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真直
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まっすぐ
ふりがな文庫
“
真直
(
まっすぐ
)” の例文
旧字:
眞直
その離れは
母屋
(
おもや
)
から庭を隔てて十間程奥に、一軒ポツンと建っている小さな洋館であったが、母屋から
真直
(
まっすぐ
)
に長い廊下が通じていた。
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
金重の
鍛
(
う
)
った鋏はジョキリと一鋏で
真直
(
まっすぐ
)
に剪れるので大層に行われました。金重は六十五になりますが、無慾な爺さんでございます。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それで少しくらいの地震があっても、倒れることはない。ただあの塔が
真直
(
まっすぐ
)
に立っている場合よりも、安定の範囲が狭いだけである。
立春の卵
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
セエラは皆の眼を避けて、
真直
(
まっすぐ
)
に流し場へ行きました。ベッキイはせっせと茶釜を磨きながら、口の中で何かを口ずさんでいました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
方角も
真直
(
まっすぐ
)
じゃないが、とにかく見える。もし
坑
(
あな
)
の中が一本道だとすれば、この灯を
目懸
(
めが
)
けて、初さんも自分も進んで行くに違ない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
敦夫は外套の衿を立てて雨帽子の
庇
(
ひさし
)
を深く引下し、銃を右の小脇に抱えて街道へ出ると、耕地のあいだを
真直
(
まっすぐ
)
に北へ向って歩きだした。
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
然
(
しか
)
も
猶
(
なお
)
これは
真直
(
まっすぐ
)
に真四角に
切
(
きっ
)
たもので、およそ
恁
(
かか
)
る
角
(
かく
)
の材木を得ようというには、
杣
(
そま
)
が八人五日あまりも懸らねばならぬと聞く。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兼太郎は返事に困って出もせぬ
咳嗽
(
せき
)
にまぎらした。いつか酒屋の四つ角をまがって電車
通
(
どおり
)
へ出ようとする
真直
(
まっすぐ
)
な広い往来を歩いている。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そして、いざこれから精霊の後に随いて出て行こうと身構えした時には、どうやら
真直
(
まっすぐ
)
に立ってさえいられないことを発見した。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
真直
(
まっすぐ
)
、実際の責任者である政府、支配権力に向うだろうか。そこまで万遍なく明快であろうか。まだまだそこまでが一般水準とは言えない。
人民戦線への一歩
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
もう一匹は
真直
(
まっすぐ
)
に、浅草見附、すなわち今日の浅草橋へさしかかったが、何分にも不意の騒ぎで見附の門を閉める暇もない。
牛
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
通路
(
とおり
)
の右になった方は、
真直
(
まっすぐ
)
になって見渡されたが、左になった方はすぐ折れ曲がっていた。寺の
本門
(
ほんもん
)
は左の方にあった。
赤い花
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
本堂の東側の中程に、
真直
(
まっすぐ
)
に石塀に向って通じている
小径
(
こみち
)
があって、その
衝当
(
つきあたり
)
に塀を背にし西に面して立っているのが、香以が一家の墓である。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
また昔から「椿の木と後生願いに
真直
(
まっすぐ
)
はない」と言うて宗教に熱中する人に模範的人格を備えたものはかえって少ない。
教育と迷信
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
そうしてあなたはあなたの恐るべき罪を青木さんにかけようとしている。余りに罪に罪を重ねるものではありませんか。どうです
真直
(
まっすぐ
)
に白状しては
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
前の快艇はその漕手らの右の方に曲っていたが、ハンターと私とは、海図にある柵壁の方向へと、
真直
(
まっすぐ
)
に漕いで行った。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
「我々が乳牛院の原で、お待ちうけしていることを、若先生には、ご存じないはずはないのに、どうして、いきなりここへ
真直
(
まっすぐ
)
に来てしまったのか」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よく捨吉は岡つづきの地勢に沿うて古い寺や墓地の沢山にある
三光町
(
さんこうちょう
)
寄の
谷間
(
たにあい
)
を
迂回
(
うかい
)
することもあり、あるいは
高輪
(
たかなわ
)
の通りを
真直
(
まっすぐ
)
に
聖坂
(
ひじりざか
)
へと取って
