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端書
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はがき
ふりがな文庫
“
端書
(
はがき
)” の例文
そこへ久し振りに、今井から
端書
(
はがき
)
が来て、僕は初めて細君の死去を知った。「伊東で火葬にして、遺骨は故郷へ
持
(
もっ
)
て帰って埋葬する」
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
「もう帰つてよろしいと警部さんが仰有るものだから、それで事が治まつたものと思つてますと、
昨日
(
きのふ
)
こんな
端書
(
はがき
)
が来たんでせう。」
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
「死んでまでも『今なるぞ』節の英雄と同列したるは歌曲を生命とする緑雨一代の面目に候」とでも冥土から
端書
(
はがき
)
が来る処だった。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
これにも
腸
(
はらわた
)
はたたるべき声あり勝沼よりの
端書
(
はがき
)
一度とゞきて四日目にぞ
七里
(
ななさと
)
の消印ある封状二つ……かくて大藤村の人になりぬ。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
田舎出の文士に限つて世評を気にかけ売名に汲々として新春年賀の
端書
(
はがき
)
にもおのれが著書の目録なんぞを書きつらぬるが癖なり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
かれは小畑にやる
端書
(
はがき
)
に枕時計の絵をかいて、「この時計をわが友ともわが妻とも思ひなしつつ、この秋を
寺籠
(
てらごも
)
りするさびしの友を思へ」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
安井
(
やすゐ
)
は
其後
(
そのご
)
一
枚
(
まい
)
の
端書
(
はがき
)
さへ
寄
(
よ
)
こさなかつたのである。
宗助
(
そうすけ
)
は
安井
(
やすゐ
)
の
郷里
(
きやうり
)
の
福井
(
ふくゐ
)
へ
向
(
む
)
けて
手紙
(
てがみ
)
を
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
た。けれども
返事
(
へんじ
)
は
遂
(
つひ
)
に
來
(
こ
)
なかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その一つは
端書
(
はがき
)
で「今朝ハ失敬、今日午後四時頃夏目来訪只今(九時)帰申候。寓所ハ牛込
矢来町
(
やらいちょう
)
三番地
字
(
あざ
)
中ノ丸丙六〇号」
子規自筆の根岸地図
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
すると
翌日
(
よくじつ
)
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
て
大層
(
たいそう
)
謝罪
(
しやざい
)
をされるから
何故
(
なにゆゑ
)
返事
(
へんじ
)
をしなかつたと
尋
(
たづ
)
ねると
返事
(
へんじ
)
は
端書
(
はがき
)
で
出
(
だ
)
して
置
(
お
)
きましたといふのです。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
官製
端書
(
はがき
)
とは相見えず、雑記帳の破片様のものらしく候為め、御下命の如き漂着の時日等の記入は不可能と
被為存候
(
ぞんぜられそうろう
)
。
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
白氏
(
はくし
)
が
晴天
(
せいてん
)
の雨の
洒落
(
しやれ
)
ほどにはなく
候
(
そろ
)
へども
昨日
(
さくじつ
)
差上
(
さしあ
)
げ
候
(
そろ
)
端書
(
はがき
)
十五
枚
(
まい
)
もより風の
枯木
(
こぼく
)
の吹けば飛びさうなるもののみ、
何等
(
なんら
)
風情
(
ふぜい
)
をなすべくも
候
(
そろ
)
はず
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
翌日果して熱海より
便
(
たより
)
はありけれど、
僅
(
わづか
)
に一枚の
端書
(
はがき
)
をもて途中の無事と宿とを通知せるに過ぎざりき。宛名は隆三と貫一とを並べて、宮の
手蹟
(
しゆせき
)
なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
官吏の権威の
重々
(
おもおも
)
しかった時の事ですから、配達夫が一葉の
端書
(
はがき
)
を持って「何の
某
(
なにがし
)
とはその方どもの事か——」
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
すると間もなく、静子から「一度御相談したいことがあるから、
御伺
(
おうかが
)
いしても
差支
(
さしつかえ
)
ないか」という
端書
(
はがき
)
が来た。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それから二三日するかしないうちに、森さんからこれから急に木曾の方へ立たれると云うお
端書
(
はがき
)
をいただいた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
中にも手紙を書くのと散歩とは欠かさなかった。方々に居る友達へ
順繰
(
じゅんぐり
)
に書いた。大方
端書
(
はがき
)
であった。彼は誰にも彼にも田舎生活の淋しい単調なことを訴えた。
恭三の父
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
ところがその日
不図
(
ふと
)
した拍子に良人の許から来た
