正體しやうたい)” の例文
新字:正体
(一)の神佛しんぶつはまとものものもあるが、異形いげうのものもおほい。そして神佛しんぶつ往々わう/\種々しゆ/″\變相へんさうするからこれわかつて正體しやうたい權化ごんげの二とすることが出來できる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
なんとゆつても、まるで屍骸しんだもののやうに、ひツくりかへつてはもう正體しやうたいなにもありません。はりすゝもまひだすやうないびきです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
見る事ぞ病氣でさへなき物ならば此邊迄も見送みおくやらんに無念むねんの事を仕てけりと前後不覺ぜんごふかくに泣沈み正體しやうたいさらあらざれば其有樣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
平生へいぜいからお人好ひとよしで、愚圖ぐづで、低能ていのうかれは、もともとだらしのないをとこだつたが、いままつた正體しやうたいうしなつてゐた。かれ何度なんどわたしかたたふれかゝつたかれなかつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
わたくし如何いかにもして、かのあやしふね正體しやうたい見屆みとゞけんものをと、ひるがへして左舷船首さげんせんしゆはしり、まなこさらのやうにしてそのふねかた見詰みつめたが、月無つきなく、星影ほしかげまれなるうみおもて
……「それで、矢來やらいから此處こゝまで。」「えゝ。」といきいて、「夢中むちうでした……なにしろ、正體しやうたいを、あなたにうかゞはうとおもつたものですから。」いまむかし山城介やましろのすけ三善春家みよしはるいへ
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「そんなに(身體を)ねぢつちあ、私あなたのお髮を頭から引き拔くぢやございませんか。でもそしたら、あなたは私の正體しやうたいを疑つてらつしやるのをお止めになるでせうね。」
障子しやうじそと野中のなかさん、野中のなかさんとこゑ二度にどほどきこえた。宗助そうすけ半睡はんすゐうちにはいとこたへたつもりであつたが、返事へんじ仕切しきらないさきに、はや知覺ちかくうしなつて、また正體しやうたいなく寐入ねいつてしまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勘次かんじはおつぎに身體からだ不相應ふさうおう仕事しごとをさせてることをつてる。それで自分じぶんあさ屹度きつとさききてかまどしたける。ときつかれた少女せうぢよはまだぐつたりと正體しやうたいもなくまくらからこけてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
君を思へば正體しやうたい無しや
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
開きけるに皆々漸次しだい酩酊めいていして前後をうしなふ程に五體ごたいにはか痿痺出しびれだせしも只醉の廻りしと思ひて正體しやうたいもなきに大膳等は此體このていを見て時分はよしと風上より我家に火を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
どのだ、正體しやうたい見屆みとゞけた、あのけむりだ。」といふと、濱野はまのさんがはなして、いでて、「いえ、あのにほひは石炭せきたんです。ひといでませう。」と、いふこともあわてながら戸外おもてす。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
(一)神佛しんぶつ正體しやうたい權化ごんげ
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
委敷くはしく物語ればお花は元より友次郎も夢かとばかり打驚き涙は落て瀧の如く中にもお花は心もみだるゝばかりに泣悲なきかなしみ暫時しばし正體しやうたいも非ざりしが何思ひけん友次郎が脇差わきざし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのまたかたうたら一通ひととほりでなかつたので、くやら、うめくやら、大苦おほくるしみで正體しやうたいないものかへつて可羨うらやましいくらゐ、とふのは、たしかなものほど、生命いのちあんじられるでな、ふねうぐつとかたむたび
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
時々とき/″\こずゑから、(赤茶釜あかちやがま)とふのがる。はない、赤剥あかはげの、のつぺらぽう、三じやくばかりのながかほで、あへくちふもえぬくせに、何處どこかでゲラ/\と嘲笑あざわらふ……正體しやうたい小兒こどもほどあるおほきなふくろふ
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)