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
草原の上には一本の樹木も生えていなかった。心細いほど
真直
(
まっすぐ
)
な一筋道を、彼れと彼れの妻だけが、よろよろと歩く二本の立木のように動いて行った。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ジャンセエニュ
先生
(
せんせい
)
は高い
椅子
(
いす
)
に
姿勢
(
しせい
)
を
真直
(
まっすぐ
)
にして
腰掛
(
こしか
)
けていらっしゃいます。
厳格
(
げんかく
)
ですけれど、
優
(
やさ
)
しい
先生
(
せんせい
)
です。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
然
(
しか
)
るに彼女の弾丸による
創管
(
そうかん
)
は、ほんの少し左へ傾いているが、ほとんど正面から
真直
(
まっすぐ
)
に入っている。これは違う。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どっちの道も
曲折
(
きょくせつ
)
していて、
真直
(
まっすぐ
)
に
端
(
はず
)
れを望み得るものはない。どの方を見ても、こんもりとした杉の林が空に魔物が立っているように黒くなって見えた。
悪魔
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
俺んところはね、研究所の正門の通りね、あれを
真直
(
まっすぐ
)
行った左側の「広田屋」っていう荒物屋、その二階だよ」
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
水に不自由がないので、久振りに顔を洗ったり体を拭いたり、洗濯物までしたのは贅沢な仕業であった。十時頃出発して国境を迂回せずに
真直
(
まっすぐ
)
に登って行く。
大井川奥山の話
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
空穂
(
うつぼ
)
物語の
藤原
(
ふじわら
)
の君の姫君は重々しくて過失はしそうでない性格ですが、あまり
真直
(
まっすぐ
)
な線ばかりで、しまいまで女らしく書かれてないのが悪いと思うのですよ
源氏物語:25 蛍
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
真直
(
まっすぐ
)
なること鉄道線路のごときかと思えば、東よりすすみてまた東にかえるような
迂回
(
うかい
)
の路もあり、林にかくれ、谷にかくれ、野に現われ、また林にかくれ
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その小家のあたりから、道は両側とも竹垣に
挾
(
はさ
)
まれながら、
真直
(
まっすぐ
)
に寺の
庫裡
(
くり
)
の方に通じているらしかった。
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
夕方に散歩をして見ると、作り芝の畠の上などを、虫を追いかけて何羽も飛びまわっている。雨あげくには
真直
(
まっすぐ
)
な新道を、低くどこまでも走って行くこともある。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ほどよい庭へ
真直
(
まっすぐ
)
に立ち、
踵
(
きびす
)
を
揃
(
そろ
)
へ両手を真直に垂れて「気を付け」の姿勢であなたは歌いはじめた。
少年・春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
箱詰になったような重い空気が街の上に
覆
(
かぶ
)
さっている。遠くの煙突から細い煙が
真直
(
まっすぐ
)
に
騰
(
のぼ
)
っていた。
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
「橋を渡ったら、土堤を右に行くんだ。それから一軒家のてまえで土堤を下ると、あとは
真直
(
まっすぐ
)
だ。」
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
太田の
宿
(
しゅく
)
にはいる。右へ折れて鉄橋を渡れば、対岸の
今渡
(
いまわたり
)
から
土田
(
どた
)
へ行けるのだが、それがライン遊園地への最も近い順路であるのだが、私は
真直
(
まっすぐ
)
にぐんぐん
駛
(
はし
)
らせる。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
かれは寺から町の
大通
(
おおどお
)
りに
真直
(
まっすぐ
)
に出て、うどんひもかわと障子に書いた汚ない飲食店の
角
(
かど
)
を裏通りにはいって、細い
煙筒
(
えんとつ
)
に白い薄い煙のあがる
碓氷社
(
うすいしゃ
)
分工場
(
ぶんこうじょう
)
の
養蚕所
(
ようさんじょ
)
や
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
希臘
(
ギリシャ
)
の
彫刻
(
ちょうこく
)
で見た、ある
姿態
(
ポーゼー
)
のように、髪を後ざまに
垂
(
た
)
れ、
白蝋
(
はくろう
)
のように白い手を、後へ
真直
(
まっすぐ
)
に
反
(
そ
)
らしながら、石段を引ずり上げられる屍体は、確に
悲壮
(
ひそう
)
な
見物
(
みもの
)
であった。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
書生「言わなければ僕らが知ろうはずもない。よほどの御熱心ですな。貴君の顔の前にお登和さんという人の姿がブラ下っていましょう。
真直
(
まっすぐ
)
に白状なさらんとこの関門を ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それかといって