端書
(
はがき
)
を見られたのである。すると女将は怖ろしい権幕で
女給
(新字新仮名)
/
細井和喜蔵
(著)
その
代
(
かは
)
り
吝
(
しは
)
き
事
(
こと
)
も二とは
下
(
さが
)
らねど、よき
事
(
こと
)
には
大旦那
(
おほだんな
)
が
甘
(
あま
)
い
方
(
はう
)
ゆゑ、
少
(
すこ
)
しのほまちは
無
(
な
)
き
事
(
こと
)
も
有
(
あ
)
るまじ、
厭
(
い
)
やに
成
(
な
)
つたら
私
(
わたし
)
の
所
(
とこ
)
まで
端書
(
はがき
)
一
枚
(
まい
)
、こまかき
事
(
こと
)
は
入
(
い
)
らず
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
俊吉はその女中の手から、何枚かの
端書
(
はがき
)
を受取ると、早速側の机へ向つて、せつせとペンを動かし始めた。照子は女中も留守だつた事が、意外らしい気色を見せた。
秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
道のほとりに咲く草花、あからむ
覆盆子
(
いちご
)
などさすがになつかしくて根岸庵のあるじがり
端書
(
はがき
)
をやる。
滝見の旅
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
端書
(
はがき
)
で言うて
御遣
(
おつかは
)
しになつたのだから、詳しいことは解りませんがネ、明日の晩までには、お
帰宅
(
かへり
)
になりませうよ、大和さんが
左様
(
さう
)
言うてらしたから、だから花ちやん
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
彼女
(
かのぢよ
)
は
樂
(
たのし
)
んで
後
(
あと
)
に
殘
(
のこ
)
つた。さうして
新生涯
(
しんしやうがい
)
を
夢
(
ゆめ
)
みながら
彼
(
かれ
)
からのたよりを
待
(
ま
)
ち
暮
(
くら
)
した。一
日
(
にち
)
、一
日
(
にち
)
と
經
(
た
)
つて
行
(
ゆ
)
く。けれどもその
後
(
のち
)
彼
(
かれ
)
からは
何
(
なん
)
の
端書
(
はがき
)
一
本
(
ぽん
)
の
音信
(
おとづれ
)
もなかつた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
冬などは靴を投げ出しては
炬燵
(
こたつ
)
にあたり込み、家人とお茶を飲みながら世間話をしたり、
他家
(
よそ
)
へ来た
端書
(
はがき
)
を、いちいち読んで聴かせたり、写真をあけて見せたりして時をつぶし
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
朝野はふところから五十枚ばかりの往復
端書
(
はがき
)
を出した。
謄写版
(
とうしゃばん
)
で刷った浅草の会の案内状である。第一回を、かねて話していた通りにK劇場の連中を呼んで行なうことになった。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
その一通を開いてみると、古生からよこしたので
端書
(
はがき
)
大の洋紙に草花を写生したのが二枚あつた。一つはグロキシアといふ花、今一つは何ピーとかいつて
豌豆
(
えんどう
)
のやうな花である。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
さあ、その残暑の、朝から、
旱
(
て
)
りつけます中へ、
端書
(
はがき
)
が来ましてね。——落目もこうなると、めったに手紙なんぞ
覗
(
のぞ
)
いた事のないのに、至急、と朱がきのしてあったのを覚えています。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時々
端書
(
はがき
)
をくれた、そして氏のかわりに、弟と、親友のホテル・ワイセスクロイツの主人が、更わる更わる見舞いに来て、ある時は妻君まで来てくれた、ウェストン氏を知ってるという
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
夜お庄は、弟から
端書
(
はがき
)
を受け取った。端書には、読めないような生意気なことが、
拙
(
まず
)
い筆で書いてあったが、茶屋奉公などしている姉を怒っている弟の心持は、お庄の胸に深く感ぜられた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ある日、庸介が自分の部屋の涼しい縁側の所へ
籐
(
とう
)
で組んだ寝椅子を持ち出して、その上で午睡に陥っていた時、郵便配達夫が一枚の
端書
(
はがき
)
を玄関の中へ投げ込んで行った。房子がそれを受取った。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
彼女は昨日塚本の
端書
(
はがき
)
を受け取つたので、いよ/\此処へ連れて来られる珍客を款待するために、今朝はいつもより早起きをして、牧場から牛乳を買つて来るやら、皿やお椀を揃へておくやら
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
移転先は病院へも秘密にし、そして「俺ハ考ヘル所ガアツテ好キ勝手ナ生活ヲスル。干渉スルナ。居所ヲ調ベルト承知センゾ。昭和十二年九月十日午前二時
誌
(
シル
)
ス」といふ
端書
(
はがき
)
を母と兄
宛
(
あて
)
に書き送つた。
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
端書
(
はがき
)
を下さい
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
よごれた畳破れた建具を見まわしていたが、急に思いついて
端書
(
はがき
)
を書いた、久し振りで黒田にこんな事を書いてやった。
イタリア人
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
喝
(
かつ
)
