)” の例文
暗夜あんやごと山懐やまふところを、さくらはなるばかり、しろあめそゝぐ。あひだをくわつとかゞやく、電光いなびかり縫目ぬいめからそらやぶつて突出つきだした、坊主ばうずつら物凄ものすさましいものである……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くも脚下あしもとおこるかとみれば、たちまちはれ日光ひのひかりる、身は天外に在が如し。この絶頂はめぐり一里といふ。莽々まう/\たる平蕪へいぶ高低たかひくの所を不見みず、山の名によぶ苗場なへばといふ所こゝかしこにあり。
物思ものおもがほ若者わかものえりのあたりいやりとしてハツと振拂ふりはらへば半面はんめん瓦斯燈がすとうひかり蒼白あをじろ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つゞいてまた一發いつぱつ猛狒ゴリラおもひがけなき二發にはつ彈丸だんぐわんられて、蹴鞠けまりのやうに跳上をどりあがつた。
つが千束矢ちづかや
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
くも脚下あしもとおこるかとみれば、たちまちはれ日光ひのひかりる、身は天外に在が如し。この絶頂はめぐり一里といふ。莽々まう/\たる平蕪へいぶ高低たかひくの所を不見みず、山の名によぶ苗場なへばといふ所こゝかしこにあり。
背後うしろかこつた、若草わかくさ薄紫うすむらさき山懐やまふところに、黄金こがねあみさつげた、ひかり赫耀かくやくとしてかゞやくが、ひとるほどではなく、太陽たいやうときに、かすかとほ連山れんざんゆきかついだ白蓮びやくれんしべごとくにえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兎角とかくする今迄いまゝでは、其邊そのへん縱横じゆうわう暴廻あれまわつてつた沙魚ふかは、その氣味惡きみわるかしら南方みなみのかたけて、あだかるやうにかけした。端艇たんていともかれて、疾風しつぷうのやうにはしるのである。わたくしはいよ/\必死ひつしだ。
わざとらずがほつくりながらもくれなゐわれしらずおほ袖屏風そでびやうぶにいとゞこゝろのうちあらはれて今更いまさらきたることもありひとみぬひまの手習てならひ松澤まつざはたかとかいてまた塗隱ぬりかくすあどけなさ利發りはつえても未通女氣おぼこぎなりおなこゝろ芳之助よしのすけごとしとくちにはいへど歳月としつきはわがためゆづるたゆみしやうにおぼえてかしらすほどのまどろかしさよ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
また暗碧あんぺき白布しろぬのつてるやうにさとるのぢやが、そのいはにせかれたはうは六しやくばかり、これかはの一はゞいていとみだれず、一ぱうはゞせまい、三じやくぐらゐ、このしたには雑多ざツたいはならぶとえて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きふなんだかさびしくつて、ゑひざめのやうな身震みぶるひがた。いそいで、燈火ともしびあて駆下かけおりる、とおもひがけず、ゆきにはおぼえもない石壇いしだんがあつて、それ下切おりきつたところ宿やどよこながれるるやうな谿河たにがはだつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)