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巨
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おお
ふりがな文庫
“
巨
(
おお
)” の例文
それから数分後に、私はその
巨
(
おお
)
きな岩を
目
(
ま
)
のあたりに見ることのできる、例の
見棄
(
みす
)
てられたヴィラの庭のなかに自分自身を
見出
(
みいだ
)
した。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
予往年大英博物館で、この蛙アルコール
漬
(
づけ
)
を見しに、その蹼他の蛙輩のより
特
(
すぐ
)
れて大なるのみ、決して図で見るほど
巨
(
おお
)
きになかった。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
猛然と、彼の
巨
(
おお
)
きな腕はお通を抱きしめて枯草の中へ
仆
(
たお
)
れた。お通は白い
喉首
(
のどくび
)
を伸ばして、声もあげ得ずに、彼の胸の中でもがいた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僕は、中国人だ。東洋人は、概して西洋人よりも心臓が強健だ。けれど、日本人にはかなわぬよ。しかし、僕は、
安南人
(
あんなんじん
)
の
巨
(
おお
)
きな心臓を
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
そのゆらめく光りが、
巨
(
おお
)
きな杉の樹立と、大社づくりの古びた神殿と、その前に設けられた、方四間の舞台を、照らしだしていた。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
あなたは、
蔭
(
かげ
)
ではひそかに
美味
(
うま
)
いものを食っていたンでしょう? アンナ・カレニナ、復活、ああどうにもやりきれぬ
巨
(
おお
)
きさ……。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
そう云いながら、老人は勝平の身体を
半
(
なかば
)
抱き起すようにした。が、
巨
(
おお
)
きい身体は少しの弾力もなく石の
塊
(
かたまり
)
か何かのように重かった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
されど、そのかわりには、
鱗
(
うろこ
)
生えて
巨
(
おお
)
いなる姿の一頭の
竜
(
りゅう
)
、炎の舌を吐きつつ、
白銀
(
しろがね
)
の床しきたる黄金の宮殿の前にぞ
蹲
(
うずくま
)
りてまもりける。
アッシャー家の崩壊
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
しかし今日は、いよいよ草は
巨
(
おお
)
きく樹間はせまり、奥熱地の相が一歩ごとに濃くなってゆくのだ。そして、この三日の行程が四十マイル弱。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
馬
(
うま
)
の
方
(
ほう
)
でも
亦
(
また
)
私
(
わたくし
)
によく
馴染
(
なじ
)
んで、
私
(
わたくし
)
の
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えようものなら、さもうれしいと
言
(
い
)
った
表情
(
ひょうじょう
)
をして、あの
巨
(
おお
)
きな
躯
(
からだ
)
をすり
附
(
つ
)
けて
来
(
く
)
るのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
太和年中、
鄭生
(
ていせい
)
というのが一羽の
巨
(
おお
)
きい鳥を網で捕った。色は
蒼
(
あお
)
く、高さ五尺余、押えようとすると忽ちに見えなくなった。
中国怪奇小説集:06 宣室志(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いくらまじめに
眺
(
なが
)
めていても、そんな
巨
(
おお
)
きなちょうざめは、泳ぎも
浮
(
うか
)
びもしませんでしたから、しまいには、リチキは大へん軽べつされました。
毒もみのすきな署長さん
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
近くは深沈としたブリュウブラックの
潮
(
うしお
)
の
面
(
めん
)
に擾乱する水あさぎと白の泡沫。その上を
巨
(
おお
)
きな煙突の影のみが
駛
(
はし
)
ってゆく。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
そのマツ樹の丸木舟の化けて川上に登って
巨
(
おお
)
ウナギになったもので、そしてまた突き刺されて傷をえたのに腹をたてて洪水を起こして川を下り
東奥異聞
(新字新仮名)
/
佐々木喜善
(著)
「成る程なあ。その田宮ちゅう男なら二、三度門口で挨拶した事がある。
瓦斯
(
ガス
)
を引く時にね。人相の悪い
巨
(
おお
)
きな男だろう」
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
煙突は一流の工場にでもあるような立派なもので、尾田は、病院にどうしてあんな
巨
(
おお
)
きな煙突が必要なのか、怪しんだ。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
