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笞
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しもと
ふりがな文庫
“
笞
(
しもと
)” の例文
正義の上に刑罰の
笞
(
しもと
)
の下つた例は、古今を通じて東西に亙りて、何時の時代にもどんな処にでも起つたこと、起り得ることである。
逆徒
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
この人は、
婦人
(
おんな
)
を
虐
(
しいた
)
げた罪を知って、朝に晩に
笞
(
しもと
)
の
折檻
(
せっかん
)
を受けたいのです。一つは世界の女にかわって、私がその
怨
(
うらみ
)
を晴らしましょう。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう
忍耐
(
にんたい
)
が
出來
(
でき
)
ない、
萬年
(
まんねん
)
ペンをとつて
振
(
ふ
)
りあげた、その
恐
(
おそ
)
ろしい
笞
(
しもと
)
の
下
(
した
)
で
憐
(
あわれ
)
みを
乞
(
こ
)
ふかのように
鳴
(
な
)
いてゐる、それが
毆
(
たゝ
)
けるか。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
若
(
も
)
しも
厭
(
いや
)
の何のと云おうものなら、
笞
(
しもと
)
の
憂目
(
うきめ
)
を見るは愚かなこと、いずれかのパシャのピストルの弾を
喰
(
く
)
おうも知れぬところだ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
かれらはさらに道人の指図にしたがって、
鞭
(
むち
)
や
笞
(
しもと
)
でさんざんに打ちつづけたので、三人は
総身
(
そうみ
)
に血をながして苦しみ叫んだ。
世界怪談名作集:18 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
瞿佑
(著)
▼ もっと見る
……故に、自らすすんで一計を立て、まず味方を欺かんがためにわざと百
打
(
だ
)
の
笞
(
しもと
)
をうけたものじゃ。この苦痛も呉国のためと思えば何でもない
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……定子……葉子はもうその
笞
(
しもと
)
には堪えないというように頭を振って、気を紛らすために目を開いて、とめどなく動く波の戯れを見ようとしたが
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
濃
(
こ
)
いみどりいろの顔面、
相貌
(
そうぼう
)
夜叉
(
やしゃ
)
のごとき櫛まきお藤が、左膳の
笞
(
しもと
)
の
痕
(
あと
)
をむらさきの
斑点
(
ぶち
)
に見せて、
変化
(
へんげ
)
のようににっこり笑って立っているのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
冷酷な自己批判の
笞
(
しもと
)
は一々哀れな霊魂を鞭ちます——如何にも小生は立派な倫理道徳の汚辱者に相違御座いません。刑事上は一罪因に相違御座いません。
わが敬愛する人々に
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
賢き人も時には浅ましく、
猛
(
たけ
)
き人も時には弱く、きのう戦場に於いて百千の敵を取り
挫
(
ひし
)
いだかと思えば、きょうは家に在って生きながら獄卒の
笞
(
しもと
)
を受ける。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
無慙なれども
其方
(
そなた
)
が止観を曇らする邪見の源を断ち呉れむず。南無阿弥陀仏。(右手にて腰なる如意を取り、長順の額を打つ。)護法の
笞
(
しもと
)
、斬魔の剣ぢや。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
キラめく氷雪の
笞
(
しもと
)
とを同時にこうむり、時には又、潮の香のする颱風に乗った豪雨や、はためく雷電をともなう白雨に、たたかれ、洗われ、あおられもする。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
ましてその天上皇帝の
遺
(
のこ
)
された、
摩利信乃法師
(
まりしのほうし
)
に
笞
(
しもと
)
を当つるものは、命終の時とも申さず、
明日
(
あす
)
が日にも諸天童子の現罰を蒙って、
白癩
(
びゃくらい
)
の身となり果てるぞよ。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
笞
(
しもと
)
の多くくるのは知っているが、手をさしのべて握手するのも目に見えぬ武子さんであるかもしれない。
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
神の義こゝに地の
笞
(
しもと
)
なりしアッティラとピルロ、セストを刺し、また
大路
(
おほぢ
)
をいたくさわがしし 一三三—
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
されどそは、怒れる神の振り降ろす懲戒の
笞
(
しもと
)
ではない。恥を忍び、苦痛を忍びて、自から積みあぐる善行の徳によりてのみ、償うことのできる自然の制裁である。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
話の
辻褄
(
つじつま
)
