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硫黄
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いおう
ふりがな文庫
“
硫黄
(
いおう
)” の例文
ゆくてに高きは、
曾遊
(
そうゆう
)
の八ヶ岳——その赤岳、横岳、
硫黄
(
いおう
)
岳以下、銀甲つけて、そそり立つ。空は次第に晴れて山々も
鮮
(
あざや
)
かに現れる。
雪の武石峠
(新字新仮名)
/
別所梅之助
(著)
硫黄
(
いおう
)
を燃せばちょっと
眼
(
め
)
のくるっとするような
紫
(
むらさき
)
いろの焔をあげる。それから
銅
(
どう
)
を
灼
(
や
)
くときは
孔雀石
(
くじゃくいし
)
のような明るい青い火をつくる。
学者アラムハラドの見た着物
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
たまり兼ねて起出した様子、——
火打鉄
(
ひうちがね
)
の音や、荒々しい足音にも、
憤々
(
ふんぷん
)
たる怒りはよく判ります。プーンと匂う、
硫黄
(
いおう
)
付け木の匂い。
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
康頼 でもあの山で
硫黄
(
いおう
)
を取って、集めてそれを
漁師
(
りょうし
)
の魚や野菜と交換しなかったら、わしたちはどうして生きてゆくのでしょう。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
火口
(
かこう
)
の
池
(
いけ
)
が
休息
(
きゆうそく
)
の
状態
(
じようたい
)
にある
時
(
とき
)
は、
大抵
(
たいてい
)
濁水
(
だくすい
)
を
湛
(
たゝ
)
へてゐるが、これが
硫黄
(
いおう
)
を
含
(
ふく
)
むために
乳白色
(
にゆうはくしよく
)
ともなれば、
熱湯
(
ねつとう
)
となることもある。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
▼ もっと見る
じつにさまざまな人だったが、
硫黄
(
いおう
)
島からよび戻された僧の
文観
(
もんかん
)
やら、
讃岐
(
さぬき
)
の配所にいた
宗良
(
むねなが
)
親王などもそのうちのお一人だった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
硫黄
(
いおう
)
の
臭
(
におい
)
もせず、
蒼
(
あお
)
い火も吹出さず、
大釜
(
おおがま
)
に湯玉の散るのも聞えはしないが、こんな山には、ともすると地獄谷というのがあって
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少女は、
硫黄
(
いおう
)
を採るために来たのだろう。が、硫黄を入れる
筥
(
はこ
)
をそばへ置き捨てたまま、いつまでも俊寛が鰤を釣り上げるのを見ている。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ばてれんの前にはまた
釜
(
かま
)
が置かれ、ぐらぐら煮つめられているその
硫黄
(
いおう
)
の毒気は、すべてその男の口に当たるように鼻はふさがれている。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
欲念、本能的衝動、思想などが、あたかも火山地帯から
硫黄
(
いおう
)
の煙が
噴出
(
ふきだ
)
すように、相次いで飛び出してきた。そして彼はみずから尋ねた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
硫黄
(
いおう
)
のかたまりだよ。これを蜂の巣の下でいぶすんだ。きみたちみたいにただでむかっていっても仕方がない。僕は知恵があるだろう?」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
体が
癢
(
かゆ
)
くて困るといわれてうちの代診の工夫で
硫黄
(
いおう
)
の
風呂
(
ふろ
)
を立てたこともあり、
最上
(
もがみ
)
高湯の湯花を用いたことなどもあった。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「何だろう——」と指に附けて拾って見た、それは
硫黄
(
いおう
)
の粉末のような物だった。——敦夫は指で潰したり、
匂
(
におい
)
を嗅いだりしていたが、不意に
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
もしくはゴム・
硫黄
(
いおう
)
等に富み、その郊原には三千万の農夫をしてその業を営ましむべき田地あるの大国なるにかかわらず
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
どうしてこんなにガランとしているのかと思ったが、それはみんな湯川氏が
硫黄
(
いおう
)
発見に入れこんでしまうのだった。
旧聞日本橋:08 木魚の顔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
茹
(
ゆで
)
玉子の奇妙な、気持の悪い臭気があたりに充ちていたが、これはこの地に多い
硫黄
(
いおう
)
温泉から立ち上るものである。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
蛾
(
が
)
の
黄色
(
きいろ
)
なすきとおるような
羽
(
はね
)
は、
気味
(
きみ
)
の
悪
(
わる
)
いほど、
冷
(
つめ
)
たく、
硫黄
(
いおう
)
の
色
(
いろ
)
のように
見
(
み
)
えたのです。
花
(
はな
)
は、
高原
(
こうげん
)
にいる
時分
(
じぶん
)
に、たくさんの
蛾
(
が
)
をば
見
(
み
)
ました。
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
和尚のはからいに男を伏せてかくまったこの鐘よ、
硫黄
(
いおう
)
色の
焔
(
ほのお
)
を吐きながらいく
廻
(
めぐ
)
り巻くかと思ううち、鐘も男も鉛のようにどろどろ溶けてしまったわ。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
もしも木片の頭に
硫黄
(
いおう
)
を塗り付けた附木があったら、
屈
(
かが
)
