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一思
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ひとおも
ふりがな文庫
“
一思
(
ひとおも
)” の例文
「私は持病が起るとこれを飲むと骨節の痛むのが
止
(
とま
)
る。これは病院にいる人がくれた毒薬じゃ。これを飲めば
一思
(
ひとおも
)
いに楽になるからそうなさい。」
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その絶頂に立っておりました棒切れと、その
尖端
(
さき
)
に結びつけてあるヤシの枯れ葉を、
一思
(
ひとおも
)
いに引きたおして、眼の下はるかの淵に投げ込んでしまいました。
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お
前
(
まへ
)
さん、お
正月
(
しやうぐわつ
)
から
唄
(
うた
)
に
謠
(
うた
)
つて
居
(
ゐ
)
るんぢやありませんか。——
一層
(
いつそ
)
一思
(
ひとおも
)
ひに
大阪
(
おほさか
)
へ
行
(
い
)
つて、
矢太
(
やた
)
さんや、
源太
(
げんた
)
さんに
逢
(
あ
)
つて、
我儘
(
わがまゝ
)
を
言
(
い
)
つていらつしやいな。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
こりゃア
迚
(
とて
)
も生きている事は出来ないて、面目ないから
寧
(
いっ
)
そ
一思
(
ひとおも
)
いに死ぬより外に仕方がない、寧そのこと身を投げようか、いや己は身を投げても死ねゝえや
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「だけど今じゃもう別れたくっても別れられない
破目
(
はめ
)
になっている。こんなことだったら、いつか別れかけたときに
一思
(
ひとおも
)
いに思い切ってしまえばよかった……」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
▼ もっと見る
私はそれまで
躊躇
(
ちゅうちょ
)
していた自分の心を、
一思
(
ひとおも
)
いに相手の胸へ
擲
(
たた
)
き付けようかと考え出しました。私の相手というのはお嬢さんではありません、奥さんの事です。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
如何
(
いか
)
に
卑
(
いや
)
しうても
大事
(
だいじ
)
ない、
一思
(
ひとおも
)
ひに
死
(
し
)
ぬ
法
(
はふ
)
は
無
(
な
)
いか?……「
追放
(
つゐはう
)
」……「
追放
(
つゐはう
)
」で
殺
(
ころ
)
さるゝのは
俺
(
おれ
)
ゃ
否
(
いや
)
ぢゃ! おゝ、
御坊
(
ごばう
)
よ、
追放
(
つゐはう
)
とは
墮獄
(
だごく
)
の
輩
(
やから
)
が
用
(
もち
)
ふる
語
(
ことば
)
、
唸
(
うな
)
り
聲
(
ごゑ
)
が
附物
(
つきもの
)
。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
私事
(
わたくしこと
)
其節
(
そのせつ
)
一思
(
ひとおも
)
ひに不法の事を申掛け、
愛想
(
あいそ
)
を尽され候やうに致し、離縁の
沙汰
(
さた
)
にも
相成候
(
あひなりさふら
)
はば、誠に此上無き
幸
(
さいはひ
)
と
存付
(
ぞんじつ
)
き候へども、
此姑
(
このしうとめ
)
と
申候人
(
まをしさふらふひと
)
は、評判の心掛善き御方にて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
然
(
しか
)
も
一思
(
ひとおも
)
いに
潔
(
いさぎよ
)
く殺され滅されてしまうのではなく、新時代の色々な野心家の
汚
(
きたな
)
らしい手にいじくり廻されて、散々
慰
(
なぐさ
)
まれ
辱
(
はずか
)
しめられた
揚句
(
あげく
)
、
嬲
(
なぶ
)
り殺しにされてしまう
傷
(
いたま
)
しい運命。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
女の
艶
(
なま
)
めかしい笑顔があった。讓は今
一思
(
ひとおも
)
いに出ないとまた
暫
(
しばら
)
く出られないと思った。
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
もうかうなつた
上
(
うへ
)
は、あなたと
御
(
ご
)
一しよには
居
(
を
)
られません。わたしは
一思
(
ひとおも
)
ひに
死
(
し
)
ぬ
覺悟
(
かくご
)
です。しかし、——しかしあなたもお
死
(
し
)
になすつて
下
(
くだ
)
さい。あなたはわたしの
恥
(
はぢ
)
を
御覽
(
ごらん
)
になりました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それが出来ないような意気地なしなら、首でも
縊
(
くく
)
って
一思
(
ひとおも
)
いに死んでしまえ
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
力
(
ちから
)
を
傾
(
かたむ
)
け
尽
(
つく
)
さぬうち、
予
(
あらかじ
)
め
其
(
そ
)
の
欠点
(
けつてん
)
を
指示
(
さししめ
)
して
一思
(
ひとおも
)
ひに
未練
(
みれん
)
を
棄
(
す
)
てさせたは、
寧
(
むし
)
ろ
尠
(
すくな
)
からぬ
慈悲
(
じひ
)
である……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
小鳥
(
ことり
)
は、ただ
一思
(
ひとおも
)
いに、ゆけるところまで
飛
(
と
)
ぼうと
思
(
おも
)
ったのでありましたが、いまは
疲
(
つか
)
れて、どこかに
降
(
お
)
りて、すこしの
間
(
あいだ
)
休
(
やす
)
まなければならなかったのであります。
小さな金色の翼
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
何卒
(
どうぞ
)
お見逃し下さい、親共は堅い気性でございまして、此の儘帰れば手打に相成ります、それも
厭
(
いと
)
いませんが
却
(
かえ
)
って
憖
(
なまじ
)
い立腹をさせるよりは今
一思
(
ひとおも
)
いに死んだ方が宜いと存じますから……
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
裂
(
さ
)
けよ!
