トップ
>
所望
>
しょもう
ふりがな文庫
“
所望
(
しょもう
)” の例文
剰
(
あまつさ
)
え「物惜しみをするな」とまで云われたのがぐっと答えて、左大臣が
所望
(
しょもう
)
とあらば、どんな物でも差出す
料簡
(
りょうけん
)
になったのであった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
マーキュ
猫王
(
ねこまた
)
どの、
九箇
(
こゝのつ
)
あるといふ
足下
(
おぬし
)
の
命
(
いのち
)
が
只
(
たッた
)
一
(
ひと
)
つだけ
所望
(
しょもう
)
したいが、
其後
(
そののち
)
の
擧動次第
(
しこなししだい
)
で
殘
(
のこ
)
る
八箇
(
やッつ
)
も
叩
(
たゝ
)
き
挫
(
みじ
)
くまいものでもない。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
こう覚悟をきめてみると、ここに悠々としている必要はない、例の宝蔵院の槍のことも、この場合、
強
(
た
)
っての
所望
(
しょもう
)
でもないのですから。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「折から差しかゝったお寺へ寄って水を一杯
所望
(
しょもう
)
した。奴、
若
(
も
)
しこれをやらなかったら、アメリカ発見が出来ずにしまったろうというのさ」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
だがなおよく考えると、
喜劇
(
きげき
)
を
所望
(
しょもう
)
してくれなかったことは
結局
(
けっきょく
)
ありがたかった。なぜといって、どうそれをやるかくふうがつかなかった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
されば
如何
(
いか
)
にもして汝をば罪に落さず、敵と名告り討たれたいと思いし折から、相川より汝を養子にしたいとの
所望
(
しょもう
)
に任せ、養子に
遣
(
つか
)
わし
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ご
所望
(
しょもう
)
なら名前までいうことが出来ます。……加代姫が帰ったあとでここへやって来ましたのはね、和泉守の小小姓で三枝数馬という男です。
顎十郎捕物帳:21 かごやの客
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「ほほう、物が欲しい。」吉良は、にこにこして、「子供よのう。必ずともに寵愛いたす——との
証拠
(
しるし
)
にな。面白いぞ。して何が
所望
(
しょもう
)
じゃ。」
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
木之助は始め辞退したが、あまり勧められるので立派な座敷にあがり、そこで
所望
(
しょもう
)
されるままに、五つ六つの曲を
弾
(
ひ
)
いた。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そして訪問の口実として一杯の水を
所望
(
しょもう
)
した。わたしは、自分は池で水を飲んでいる、と答え、その方を指さし、
柄杓
(
ひしゃく
)
を貸してあげようといった。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
すると虚子が近来
鼓
(
つづみ
)
を習っているという話しを始めた。謡のうの字も知らない連中が、一つ打って御覧なさい、是非御聞かせなさいと
所望
(
しょもう
)
している。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうか、それほどまでに
所望
(
しょもう
)
なら代えてやろうか、じゃが、五両出して
妖怪
(
ばけもの
)
の首を欲しがる奴は、天下広しといえども貴様だけだろうよ、
自由
(
かって
)
にせい」
轆轤首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
夫
(
そ
)
れからいよ/\巴里に着して、先方から接待員が迎いに出て来ると、一応の挨拶終りて
先
(
ま
)
ず
此方
(
こっち
)
よりの
所望
(
しょもう
)
は、随行員も
多勢
(
たぜい
)
なり荷物も多いことゆえ
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
十勝の山奥に来て薩摩琵琶とは、思いかけぬ
豪興
(
ごうきょう
)
である。
弾手
(
ひきて
)
は
林学士
(
りんがくし
)
が部下の
塩田君
(
しおだくん
)
、
鹿児島
(
かごしま
)
の
壮士
(
そうし
)
。何をと問われて、取りあえず「
城山
(
しろやま
)
」を
所望
(
しょもう
)
する。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
世間には来賓祝辞を
所望
(
しょもう
)
される機会が来るのを一つの楽しみにして、学校の卒業式などに
臨
(
のぞ
)
む人も少なくはないが、それにしては人がらが少し変わりすぎている。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
所望
(
しょもう
)
いたしてよろしいものなら、なにとぞ、一念発起の心根をあわれみ、
塵労
(
じんろう
)
断ちがたい鈍根の青道心に
劬
(
いた
)
わりを寄せ給いて、浮世の風が解脱の障礙とならぬよう
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
