明後日あさつて)” の例文
「氣の毒なことに、門前で喰ひ止られて、泣く/\歸つたさうですが、いづれ明後日あさつては御處刑になる小三郎の、助命願ひでせうが——」
今の下宿の払ひもしなければならぬ。月給は明後日あさつてでなければ渡らないとすると、いやでも応でも其迄待つより外はなかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
古実『中村さんは明日か明後日あさつて帰ると云つてゐました。どうもおれが行つて赤彦を興奮させて済まなかつたといつてゐました』
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
明日あす明後日あさつて明々後日やのあさつて」と女は指を折つて、「明々後日やのあさつて決定きまつたの。然しね、私は今になつて又氣が迷つて來たのよ」
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
明日あした帰らなければ、明後日あさつての朝はきつと帰つて来てよ。不断着ふだんぎだの、いろんなもの持つて行かなくつちやならないから。」
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
いそぐつて先月ぢうに越すはづの所を明後日あさつての天長節迄待たしたんだから、どうしたつて明日中あしたぢうさがさなければならない。どこか心当りはないか」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
明後日あさつて郡參事會へ行くさかいな、大阪へ𢌞はつて煙草入れ買うて來てやる。」なぞと切羽せつぱ詰つたやうにいふ折もあつた。
兵隊の宿 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
さて、わたしもくつろがう、明日あす明後日あさつて、早速大磯に移ることにして、それからみんなで真黒に丈夫になる競争をしよう。
愚かな父 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
その代り、明後日あさつての晩に、パラス・ホテルへ連れて行くよ。二人でルウレットをやらう。それがいやなら今オペラがかかつてるさうだから観に行かう
落葉日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「汽車で眠れない方が好いかも知れないわ、さうすれば明後日あさつてから屹度昼間が取り戻せるようになるわ!」
F村での春 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
奈何どうです。』と健は言つた。『今日来なかつたのへ、明日あす明後日あさつての中に役場から又督促さして見ては?』
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「十日と云へば明後日あさつてだ。りやうさんはもう一日二日延して、えいさんに會ふてから學校へ行くとえゝのに。」
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
待兼て居る成らん因て明あさは是非とも出立致し度と言けるに長庵否々いや/\此通り雨もふつて居ることゆえ明日あしたは一日見合せて明後日あさつて出立しゆつたつなすべしととゞめけれ共十兵衞は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
明後日あさつて都合がよくばと、先方からの申込み、善は急げだから、お前もそのつもりで、明日は髪をも結ひ、着物や襟の取合はせなども考へて、おくがよかろふと申しました。
こわれ指環 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
「教場の普請を為るところがあるので、今日半日と明日あす明後日あさつて休課やすみになつたものですから」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今日けふは三十にん患者くわんじやければ、明日あすは三十五にんる、明後日あさつては四十にんつてく、毎日まいにち毎月まいげつ同事おなじこと繰返くりかへし、打續うちつゞけてはくものゝ、市中まち死亡者しばうしやすうけつしてげんじぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「まあ、そんな御親切がおんなさるんだつたら……」客は幾らか冷かし気味に言つた。「あなたぢかに言つて上げて下さいよ、幸ひ明後日あさつては金曜日で祈祷会なんでございますから。」
明日から明後日あさつてへかけて、続続家へ着くことを想像するだけでも嬉しいのでした。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
明後日あさつてコロンボにると云ふ日の夜、音楽会のありとてベツカの君誘ひ給ひたれば、れいは波のおとたゞ聞きふけりて過ぎし日のまぼろしを追ふ頃を、髪上げきぬへて甲板かふばんで申しさふらふに
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
さりとてるくぎてはこまれど過不及くわふきふとりかぢはこヽろ一つよくかんがへて應用おうようなされ、じつところ出立しゆつたつ明後日あさつて支度したく大方おうかた出來できたれば最早もはやにかヽるまじく隨分ずゐぶん身躰からだをいとひてわづらひ給ふな
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「もう、明日あした明後日あさつて明々後日しあさつて……」
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
明後日あさつて。私あなたをお訪ねするわ
明日あした明後日あさつてうちへ帰つて来た時きつとはうね。いゝかい。きつとよ。約束してよ。あたいのうちへおいでよ。よくツて。」
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「お鷹狩の日取りは明後日あさつてだ。ぬかりはあるまいが、そのつもりで——。拙者には拙者の工夫がある。油斷をすると、手柄くらべにならうも知れぬぞ」