此
(
この
)
胸
(
むね
)
よ!
破産
(
はさん
)
した
不幸
(
みじめ
)
な
心
(
こゝろ
)
よ、
一思
(
ひとおも
)
ひに
裂
(
さ
)
けてしまうてくれい!
目
(
め
)
も
此上
(
このうへ
)
は
牢
(
らう
)
へ
入
(
はひ
)
れ、もう
自由
(
じいう
)
を
見
(
み
)
るな!
穢
(
けがらは
)
しい
塵芥
(
ちりあくた
)
め、
元
(
もと
)
の
土塊
(
つちくれ
)
へ
歸
(
かへ
)
りをれ、
活
(
い
)
きて
働
(
はたら
)
くには
及
(
およ
)
ばぬわい
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
もし『幸福』を掴まえる気ならば、
一思
(
ひとおも
)
いに木馬を飛び下りるが
好
(
よ
)
い。——いわば小えんも一思いに、実生活の木馬を飛び下りたんだ。この猛烈な歓喜や苦痛は、若槻如き通人の知る所じゃない。
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ただ
今
(
いま
)
までのように穴の掃除ばかりしていては駄目なんです。それじゃいつまで
経
(
た
)
っても肉の
上
(
あが
)
りこはないから、今度は治療法を変えて根本的の手術を
一思
(
ひとおも
)
いにやるよりほかに仕方がありませんね」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
嬲
(
なぶ
)
るな。
人
(
ひと
)
が
生死
(
いきしに
)
の
間
(
あひだ
)
に
彷徨
(
さまよ
)
ふ
処
(
ところ
)
を、
玩弄
(
おもちや
)
にするのは
残酷
(
ざんこく
)
だ。
貴様
(
きさま
)
たちにも
釘
(
くぎ
)
の
折
(
をれ
)
ほど
情
(
なさけ
)
が
有
(
あ
)
るなら、
一思
(
ひとおも
)
ひに
殺
(
ころ
)
して
了
(
しま
)
へ。さあ、
引裂
(
ひきさ
)
け、
片手
(
かたて
)
を
捥
(
も
)
げ……」とはたと
睨
(
にら
)
む。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
馬
(
うま
)
は、ほんとうにそうかと
思
(
おも
)
いました。そして、
一思
(
ひとおも
)
いに
海
(
うみ
)
を
飛
(
と
)
び
越
(
こ
)
そうとはね
上
(
あ
)
がりました。けれど、二
間
(
けん
)
とは
飛
(
と
)
べず、
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
に
落
(
お
)
ちて
死
(
し
)
んでしまいました。これを
見
(
み
)
たからすは
馬を殺したからす
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
が、
大牛
(
おほうし
)
が
居
(
ゐ
)
る、
妻
(
つま
)
の
囚
(
とら
)
はれた
魔
(
ま
)
の
城
(
しろ
)
である……よし
其
(
それ
)
が
天狗
(
てんぐ
)
でも、
気
(
き
)
を
散
(
ち
)
らす
処
(
ところ
)
でない。
爰
(
こゝ
)
に
一刀
(
いつたう
)
を
下
(
お
)
ろすは、
彼
(
かれ
)
を
救
(
すく
)
ふ
一歩
(
いつぽ
)
である、と
爽
(
さはや
)
かに
木削
(
きくづ
)
を
散
(
ち
)
らして
一思
(
ひとおも
)
ひに
刻
(
きざみ
)
果
(
は
)
てた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
近
(
ちか
)
づいて
見
(
み
)
れば、
見
(
み
)
るほど、
美
(
うつく
)
しい
鳥
(
とり
)
でした。どうしたら、
捕
(
つか
)
まえられるかと
考
(
かんが
)
えていましたが、
一思
(
ひとおも
)
いに、
捕
(
つか
)
まえるよりしかたがないと、ねらいを
定
(
さだ
)
めた
刹那
(
せつな
)
、
鳥
(
とり
)
は、
飛
(
と
)
び
立
(
た
)
ったのです。
二人の軽業師
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「
然
(
さ
)
うだ。
一思
(
ひとおも
)
ひに
短銃
(
ピストル
)
だ。」
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
思
常用漢字
小2
部首:⼼
9画
“一思”で始まる語句
一思案
一思庵