榛軒は
辺幅
(
へんぷく
)
を
脩
(
おさ
)
めなかった。渋江の家を
訪
(
と
)
うに、踊りつつ玄関から
入
(
い
)
って、居間の戸の外から声を掛けた。自ら
鰻
(
うなぎ
)
を
誂
(
あつら
)
えて置いて来て、
粥
(
かゆ
)
を
所望
(
しょもう
)
することもあった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
更に自分にも一服との
所望
(
しょもう
)
ありしかば、
妾
(
しょう
)
は
覚束
(
おぼつか
)
なき
平手
(
ひらて
)
まえを立ておわりぬ。
貧家
(
ひんか
)
にこそ生い立ちたれ、母上の慈悲にて、
聊
(
いささ
)
かながらかかる
業
(
わざ
)
をも習い覚えしなりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
音枝に熱い茶を
所望
(
しょもう
)
しておいて、安江は文吉と向いあってすわりながら、つとめて何気なく
雑居家族
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「……おう、筑州どの。ひとつその男に
遣
(
つか
)
わされい。——甥めが、お杯を
所望
(
しょもう
)
と申しおる」
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
されば、名にしおはゞの歌につけて、都鳥の
所望
(
しょもう
)
にも、一つは
曲
(
ね
)
つたものと思つて
可
(
よ
)
い。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして
所望
(
しょもう
)
されるままに
曾根崎
(
そねざき
)
新地
(
しんち
)
のお茶屋へおちょぼ(芸者の
下地
(
したじ
)
ッ
子
(
こ
)
)にやった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
馬の
嘶
(
な
)
き声を
所望
(
しょもう
)
されて、牛の鳴くまねと間違えて勇に
怒
(
おこ
)
られ、
家
(
うち
)
じゅうを笑わせた。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかるに日本人が西洋料理を食べる時にはわざわざ独得の技術を捨てて調法な箸を使わずに不便なフークを使うのはその意を得ない。僕は折々西洋料理屋へ
往
(
い
)
って箸を
所望
(
しょもう
)
するよ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
その仕合には、
越中守綱利
(
えっちゅうのかみつなとし
)
自身も、老職一同と共に臨んでいたが、余り甚太夫の槍が見事なので、さらに剣術の仕合をも
所望
(
しょもう
)
した。甚太夫は
竹刀
(
しない
)
を
執
(
と
)
って、また三人の侍を打ち据えた。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
○余が
所望
(
しょもう
)
したる
南岳
(
なんがく
)
の
艸花画巻
(
そうかえまき
)
は今は余の物となつて、枕元に置かれて居る。朝に夕に、日に幾度となくあけては、見るのが何よりの楽しみで、ために命の延びるやうな心地がする。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
その方はどうじゃな。別してねじ切った奴が所望かな、それとも薄いが
所望
(
しょもう
)
かな
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
所望
(
しょもう
)
して打ってもらうという例さえ
稀
(
まれ
)
にはあった。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
五郎は
所望
(
しょもう
)
して、また味わってみた。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
と、
弟子入
(
でしい
)
りを
所望
(
しょもう
)
するのでした。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
濃く
淹
(
い
)
れし緑茶を
所望
(
しょもう
)
梅雨
(
つゆ
)
眠し
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
お母さんと妹の清子さんと女中の三人暮らしで男切れがないから、私は
寧
(
むし
)
ろ
所望
(
しょもう
)
されて留守居役を引き受けているのである。
恩師
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
今宵はお客様の
強
(
た
)
っての
所望
(
しょもう
)
で二度まで間の山節をうたい返した上、その
因由
(
いわれ
)
などを知っている限り話させられたので、これほど
晩
(
おそ
)
くなろうとは思わなかった
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一手
所望
(
しょもう
)
だ……という男の声は、
算
(
さん
)
をみだした闘場において、確かなひびきをもって栄三郎の耳をうった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
我輩
(
わがはい
)
はこの一段に至りて、勝氏の
私
(
わたくし
)
の
為
(
た
)
めには
甚
(
はなは
)
だ気の毒なる
次第
(
しだい
)
なれども、
聊
(
いささ