お前の死は僕を
震駭
(
しんがい
)
させた。病苦はあのとき家の
棟
(
むね
)
をゆすぶった。お前の堪えていたものの
巨
(
おお
)
きさが僕の胸を
押潰
(
おしつぶ
)
した。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
奥殿の床板は
塵埃
(
ちりほこり
)
の山を
為
(
な
)
し、一方には古びた
巨
(
おお
)
太鼓が
横
(
よこた
)
わり、正面には三尺四方程の
真赤
(
まっか
)
な恐ろしい天狗の面がハッタとこちらを睨んでござる。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
いやな雨もよいの朝、
巨
(
おお
)
きな雲。海の上に落ちた其の巨大な
藍灰色
(
らんかいしょく
)
の影。朝七時だというのに、まだ灯をつけている。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
空にはながらく動かないでいる
巨
(
おお
)
きな雲があった。その雲はその地球に面した側に藤紫色をした
陰翳
(
いんえい
)
を持っていた。
蒼穹
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
夷官は必ず曰わん、日本は海国なり、陸道もて奔走すること、数百千里なれば、
幣
(
へい
)
を費すこと甚だ
巨
(
おお
)
し、火輪船を用いるの
愈
(
まさ
)
れりと為すに如かざるなりと。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
熊笹の中を
馳
(
か
)
け下ると、
栂
(
つが
)
樅
(
もみ
)
などの林に
這入
(
はい
)
る。いかに
巨
(
おお
)
きな樹でも
一抱
(
ひとかか
)
えぐらいに過ぎないが、幹という幹には苔が蒸して、枝には
兎糸
(
とし
)
が垂れ下っている。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
巨
(
おお
)
きな箱のような連絡船が動き出すと、もうすぐ向うに、下関のながいホームや暗い建物が見え出した。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
巨
(
おお
)
きな汽船だけに、まア、リフトの
昇降時
(
しょうこうじ
)
にかんじる、
不愉快
(
ふゆかい
)
さといった
程
(
ほど
)
のものでしたが、やはり甲板に出てくる人の数は少なく、
喫煙室
(
スモオキングルウム
)
で、
麻雀
(
マアジャン
)
でもするか
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
それから円天井のついた
巨
(
おお
)
きな陰気な部屋——これは浴室である。二階は婦人患者が占領している。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
藤蔓の間へぶら下って居たから
宜
(
い
)
いようなものゝ、下へ落れば
巨
(
おお
)
きな岩が幾つも有るから身体は微塵に
打
(
ぶ
)
っ砕けるだが、幸い
私
(
わし
)
が下に居たから助けて上げたけれども
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お腹の
裡
(
なか
)
で、動くのが、動くばかりでなくなって、もそもそと
這
(
は
)
うような、ものをいうような、ぐっぐっ、と
巨
(
おお
)
きな鼻が息をするような、その鼻が
舐
(
な
)
めるような、舌を出すような
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あたしあなたのさびしい気の引けたようなところを見ると、なんだかお気の毒で涙ぐみそうになってよ。あなたまたからだがばかに
巨
(
おお
)
きいからなおその寂しさが目につくんですわ。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
とすればエンジン以外での技術的改良によって、補助金がなくても
儲
(
もう
)
かるように工夫するほかはない。それにはべらぼうもなく
巨
(
おお
)
きな船を造るというのがブランネル氏のプランである。
黒船前後
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
突然、その時裏庭に向いた、障子一杯に蒼白い、燐の火が燃え立つと思う間もなく、
巨
(
おお
)
きな女の頭の影が、髪をおどろに振り乱し、
最初
(
はじめ
)
に一つやがて二つ、それから三つ映って見えた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
体の
巨
(
おお
)
きい、どちらかといえば無口な男であったが、勇武に
卓
(
すぐ
)
れており、また一徹で正直であったため、部落のなかに勢望があった。モーナルーダオにはテワスルーダオという妹がいる。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
演者苦心の神経怪談こころをこめて勤めますれば、
偏
(
ひとえ
)
に大入り満員の、祝花火を
巨
(
おお
)
きく真っ赤に、打ち揚げさせたまえと祈るは、催主馬楽がいささかの知り合い、東都文陣の前座を勤むる。
寄席行灯
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
川に浮んでいたときはあんなに小さく、
