“賜物:たまもの” の例文
“賜物:たまもの”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治6
中里介山5
岡本綺堂4
永井荷風2
泉鏡花2
“賜物:たまもの”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 工芸 > 工芸25.0%
芸術・美術 > 音楽 > 音楽史 各国の音楽20.0%
哲学 > 倫理学・道徳 > 人生訓・教訓12.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
これは一つは、与八が道庵先生に親炙しんしゃしている機会に、見よう見まねに習得した賜物たまものと見なければなりません。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
何事も豊後介ぶんごのすけの至誠の賜物たまものであることを玉鬘も認めていたし、右近もそう言って豊後介をめた。
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それを、今日あらしめたのは、まったく長直公の努力と、常陸から移住して来たわれわれ祖先の艱苦かんく賜物たまものなのじゃ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「僕に云わせると、これも余裕の賜物たまものだ。僕は君と違ってくまでもこの余裕に感謝しなければならないんだ」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
藤枝五百石のお家は、その鎧と太刀さきの賜物たまものであるということをお忘れなされたかと、彼は叱るように言った。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彼女を、純真な女性であると信じていた自分は、そうした賜物たまものを、どんなによろこんだかも知れなかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ああら有難ありがたし、これも腹式呼吸のおかげ、強健術実行の賜物たまものぞと、勇気日頃に百倍し、半身裸体に雨を浴びてぞ突進する。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
リストのピアニストとしての鬼神的な技巧は、良師チェルニーの賜物たまものであったことは言うまでもない。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
咲子は母方の遠縁に當つてゐる未知の女であつたに拘らず、二歳年上であることが母性愛を知らない圭一郎には全く天の賜物たまものとまで考へられた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
この御警策の賜物たまものでございませう、わたくし風情ふぜいの眼にも、東福寺の学風は京の中でも一段と立勝たちまさつて見えたのでございます。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
三吉がこの山の中で書いたものは——達雄夫婦の賜物たまもののように——手荷物の中に納めてあった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それがためとにはあらざるべけれど、それよりは漸次ぜんじ快方におもむきければ、ひとえに神の賜物たまものなりとて、夫婦とも感謝の意を表し
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
この御警策の賜物たまものでございましょう、わたくし風情ふぜいの眼にも、東福寺の学風は京の中でも一段と立勝たちまさって見えたのでございます。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
まあ待ち給え、君は、第一次の長州征伐の成功成功と言いたがるが、あれは尾張藩の功ではないよ、薩摩の西郷が、中に立って斡旋尽力した賜物たまものである。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
だから、あれからこっち——今日までの生命というものは、全くこの先生の賜物たまものなんだ。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ワーニャ この土地の借金がきれいに片づいて、おまけにちゃんとここまで、無事に持ってこれたのは、ひとえにこの僕という人間一個の努力の賜物たまものなんだ。
大勢の人々は、こんな有り難い賜物たまものいただかぬとは、何という馬鹿であろう。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
今日君よりの賜物たまものを、今宵こよい我が家に持ち行きて、飢えたる婆を悦ばせん。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その幸運のなかばはブラームスのおかげであったにしても、結局はドヴォルシャークの長い努力の賜物たまもので、まことに見事な大器晩成ぶりであったと言ってよい。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