)
か
所望
(
しょもう
)
の
筋
(
すじ
)
なきを得ず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
いつも不意に
所望
(
しょもう
)
せられるので、身を放さずに持っている笛である。夜はしだいにふけて行く。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
しばしば諸侯から
所望
(
しょもう
)
されたほどの名誉のものどもで、毎年十月十五日の紀州侯の誕生日には、おなじく
御休息
(
ごきゅうそく
)
の
染岡
(
そめおか
)
の腰元と武芸の試合を御覧にいれることになっているが
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「そしてなお申すには。——いつかまた、きっと尊氏の命を狙うぞ、目的をとげるまでは、
所望
(
しょもう
)
してやむまいと、
太々
(
ふてぶて
)
しくも言い払い、どこへやら姿をかくし去ってござりまする」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも今度の縁談は先方から
達
(
た
)
っての
所望
(
しょもう
)
だと云う事、校長自身が進んで
媒酌
(
ばいしゃく
)
の労を
執
(
と
)
る以上、悪評などが立つ
謂
(
い
)
われのないと云う事、そのほか日頃私の希望している東京遊学のごときも
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
細面
(
ほそおもて
)
の
姝
(
きれい
)
な女でした、その女が、
下谷
(
したや
)
に住んでいる
旗本
(
はたもと
)
の三男に
見染
(
みそ
)
められて、たってと
所望
(
しょもう
)
されて、そこに嫁に往ったところが、その男がすぐ
病
(
やまい
)
で亡くなったので、
我家
(
うち
)
へ帰って来ているうちに
鼓の音
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
お絹は叔母に
所望
(
しょもう
)
されて与えしなり。
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「いいや。悪事千里を走る。
善
(
ぜん
)
なんぞ門を
出
(
い
)
でざらんやです。そこで今回ご三
男様
(
なんさま
)
のお相手にきみのところの末のお子さんをご
所望
(
しょもう
)
なさるのです」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
すなわちこれ
我輩
(
わがはい
)
が榎本氏の
出処
(
しゅっしょ
)
に
就
(
つ
)
き
所望
(
しょもう
)
の一点にして、
独
(
ひと
)
り氏の一身の
為
(
た
)
めのみにあらず、国家百年の
謀
(
はかりごと
)
において士風
消長
(
しょうちょう
)
の
為
(
た
)
めに
軽々
(
けいけい
)
看過
(
かんか
)
すべからざるところのものなり。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
有
(
も
)
って生れた
美貌
(
びぼう
)
が仇となり、無頼漢同様な、さる旗下の次男に
所望
(
しょもう
)
されて、嫌がる彼女を
金銭
(
かね
)
で転んだ親類たちが取って押さえて、無理往生に輿入れさせようというある日の朝
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
独
(
ひと
)
り
住
(
ず
)
みの門前婆さんのことだから、筆墨を
所望
(
しょもう
)
されたら、狼狽してほこりの溜ったのを吹き吹き、申しわけをしながら、やっと取り出さないまでも、こんなに念の入ったのを出されようとは案外で
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「どこかないか。
湯漬
(
ゆづけ
)
なと
所望
(
しょもう
)
するところは」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「君が
所望
(
しょもう
)
したからさ。ロマンスといえば、これぐらいのものさ。僕のことだから、何うせ荒い」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
また或は各地の固有に
有余
(
ゆうよ
)
不足
(
ふそく
)
あらんには互にこれを
交易
(
こうえき
)
するも
可
(
か
)
なり。すなわち
天与
(
てんよ
)
の
恩恵
(
おんけい
)
にして、
耕
(
たがや
)
して食い、製造して用い、
交易
(
こうえき
)
して便利を達す。人生の
所望
(
しょもう
)
この外にあるべからず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「しからば再勝負を
所望
(
しょもう
)
する」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「出淵氏、
所望
(
しょもう
)
じゃのう」
脚
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“所望”の意味
《名詞》
所望(しょもう)
欲しいものなどを望み願うこと。注文すること。
(出典:Wiktionary)
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
望
常用漢字
小4
部首:⽉
11画
“所”で始まる語句
所謂
所以
所
所詮
所為
所作
所業
所在
所々
所有