トップ
>
唐突
>
だしぬけ
ふりがな文庫
“
唐突
(
だしぬけ
)” の例文
『だつて引越し方があんまり
唐突
(
だしぬけ
)
だからさ。』と言つて、銀之助は気を変へて、『しかし、寺の方が反つて勉強は出来るだらう。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
とまた言い掛けたが、
青芒
(
あおすすき
)
が川のへりに、雑木
一叢
(
ひとむら
)
、畑の前を背
屈
(
かが
)
み通る
真中
(
まんなか
)
あたり、野末の
靄
(
もや
)
を一
呼吸
(
いき
)
に吸込んだかと、宰八
唐突
(
だしぬけ
)
に
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どうも苦しくて死にそうでしたよ。」と
唐突
(
だしぬけ
)
にいって、私は出来るだけ婆さんを驚かして、今少し複雑な情味ある話を聞きたいと思った。
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
繰返して申すと、竹やは台所で蝋燭を探してい、私は、電話でじれっぽくなっていた時、暗がりの中で、
唐突
(
だしぬけ
)
にピストルの音がしたのです。
偽悪病患者
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
自分が
唐突
(
だしぬけ
)
に前後不揃いの言葉で頼んだのを、娘が継ぎ足して、始終を話して、「お気の毒だが見て来て」と丁寧に頼んだ。
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
▼ もっと見る
が、彼はあまりに触れられたくない急所に、相手が
唐突
(
だしぬけ
)
に触れてきたことに、かなりな不快を感ぜずにはおられなかった。
蘭学事始
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
アコ長は、真顔になって、長い顎を撫でながら、とほんとなにかかんがえていたが、そのうちに、れいによって
唐突
(
だしぬけ
)
に
顎十郎捕物帳:22 小鰭の鮨
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
すると、
唐突
(
だしぬけ
)
に夕立がざつと
降
(
おろ
)
して来た。八郎右衛門は羽織の事も光琳の事もすつかり忘れて、慌てて逃げ出して来た。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
唐突
(
だしぬけ
)
に、その家並の軒端と覚しきところから圧しつけるような声が懸かった。僕はその声に、飛びあがるほど驚いた。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは
勿論
(
もちろん
)
彼娘
(
あれ
)
だッて口へ出してこそ言わないが何んでも来年の春を楽しみにしているらしいから、今
唐突
(
だしぬけ
)
に免職になッたと聞いたら定めて落胆するだろう。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
わっと、血しおを浴びて
打
(
ぶ
)
っ
仆
(
たお
)
れたのは、伏原半蔵だった。
唐突
(
だしぬけ
)
に、仲間の者を討たれたので他の人々も
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところが、その中にお婆さんが、
唐突
(
だしぬけ
)
にゲラゲラ腹をかかえて笑い出すと、その菰をつい剥がしたの。
四月馬鹿
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
此處
(
こゝ
)
を
發見
(
みつけ
)
た
時
(
とき
)
、
僕
(
ぼく
)
は
思
(
おも
)
つた
此處
(
こゝ
)
で
釣
(
つ
)
るなら
釣
(
つ
)
れないでも
半日位
(
はんにちぐらゐ
)
は
辛棒
(
しんぼう
)
が
出來
(
でき
)
ると
思
(
おも
)
つた。
處
(
ところ
)
が
僕
(
ぼく
)
が
釣初
(
つりはじ
)
めると
間
(
ま
)
もなく
後背
(
うしろ
)
から『
釣
(
つ
)
れますか』と
唐突
(
だしぬけ
)
に
聲
(
こゑ
)
を
掛
(
か
)
けた
者
(
もの
)
がある。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
不作法
(
ぶさはふ
)
な
言辭
(
げんじ
)
に
麻痺
(
まひ
)
して
居
(
ゐ
)
る
彼等
(
かれら
)
はどうしたら
相互
(
さうご
)
に
感動
(
かんどう
)
を
與
(
あた
)
へ
得
(
う
)
るかと
苦心
(
くしん
)
しつゝあつたかと
思
(
おも
)
ふ
樣
(
やう
)
な
卑猥
(
ひわい
)
な一
句
(
く
)
が
唐突
(
だしぬけ
)
に
或
(
ある
)
一
人
(
にん
)
の
口
(
くち
)
から
出
(
で
)
ると
他
(
た
)
の一
人
(
にん
)
が
又
(
また
)
それに
應
(
おう
)
じた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
