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篏
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は
ふりがな文庫
“
篏
(
は
)” の例文
民譚或はほかひ人の芸謡などの長篇の抒情詩を
篏
(
は
)
めこんで喜んだ遊戯態度が、進んで純文学動機を、創作の上に発生させたのである。
短歌本質成立の時代:万葉集以後の歌風の見わたし
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
亭主も大喜びでしたがお神さんは亭主に向つて
此金剛石
(
このダイヤモンド
)
の指環を
篏
(
は
)
めても恥かしく無い位の立派な着物をこしらへて
呉
(
く
)
れと頼みました。
金剛石
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
畳の上を膝でずっている
裾
(
すそ
)
さばきの
袘
(
ふき
)
の下から、東京好みの、木型のような堅い白足袋をぴちりと
篏
(
は
)
めた
足頸
(
あしくび
)
が一寸ばかり見えた。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
『
何
(
なに
)
が
何
(
なん
)
でも
望遠鏡
(
ばうゑんきやう
)
のやうに
篏
(
は
)
め
込
(
こ
)
まれては
堪
(
たま
)
らない!
些
(
ちよツ
)
と
始
(
はじ
)
めさへ
解
(
わか
)
ればもう
占
(
し
)
めたものだ』
此頃
(
このごろ
)
では
身
(
み
)
にふりかゝる
種々
(
いろ/\
)
の
難事
(
なんじ
)
を
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
陰惨な
役所
(
やくどこ
)
によく
篏
(
は
)
まり四谷怪談の伊右衛門など最も得意のものとしたいわゆるケレンにも達していて身の軽いことは驚くばかり
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
その洋燈は細長い竹の台の上に
油壺
(
あぶらつぼ
)
を
篏
(
は
)
め込むように
拵
(
こしら
)
えたもので、
鼓
(
つづみ
)
の胴の
恰形
(
かっこう
)
に似た平たい底が畳へ据わるように出来ていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
眼は大きく、皿を
篏
(
は
)
めたように飛び出ていた。頭髪は、幾十本か、数える位しか固まって生えていなかった。口は大きくて、開いている。
森の暗き夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
二人とも奥歯に金の義歯を
篏
(
は
)
めていたのですよ。その義歯の中が
虚
(
うつ
)
ろになっていて、強い毒薬が仕込んであったのでしょう。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
出ようとした
機
(
はず
)
みが半身になった肩口をスッポリその中に
篏
(
は
)
め込んで、頭から右腕にかけて動けなくなってしまったのだ。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
美人競争の相手が偽ダイヤを
篏
(
は
)
めているという発見は
尠
(
すくな
)
からず意を強くするものらしい。鬼の首でも取って来たように、大谷さんに報告した後
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「形見分けをするのは急がないでもいいんだからね。まだ二、三日、なくしさえしなければ
篏
(
は
)
めていてもかまわない。」
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
アフリカ某
地方
(
ちはう
)
の土人は
土堀
(
つちほ
)
り用の
尖
(
とが
)
りたる
棒
(
ぼう
)
に
石製
(
せきせい
)
の
輪
(
わ
)
をば
鍔
(
つば
)
の如くに
篏
(
は
)
めて
重
(
をも
)
りとし、此
道具
(
どうぐ
)
の
功力
(
こうりよく
)
を増す事有り。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
「つまり性質だよ、たいていの人間は規範のなかに
篏
(
は
)
めることができる、男でもそうだがことに女はそうだ、しかしどうも俺には嫂ばかりは分からん」
須磨寺附近
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
店の看板女房は、厚化粧して、
緑紗
(
りょくしゃ
)
の
袍衣
(
うわぎ
)
に、
真紅
(
しんく
)
の
裙
(
はかま
)
を着け、
生
(
う
)
ブ毛の光る腕首には、黄金の腕輪を
篏
(
は
)
めたりなどしているジプシーのような女だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
目は
手釦
(
てボタン
)
の上にとまつた。
留
(
と
)
めの方がとれかかつて釦がぶらりと下つて居た。あわててそれを
篏
(
は
)
め直しながら
公判
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
両頬は深く落ち
凹
(
こ
)
けて、眼は窪み、
頬骨
(
ほゝぼね
)
ばかりがいやが上に高く、常には外して居る総入歯を、御飯の時などに
篏
(
は
)
めて、入歯をして居る者がよくする様に
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
友信は穗の長さ二尺六寸餘、青貝の柄の長さ七尺五寸二分ある大身の
槍
(
やり
)
に
熊
(
くま
)
の皮の杉なりの
鞘
(
さや
)
を
篏
(
は
)
めたのを持たせ、
屈竟
(
くつきやう
)
の若黨十五人を具して舟を守護した。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