はそれで合いました。お崎も自分がお染だったことに、何の疑いも挟みませんが、そう信ずる一方には、恐ろしい
呵責
(
かしゃく
)
の
笞
(
しもと
)
が、
犇々
(
ひしひし
)
とお染の心をさいなむのです。
銭形平次捕物控:084 お染の歎き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
葬禮
(
さうれい
)
の納め物となすならば寺へこそ
納
(
をさ
)
める
筈
(
はず
)
なれ何ぞ
燒場
(
やきば
)
へ納めると云
法
(
はふ
)
の
有
(
あら
)
んやサア
尋常
(
じんじやう
)
に白状致せ不屆者め
夫
(
それ
)
責
(
せめ
)
よと言葉の下より
手先
(
てさき
)
の者共
笞
(
しもと
)
を
揚
(
あげ
)
て左右より彌十の
股
(
もゝ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
……武者ぶりつき、噛みつく代りのそうした
笞
(
しもと
)
をその身に決して感じなかったのだ……
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
鉄砲をつきつけて、さんざんに嚇したり罵ったり、あらゆる残忍な
笞
(
しもと
)
を加えたあとで、殺そうとでもいうのだろう。そこをうまくあやつらねばならぬ——今こそ、大事な場合なのだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
彼女等の胸にひそめるは性的差別の
笞
(
しもと
)
に打たれて、少女パンドラの快想を盗む曲者
未婚婦人
(新字新仮名)
/
今野大力
(著)
老牛が死力を尽して猶
笞
(
しもと
)
を受くるのを見ては、ああ、疲れたる牛、厳しき笞、荷は重く
途
(
みち
)
は遠くして、日は
熾
(
さか
)
りに土は焦がる、飲まんとすれど
滴水
(
しずく
)
も得ぬ其苦しさや
抑
(
そも
)
如何ばかりぞや
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それなら甘んじて審判の
笞
(
しもと
)
を受けてもいゝ譯であるが、千登世との生活を血みどろになつて喘いでゐる最中、
兎
(
と
)
や
斯
(
か
)
う責任を問はれることは二重の苦しさであつて
迚
(
とて
)
も遣切れなかつた。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
やがて喬生と麗卿と金蓮の三人に
手枷
(
てかせ
)
首枷
(
くびかせ
)
をかけて引っ立てて来て、さらに道人の指図にしたがい、
鞭
(
むち
)
や
笞
(
しもと
)
でさんざんに打ちつづけたので、三人は惣身に血をながして苦しみ叫びました。
中国怪奇小説集:14 剪灯新話(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ふたたび漢に戻れようと戻れまいと蘇武の偉大さに変わりはなく、したがって陵の心の
笞
(
しもと
)
たるに変わりはないに違いないが、しかし、天はやっぱり見ていたのだという考えが李陵をいたく打った。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
辛
(
から
)
くも忍びてつと
退
(
の
)
きながら
身構
(
みがまへ
)
しが、
目潰吃
(
めつぶしくら
)
ひし一番手の
怒
(
いかり
)
を
作
(
な
)
して奮進し
来
(
きた
)
るを見るより今は
危
(
あやふ
)
しと鞄の中なる
小刀
(
こがたな
)
撈
(
かいさぐ
)
りつつ
馳出
(
はせい
)
づるを、
輙
(
たやす
)
く肉薄せる二人が
笞
(
しもと
)
は雨の如く、
所嫌
(
ところきら
)
はぬ
滅多打
(
めつたうち
)
に
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
いずれは同じく自分に反ってくる絶望苛責の
笞
(
しもと
)
であった。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
笞
(
しもと
)
の責をいでむ時
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
従類
(
じうるゐ
)
眷属
(
けんぞく
)
寄
(
よ
)
りたかつて、
上
(
あ
)
げつ
下
(
お
)
ろしつ
為
(
し
)
て
責
(
せ
)
め
苛
(
さいな
)
む、
笞
(
しもと
)
の
呵責
(
かしやく
)
は
魔界
(
まかい
)
の
清涼剤
(
きつけ
)
ぢや、
静
(
しづか
)
に
差置
(
さしお
)
けば
人間
(
にんげん
)
は
気病
(
きやみ
)
で
死
(
し
)
ぬとな……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いずれは白洲にでも曳きだされて、
権柄
(
けんぺい
)
な言いがかりやら
笞
(
しもと
)
にも耐えなければなるまいかと、腹もきめていた兼好なのだ。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無論父親は決して富之助を
苛
(
いぢ
)
める爲めに富之助に尋ねたのではなかつた。實際子を思ふ至情からであるのだが、それが富之助には獄吏の
笞
(
しもと
)
かと思はれるのであつた。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
それから思うと男というものも自分の生ませた子供に対しては女に譲らぬ執着を持ちうるものに相違ない。こんな過去の甘い回想までが今は葉子の心をむちうつ
笞
(
しもと
)
となった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
三伏の大なる
笞