中村
(
なかむら
)
さんと
唐突
(
だしぬけ
)
に
背中
(
せなか
)
たゝかれてオヤと
振
(
ふ
)
り
返
(
か
)
へれば
束髪
(
そくはつ
)
の一
群
(
むれ
)
何
(
なに
)
と
見
(
み
)
てかおむつましいことゝ
無遠慮
(
ぶゑんりよ
)
の一
言
(
ごん
)
たれが
花
(
はな
)
の
唇
(
くちびる
)
をもれし
詞
(
ことば
)
か
跡
(
あと
)
は
同音
(
どうおん
)
の
笑
(
わら
)
ひ
声
(
ごゑ
)
夜風
(
よかぜ
)
に
残
(
のこ
)
して
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
くを
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
詩人と令嬢との恋愛をはぶき、
唐突
(
だしぬけ
)
に結婚を持ち出して来たのは、ツムジ曲がりのチェスタアトンらしく、私にはひどく愉快でしたが、恋愛好きの読者には
或
(
あるい
)
は不満かもしれません。
孔雀の樹に就いて
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
といったばかりではいかにも
唐突
(
だしぬけ
)
だが、井戸の下に広がっている
茫漠
(
ぼうばく
)
たる大広間だ。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と話をして居ますと、
唐突
(
だしぬけ
)
に隔ての襖をガラリ引開け這入って来たは大きな男で
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
唐突
(
だしぬけ
)
のようだが、これはもう長い問題である。折角里で架設してくれるという電話が、清之介君の固い辞退の為め、まだそのまゝになっているので、妙子さんが始終ヤキモキするのだった。
女婿
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
自分は餘りに
唐突
(
だしぬけ
)
な話題の變轉に唯だ首を
頷付
(
うなづか
)
せたまゝ高佐君の顏を見た。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「さやう。」劉は、あまり問が
唐突
(
だしぬけ
)
なので、曖昧な返事をしながら、救を求めるやうに、孫先生の方を見た。孫先生は、すまして、独りで、盤面に石を下してゐる。まるで、取り合ふ容子はない。
酒虫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
こんな風に
唐突
(
だしぬけ
)
に知りあうようになって、しかし互いの性質も境遇も知るまもなく、いきなり
狂
(
きちが
)
いじみた恋人同士になった過程について、世間の人は、この上なく妾たちを軽蔑し、それは、妾たちが
華やかな罪過
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
此
(
この
)
国には午前午後の区別が無いと
予
(
かね
)
てベデカア氏に注意せられて居たのだが余り
唐突
(
だしぬけ
)
なので弱つた。見れば頭上の時計迄が二十四時間で書かれて居るのである。其れから僕の時計を五十五分進ませた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
松本は余り
唐突
(
だしぬけ
)
なので
些
(
いさゝ
)
か面喰っている検事に向って云った。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
唐突
(
だしぬけ
)
な平次の言葉に、治兵衛はのけ
反
(
ぞ
)
らんばかり。
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
明智は余り
唐突
(
だしぬけ
)
の話なので、面喰って聞返した。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「あんまり、
唐突
(
だしぬけ
)
な話で訳がわからんが」
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
成程——斯んなに可笑しい話といふものは稀にしか無い! 斯んなにも笑ひたくて噴き出したくてヂリヂリ込み上げて来て一寸でも圧してみたなら一つぺんに爆発しさうな可笑しさつたら無い! 駄夫は又堪まりかねて
唐突
(
だしぬけ
)
に笑ひ転げて了つたのである。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「だって、何をッて、お前さん、どこか、お茶屋か、待合からかけてくれれば可いじゃありませんか、
唐突
(
だしぬけ
)
に内へなんぞ来るんだもの。」
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「妙なものだテ」とお種は思出したように、「旦那が未だ
郷里
(
くに
)
の方に居る時分——まあ、
唐突
(
だしぬけ
)
と言っても唐突に、ふいとこんなことを言出した。 ...
