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汝
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なんじ
ふりがな文庫
“
汝
(
なんじ
)” の例文
改造だの青磁社だのまだ出来上らないサルトルの
飜訳
(
ほんやく
)
のゲラ
刷
(
ずり
)
だの原稿だの飛び上るような部厚な奴を届けて
汝
(
なんじ
)
あくまで読めという。
余はベンメイす
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
たちまち使いが都から博徳と陵の所に飛ぶ。李陵は少をもって衆を撃たんとわが前で広言したゆえ、
汝
(
なんじ
)
はこれと協力する必要はない。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その弾機を押すと、
額
(
がく
)
のうしろは
蓋
(
ふた
)
のように開いた。その蓋の裏には「マリアナが
汝
(
なんじ
)
に命ず。生くる時も死せる時も——に忠実なれ」
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
爾
(
そ
)
の時に疾翔大力、
爾迦夷
(
るかい
)
に告げて
曰
(
いわ
)
く、
諦
(
あきらか
)
に聴け諦に聴け。
善
(
よ
)
くこれを思念せよ。我今
汝
(
なんじ
)
に梟鵄諸の
悪禽
(
あくきん
)
離苦
(
りく
)
解脱
(
げだつ
)
の道を述べんと。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
七章十七、十八節の「人をいかなる者として
汝
(
なんじ
)
これを大にしこれを心に留め、朝ごとにこれを
看
(
み
)
そなわし時わかずこれを試み給うや」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
▼ もっと見る
しかも「
汝
(
なんじ
)
は下がれ」といったのはギリシア語だったではないか。隆夫がギリシア語を知っているとは今まで思ったこともなかった。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「だまれッ。
汝
(
なんじ
)
らのようなとうすみとんぼ、百ぴきこようと千びきあつまろうと、この呂宋兵衛の目から見れば子供のいたずらだわ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
朕
(
ちん
)
は、もっとそれ
以上
(
いじょう
)
のもの、
永久
(
えいきゅう
)
の
平和
(
へいわ
)
を
求
(
もと
)
めているのじゃ。
早
(
はや
)
く、
朕
(
ちん
)
を
石
(
いし
)
になり、
草
(
くさ
)
になり、
汝
(
なんじ
)
の
魔法
(
まほう
)
でしてもらいたい。」
北海の白鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
人は「王女に
汝
(
なんじ
)
の思いを通じたが汝を王女は嫌いと云った」と告げたにも拘らず田夫は
強
(
し
)
いても王女に自分を認めさせようとした。
百喩経
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
『
汝
(
なんじ
)
の悪は汝自ら言え。悪はおのずから消滅すべし。』……しかもわたしは利益のほかにも愛国心に燃え立っていたのですからね。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
汝
(
なんじ
)
元来一本槍に生れ付いているんだから仕方がない。スッカリ良い気持になって到る処にメートルを上げていたのが
不可
(
いけ
)
なかった。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「我は
復活
(
よみがえり
)
なり、
生命
(
いのち
)
なり、我を信ずる者は死ぬとも生きん。
凡
(
およ
)
そ生きて我を信ずる者は、
永遠
(
とこしえ
)
に死なざるべし。
汝
(
なんじ
)
これを信ずるか。」
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
大阪府下よりの報知に、「大木に鎌を打ち立て、『
汝
(
なんじ
)
、余の瘧を落とさば鎌を去るべし、治せざれば切り倒すべし』と命令すれば治す」
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
譬えば新体詩なんぞに
汝
(
なんじ
)
と書いてナと読ませてナの
俤
(
おもかげ
)
とかナの姿とか読ませる。文字を見ずにただ聞くと
菜
(
な
)
の
花
(
はな
)
が幽霊になったようだ。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
この引用中「
視
(
み
)
よ、我
汝
(
なんじ
)
の顔の前にわが使をつかわす、彼汝の道を設くべし」(一の二)というのは、実はイザヤの言葉ではありません。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
隣邦の人よ、しばし待て、
汝
(
なんじ
)
に無礼するものは
自
(
おのずか
)
ら亡ぶというので、このことを無遠慮に詠じている。我輩はこれを読んで非常に驚いた。
真の愛国心
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
...