銅像を下から
覗
(
のぞい
)
た時のように妙に
背丈
(
せい
)
の高さの判別がつかなかったり……、時々指環を
篏
(
は
)
めた手が、腿の辺まで下りて来て、ぼそぼそと泡を立て乍ら掻いたり……。
足の裏
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
女の帽子針の
尖
(
さき
)
に
鞘
(
さや
)
を
篏
(
は
)
めて居るのは、
仏蘭西
(
フランス
)
の女が長い針の
尖
(
さき
)
を
危険
(
あぶな
)
くむき出しにして居るのと
異
(
ちが
)
ふ。衛生思想が
何事
(
なにごと
)
にも
行亘
(
ゆきわた
)
つて居るのはさすがに
独逸
(
ドイツ
)
である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
日本
(
にほん
)
古來
(
こらい
)
の
地名
(
ちめい
)
を、
郡町村等
(
ぐんてうそんとう
)
の
改廢
(
かいはい
)
と
共
(
とも
)
に
變更
(
へんかう
)
することは、
或
(
ある
)
場合
(
ばあひ
)
にはやむを
得
(
え
)
ないが、
古
(
いにしへ
)
の
地名
(
ちめい
)
に
古
(
いにしへ
)
の
音便
(
おんびん
)
によつて
當
(
あ
)
て
篏
(
は
)
められた
漢字
(
かんじ
)
を
妄
(
みだ
)
りに
今
(
いま
)
の
音
(
おん
)
に
改讀
(
かいどく
)
せしめ
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
中には、庸三がもっている場合だけの彼女に当て
篏
(
は
)
まるような種類のものも無くはなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
蚕豆
(
そらまめ
)
ほどの大きさから、小さいので
小豆粒
(
あずきつぶ
)
位の透きとおり輝く紅玉の
珠玉
(
たま
)
を、一つ一つ、灯にかざしては、うこんの布で拭きみがき、それを
青天鵞絨
(
あおビロード
)
張りの、台座に
篏
(
は
)
めながら
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
おお、宝井が退学を
吃
(
く
)
つたのも、
其奴
(
そいつ
)
が債権者の
重
(
おも
)
なる者だと云ふぢやないか。余程好い女ださうだね。
黄金
(
きん
)
の腕環なんぞ
篏
(
は
)
めてゐると云ふぢやないか。
酷
(
ひど
)
い奴な! 鬼神のお松だ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
恋愛を自然なる境地に
篏
(
は
)
めて写実したるものゝ上々なる事は、余の
竊
(
ひそ
)
かに自から信ずるところなるが、自然は即ち自然にてあれど、何の生命もなく何の希望もなく、其初めは肉情に起し
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
その
上
(
うへ
)
あんたなんかは
御丁寧
(
ごていねい
)
に
年
(
ねん
)
が
年中
(
ねんぢう
)
、
足首
(
あしくび
)
に
重
(
おも
)
い
鐵鎖
(
くさり
)
まで
篏
(
は
)
められてるんだ
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
自分を或る外界の型に
篏
(
は
)
める必要から、強いて不用のものと見て、切り捨ててしまったお前の部分は、今は本当の価値を回復して、お前に取ってはやはり必要欠くべからざる要素となった。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
中には
幣
(
へい
)
も鏡もなくて、単に中央を
彫
(
ほ
)
り
窪
(
くぼ
)
めて、
径
(
けい
)
五寸ばかりの石の球が
篏
(
は
)
め込んであった。不思議でたまらなかったが、悪いことをしたと思うから誰にも理由を尋ねてみることができない。
幻覚の実験
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
巨大な
堆石
(
たいせき
)
を戴いた雪の「テーブル」の側へ立って写真を撮ったり、雪の穴ぼこの中へ、
更紗
(
さらさ
)
の紋でも切り
篏
(
は
)
めたように、小さい翼を休めているところの、
可憐
(
かれん
)
なる高山蝶を、いじくったりして
火と氷のシャスタ山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
それは私の變則な
眼鼻立
(
めはなだち
)
を、彼の端正な古典型な型に
篏
(
は
)
めようとする程に、また私の變化に富む緑色の眼に、彼の眼の海のやうな藍色と莊重な光を與へようとすると同樣、不可能なことであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
も一つの怪物は二つの青い珠を持ってきて、大異の両眼に
篏
(
は
)
めた。
太虚司法伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そして、南側の欄間に懸っている額の下へ、吸い着けられるように寄って行って、中に
篏
(
は
)
まっている四枚の写真を一つ一つ
眺
(
なが
)
め始めた。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この要旨を
布衍
(
ふえん
)
して、命を惜しい人は皆烏天狗のようなマスクをつけて歩いた。
恐水病
(
きょうすいびょう
)
の流行った頃
口籠
(
くつこ
)
を
篏
(
は
)
められて難渋したことのある畜犬共は
女婿
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
髪剃は障子に
篏
(
は
)
め込んだ
硝子
(
ガラス
)
に
中
(
あた
)
ってその一部分を
摧
(
くだ
)
いて向う側の
縁
(