試みにたもとを探りて、悪僕より奪い置きたる鍵をむれば、きしと合いたる天の賜物たまもの、「占めた。」とじればひらくにぞ、得たりと内へ忍び入りぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「なまいきなことをほざく下郎げろうだ、汝らがこのご城下で安穏あんのんにくらしていられるのは、みなわれわれが敵国と戦っている賜物たまものだぞ。ばちあたりめ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何故二人の肉慾の結果を天からの賜物たまもののように思わねばならぬのか。
小さき者へ (新字新仮名) / 有島武郎(著)
偶然ではあったがかねて用意もされていたほど適当な賜物たまものであった。
源氏物語:24 胡蝶 (新字新仮名) / 紫式部(著)
出水のうれいが無い此村も、雹の賜物たまものは折々受けねばならぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
少しばかりの余裕が心の中にもたらした賜物たまものといっても好い。
どうしてそれが藝術家たちのあの感興の賜物たまものであり得よう。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
美食と運動との賜物たまものによって、彼の腕力は強かった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それは、無性ぶしょうをしないで、書く前に地理を踏んだ天恵てんけい賜物たまものだと思った。机のうえの構想ではえがけない想像が、しかもかなり自信をもって胸に描けてくるのだった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一、一粒の米を大切にせよ。血と汗の賜物たまものなり。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
別段に恥かしい思いなんぞはなく進入することのできたのも、この臨時の仮装の賜物たまもの、なるほど、自分同様の装束をした近在山里の女連が、ずいぶんこの中にいますから、心強いようなものです。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
秀忠からは、いろいろな心入れの賜物たまものがあった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゆえに富貴ふうき必ずしも不正ならず、子夏が「富貴ふうきてんに在り」と言ったのは、意味の取りようによって富貴必ずしもあくと言えず、むしろてん賜物たまものという意に取れる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「はい。……ではこの賜物たまもの、戴いて参ります」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その周囲に構成される賜物たまものほかならぬ。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
わたしは愉快にそれを聴いた。わたしもそれを待っているのである。少年時代のむかしにかえって、春を待つという若やいだ心がわたしの胸に浮き立った。幸か不幸か、これも震災の賜物たまものである。
十番雑記 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今は紳商とて世に知られたるかの山木ごときもこの賜物たまもの頂戴ちょうだいして痛み入りしこともたびたびなりけるが、何これしきの下され物、もうけさして賜わると思えば、なあにやすい所得税だ
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
晩秋の夕陽ゆうひを浴びつつ高田の馬場なる黄葉こうようの林に彷徨さまよい、あるいは晴れたる冬の朝青山の原頭げんとうに雪の富士を望むが如きは、これ皆俗中の俗たる陸軍の賜物たまものではないか。
二百年の太平は徳川幕府の賜物たまものなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ことごとくが天然の賜物たまものである。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「丞相の賜物たまもの、謹んで拝謝し奉る」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
科学知識のたっとい賜物たまもの
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それは皆王妃の賜物たまものであった。
織成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
君公くんこう賜物たまもののほうをはるかに重しとすべき議論も一通り立つから、僕とてもあながち絶対的に君公くんこう拝領物はいりょうぶつ家来けらいいのちより軽いと一般にいう訳ではないけれども
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
考えると民藝館の成立も、雑誌『工藝』の実現も、一切私なき友情の賜物たまものでないものはなく、報酬を求める行為からは決して生れて来ない出来事で、私はいつも友達に恵まれている私の幸福な経歴に感謝しない時はない。
この五ヶ年という長い間、ただ一機で大宇宙を突破して本隊に追いついた、ということは、司令艇クロガネ号にある大竹中将の指揮と、アシビキ号の辻中佐との一糸いっし乱れぬぴったりと呼吸いきの合った賜物たまものだった。
