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譬
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たとへ
ふりがな文庫
“
譬
(
たとへ
)” の例文
世
(
よ
)
の
譬
(
たとへ
)
にも
天生峠
(
あまふたうげ
)
は
蒼空
(
あをぞら
)
に
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
るといふ
人
(
ひと
)
の
話
(
はなし
)
にも
神代
(
じんだい
)
から
杣
(
そま
)
が
手
(
て
)
を
入
(
い
)
れぬ
森
(
もり
)
があると
聞
(
き
)
いたのに、
今
(
いま
)
までは
余
(
あま
)
り
樹
(
き
)
がなさ
過
(
す
)
ぎた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
許され代々村長役たるべき旨
仰付
(
おほせつけ
)
られしかば
歡
(
よろこ
)
び物に
譬
(
たとへ
)
ん方なく三浦屋の主人并びに井戸源次郎を始め其事に
立障
(
たちさは
)
りし人々に
厚
(
あつ
)
く禮を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「そりや物の
譬
(
たとへ
)
だ。辻斬が怖いわけぢやありませんよ。
憚
(
はゞか
)
りながらこんなガン首に糸目はつけねエ、どこへでも出かけませう。さ、親分」
銭形平次捕物控:126 辻斬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此御歌は人の
強
(
し
)
ひたる物ほしみして身を亡すに
譬
(
たとへ
)
たまへるにや。此皇子の御歌にはさる心なるも又見ゆ。大友大津の皇子たちの御事などを
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
けれど其性質は悪くはない相で、子供などには中々優しくする様子であるから、何うだ、重右衛門、
姿色
(
みめ
)
よりも心と言ふ
譬
(
たとへ
)
もある、あれを貰ふ気は無いかと勧めた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
丁度 Mueller の書いたものに矢張同じやうな
譬
(
たとへ
)
があります。言語を河に譬へてあります。
仮名遣意見
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
借家
(
しやくや
)
を
貸
(
か
)
して
母屋
(
おもや
)
を取らるゝ
譬
(
たとへ
)
なるべし、とは
云
(
い
)
へ
是
(
これ
)
も
大江戸
(
おほえど
)
の
有
(
あり
)
がたき
恵
(
めぐ
)
みならずや。
落語の濫觴
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
譬
(
たとへ
)
にいふ
寝耳
(
ねみゝ
)
に水の
災難
(
さいなん
)
にあふ事、雪中の
洪水
(
こうずゐ
)
寒国の
艱難
(
かんなん
)
、
暖地
(
だんち
)
の人
憐
(
あはれみ
)
給へかし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
ヱズヰオの山の姿は
譬
(
たとへ
)
ば焔もて畫きたる松柏の大木の如し。直立せる火柱はその幹、火光を反射せる
殷紅
(
あんこう
)
なる雲の
一群
(
ひとむら
)
はその木の
巓
(
いたゞき
)
、谷々を流れ下る
熔巖
(
ラワ
)
はその
闊
(
ひろ
)
く張りたる根とやいふべき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
譬
(
たとへ
)
て
見
(
み
)
れば
彼等
(
かれら
)
は
狹
(
せば
)
いとはいひながら
跳
(
はね
)
ては
越
(
こ
)
せぬ
堀
(
ほり
)
を
隔
(
へだ
)
てゝ、
然
(
し
)
かも
繁茂
(
はんも
)
した
野茨
(
のばら
)
や
川楊
(
かはやなぎ
)
に
身
(
み
)
を
沒
(
ぼつ
)
しつゝ
女
(
をんな
)
の
軟
(
やはら
)
かい
手
(
て
)
を
執
(
と
)
らうとするのである。
其
(
そ
)
れは
到底
(
たうてい
)
相
(
あひ
)
觸
(
ふ
)
れることさへ
不可能
(
ふかのう
)
である。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
伯父
(
をぢ
)
は母親のやうに正面から
烈
(
はげ
)
しく反対を
称
(
とな
)
へはしなかつたけれど、聞いて
極楽
(
ごくらく
)
見て
地獄
(
ぢごく
)
の
譬
(
たとへ
)
を引き、
劇道
(
げきだう
)
の成功の困難、舞台の生活の苦痛、芸人社会の交際の
煩瑣
(
はんさ
)
な事なぞを
長々
(
なが/\
)
と語つた
後
(
のち
)
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
母はニツコリ笑つて、それは西洋風の
譬
(
たとへ
)
の言葉で、金といふものは大層貴い、
稀
(
ま
)
れなものだから、其場合が貴くつて
稀
(
まれ
)
な機会だといふ代りに黄金といふ重宝な一字で間に合せるのだとおいひでした。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
譬
(
たとへ
)
侍馬廻りと申ても銃にて働く者ハ、刀ハなくても可
レ
然存候。
手紙:042 慶応二年十二月四日 坂本権平、一同あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
女ごころの
譬
(
たとへ
)
にも
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
物の
譬
(
たとへ
)
ですよ、——あの内儀も大した年増だが、娘のお新はもつと綺麗ださうで、婿になる約束の巳之吉が、落目の坂田屋を
銭形平次捕物控:219 鐘の音
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ぞ頼みける
是
(
これ
)
陰徳
(
いんとく
)
あれば
陽報
(
やうはう
)
ありとの
譬
(
たとへ
)
の如く
此事
(
このこと
)
後年
(
こうねん
)
に至つて大岡殿の見出しに
預
(
あづ
)
かる一
端
(
たん
)
とはなりぬ
然
(
され
)
ば新藤夫婦は是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
軈
(
やが
)
て
又
(
また
)
例
(
れい
)
の
木
(
き
)
の
丸太
(
まるた
)
を
渡
(
わた
)
るのぢやが、
前刻
(