えん
)
に落ちた。細君は
茫然
(
ぼうぜん
)
として夢でも見ている人のように一口も物をいわなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
がんじ搦みにされてしまった! そうして自然とサルグツワが
篏
(
は
)
まり、あんまり意外なので気絶したが眼覚めてみれば気味悪い部屋! ……
菫色
(
すみれいろ
)
の
燈火
(
ひかり
)
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もちろん宋江の首カセは厳重に
篏
(
は
)
められ、公文の手つづき、身柄の引渡し、奉行所や牢城などの
認知証
(
にんちしょう
)
もうけとって、これはすぐさま
済州
(
さいしゅう
)
へ帰って行った。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
出入り口はひらき戸だが、躯を
跼
(
かが
)
めなければならないほど小さく、南側に一メートル四方ばかりの窓が一つ、それも手作りで、くもりガラスが
篏
(
は
)
めてあった。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
長襦袢
(
ながじゅばん
)
といった冬物を、
篏
(
は
)
め込みになっている三
棹
(
さお
)
ばかりの
箪笥
(
たんす
)
のけんどんから取りだし、電話で質屋の番頭を呼び寄せ、「みんな下へおりておいで」といって子供たちを遠ざけ
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
春水堂がかねて雪之丞に
篏
(
は
)
めて書き下した、「
逢治世滝夜叉譚
(
ときにあうたきやしゃばなし
)
」で、
将門
(
まさかど
)
の
息女
(
むすめ
)
滝夜叉
(
たきやしゃ
)
が、亡父の
怨念
(
うらみ
)
を晴そうため、女賊となり、遊女となり、肝胆を砕いて、軍兵を集め、妖術を駆使して
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
人間
(
にんげん
)
を
望遠鏡
(
ばうゑんきやう
)
のやうに
篏
(
は
)
め
込
(
こ
)
む
何
(
なに
)
か
規則
(
きそく
)
の
書物
(
ほん
)
でもありはしないかと。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
そして、感光膜の輪を鉄管の先端にうまく
篏
(
は
)
め込むと同時に、
鈎切
(
がんぎり
)
につけたもう一本の糸を
操
(
あやつ
)
って
感光膜
(
フィルム
)
を結びつけた糸を切り、更に、その鈎切で、垂直下に当る動力線の一点に傷をつけたのです。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
蓋
(
けだ
)
し武州公の如き
被虐性
(
ひぎゃくせい
)
の性慾を持つ人は、やゝともすると相手の女性を
己
(
おの
)
れの注文に応ずるような型に当て
篏
(
は
)
めて空想するから
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
清水さんは帽子を
被
(
かぶ
)
っていながら帽子を探したり、お花さんの裾を踏んで
謝
(
あやま
)
ったり、右の手に左の手袋が
篏
(
は
)
まらなかったりした。随分そそっかしい人だ。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そこに机を並べて二人いた昔の心持が、まだ壁にも
天井
(
てんじょう
)
にも残っていた。
硝子戸
(
ガラスど
)
を
篏
(
は
)
めた小さい
棚
(
たな
)
の上に行儀よく置かれた木彫の人形もそのままであった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そんな切って
篏
(
は
)
めるような言葉を我われが信ずるとでも思うんですか、こっちはまじめなんだ、あなたも能登守の御胤ならもう少し堂々とやったらどうです」
野分
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
広さ六畳の洋風書斎、壁に
篏
(
は
)
め込まれた
巨大
(
おおき
)
な書棚。それへ掛けられた深紅の
垂布
(
たれぎぬ
)
、他に巨大な二個の書棚、
尚
(
なお
)
この他に廻転書架、窓に向かって大ぶりのデスク。
小酒井不木氏スケッチ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
口述書をとられ、死刑囚用の重さ二十五
斤
(
きん
)
の首かせが
篏
(
は
)
められ、その夕、大牢の闇へほうり込まれた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
厳
(
きび
)
しい宗教的な戒律というほどでなくとも、日常生活を何かそういった形式に
篏
(
は
)
めこめるものなら、そうしたいという気持もありながら、ちょうど少し勤労以外の所得があったところから
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
矢張日本人には日本人同士がよく、ナオミのようなのが一番自分の注文に
篏
(
は
)
まっているのだと、そう考えて結局私は満足していたのです。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「だがねえ伊集院さん、浜路という娘は、妾の今云った条件に、あて
篏
(
は
)
まっているような女かしら?」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
六ちゃんは電車へ乗り、まず名札を札差に入れ、ハンドルをコントローラーのノッドへ
篏
(
は
)
め込む。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
篏
部首:⽵
15画
“篏”を含む語句
当篏
象篏
篏入硝子
篏制
篏木
篏木細工
篏硝子
篏込
篏飾