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家根
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やね
ふりがな文庫
“
家根
(
やね
)” の例文
また
地形石
(
ちぎょういし
)
などがその
儘
(
まま
)
となっていたり、
家根
(
やね
)
石などが転っていたりした。裏手には杉の木の林があって、土手には熊笹が繁っていた。
過ぎた春の記憶
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それから一年あまりの後に家屋の手入れをすると、
家根
(
やね
)
瓦の下から長さ一丈ほどの瓢を発見した。その瓢にもひと筋の矢が透っていた。
中国怪奇小説集:06 宣室志(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
金工
(
かざりや
)
は
仕事場
(
しごとば
)
へ
坐
(
すわ
)
って、
黄金
(
きん
)
の
鎖
(
くさり
)
を
造
(
つく
)
っていましたが、
家根
(
やね
)
の
上
(
うえ
)
で
歌
(
うた
)
っている
鳥
(
とり
)
の
声
(
こえ
)
を
聞
(
き
)
くと、いい
声
(
こえ
)
だと
思
(
おも
)
って、
立上
(
たちあが
)
って
見
(
み
)
に
来
(
き
)
ました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
その中から
幾個
(
いくつ
)
かの小独楽を産み出し、産み出された小独楽が石燈籠や鳥居や、社殿の
家根
(
やね
)
などへ飛んで行き、そこで廻り出したことであった。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
數「うん岩越、ひょろ/\歩くと危いぞ池へ
落
(
おっ
)
こちるといかん、あゝ妙だ、
家根
(
やね
)
は
惣体
(
そうたい
)
葺屋
(
ふきや
)
だな、とんと
在体
(
ざいてい
)
の
光景
(
ありさま
)
だの」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
恋猫
(
こいねこ
)
、
恋犬
(
こいいぬ
)
、
鶏
(
にわとり
)
は出しても/\
巣
(
す
)
につき、
雀
(
すずめ
)
は夫婦で
無暗
(
むやみ
)
に人の
家
(
うち
)
の
家根
(
やね
)
に穴をつくり、木々は芽を吐き、花をさかす。犬のピンの
腹
(
はら
)
ははりきれそうである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
この間しめ出しを食った時なぞは野良犬の襲撃を
蒙
(
こうむ
)
って、すでに危うく見えたところを、ようやくの事で物置の
家根
(
やね
)
へかけ
上
(
あが
)
って、終夜
顫
(
ふる
)
えつづけた事さえある。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
隣りの料理屋の地面から、
丈
(
せい
)
の高いいちじくが
繁
(
しげ
)
り立って、僕の二階の
家根
(
やね
)
を上までも越している。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
家根
(
やね
)
に巣をつくつてゐた、雀の子が、ある朝、天井裏に迷ひ
落
(
おち
)
、チイ/\悲鳴をあげて、天井板をあるき廻つた、私はその逃げ場をつくつてやるために、天井板を一枚はづしてをいたが
泥鰌
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
其所にも此所にも
家根
(
やね
)
や火の見へ上がって上野の山の方を見て何かいっている。
幕末維新懐古談:19 上野戦争当時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
家根
(
やね
)
の上から白い
煙
(
けむり
)
があがっている。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
家根
(
やね
)
のくさひでりにかわく
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
遠くには、町の
家根
(
やね
)
が見えた。その彼方には、高い
国境
(
くにざかい
)
の山々が
連
(
つらな
)
って見えた。淋しい細い道は無限に
何処
(
いずこ
)
へともなく走っている。
凍える女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
やがて
檐
(
のき
)
の瓦を踏む音がして、彼は
家根
(
やね
)
から飛び下りて来たので、獄卒は先ずほっとして、ふたたび彼に手枷足枷をかけて獄屋のなかに押し込んで置いた。
中国怪奇小説集:11 異聞総録・其他(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
門の
家根
(
やね
)
から空の方へ、松の木がニョッキリ突き出していた。遥かの町の四つ角を、終電車が通って行った。
銀三十枚
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
靴屋
(
くつや
)
はこれを
聞
(
き
)
くと、
襯衣
(
シャツ
)
のまんまで、
戸外
(
そと
)
へ
駈出
(
かけだ
)
して、
眼
(
め
)
の
上
(
うえ
)
へ
手
(
て
)
を
翳
(
かざ
)
して、
家根
(
やね
)
の
上
(
うえ
)