んで頭の髪を灰だらけにする苦しみはなかったのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
例のあたかも
硫黄
(
いおう
)
のような、
蒼光
(
あおびか
)
る焔をたき出したが、さらに一段声を落とすと、膝まで進めていい出した。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
山にのぼって
硫黄
(
いおう
)
とやらを取り、商人船の来る度に食物と代えて貰っていたが、体が弱ってからは、
網人
(
あみびと
)
や釣人に手をすり合せて、
魚
(
さかな
)
を恵んで貰い、時には貝を拾い
現代語訳 平家物語:03 第三巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
仄
(
ほの
)
かに
硫黄
(
いおう
)
の
香
(
かおり
)
の残っている
浴後
(
よくご
)
の
膚
(
はだ
)
を
懐
(
なつか
)
しみながら、二人きりで冷いビールを
酌
(
く
)
み
交
(
か
)
わした。そのとき彼の口から、この事件の一切の
顛末
(
てんまつ
)
を聞くことが出来たのだった。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
父は洋服に着換る為め、
一先
(
ひとまず
)
屋敷へ這入る。田崎は
伝通院前
(
でんずういんまえ
)
の
生薬屋
(
きぐすりや
)
に
硫黄
(
いおう
)
と
烟硝
(
えんしょう
)
を買いに行く。残りのものは
一升樽
(
いっしょうだる
)
を茶碗飲みにして、準備の出来るのを待って居る騒ぎ。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
硝石
(
しょうせき
)
の精製所も出来ました。
硫黄
(
いおう
)
の蒸溜所も出来上りました。機械類の磨き方は、鉄砲師の川崎
長門
(
ながと
)
と国友松造という者が来て引受けました。水圧器の組立ても出来ました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すると、わたしの父は、遠くのほうから、わたしと同じように面白がって、彼らの華やかな
往
(
ゆ
)
き
来
(
き
)
、血のような赤い、また
硫黄
(
いおう
)
のように黄色い色の飛びかう様を眺めていた。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
しかしそんなに眩しいのはその緑色の葉のせいばかりではないかも知れない。その緑の茂みの上に一面に
硫黄
(
いおう
)
のような色をした
斑点
(
はんてん
)
のようなものが無数にちらついているのだ。
鳥料理
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
トレープレフ アルコールの用意はいいね?
硫黄
(
いおう
)
もあるね? 紅い目玉が出たら、硫黄の
臭
(
にお
)
いをさせるんだ。(ニーナに)さ、いらっしゃい、支度はすっかりできています。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
硫黄
(
いおう
)
岳を窮め、
十勝
(
とかち
)
岳を窮めて、北海道の中央に連亙せる高山には足跡到らぬ隈もなし。
層雲峡より大雪山へ
(新字新仮名)
/
大町桂月
(著)
やや二時間もたったと思うころ、あや目も知れない
闇
(
やみ
)
の中から、
硫黄
(
いおう
)
が
丘
(
たけ
)
の山頂——右肩をそびやかして、左をなで肩にした——が雲の産んだ鬼子のように、空中に現われ出る。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「第一に太陽、それから
硫黄
(
いおう
)
ですよ。ところが、水銀と硫黄との化合物は、朱ではありませんか。朱は太陽であり、また血の色です。つまり、扉の
際
(
きわ
)
で算哲の心臓が
綻
(
ほころ
)
びたのです」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
坐浴に使う
硫黄
(
いおう
)
の
匂
(
にお
)
いは忽ち僕の鼻を襲い出した。しかし勿論往来にはどこにも硫黄は見えなかった。僕はもう一度紙屑の薔薇の花を思い出しながら、努めてしっかりと歩いて行った。
歯車
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「でもまあ、そのためにすぐ天から
硫黄
(
いおう
)
が降ってくるわけでもありませんやね」
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
お師匠さまはわたしに取っては仇じゃが、そのお弟子のお前はいとしい。あけても暮れても
硫黄
(
いおう
)
の煙りを噴くという怖ろしい鬼界ヶ島、そのような処へお前をやらりょうか。のう、千枝ま。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
消毒の方法は
硫黄
(
いおう
)
にて
燻
(
くす
)
べるなりとぞ、さてはと三人顔を見合すべき処なれど、初めより他の注目を恐れてただ乗合の如くに
装
(
よそお
)
いたれば、
他
(
た
)
の
雑沓
(
ざっとう
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
咄嗟
(
とっさ
)
の間にそれとなく言葉を交え
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
求めらるるものは幾世紀もかかって積み重ね積み重ねして来たこの国の文化ではなくて、この島に産する
硫黄
(
いおう
)
、
樟脳
(
しょうのう
)
、
生糸
(
きいと
)
、それから金銀の
類
(
たぐい
)
なぞが、その最初の
主
(
おも
)
なる目的物であったのだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
たとえば
硫黄岳
(
いおうだけ
)
とか硫黄山と言っても、それがはたして硫黄を意味するものであるか実は不明である。のみならずむしろあとから「
硫黄
(
いおう
)
」をうまくはめ込んだものらしいと思われるふしもある。
火山の名について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
... 黄身の鉱物質は
重
(
おも
)
に
硫黄
(
いおう
)
だ」小山「なるほど、第二問に
何故
(
なにゆえ
)
玉子を ...
