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毬
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まり
ふりがな文庫
“
毬
(
まり
)” の例文
妹は美しい
毬
(
まり
)
を持っています。その毬は姉が東京から土産に買って来たものでした。毬には桃の花の咲いた山の絵が描いてあります。
山へ登った毬
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
その姿ぜんたいが、こちらの眼にはほとんど十倍の大きさにみえ、思わず眼をつむりながら(夢中で)地面の上を
毬
(
まり
)
のように転げた。
日日平安
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼は一ぺん下にあたって、ゴム
毬
(
まり
)
のようにはねあがったが、やがて足がふたたび下につくと、のそりのそりと博士の前にやってきた。
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
このお話の
発端
(
おこり
)
は、寛保三年正月の五日でございます。昔も今も変りませんのは、御婦人は春羽根をつき
毬
(
まり
)
をついてお遊びなさいます。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
柔道何段かの前には、トム公も
毬
(
まり
)
のようだった。守衛たちは、さんざん転がった彼の体を、三人でかついで、門の外へ
抛
(
ほう
)
り出した。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
部屋の中には人形や
毬
(
まり
)
や汽車や、馬や
猿
(
さる
)
や
熊
(
くま
)
など、いろんなおもちゃがありました。彼はそれをとってきて、チロに見せました。
金の目銀の目
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
病友は鼈四郎にうしろ頸に脹れ上って今は
毬
(
まり
)
が
覗
(
のぞ
)
いているほどになっている癌の瘤へ、油絵の具で人の顔を描けというのである。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その末子のひたいには、生まれた時から一つの
毬
(
まり
)
を割ったような肉が突起していたのであるが、珠を失うと共に、その肉は落ちてしまった。
中国怪奇小説集:08 録異記(五代)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その大きな体はみごとにとんぼがえりを打って、なんのことはない大きな
毬
(
まり
)
のように、ころころと線路の上に
転
(
ころ
)
がり落ちた。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
を
塞
(
ふさ
)
がねえ。その人が
毬
(
まり
)
を取ると、三毛の
斑
(
ぶち
)
が、ぶよ、ぶよ、一度、ぷくりと腹を出いて、目がぎょろりと光ッたけ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それより門を
杜
(
と
)
じて、天井より糸で
毬
(
まり
)
をつるし、それを突くこと三年間、ついに天下無敵の突きの一手を発明してしまった。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
われは枝上の
果
(
このみ
)
に接吻して、又地に墜ちたるを拾ひ、
毬
(
まり
)
の如くに
玩
(
もてあそ
)
びたり。友の云ふやう。げに伊太利はめでたき國なる哉。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
と、犬の悲鳴が聞こえ、そこから忽然と空へ向かって、純白な
毬
(
まり
)
のような物が飛び上がり、すぐに芒の中へ落ちてしまった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
凍って白い
並木道
(
ブリワール
)
では大勢の子供がスキーで遊んでいる。母親や子守のいるベンチの前を中国の女が、ゴムでつるした色つき
毬
(
まり
)
を売って歩いた。
赤い貨車
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「猫の子!」と、ジナイーダは
叫
(
さけ
)
ぶと、ぱっと椅子から立ち上がって、毛糸の
毬
(
まり
)
をわたしの
膝
(
ひざ
)
へほうり出したまま、部屋から
駆
(
か
)
け出して行った。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
皮膚に触れれば
火傷
(
やけど
)
のような現象を起し、ゴム
毬
(
まり
)
などは陶器のように堅くなって、叩きつけるとコナゴナになって終う。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
が、
肝腎
(
かんじん
)
の天神様へは
容易
(
ようい
)
に出ることも出来なかつた。すると道ばたに女の子が
一人
(
ひとり
)
メリンスの
袂
(
たもと
)
を
翻
(
ひるがへ
)
しながら、
傍若無人
(
ばうじやくぶじん
)
にゴム
毬
(
まり
)
をついてゐた。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
澄子
(
すみこ
)
と呼ぶ二十を越したばかりのその女店員は、小麦色の血色のいい娘で、
毬
(
まり
)
のようにはずみのいい体を持っていた。
銀座幽霊