忖度
(
そんたく
)
す。
汝
(
なんじ
)
の心底こそいやしむべし。』愚僧また問ふ—『さらば既に苦患なし、何とて貴国に宗教はあるぞ?』フルコム答へて—
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
この手紙を開きよみて
曰
(
いわ
)
く、これを持ち行かば
汝
(
なんじ
)
の身に大なる
災
(
わざわい
)
あるべし。書き
換
(
か
)
えて取らすべしとて更に別の手紙を与えたり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
私が生き残り、
汝
(
なんじ
)
が唯ひとり死んでゆくとしても、もし汝の死が一般的なものでないならば、私は汝の死において孤独を感じないであろう。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
「
呪詛
(
のろい
)
の杉より流れし
雫
(
しずく
)
よ、いざ
汝
(
なんじ
)
の
誓
(
ちかい
)
を忘れず、
目
(
ま
)
のあたり、
験
(
しるし
)
を見せよ、
然
(
さ
)
らば、」と言つて、
取直
(
とりなお
)
して、お辻の髪の根に口を望ませ
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
作曲家、演奏家、管絃楽長、歌手、それから
汝
(
なんじ
)
親愛なる聴衆、君らに一度は自己の姿を知らしてやろう。……君らはなんであろうと勝手だ。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
爾
(
すなわ
)
ち
殿騰戸
(
あみおかのくみと
)
より出で迎えます時、
伊邪奈岐命
(
いざなぎのみこと
)
語りたまはく、愛しき
我那邇妹命
(
わがなにものみこと
)
、
吾
(
われ
)
汝
(
なんじ
)
と作れりし国未だ作り
竟
(
おわ
)
らず、
故
(
か
)
れ還りたまふべしと。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
例えば僕が、詩は音律要素を重視せねばならないと説くに対し、多くの意外な挑戦者等が、否、
汝
(
なんじ
)
の言うところは誤っている。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
歌劇の一枚物は旧盤時代の歌手の方が良いと思うが、しかしビヨルリンクの「
汝
(
なんじ
)
が小さき手」(ビクター愛好家協会第三集)などは傑作だ。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
その時かれは「
爾
(
なんじ
)
、幼き第二の国民よ、国家の将来はかかって
汝
(
なんじ
)
らの
双肩
(
そうけん
)
にあるのである。健在なれ、汝ら幼き第二の国民よ」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
二人は
徳慶侯
(
とくけいこう
)
廖権
(
りょうけん
)
の子なり。孝孺怒って曰く、
汝
(
なんじ
)
等
(
ら
)
予に従って幾年の書を読み、
還
(
かえ
)
って義の何たるを知らざるやと。二人説く
能
(
あた
)
わずして
已
(
や
)
む。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
『月光をして
汝
(
なんじ
)
の
逍遙
(
しょうよう
)
を照らさしめ』、自分は夜となく朝となく山となく野となくほとんど一年の歳月を逍遙に暮らした。
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
すれたものか文字のあとが微かに残っているばかりである。「
汝
(
なんじ
)
が祖ウィリアムはこの盾を北の国の巨人に得たり。……」
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
現代立法の不備——
汝
(
なんじ
)
が頭痛を覚えたのは、
畢竟
(
ひっきょう
)
われ等が、あまりに多量の力を用い、しかもそれが、あまりに急激に行われたことに基因する。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
僕の恐怖感もこの点に発している。言説をもって解明出来ぬ。
深淵
(
しんえん
)
を長く
窺
(
うかが
)
えば、深淵もまた
汝
(
なんじ
)
を窺うであろうということが恐ろしいのである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
古いシナ人の言葉で「
艱難
(
かんなん
)
汝
(
なんじ
)
を玉にす」といったような言い草があったようであるが、これは進化論以前のものである。
災難雑考
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ああ、不幸な夢想者よ、
汝
(
なんじ
)
を閉じこめている三ピエの厚みの壁をまず破って出てみるがいい。死だ、死があるばかりだ!