真直
(
まっすぐ
)
でもない。心持ち爪先が外を向いたり、内を向いたり、一足毎に一定せぬ。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
彼は、その人達の瞳と、自分のそれとが、はっきりと、
真直
(
まっすぐ
)
に衝突したのを感じた。そして意識的に、一種媚びを含んだ微笑をすら口元にほのめかして、見せるのだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
これからもうパーリーという関所までは大方五、六日の
路程
(
みちのり
)
しかないですが、
真直
(
まっすぐ
)
にパーリーへ行くよりは私はどうも
外
(
ほか
)
の道を通ってお
出
(
い
)
でになる方が得策だろうと思う。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
……さっきから聞いとったら、「チーハー」の話をしよったが、どうも、豆八は、「
蟻走
(
ギソウ
)
」をやっちょるらしいな。恰度ええ。訊きたいことがあるけ、
真直
(
まっすぐ
)
に、返事せえよ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
……それで世の中が無事息災に通って行かれりゃァ、闇夜にぶら提灯は要らねえ理窟だが、どうも
然
(
そ
)
うばかりは行かねえ。さあ、恐れ入って
真直
(
まっすぐ
)
になんでも吐き出してしまえ。
半七雑感
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しろじろとした中にも
際立
(
きわだ
)
って白い一とすじの街道が、私の行く手を
真直
(
まっすぐ
)
に走って居た。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私は、地下道へ降りて何も見ずに、ただ
真直
(
まっすぐ
)
に歩いて、そうして地下道の出口近くなって、焼鳥屋の前で、四人の少年が煙草を吸っているのを見掛け、ひどく
嫌
(
いや
)
な気がして近寄り
美男子と煙草
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
お前の竿の先の見当の
真直
(
まっすぐ
)
のところを御覧。そら
彼処
(
あすこ
)
に古い「出し
杭
(
ぐい
)
」が
列
(
なら
)
んで、
乱杭
(
らんぐい
)
になっているだろう。その中の一本の杭の横に大きな
南京釘
(
ナンキンくぎ
)
が打ってあるのが見えるだろう。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
海の音を
背
(
うしろ
)
に、鉄道線路を
踏切
(
ふみき
)
って、西へ
槍
(
やり
)
の
柄
(
え
)
の様に
真直
(
まっすぐ
)
につけられた大路を行く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
石橋を渡りて動物園の前へ
出
(
い
)
で、車夫には「先へ往ッて観音堂の
下辺
(
したあたり
)
に待ッていろ」ト命じて其処から車に離れ、
真直
(
まっすぐ
)
に行ッて、
矗立千尺
(
ちくりゅうせんせき
)
、
空
(
くう
)
を
摩
(
な
)
でそうな杉の樹立の間を通抜けて
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
彼女たちの弱つた注意力はそれでも長い廊下を隔てた乳児院の物の気配へと絶えず張られてゐる。いまその廊下を一人の若い看護婦が足音も立てずに
真直
(
まっすぐ
)
に産児院の方へと歩いて行く。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
この意は時鳥は横一文字に飛ぶものにして雲雀は下より上へ
真直
(
まっすぐ
)
に上る者なり。故に
丁度
(
ちょうど
)
雲雀の上る処を時鳥が横ぎりてあたかも十文字の如くなりたるをいふなり。最も巧妙なる句なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
私
(
わたくし
)
は
斯
(
こ
)
んな
場合
(
ばあい
)
にいつも
肌
(
はだ
)
から
離
(
はな
)
さぬ、
例
(
れい
)
の
母
(
はは
)
の
紀念
(
かたみ
)
の
懐剣
(
かいけん
)
を、しっかりと
帯
(
おび
)
の
間
(
あいだ
)
にさし
直
(
なお
)
して、
急
(
いそ
)
いで
砂丘
(
すなやま
)
を
降
(
お
)
りて、お
爺
(
じい
)
さんから
教
(
おし
)
えられた
通
(
とお
)
り、あの
竜宮街道
(
りゅうぐうかいどう
)
を
真直
(
まっすぐ
)
に
進
(
すす
)
んだのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
伝馬町を
真直
(
まっすぐ
)
に、二人は甲州街道を落ちのびようというつもりでした。二人ともあまり地理に慣れないものですから、道を反対に取違えてしまって小石川の水戸殿の
邸前
(
やしきまえ
)
へ出てしまったのです。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何でも人間の行くべき処は江戸に限る、
是
(
こ
)
れから
真直
(
まっすぐ
)
に江戸に行きましょうと決心はしたが、この事に
就
(
つい
)
ては誰かに話して相談をせねばならぬ。所が江戸から来た
岡部同直
(
おかべどうちょく
)
と云う蘭学書生がある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
直
常用漢字
小2
部首:⽬
8画
“真”で始まる語句
真
真似
真面目
真実
真中
真紅
真暗
真赤
真鍮
真白