さつき
)
もいつた
通
(
とほり
)
草
(
くさ
)
のなかに
横倒
(
よこだふ
)
れになつて
居
(
ゐ
)
る、
木地
(
きぢ
)
が
恁
(
か
)
う
丁度
(
ちやうど
)
鱗
(
うろこ
)
のやうで
譬
(
たとへ
)
にも
能
(
よ
)
くいふが
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
は
蝮
(
うわばみ
)
に
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
るで。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
若
(
もし
)
譬
(
たとへ
)
を進めて、哲學は科學の親なるゆゑに、小天地想派は常に個想派に優れり、常識は科學の材たるに過ぎねば、類想派は最下なりといはゞ、
大
(
おほい
)
なる
僻事
(
ひがごと
)
ならむといへり。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
蕨ノ根ニ隠リテカヾマリヲレルガ、春ノ暖気ヲ得テ萌出ルハ、実ニ悦コバシキ
譬
(
たとへ
)
ナリ。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
皆
彼
(
かれ
)
に
譬
(
たとへ
)
て是をいふなり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「それは物の
譬
(
たとへ
)
ですよ。一と目見ても千兩の値打のある女を、一日眺めても、十六文で濟むといふから大したものでせう」
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
も見ずに
迯行
(
にげゆき
)
しが殘りし二人は顏見合せ
怖
(
こは
)
い者見たしの
譬
(
たとへ
)
の如く
何樣
(
どん
)
な人やら
能
(
よく
)
見
(
み
)
んと思へば何分
恐
(
おそろ
)
しく小一町
手前
(
てまへ
)
に
彳
(
たゝず
)
みしが
連
(
つれ
)
の男は聲を
懸
(
かけ
)
寧
(
いつ
)
その事田町
通
(
とほ
)
りを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
……
山
(
やま
)
も
地平線上
(
ちへいせんじやう
)
に
遠霞
(
とほがす
)
んで、
荒涼
(
くわうりやう
)
たる
光景
(
くわうけい
)
が
恰
(
あたか
)
も
欄干
(
らんかん
)
で
絞
(
しぼ
)
つて、
網
(
あみ
)
を
十
(
と
)
をばかり、ぱつと
捌
(
さば
)
いて
大
(
おほ
)
きく
投
(
な
)
げて、
末
(
すゑ
)
を
廣
(
ひろ
)
げたのに
譬
(
たとへ
)
たのだらう。と、
狼狽
(
うろた
)
へて
居
(
ゐ
)
たのである。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
皆
彼
(
かれ
)
に
譬
(
たとへ
)
て是をいふなり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
犬に喰はれてしまへと言ふ
譬
(
たとへ
)
の通り、先づお常をちよいと半殺しにして、手本を見せた上、お紋を殺す氣になつたんだらう——と斯う言ひます。
銭形平次捕物控:225 女護の島異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あゝ、
飛
(
と
)
んでもない、……
譬
(
たとへ
)
にも
虚事
(
そらごと
)
にも、
衣絵
(
きぬゑ
)
さんを
地獄
(
ぢごく
)
へ
落
(
おと
)
さうとした。」
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大きい眼を不安と
疑惧
(
ぎぐ
)
に見開いたまゝ、可愛らしいものの
譬
(
たとへ
)
にまでされた、『お靜さんの弓なりの唇』からは紅の色まですツと
褪
(
あ
)
せてしまつたのです。
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
人間
(
にんげん
)
が、
鳥
(
とり
)
や
獣
(
けだもの
)
よりえらいものだとさういつておさとしであつたけれど、
海
(
うみ
)
ン
中
(
なか
)
だの、
山奥
(
やまおく
)
だの、
私
(
わたし
)
の
知
(
し
)
らない、
分
(
わか
)
らない
処
(
ところ
)
のことばかり
譬
(
たとへ
)
に
引
(
ひ
)
いていふんだから、
口答
(
くちごたへ
)
は
出来
(
でき
)
なかつたけれど
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「物の
譬
(
たとへ
)
ですよ、——全く大した娘で、娘は、何んにも言ひませんが、腹の中ぢや泣いて居ますね、可哀想に」
銭形平次捕物控:295 万両息子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さうか、丁度宜い、八五郎も來てゐる、三人寄ればの
譬
(
たとへ
)
の通り、下手な智慧でも出し合つて見よう」
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
物の
譬
(
たとへ
)
ですよ。ね、親分。さうでせう。叶屋の重三郎は谷中の鬼と言はれた人間だが、金がうんとあつて用心深いから、二た間續きの
離屋
(
はなれ
)
には、女房のお徳も寄せつけねエ。
銭形平次捕物控:130 仏敵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「物の
譬
(
たとへ
)
だ、——そんな手もあるまいといふ話さ。なあ親方」
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「物の
譬
(
たとへ
)
でございます、親分さん」
銭形平次捕物控:073 黒い巾着
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「へエ、
譬
(
たとへ
)
が碁と來たね」
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「物の
譬
(
たとへ
)
で——」
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「物の
譬
(
たとへ
)
ですよ」
銭形平次捕物控:178 水垢離
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
譬
漢検1級
部首:⾔
20画
“譬”を含む語句
譬喩
譬話
譬噺
譬喩的
譬喩品
彼譬諭
法句譬喩経
譬喩歌
譬喩経
譬喩談
譬如北辰
譬諭
譬諭経
雑譬喩