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
この虻の大きな図体の上に馬乗りになり、
肢
(
あし
)
でも首でも尻でも身体全体で抱へ込むやうにし、攻撃を加へながら
毬
(
まり
)
のやうになつて落下して来たのである。
ジガ蜂
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
小翠は布を刺して
毬
(
まり
)
をこしらえて
毬蹴
(
まりけり
)
をして遊んだ。小さな皮靴を着けて、その
毬
(
まり
)
を数十歩の先に蹴っておいて、元豊をだまして
奔
(
はし
)
っていって拾わした。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
亡
(
な
)
きお夏とお
毬
(
まり
)
とが、そこに新しい墓を並べて眠っていることまでを、あわれ深く思いやるというふうであった。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こう言って、ちょうどそのとき止まったタクシーのドアーを開けて、ゴム
毬
(
まり
)
のように俊夫君は飛びだしました。
墓地の殺人
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
それを見て黒馬が走り葦毛が駆けだし、三頭の馬は
土埃
(
つちぼこり
)
を
掻
(
か
)
き立てながら、
毬
(
まり
)
のようになって新道路を走った。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
で、中村がちょっと席をはずした時、私は父の耳に口を押しつけて小さな声で、「ゴム
毬
(
まり
)
を買って」と頼んだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
古人椎を以て鬼を
逐
(
お
)
うといえば、辟邪の力ある槌を鍾馗と崇めたのだ。その事毬杖とて正月に槌で
毬
(
まり
)
を打てば年中凶事なしというに類す(『骨董集』上編下前)。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
百事齟齬す、
正
(
まさ
)
にこれ死して益なく、生もまた
懶
(
ものう
)
きの苦境に迫る。ここにおいて五月六日庸書檄を作り、筆耕以て
無聊
(
ぶりょう
)
を消ぜんとす、これもまた獅子
毬
(
まり
)
なるかな。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
けれども十五、六分ばかりの間は、心臓が大きな
毬
(
まり
)
のようになって胸の中に踊ってるような気がした。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
たゞ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
膨
(
ふく
)
れた。
天
(
てん
)
が
波
(
なみ
)
を
打
(
う
)
つて
伸
(
の
)
び
且
(
か
)
つ
縮
(
ちゞ
)
んだ。
地球
(
ちきう
)
が
糸
(
いと
)
で
釣
(
つ
)
るした
毬
(
まり
)
の
如
(
ごと
)
くに
大
(
おほ
)
きな
弧線
(
こせん
)
を
描
(
ゑが
)
いて
空間
(
くうかん
)
に
搖
(
うご
)
いた。
凡
(
すべ
)
てが
恐
(
おそ
)
ろしい
魔
(
ま
)
の
支配
(
しはい
)
する
夢
(
ゆめ
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
船は
毬
(
まり
)
のやうに揺れた。そんな
間
(
なか
)
にも博士は、洋行気分を味はせたいと言つて
飛沫
(
しぶき
)
の吹き散る甲板に夫人を連れ出して、仔細に山やら岬やらの説明をし続けたものだ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
耳まで
鞘
(
さや
)
を払った刀身の如く、鋭利になって、触るれば手応えあらんずるとき、幻は微小なる黒体となって、
毬
(
まり
)
の如く
独楽
(
こま
)
の如くに来た、この黒体が
只
(
ただ
)
一つ動くために
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
産婆は
毬
(
まり
)
でもつくようにその胸をはげしく
敲
(
たた
)
きながら、
葡萄酒
(
ぶどうしゅ
)
葡萄酒といっていた。看護婦がそれを持って来た。産婆は顔と言葉とでその酒を
盥
(
たらい
)
の中にあけろと命じた。
小さき者へ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「はい、ようがす」といって、バルトリは
身体
(
からだ
)
を
毬
(
まり
)
のようにはずませて、ころげ出して行った。
ノンシャラン道中記:08 燕尾服の自殺 ――ブルゴオニュの葡萄祭り――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
と
唆
(
そその
)
かすようにいいながら、たたっ——と、
空足
(
からあし
)
を踏んで見せたその響きに、寄せられたように二人の手先が、銀磨きの十手を振りかぶって、
毬
(
まり
)
のように飛び込んで来た。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
地上の群集に向かってしきりと手を振っているのが
眺
(
なが
)
められたが、やがてそれも見えなくなって、ただゴム
毬
(
まり
)
ほどの銀色のものが、風のまにまに白い雲のあいだを縫って