明日あすは五人倒せ。明後日あさつては六人倒せ。さうやつて百人倒したら、わしがまた会はう。いいか。よし、帰れ。
『婆さんだつて其通りチヤンと生きてゐる。ハヽヽ。兎に角弟の方も今年から寄越すさ。明日あす明後日あさつては休みで、四日から授業が始まる。その時此児これと一緒に。』
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
今日けふは約束があつて、あはせる人があるからがれないつて。明日あした明後日あさつて屹度伺ひますからつて」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一遍いつぺん來とくれやす。きつとだツせ。……明日あした……明後日あさつて……そら阿母おかあはんが喜びはりまツせ。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
明日あしたは用が有つて行かなければならんのだから、持つて行かんとまづいて。未だ有つたね、無い? そりや可かん。一枚も無いんか、そりや可かん。それぢや、明後日あさつて写しに行かう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
内々は彼方あちらがたに成たるも口惜くちをし、まつりは明後日あさつて、いよいよ我がかたが負け色と見えたらば、破れかぶれに暴れて暴れて、正太郎がつらきず一つ、我れも片眼片足なきものと思へばやすし
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
定めつゝ再度ふたゝび長庵に打向ひ云はるゝ通り相違さうゐなくは如何にもして五十兩調達てうだつせん宜しく御たのみ申しますと聞て長庵大いに悦びいさゝか相違は仕つらずしからば何頃いつごろ受取うけとりに參るべきやと申にぞ千太郎は明後日あさつて來り給ひねと約束かためて別れを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
明日あすも然らん、明後日あさつても…………
妄動 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
明日あすに、明後日あさつてに来る。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「俺には大分わかつて來たが、——仕上げをし度いことがある。明日、いや、明後日あさつての方が宜い、——明後日の晩、お前の家でを始めてくれないか」
明後日あさつて帰つて来てそれからまた彼方あつちつてしまふんだらう。え。おいとちやんはもうれなりむかうの人になつちまふんだらう。もうぼくとは会へないんだらう。」
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
この手紙が、美佐の冷たくなつたふところから取り出されるのは、明後日あさつての朝になるでしよう。
光は影を (新字新仮名) / 岸田国士(著)
明後日あさつては日曜だ、何処どこかへ行かうよ。その着物を見に三井へでも行かうか。いや、さうさう、柏原かしわばらの奥さんが、お前の写真を是非欲いと言つて、会ふたびやかましく催促するんでかなはんよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
『怎してつて、昨晩ゆべな聞いだら、源助さん明後日あさつて立つで、早く準備したくせツてゐだす。』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
うです一ぺんつて御覽ごらんになつちや、わざ/\毛皮けがはいただぶ/\したものなんかて、一寸ちよつと面白おもしろいですよ。なんなら御紹介ごせうかいしませう。丁度ちやうど明後日あさつてばんんでめしはせることになつてゐるから。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
田中屋たなかや柔和おとなしぶりにごまかされて、一つは學問がくもん出來できおるをおそれ、横町組よこてうくみ太郎吉たらうきち、三五らうなど、内々ない/\彼方あちらがたになりたるも口惜くちをし、まつりは明後日あさつて、いよ/\かたいろえたらば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「近いうちに、竹中十兵衞といふ浪人者が來る筈だ。明日かも知れない、明後日あさつてかも知れない、——來たら、誰にも逢はせずに、明神下の俺の家へつれて來てくれ」
夫 あれが十六ン(指を折り)明日あす明後日あさつて、……しあさつていつぱいには帰る筈です。
世帯休業 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
『怎してつて、昨晩ゆべな聞いたら、源助さん明後日あさつて立つで、早く準備したくせツてゐたす。』
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「かアさん。明日か明後日あさつて、お墓まゐり……。」
来訪者 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「ね親分、六十三の今日なら、明日は六十四でせう、明後日あさつてで六十五、明後々日しあさつては六十六——」
「まあさういふわけですけど、丁度、香港からシャルジュウル・レユニつていふ会社の船が明後日あさつてはいるんですの。それへ乗ると、西貢サイゴンで前の船に追ひつける予定なんですわ。二日もゐればたくさんね」
落葉日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
明後日あさつて?』と、お定は目をみはつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
明後日あさつてまでは一日半も暇のあることですから、ゆる/\お搜しになりますやうに。ハイ左樣なら
妻 明後日あさつてからまた、あたしの夫になる人よ。
世帯休業 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「シ、シ、シ明後日あさつて