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
硫黄
(
いおう
)
……二オンス
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
平次はお越の後ろ姿が廊下に消えると、踏台を戸棚の前に持って行き、
硫黄
(
いおう
)
付け木を一枚灯して、念入りに戸棚の上を調べ始めました。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
後世
(
ごせ
)
こそ大事なれと、
上総
(
かずさ
)
から六部に出た老人が、善光寺へ
参詣
(
さんけい
)
の途中、浅間山の麓に……といえば、まずその
硫黄
(
いおう
)
の
香
(
におい
)
と
黒煙
(
くろけぶり
)
が想われる。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昼間はさしては白くもみえない湯けむりが、宿屋の軒にまでモクモクと這いだして、
硫黄
(
いおう
)
の匂いまでがなんとなく
生新
(
なまあたら
)
しく鼻をうってくる。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
俊寛 (※の中をのぞきこむ。何かいいかけて
躊躇
(
ちゅうちょ
)
す。やがて思いきりたるごとく)この魚をわしの
硫黄
(
いおう
)
と
換
(
か
)
えてくれまいか。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
フェレラはその
硫黄
(
いおう
)
の灰のような色をした
頤
(
あご
)
ひげを逆になで上げながら横を向いてこうボツボツいった。「あなたに一つお頼みしたいことがありまして。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
部屋の中は
硫黄
(
いおう
)
と物の酸敗したような臭気が充満していて、うっかりするとこっちが
嘔吐
(
おうと
)
しそうになった。
赤ひげ診療譚:06 鶯ばか
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ぽつんとしたまっ赤なあかりや、
硫黄
(
いおう
)
のほのおのようにぼうとした
紫
(
むらさき
)
いろのあかりやらで、
眼
(
め
)
をほそくしてみると、まるで大きなお城があるようにおもわれるのでした。
月夜のでんしんばしら
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
硫黄
(
いおう
)
を採りに行く時でも、海藻を採りに行くときでも、よく二人きりで行ってしまう。その上、三人でいるときでも、二人はよく顔を寄せ合って、ひそひそ話を始める。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
火山
(
かざん
)
の
噴出物
(
ふんしゆつぶつ
)
は
固體
(
こたい
)
の
他
(
ほか
)
に
多
(
おほ
)
くの
氣體
(
きたい
)
がある。
水蒸氣
(
すいじようき
)
は
勿論
(
もちろん
)
、
炭酸瓦斯
(
たんさんがす
)
、
水素
(
すいそ
)
、
鹽素
(
えんそ
)
、
硫黄
(
いおう
)
からなる
各種
(
かくしゆ
)
の
瓦斯
(
がす
)
があり、
或
(
ある
)
ものは
燃
(
も
)
えて
青
(
あを
)
い
光
(
ひかり
)
を
出
(
だ
)
したともいはれてゐる。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
空を飛ぶ鳥も、稀に小さな黒い影をこの沙原に落すことがあっても何等の音もしない。ああ、この白い花、
硫黄
(
いおう
)
に
晒
(
さら
)
されて、すべての色の死んでしまった後の白い抜殻のようだ。
日没の幻影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
次も同じく越後の事であるが、これは
会津八一
(
あいづやいち
)
氏の話を聴いたのである。妙高山の谷には
硫黄
(
いおう
)
の多く産する処があるが、天狗の所有なりとして近頃までも採りに行く者は無かった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「
硫黄
(
いおう
)
ヶ
滝
(
たき
)
で……今夜、今!」島君は太息を吐きながら、「こうしている間も気にかかる! おおどうしようどうしよう!」島君は無残に身を揉んだ。それに連れて丑松は
周章
(
あわ
)
て出した。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“硫黄”の意味
《名詞》
硫黄 (いおう、生薬名などとしてはリュウオウ)
原子番号 16、元素記号 S の非金属元素。単体は、斜方硫黄、単斜硫黄など様々な形態をもつ。
(出典:Wiktionary)
“硫黄”の解説
硫黄(いおう、en: sulfur)は原子番号16番の元素である。元素記号はS。原子量は32.1。酸素族元素のひとつ。固形時は淡黄色で無味無臭。点火すると青色の炎を出し、二酸化硫黄の特異臭を発する。
(出典:Wikipedia)
硫
常用漢字
中学
部首:⽯
12画
黄
常用漢字
小2
部首:⿈
11画
“硫黄”で始まる語句
硫黄島
硫黄附木
硫黄火
硫黄山
硫黄岳
硫黄嶽
硫黄泉
硫黄色
硫黄華
硫黄ヶ島