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と、こんな風なことをブツブツ呟いていたが、またしても首を垂れ、千思万思といった体に呻吟していたが、ややしばらくののち
唐突
(
だしぬけ
)
に顔をあげ
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それを聞いて、僕は口の裡で、「
呀
(
あ
)
ッ——」と叫んだ。一つは
唐突
(
だしぬけ
)
に僕の名前を呼ばれたのにも驚いた。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
青年の問は、美奈子が何と答へてよいか分らないほど、
唐突
(
だしぬけ
)
だつた。彼女は、一寸
答
(
こたへ
)
に窮した。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
や負けた、娘が先へ走り寄ッた。
唐突
(
だしぬけ
)
に娘があれエと叫んだ、自分は思わずびッくりした,見れば、もウ自分の傍にいた、真青になッて、胸を波立たせて、向うの
叢
(
くさむら
)
を一心に見て。
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
「おつう」と
唐突
(
だしぬけ
)
に
喚
(
よ
)
んだ。
彼
(
かれ
)
は
勢
(
いきほ
)
ひよく
喚
(
よ
)
んで
見
(
み
)
て
自分
(
じぶん
)
で
拍子拔
(
ひやうしぬけ
)
した
樣
(
やう
)
にして
居
(
ゐ
)
たが
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
女は幾らか
落
(
おち
)
ついて言つた。そしてかうして
唐突
(
だしぬけ
)
に訪ねて来た一部始終を話した。それによると、女は長い事胃腸病で困つてゐたが、ある
夜
(
よ
)
の夢に若い男が来てお
腹
(
なか
)
を
撫
(
さす
)
つて呉れた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と話をして居ると、
唐突
(
だしぬけ
)
に一人の
老爺
(
おやじ
)
が
後
(
うしろ
)
の襖を開けて這入って参りまして
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
だいぶ、
間
(
ま
)
を
措
(
お
)
いてから、やはり不安でならないように、兵部は
唐突
(
だしぬけ
)
に
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と団さんが
稍〻
(
やや
)
唐突
(
だしぬけ
)
にお父さんのネクタイのピンを問題にした。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
一体、
何家
(
どこ
)
を捜す? いやさ捜さずともだが、仮にだ。いやさ、
七
(
しち
)
くどう云う事はない、何で俺が門を
窺
(
うかご
)
うた。
唐突
(
だしぬけ
)
に窓を
覗
(
のぞ
)
いたんだい。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こういう深刻な
無言劇
(
パントミイム
)
が永久に続くかと思われたころ、印東はひきつったような笑い方をしながら
唐突
(
だしぬけ
)
に口を開き
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
其時迄、黙つて二人の
談話
(
はなし
)
を聞いて、巻煙草ばかり
燻
(
ふか
)
して居た準教員は、
唐突
(
だしぬけ
)
に
斯様
(
こん
)
なことを言出した。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
それは、
先刻
(
さっき
)
狼狽して釜場の方へ飛んで行った湯屋の女房であった。彼女は、
覗
(
のぞ
)
き
穴
(
あな
)
へ当てた片眼の前で、余りにも
唐突
(
だしぬけ
)
に職人の一人が声を発したので
吃驚
(
びっくり
)
したのである。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
青年の問は、美奈子が何と答えてよいか分らないほど、
唐突
(
だしぬけ
)
だった。彼女は、
一寸
(
ちょっと
)
答に窮した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
こゝまで
喋舌
(
しやべ
)
つて来ると、喜劇役者は
唐突
(
だしぬけ
)
にぼろぼろ涙を流して泣き出した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
孝「何をいうのだ、
唐突
(
だしぬけ
)
に、貴様と喧嘩する事は何もねえ」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
夢中になった
渠等
(
かれら
)
の
傍
(
そば
)
で、駅員が一名、
密
(
そっ
)
と寄って、中にもめ組の横腹の
辺
(
あたり
)
で
唐突
(
だしぬけ
)
に、がんからん、がんからん、がんからん。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
唐突
(
だしぬけ
)
に
背後
(
うしろ
)
から声を掛けた人がある。思はず丑松は顔色を変へた。見れば校長で、何か
穿鑿
(
さぐり
)
を入れるやうな目付して、何時の間にか腰掛のところへ来て
佇立
(
たゝず
)
んで居た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
この場の
唐突
(
だしぬけ
)
な乱闘に、プールから飛びあがって呆然としていた入浴客は、ここに始めて、目の前の活劇が、いま全市を
震駭
(
しんがい
)
させている稀代の怪魔蠅男の捕物であったと知って
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
唐突
(
だしぬけ
)
にこちらへ向きなおると、なんとも形容のつかぬ愁然たる面もちで
黒い手帳
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
“唐突”の意味
《名詞》
唐突(とうとつ)
出し抜け。突然。
(出典:Wiktionary)
唐
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
突
常用漢字
中学
部首:⽳
8画
“唐”で始まる語句
唐
唐紙
唐土
唐桟
唐櫃
唐草
唐辛子
唐人
唐黍
唐縮緬