扁平
(
へんぺい
)
に見えた木材が、陸にあげられてこんな風に目の前に並ぶと、向う側の男の胴体もかくれるほど
巨
(
おお
)
きかった。木挽らはそれを
挺子棒
(
がんた
)
でかつぎ起した。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
もうあと三四日という蕾の
巨
(
おお
)
きな桜のまわりは
花に送られる
(新字新仮名)
/
今野大力
(著)
くろくて
巨
(
おお
)
きくて すごいようだ
貧しき信徒
(新字新仮名)
/
八木重吉
(著)
私たちの未来は涯もなく
巨
(
おお
)
きい。
大大阪のれいめい
(新字新仮名)
/
安西冬衛
(著)
巨
(
おお
)
きな船の
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
巨
(
おお
)
きな
樹立
(
こだち
)
に囲まれていて、ふところの広い平庭である。樹々の蔭には、もう夕闇が漂って、蚊ばしらの唸りが何処ともなく耳につく。
大谷刑部
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「西ノ方ヘ漂流シテイマシタ。——ソレヨリ、
此
(
この
)
附近ニ
巨
(
おお
)
キナ海坊主ガ出マスカラ注意シテ下サイ。奴ハ船ヘ襲イ掛ッテ来マス」
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
瑠璃子の嫣然たる微笑を浴びると、勝平は
三鞭酒
(
シャンペンしゅ
)
の
酔
(
よい
)
が、だん/\廻って来たその
巨
(
おお
)
きい顔の
相好
(
そうごう
)
を、たわいもなく崩してしまいながら
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それは、やや距離があってか、そう
巨
(
おお
)
きくは見えない。しかしこれで、「天母生上の雲湖」の秘密の一部を明かにした。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
晋
(
しん
)
の
懐帝
(
かいてい
)
の
永嘉
(
えいか
)
年中に、
韓媼
(
かんおん
)
という老女が野なかで
巨
(
おお
)
きい卵をみつけた。拾って帰って育てると、やがて男の児が生まれて、その
字
(
あざな
)
を
※児
(
けつじ
)
といった。
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この
巨
(
おお
)
トチの木はこの村の始まらぬ前からあったもので、そして村の草分けの家の大屋の守護神木でもありました。
東奥異聞
(新字新仮名)
/
佐々木喜善
(著)
老人
(
ろうじん
)
はだまってしげしげと二人の
疲
(
つか
)
れたなりを見た。二人とも
巨
(
おお
)
きな
背嚢
(
はいのう
)
をしょって地図を首からかけて
鉄槌
(
かなづち
)
を
持
(
も
)
っている。そしてまだまるでの
子供
(
こども
)
だ。
泉ある家
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
全く、暑くて
悶死
(
もんし
)
しそうだ。どっかに、
巨
(
おお
)
きな水たまりはありませんかね。鯨の如く汐を噴いてみたいのですよ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
オヤと思っているうちに、その見なれぬ
巨
(
おお
)
きな星が赤く太い尾を引いて動いた。と続いて、二つ三つ四つ五つ、同じような光がその周囲に現われて、動いた。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
また多助は江戸表に置きましても稼業に
出精
(
しゅっせい
)
しまして、遂に
巨
(
おお
)
きな身代となり、追々に地所を買入れ、廿四ヶ所の地面持とまでなり、本所に過ぎたるものが二つあり
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
巨
(
おお
)
きな虚無の
痙攣
(
けいれん
)
は停止したまま空間に残っていた。崩壊した物質の
堆積
(
たいせき
)
の下や、割れたコンクリートの
窪
(
くぼ
)
みには死の異臭が
罩
(
こも
)
っていた。真昼は底ぬけに明るくて悲しかった。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
場末のこの
辺
(
あたり
)
は、
麓
(
ふもと
)
の迫る
裾
(
すそ
)
になり、遠山は
波濤
(
はとう
)
のごとく
累
(
かさ
)
っても、奥は時雨の濃い雲の、次第に霧に薄くなって、眉は迫った、すすき尾花の山の
端
(
は
)
は、
巨
(
おお
)
きな
猪
(
いのしし
)
の横に寝た
態
(
さま
)
に似た
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
潮流の激しい海峡は黒い波の逆まいているのが、
巨
(
おお
)
きな箱の揺れ加減でも、じかに
身体
(
からだ
)
に感じた。十四五年前故郷を追われて出京するとき、初めてここを渡った当時のことが
憶
(
おも
)
い出された。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
巨
常用漢字
中学
部首:⼯
5画
“巨”を含む語句
巨人
巨大
巨濤
巨浪
巨魁
巨細
巨石
巨船
巨刹
巨漢
巨巌
巨蟒
巨椋
巨蛇
巨額
巨勢金岡
小巨勢
巨岩
巨鳥
巨躯
...