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
故に我々は神に対することによって人格であり、而してまた神を媒介とすることによって私は
汝
(
なんじ
)
に対し、人格は人格に対するということでもある。
絶対矛盾的自己同一
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
汝
(
なんじ
)
可憐なる意気地なき、心臓の鼓動しやすき、下腹のへこみやすき青年文士よ、
汝
(
なんじ
)
の生るる事百年ばかり早過ぎたり
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
斯くて師は町奉行所に至りしに当時の奉行池田播磨守召出して
汝
(
なんじ
)
は水戸
前
(
さきの
)
中納言殿より月扶持を贈らるゝ由、彼の君の事を憂ひ申すやいかにと問ふ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
汝
(
なんじ
)
も立派な
武士
(
さむらい
)
だから
逃隠
(
にげかく
)
れはいたすまい、
何
(
なん
)
の遺恨あって父織江を
殺害
(
せつがい
)
して屋敷を出た、
殊
(
こと
)
に当家の娘と不義をいたせしは確かに証拠あって知る
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もし僕が
汝
(
なんじ
)
を
我
(
われ
)
にあたえよと申し出すことを、彼女も
内
(
ない
)
ない待ち受けているならば、彼女はあらかじめそれを承諾しそうな気色を示すべきはずである。
世界怪談名作集:17 幽霊の移転
(新字新仮名)
/
フランシス・リチャード・ストックトン
(著)
「……身につけている蛮衣はなんだ、
螺髪
(
らほつ
)
とはなんだ、
眉間
(
みけん
)
の
白毫
(
びゃくごう
)
とはそもそもなんだ、
汝
(
なんじ
)
はいずれの辺土から来た頓愚だ、云え、仏とはそもなに者か」
荒法師
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
汝
(
なんじ
)
自身の如く隣人を愛せよ」といったのは彼ではなかったか。彼は確かに自己を愛するその法悦をしみじみと知っていた最上一人ということが出来る。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
俊寛 (月をにらみつつ)いかに
月天子
(
げってんし
)
、
汝
(
なんじ
)
の照らすこの世界をわしは
呪
(
のろ
)
うぞよ。汝の偶たる
日輪
(
にちりん
)
をも呪うぞよ。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
こりゃ六兵衛、
汝
(
なんじ
)
が
盗人
(
ぬすっと
)
でない
証拠
(
しょうこ
)
を見せるために、
余
(
よ
)
の手のひらに書いた文字を当ててみよ。うまく
判
(
はん
)
じ当てたならば、のぞみ通りの
褒美
(
ほうび
)
をとらせよう。
とんまの六兵衛
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
汝
(
なんじ
)
わが若き日の
猛
(
たけ
)
き友よ、かくてわれらなお再び結ばれたり……しかし詩はそれきりで終わってしまった。それは完成しなかった。渾然とはならなかった。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
僕は、かのブルタスのごとく誇らかに叫ぶことができる——「おお美徳よ、
汝
(
なんじ
)
はただ一つの名に過ぎず!」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
『ほんの少し待っていて下さらない?』と、
云
(
い
)
う夫人の言葉を聴くと、『
汝
(
なんじ
)
妖婦
(
ようふ
)
よ!』と、心の中で叫んでいた信一郎の決心も、またグラ/\と揺ごうとした。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
汝
(
なんじ
)
ごとき畜生道の言葉をあやつる
奴
(
やつ
)
は、
撲
(
なぐ
)
るよりほかに手の施しようがないのだ。張り手を受けろ。」
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
汝
(
なんじ
)
らは決して我が死を
歎
(
なげ
)
くに及ばぬ、我が
業力
(
ごうりき
)
ここに尽きて今日めでたく往生するのは取りも直さずわが
悪因業
(
あくいんごう
)
ここに消滅して今日より善因業を生ずるのである。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
汝
(
なんじ
)
の熱心に
賞
(
め
)
でて以後は
妾
(
わらわ
)
が教えて取らせん、汝
余暇
(
よか
)
あらば常に妾を師と頼みて稽古を励むべしと云い
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
...
被
(
き
)
せおって! 人に怨みがあるものかないものか! 見よ、見よ、ここ三代が間に
汝
(
なんじ
)
の屋敷にぺんぺん草を生やしてくれん!』『ええ、
喧
(
やかま
)
しいやい、ソレ、もっと薪を ...
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
正義の為に富豪を罰する我が団体の名を断りなく
騙
(
かた
)
りて、私欲の為に肉身を
欺
(
あざむ
)
く、
其
(
その
)
罪大なり。
速
(
すみやか
)
に
汝
(
なんじ
)
の得たる金を差出せ、然らずんば我等は暴力を
以
(
も
)
って汝に臨まん。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
弱きものよ
汝
(
なんじ
)
の名は女なり、しょせんは世に汚れた私でございます。美しい男はないものか……。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
汝
漢検準1級
部首:⽔
6画
“汝”を含む語句
汝等
汝達
大汝
汝兄
汝曹
汝命
汝水
汝屋船
汝輩
汝南
爾汝
丁汝昌
汝陽
汝南圃史
汝所堅之美豆能小佩
汝寧
除汝
汝海
諾児汝
汝爾
...