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は、後頭部と肩のあたりに花火が爆発したような
震動
(
しんどう
)
を感じて、ぼうっとなった。しかし、この瞬間は彼にとって大事な一瞬であった。彼は
毬
(
まり
)
が
弾
(
は
)
ねるように起き上った。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
例の女の子が廊下でつく
毬
(
まり
)
の音が、完全な韻律を保って聞える外には何の物音もしなかった。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
棚に
沢山
(
たくさん
)
の皿や鉢を立て並べて其れを客に重い
毬
(
まり
)
を投げさせて思ふ存分壊させる趣向の店だ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
二つ
毬
(
まり
)
の
曲
(
くるい
)
に興ぜば、梅坊主連のかっぽれは、深川育ち夏姿、祭めかして懐しく、かてて馬楽トンガリ座の、若手新人熱演に、圓朝以来の芝居噺、紅白道具のどんでん返しは
寄席行灯
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
今ひとつのほうは
揚
(
あ
)
げ
毬
(
まり
)
といって、空に向かって、二つまたは三つの手毬を投げあげて、手に受けてはまた
揚
(
あ
)
げるという動作をくり返すあそびで、このほうは毬の
高低
(
たかひく
)
によって
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
主人が声を掛けると、手代の千代松は土間から外へ、
毬
(
まり
)
のように転げながら飛出します。
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私ははにかみやで、はじめは、運動場で組に分れて紅白の
毬
(
まり
)
を立てた棒の先にとりつけてある網の中へ投げ入れる競技などを、ほかの子供達と一緒になってやることが出来なかった。
生い立ちの記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
人間に限らず、犬猫の
類
(
たぐい
)
でさえも、動くものにかなりの興味を持つ本能があるように見える。手先きを動かしてやると猫や犬は随分ふざけかかって来るし、
毬
(
まり
)
を投げると追うて行く。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
獅子は久しく眼に見えぬ
檻
(
おり
)
の中で
獅子吼
(
ししく
)
をしたり、
毬
(
まり
)
を
弄
(
もてあそ
)
んだり、
無聊
(
むりょう
)
に
悶
(
もだ
)
えたりして居ましたが、最後に身を
跳
(
おど
)
らして
一躍
(
いちやく
)
檻外
(
らんがい
)
に飛び出で、万里の野に
奔
(
はし
)
って自由の死を遂げました。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
或る新聞小説家が吉原へ行っても女郎屋へ行かずに
引手茶屋
(
ひきてぢゃや
)
へ上って、十二、三の女の子を集めてお手玉をしたり
毬
(
まり
)
をついたりして無邪気な遊びをして帰るを真の通人だと称揚していた。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そのうち市では、一年増に西洋種の花が多くなつて、今年は
殆
(
ほとんど
)
皆西洋種になつてしまつた。
毬
(
まり
)
のやうな花の咲く
天竺
(
てんじく
)
牡丹を買はうと思つても、
花瓣
(
はなびら
)
の長い、平たい花の咲くダアリアしか無い。
田楽豆腐
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
昨今(十一月)子供達は
紙鳶
(
たこ
)
をあげ、
毬
(
まり
)
あそびをし、
独楽
(
こま
)
を廻している。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
雪子は黙って
項垂
(
うなだ
)
れたまま、裸体にされた日本人形のように両腕をだらりと側面に沿うて垂らして、寝台の下にころがっていた悦子の
玩具
(
おもちゃ
)
の、フートボール用の大きなゴム
毬
(
まり
)
に素足を載せながら
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
笑いながらパンの横腹を妾の方に向けて、そこについている切口を、すこしばかり引き開けるとその奥にテニスのゴム
毬
(
まり
)
ぐらいの銀色に光る
球
(
たま
)
が見えた。ところどころに黒いイボイボの附いた……。
ココナットの実
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこにはまた、たぶんパイプワートのだろうが、こまかい草または根のかたまりでできているらしい奇妙な
毬
(
まり
)
が、たくさん見あたった。直径半インチから四インチぐらいあり完全な球をなしている。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
三五郎は
毬
(
まり
)
でも投げるやうに投げられてしまひました。
子供に化けた狐
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
毬
漢検1級
部首:⽑
11画
“毬”を含む語句
毬栗
松毬
手毬
毬栗頭
護謨毬
毛毬
小手毬
繍毬
毬彙
打毬
毬栗坊主
毬棒
毬投
毬投場
手毬唄
蹴毬
毬杖
毬子
曲毬
毬燈
...