大宇宙遠征隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「あんたには何でもないつて? 若くて、生命せいめいと健康に滿ちた、美しくて人を惹きつける、地位と財産といふ賜物たまものを與へられてゐる貴婦人が一人の紳士の前に掛けて微笑ほゝゑんでゐる、その紳士をあんたは——」
彼が、細川家から与えられた千葉城址の屋敷で、静かな冬の日の陽を南縁に受けて安らいでいる姿には、身に浴びているその太陽の光までが、忠利の賜物たまものとして、温かく、体から心にみ入っていたであろうように察しられるのである。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と言って、わたし自身も、またわたしの一家も、直接に鳥屋の熊吉氏と何の交渉を有していたのではないが、劇というものに対して少年時代のわたしの知識欲を満足させてくれたのは、かの鳥熊氏の賜物たまものであることを感謝しなければならない。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
食道楽会の来賓らいひんは中川の説明を聞きつつ中庭の料理場を眺めて実地の模様を目撃せしが誰もな料理熱心なる連中とて心に発明する処すくなからず、これこそ誠に食道楽会の賜物たまものなれと人々たがいよろこえり。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
相撲すもうの手を習っても、実際力のないものは駄目だろう。そんな形式に拘泥こうでいしないでも、実力さえたしかに持っていればその方がきっと勝つ。勝つのは当り前さ。四十八手は人間の小刀細工だ。膂力りょりょくは自然の賜物たまものだ。……」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分は今日になっても大川の流のどのへんが最も浅くどの辺が最も深く、そして上汐あげしお下汐ひきしおの潮流がどの辺において最も急激であるかを、もし質問する人でもあったら一々明細に説明する事の出来るのは皆当時の経験の賜物たまものである。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
菓子の色、紙の白きさえ、ソレかと見ゆるに、仰げば節穴かと思うあかりもなく、その上、座敷から、し入るような、透間すきますこしもないのであるから、驚いて、ハタと夫人の賜物たまものを落して、その手でじっとまなこおおうた。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その時に私は頗る御同感だと答えましたが、そもそもこの日本の今日までの教は学校で児童に吹き込んだ精神だといって教育家が自認している、今度の戦争に勝ったのは教育家の賜物たまものであるなどとめられるけれども果してそうであろうか、私はチト怪しく思っている。
教育家の教育 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
東京市内に生まれて、東京市内に生活して、郊外というところは友人の家をたずねるか、あるいは春秋の天気のよい日に散歩にでも出かける所であると思っていた者が、はからずも郊外生活一年の経験を積むことを得たのは、これも震災の賜物たまものと云っていいかも知れない。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
我等女性が忘れてならないこの后からの賜物たまものは、長い間の習わしで、女性の心が盲目であったのに目を開かせ、心の眠っていたものに夢をさまさせ、女というもの自身のもつ美果を、自ら耕し養えとの御教えと、美術、文芸を、かくまで盛んに導かせたまいしおんことである。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
百カ日の参籠ということによって、かろうじて恵まれた肉眼の微光は、その間、やむことを得ずしてさせられた精進潔斎しょうじんけっさい賜物たまものであるとわかっているならば、再び人間の肉と血を見ることによって、もとの無明むみょうの闇に帰りたくはなかろう。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
生籬の萩が葉を見て花を見てあとはられて萩籬の料になったり、林の散歩にぬいて来て捨植すてうえにして置いた芽生の山椒が一年中の薬味やくみになったり、構わずに置く孟宗竹のたけのこが汁の実になったり、杉籬のはさみすてが焚附たきつけになり、落葉の掃き寄せが腐って肥料になるも、皆時の賜物たまものである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
これはジッド先生の賜物たまものです。私はアフリカでの思ひ出が、果して先生にとつて愉快なものであるかどうか、疑問に思つてをりますので、巴里では一度も訪問を致しません。それに先生は今ではフランスの一方の代表的精神ですから。しかしそれでも、毎年の降誕祭ノエルには私たちは夫婦の名前で先生御夫妻にお祝状をさし上げてゐます。
亜剌比亜人エルアフイ (新字旧仮名) / 犬養健(著)
その時に呉青秀は、この未完成の絵巻物の一巻と、黛夫人の髪毛かみのけの中から出て来た貴妃の賜物たまもの夜光珠やこうじゅ……ダイヤだね……それから青琅玕せいろうかんの玉、水晶のくだなぞの数点を身に付けて、生命いのちからがら山林に紛れ込んだが、それから追捕を避けつつ千辛万苦する事数箇月、やっと一ヶ年振りの十一月の何日かに都に着くと蹌踉そうろうとして吾家わがやの門を潜った。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)