を
眺
(
なが
)
めました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
丈「
此間
(
こないだ
)
大工の棟梁が来て、
家根
(
やね
)
の事をお話したから、其の事だろうと思っていましたが、何しろお話を聞きましょう、これ
胴丸
(
どうまる
)
の火鉢を奥の六畳へ持って
往
(
ゆ
)
け」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「夢窓国師も
家根
(
やね
)
になって明治まで生きていれば結構だ。
安直
(
あんちょく
)
な銅像よりよっぽどいいね」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
家根
(
やね
)
に巣をつくつてゐた、雀の子が、ある朝、天井裏に迷ひ
落
(
おち
)
、チイ/\悲鳴をあげて、天井板をあるき廻つた、私はその逃げ場をつくつてやるために、天井板を一枚はづしてをいたが
小熊秀雄全集-15:小説
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
かくは一つ
家根
(
やね
)
に住み、一つ
釜
(
かま
)
の御飯をたべ、時には苦労を共にし、また楽しみをも共にし、ひたすらお互いに
斯道
(
しどう
)
を励んだことで、今日といえども、私は既に七十有余の高齢に達しておりますが
幕末維新懐古談:79 その後の弟子の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
老婆は大きな眼鏡をかけて冬の仕事に取かかって
襤褸
(
つづれ
)
を
縫
(
ぬっ
)
ている……鳥籠の上に
彼方
(
かなた
)
の
家根
(
やね
)
の上から射し下す日は
温
(
あたた
)
かに落ちて
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
きょうも明るい日が大きい
甍
(
いらか
)
を一面に照らして、堂の
家根
(
やね
)
に立っている幾匹の
唐獅子
(
からじし
)
の眼を光らせている。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
けれどもマリちゃんはじっと
坐
(
すわ
)
って、
泣
(
ない
)
ていました。すると
鳥
(
とり
)
が
飛
(
と
)
んで
来
(
き
)
て、
家根
(
やね
)
の
上
(
うえ
)
へ
棲
(
とま
)
った。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
「あっ、畜生、こいつア
不可
(
いけ
)
ねえ。あべこべに
先方
(
むこう
)
が水遁の術だ。……中止々々! 水鉄砲は中止。……さてこれからどうしたものだ。ともあれ
家根
(
やね
)
から飛び下りるとしよう」
柳営秘録かつえ蔵
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
台所の
廂
(
ひさし
)
から
家根
(
やね
)
に飛び上がる方、家根の
天辺
(
てっぺん
)
にある
梅花形
(
ばいかがた
)
の
瓦
(
かわら
)
の上に四本足で立つ術、
物干竿
(
ものほしざお
)
を渡る事——これはとうてい成功しない、竹がつるつる
滑
(
す
)
べって爪が立たない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
家根
(
やね
)
の上に
葮簀
(
よしず
)
が掛って居て、其処に看板が出てあったよ、癪だの寸白
疝気
(
せんき
)
なぞに利く
何
(
なん
)
とか云う丸薬で、
*
黒丸子
(
くろがんじ
)
の様なもので苦い薬で、だらすけみたいなもので、癪には能く利くよ、お前ねえ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
水は崖の下に
咽
(
むせ
)
んでいた。水色の夜の空は、白い建物の間から
露
(
あらわ
)
れ出て、星は
穿
(
うが
)
たれた河原の小石のように散っている。瓦や亜鉛の
家根
(
やね
)
の上を月の光りが白く照した。
薔薇と巫女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
康煕
(
こうき
)
年間のある秋に
霖雨
(
ながあめ
)
が降りつづいて、公の祠の
家根
(
やね
)
からおびただしい雨漏りがしたので、そこら一面に
湿
(
ぬ
)
れてしまったが、不思議に公の像はちっとも湿れていない。
中国怪奇小説集:15 池北偶談(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
夫婦
(
ふうふ
)
は
相談
(
さうだん
)
して、
雨
(
あめ
)
が
晴
(
は
)
れ
次第
(
しだい
)
、
家根
(
やね
)
を
繕
(
つくろ
)
つて
貰
(
もら
)
ふ
樣
(
やう
)
に
家主
(
やぬし
)
へ
掛
(
か
)
け
合
(
あ
)
ふ
事
(
こと
)
にした。けれども
靴
(
くつ
)
の
方
(
はう
)
は
何
(
なん
)
とも
仕樣
(
しやう
)
がなかつた。
宗助
(
そうすけ
)
はきしんで
這入
(
はい
)
らないのを
無理
(
むり
)
に
穿
(
は
)
いて
出
(
で
)
て
行
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「えい!」と突き出す大身の槍、それを外して鼠小僧、パッと
家根
(
やね
)
へ飛び移った。
善悪両面鼠小僧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