!——と一字書いた
端書
(
はがき
)
があるかと思うと、
蕎麦屋
(
そばや
)
で酒を飲んで席上で書いた熊谷の友だちの連名の手紙などもある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「何か御宅に手紙かなんぞ当人の書いたものでもございますならちょっと拝見したいもんでございますが」「
端書
(
はがき
)
なら沢山あります、御覧なさい」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから二三日するかしないうちに、森さんからこれから急に木曽の方へ立たれると云うお
端書
(
はがき
)
をいただいた。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
その代り
吝
(
しは
)
き事も二とは
下
(
さが
)
らねど、よき事には
大旦那
(
おほだんな
)
が甘い
方
(
はう
)
ゆゑ、少しのほまちは無き事も有るまじ、
厭
(
い
)
やに成つたら私の
所
(
とこ
)
まで
端書
(
はがき
)
一枚、こまかき事は入らず
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
明日帰る時の用意に発車時間を見て置くのと、直江津なる友人へ急用の
端書
(
はがき
)
を出すためである。
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
『汝、掠奪者よ』かう
薄墨
(
うすずみ
)
にかいた
端書
(
はがき
)
が来たとき、私は実に熱鉄をつかんだ様な心持がしました。私は友に背き同志を売つた、と思ふと私は昼夜寝る目も寝られなかつたんです。
計画
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
「丁度
端書
(
はがき
)
位の長方形で、厚い洋紙でした。警察の人は上質紙だと云っていました」
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
種類
(
しゆるゐ
)
を
何
(
なに
)
と初めより
一定不致候
(
いつていいたさずさふらう
)
十日に一通の事もあるべく一日に十通の事もあるべし、かき鳴らすてふ
羽音
(
はおと
)
繁
(
しげ
)
きか、
端書
(
はがき
)
繁
(
しげ
)
きか
之
(
これ
)
を
以
(
もつ
)
て僕が健康の
計量器
(
けいりやうき
)
とも
為
(
な
)
し
被下度候
(
くだされたくそろ
)
勿々
(
さう/\
)
(十三日)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
と主人は
此方
(
こなた
)
に手を伸ばすと、見得もなく、
婦人
(
おんな
)
は胸を、はらんばいになるまでに、ずッと出して差置くのを、畳をずらして受取って、火鉢の上でちょっと見たが、
端書
(
はがき
)
の用は直ぐに済んだ。
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼女は昨日塚本の
端書
(
はがき
)
を受け取つたので、いよ/\此処へ連れて来られる珍客を
欵待
(
かんたい
)
するために、今朝はいつもより早起きをして、牧場から牛乳を買つて来るやら、皿やお椀を揃へておくやら
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
……オヤ……まだこんなものが残っていたのか……と思い思い立ち上って覗き込んでみると、それは一枚の官製
端書
(
はがき
)
の裏面で見覚えのある右肩上りのペン字が、五六行ほど書きなぐってあった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
去年でしたか、上京してお宅に居ると云う
端書
(
はがき
)
を
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
それからは、小畑や桜井や小島などに会うと、小滝の話がよく出る。しまいには「小滝君どうした。健在かね」などと書いた
端書
(
はがき
)
を送ってよこした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「来るんだ。午後一時までに
苦沙弥
(
くしゃみ
)
の
家
(
うち
)
へ来いと
端書
(
はがき
)
を出しておいたから」「人の都合も聞かんで勝手な事をする男だ。寒月を呼んで何をするんだい」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
……が、お前はそれに就いては全然沈黙を守っており、これまではほんの
申訣
(
もうしわけ
)
のように書いてよこした
端書
(
はがき
)
の便りさえそのとききり書いてよこさなくなってしまった。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
友人の哲学者N君に逢ったとき、「哲学者はこういうものを一見すべきだろう」と云って見学をすすめておいたが、その後の
端書
(
はがき
)
によるとやはり見に行ったそうである。
マーカス・ショーとレビュー式教育
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
三月に一度、今の
間
(
ま
)
に半年目、一年目、年始の状と暑中見舞の
交際
(
つきあい
)
になりて、
文言
(
もんごん
)
うるさしとならば
端書
(
はがき
)
にても事は足るべし、あはれ
可笑
(
をか
)
しと軒ばの桜くる年も笑ふて
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“端書”の意味
《名詞》
はしがき。
葉書。
(出典:Wiktionary)
“端書(はがき)”の解説
はがき(葉書、端書、en: Postcard)は、手紙の形態の一つ。郵便葉書の略。片仮名で「ハガキ」と書く場合もある。
(出典:Wikipedia)
端
常用漢字
中学
部首:⽴
14画
書
常用漢字
小2
部首:⽈
10画
“端”で始まる語句
端
端折
端緒
端唄
端然
端近
端々
端居
端倪
端艇