみか
御主人へは
給金の
前借もあり、それッ、と
言ふて
歸られる
物では
無し、
初奉公が
肝腎、
辛棒がならで
戻つたと
思はれても
成らねば
洒落た
御主人で、
夫から
牡丹餅を
引出して
終つて、生きた
蛙を一
疋投り
込んで
置きました。
松ばかりにても
見惚るゝやうなりとほゝ
笑めば、
否や
別莊にはあらず
本宅にておはすなりと
答ふ、
是を
話しの
糸口として、
見惚れ
給ふは
松ばかりならず、
美くしき
御主人公なりといふ
と
云ふ所にお心を
附けて
蓄音器から
斯ういふ
発明をなさると
云ふは、
当家の
御主人に
夫だけの
学問もなければならず、お
智恵もなければ
出けんことぢやが、
何うも
結構な
御商法ですな
それでもあなたは一
家の
御主人さまに
成りて
釆配をおとりなさらずは
叶ふまじ、
今までのやうなお
樂の
御身分ではいらつしやらぬ
筈と
押へられて、されば
誠に
大難に
逢ひたる
身と
思しめせ。
定めて
定めて
二人揃つて
甲斐性のある
親をば
持つて
居るのであろ、
私が
息子の
與太郎は
今日の
休みに
御主人から
暇が
出て
何處へ
行つて
何んな
事して
遊ばうとも
定めし
人が
羨しかろ、
父さんは
呑ぬけ