或
(
ある
)
時亥太郎が
門跡様
(
もんぜきさま
)
の
家根
(
やね
)
を
修復
(
しゅふく
)
していると
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一人は
其処
(
そこ
)
へ行って火を焚き始めた。青い
烟
(
けむり
)
が上った。また彼方に黒い
家根
(
やね
)
の
頂
(
いただき
)
が見えている。何か小屋があるらしい。
此処
(
ここ
)
の小屋は山漆を
掻
(
か
)
いて黒土と砂利で固めたのだ。
捕われ人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
S旅館もかなりの損害で、庭木はみんな根こぎにされる、塀を吹き倒される、
家根
(
やね
)
を吹きめくられるという始末。それでも、表の店の方は、建物が古いだけに破損が少ない。
怪獣
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一所
(
いつしよ
)
に
降
(
お
)
りた
人
(
ひと
)
は、
皆
(
みん
)
な
離
(
はな
)
れ/″\になつて、
事
(
こと
)
あり
氣
(
げ
)
に
忙
(
いそ
)
がしく
歩
(
ある
)
いて
行
(
ゆ
)
く。
町
(
まち
)
のはづれを
見
(
み
)
ると、
左右
(
さいう
)
の
家
(
いへ
)
の
軒
(
のき
)
から
家根
(
やね
)
へかけて、
仄白
(
ほのしろ
)
い
烟
(
けむ
)
りが
大氣
(
たいき
)
の
中
(
なか
)
に
動
(
うご
)
いてゐる
樣
(
やう
)
に
見
(
み
)
える。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
家根
(
やね
)
の瓦の見えるのが、全体の風致を害していて、欠点といえば欠点とも云えた。
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
町から少し
離
(
はなれ
)
て
家根
(
やね
)
が
処々
(
ところどころ
)
に見える村だ。空は暗く曇っていた。お
島
(
しま
)
という病婦が織っている
機
(
はた
)
の音が聞える。その家の前に鮮かな
紫陽花
(
あじさい
)
が咲いていて、小さな低い窓が見える。
櫛
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
家屋を撃ちこわす場合は、
家根
(
やね
)
を打ち破るばかりで、地を傷めないのが普通である。
中国怪奇小説集:17 閲微草堂筆記(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかし用木は頑丈で、それが時代を
食
(
は
)
んでいる為か、鉄のような色を呈してい、瓦
家根
(
やね
)
が深く垂れ下り、その家屋も黒く錆ていた。だから巨大な蝙蝠が、翼をひろげているようである。
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
木賊葺
(
とくさぶき
)
の厚板が左右から内輪にうねって、
大
(
だい
)
なる両の翼を、
険
(
けわ
)
しき一本の
背筋
(
せすじ
)
にあつめたる上に、今一つ小さき
家根
(
やね
)
が小さき翼を
伸
(
の
)
して乗っかっている。
風抜
(
かざぬ
)
きか明り取りかと思われる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
藁屋
(
わらや
)
の、今迄、圃の繁りや、木の枝に隠れて見えなかったのが、急に圃も、森も、裸となって、灰色の
家根
(
やね
)
が現われ、その家の前で物を乾したり、働いている人の姿などが見えた。
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
何という古風な社だろう! その様式は
神明造
(
しんめいづくり
)
、
千木
(
ちぎ
)
が左右に付いている。正面中央に階段がある。その階段を蔽うようにして、
檜皮葺
(
ひはだぶき
)
の
家根
(
やね
)
が下っている。すなわち
平入
(
ひらいり
)
の様式である。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いっしょに降りた人は、
皆
(
みん
)
な離れ離れになって、事あり気に忙がしく歩いて行く。町のはずれを見ると、左右の家の軒から
家根
(
やね
)
へかけて、
仄白
(
ほのしろ
)
い煙りが大気の中に動いているように見える。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから一年あまりの後、職人を呼んで
家根
(
やね
)
のつくろいをさせると、瓦のあいだから何か堅い物が地に落ちた。よく見ると、それは
曩
(
さき
)
に紛失したかの箆であった。つづいて
枯
(
ひか
)
らびた骨があらわれた。
中国怪奇小説集:13 輟耕録(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
小舎
(
こや
)
は山の上にあった。幾年か雨風に打たれたので、
壁板
(
したみ
)
には穴が明き、窓は壊れて、赤い壁の地膚が
露
(
あら
)
われて、
家根
(
やね
)
は灰色に板が朽ちて
処々
(
ところどころ
)
に
莚
(
むしろ
)
を
掩
(
かぶ
)
せて、その上に石が載せられてあった。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
根
常用漢字
小3
部首:⽊
10画
“家根”で始まる語句
家根屋
家根板
家根瓦
家根船