(
しもと
)
の下に
蜥蜴籬
(
とかげまがき
)
を
交
(
か
)
へ、路を越ゆれば
電光
(
いなづま
)
とみゆることあり 七九—八一
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
その外或は
鐵
(
くろがね
)
の
笞
(
しもと
)
に打たれるもの、或は
千曳
(
ちびき
)
の
磐石
(
ばんじやく
)
に押されるもの、或は
怪鳥
(
けてう
)
の嘴にかけられるもの、或は又毒龍の
顎
(
あぎと
)
に噛まれるもの、——呵責も亦罪人の數に應じて、幾通りあるかわかりません。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すれば
真面目
(
まじめ
)
な
玄人
(
くろうと
)
の門弟の中にも盲目の美女の
笞
(
しもと
)
に不思議な快感を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
幽囚
(
とらはれ
)
の
笞
(
しもと
)
の責や
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「いづれ殺す、
活
(
い
)
けては置かぬが、男の
居所
(
いどころ
)
を謂ふまでは、
活
(
いか
)
さぬ、殺さぬ。やあ、手ぬるい、打て。
笞
(
しもと
)
の音が長く続いて
在所
(
ありか
)
を語る声になるまで。」
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
権柄
(
けんぺい
)
や無情な
笞
(
しもと
)
が、身の皮に肉に
骨髄
(
こつずい
)
に、どういう味がするものか、路傍の犬が人の手の小石を見るときのように、さんざん知って来ているからであった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
乗円 (之を遮りて)ま、ま、待たれい、方々、第一の
笞
(
しもと
)
はこの乗円に任されよ。——やよ、長順。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
笞
(
しもと
)
にはげまされて振い立つ私を見るのも、打撲に抵抗し切れなくなって倒れ伏す私を見るのも、共に私が生きて行く上に、無くてはならぬものであるのを知る。その時に私は勇ましい。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
その外或は
鉄
(
くろがね
)
の
笞
(
しもと
)
に打たれるもの、或は
千曳
(
ちびき
)
の
磐石
(
ばんじやく
)
に押されるもの、或は
怪鳥
(
けてう
)
の
嘴
(
くちばし
)
にかけられるもの、或は又毒龍の
顎
(
あぎと
)
に噛まれるもの——、
呵責
(
かしやく
)
も亦罪人の数に応じて、幾通りあるかわかりません。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お丹はひしと光子の胸に片膝乗懸け、
笞
(
しもと
)
を挙げて打たんとしつ、老婦人を
睨殺
(
げいさつ
)
して、「留めはすまいね。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
蔑
(
さげす
)
むごとく、叱る如く思われた。新九郎も、その無言の
笞
(
しもと
)
を、心の
髄
(
ずい
)
へピシピシと感じた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木村はその
笞
(
しもと
)
の一つ一つを感ずるようにどぎまぎした。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
むかし、正しい武家の
女性
(
にょしょう
)
たちは、
拷問
(
ごうもん
)
の
笞
(
しもと
)
、火水の責にも、断じて口を開かない時、ただ、
衣
(
きぬ
)
を
褫
(
うば
)
う、肌着を
剥
(
は
)
ぐ、裸体にするというとともに、直ちに罪に落ちたというんだ。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
つよい
慚愧
(
ざんき
)
と、
自責
(
じせき
)
の
笞
(
しもと
)
に、打って打って打ちぬかれるのだった。誰か、杖をあげて
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よしやこのまま
撲殺
(
うちころ
)
すとも、随うべくも見えざれば、得三ほとんど
責倦
(
せめあぐ
)
みて、腕を
擦
(
さす
)
りて
笞
(
しもと
)
を
休
(
や
)
めつ。老婆はお藤を突放せば、身を支うべき気力も
失
(
う
)
せて、はたと
僵
(
たお
)
れて正体無し。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
甘んじて、武蔵は、その
笞
(
しもと
)
をうけ、ついに黙りとおしてしまった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「何も、何も、
私
(
わたくし
)
は申されませぬ。あの、ただ夢のようにござります。」とやっと云って、烏帽子を正しく、はじめて上げた、女のような優しい眉の、右を残して斜めに巻いたは、
笞
(
しもと
)
の
疵
(
きず
)
に
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
むしろ
笞
(
しもと
)
で打ッて打ッて打ちすえてほしかった。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
笞
漢検1級
部首:⽵
11画
“笞”を含む語句
笞刑
笞打
笞刑吏
笞懲
笞責
鞭笞