トップ
>
尚更
>
なおさら
ふりがな文庫
“
尚更
(
なおさら
)” の例文
況
(
ま
)
して今日の如く、在来の思想が行き詰ったかに考えられ、我々が何か新に蹈み出さねばならぬと思う時代には
尚更
(
なおさら
)
と思うのである。
読書
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
ましてやこれは、場所がらといひ弁士の
恰好
(
かっこう
)
といひ、てつきり近頃はやりの新興宗教の宣伝にきまつてゐる。
尚更
(
なおさら
)
のこと興味がない。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
しかしそれなら
尚更
(
なおさら
)
私
(
わたくし
)
の
申上
(
もうしあ
)
げる
事
(
こと
)
がよくお
判
(
わか
)
りの
筈
(
はず
)
で、
神社
(
じんじゃ
)
の
装置
(
そうち
)
もラジオとやらの
装置
(
そうち
)
も、
理窟
(
りくつ
)
は
大体
(
だいたい
)
似
(
に
)
たものかも
知
(
し
)
れぬ……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
時間になったらさッさと先い寝てしまいましたら、夫は
尚更
(
なおさら
)
落ち着かん
塩梅
(
あんばい
)
で、十二時になっても寝付かれんらしい寝返り打って
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
持って生まれた性格を舞台の上でイタメ附けられている
荒
(
すさ
)
んだ性格の人に多いんですってね。呉羽さんなんか
尚更
(
なおさら
)
それが烈しいのでしょう。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
家来たちがなだめると
尚更
(
なおさら
)
、図に乗って
駄々
(
だだ
)
をこね、蝦夷を見ぬうちはめしを食わぬと言ってお
膳
(
ぜん
)
を
蹴飛
(
けと
)
ばす仕末であった。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
とくに宝蔵殿のような場所では
尚更
(
なおさら
)
である。それにしても、いまのこの
祀
(
まつ
)
り方は、あまりに人工的に過ぎはしないだろうか。尊ぶ気持はわかる。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
だから縁の無い事は金尽にも力尽にもいかぬもので、ましてや夫婦の縁などと来ては
尚更
(
なおさら
)
重い事で、人間の了簡で自由に出来るものではござりませぬ。
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何
(
いず
)
れまた学校に残ッておるお方は
長寿
(
ながいき
)
をなさるだろうし、私は
尚更
(
なおさら
)
長寿をするつもりだから、またいつか上ッてつまらぬ演説をする事もありましょう。
人格の養成
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
事情がわかって来るにつれて、行き
斃
(
だお
)
れになった二人の立場は了解されたが、ただそれを、そういう事情であれば
尚更
(
なおさら
)
、無断で取り出せない気がした。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
ましてお前さんなんざアそう言ッちゃアなんだけれども、本田さんから見りゃア……なんだから、
尚更
(
なおさら
)
の事だ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
てッきり、あなたの一件で笑われたと、ぼくは
尚更
(
なおさら
)
、
口惜
(
くや
)
しがって、あなたを捜しまわりましたが、その晩は
遂
(
つい
)
に見つからず、また
不眠
(
ふみん
)
の夜を送りました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
ことに近ごろ、
下手
(
へた
)
の横好きで創作を始めたら、
尚更
(
なおさら
)
読む暇がないのに困ってしまった。だから、新らしい作家に関しては自分の知識は
甚
(
はなは
)
だ乏しいのである。
ポオとルヴェル
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
何時
(
いつ
)
も
不断着
(
ふだんぎ
)
に
鼠地
(
ねずみじ
)
の
縞物
(
しまもの
)
のお
召縮緬
(
めしちりめん
)
の
衣服
(
きもの
)
を着て
紫繻子
(
むらさきじゅす
)
の帯を
〆
(
し
)
めていたと云うことを
聞込
(
ききこ
)
んだから、私も
尚更
(
なおさら
)
、いやな気が
起
(
おこ
)
って早々に転居してしまった。
女の膝
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
しかし、見届けねばならぬこともないだろうし、見届けたいために引きとるのでは
尚更
(
なおさら
)
ないのだから、精一ぱいに育てさえすれば、あとは又あとの風が吹くだろう。
一つ身の着物
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
地方的な芝居一つだってほとんどない有様ですが、沖縄ではそれが日々のことなのですから驚きました。それがまたとても美しいのですから
尚更
(
なおさら
)
のことであります。
沖縄の思い出
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
健康な人間にさえ、この部屋の空気は重苦しい印象を与えまいものでもないのに、ましてや常軌を逸し興奮しきった想像力の持主には、
尚更
(
なおさら
)
その作用はひどかった。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
それから事務所を訪ねて、調べると
尚更
(
なおさら
)
怪しいから、妹の文子を少女給仕に変装させて
入
(
い
)
りこました。
黒襟飾組の魔手
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
灰色の雪が光りを
帯
(
お
)
んで、西の山々は黒くなって、日が入りかかっている。東を見ても、南を見ても
尚更
(
なおさら
)
北を見ても暗くて、
鬱陶
(
うっとう
)
しい空には飛ぶ烏の影も見えなかった。
北の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
今まで薄暗いところで見た娘の
貌
(
かお
)
のくぼみやゆがみはすっかり
均
(
な
)
らされ、いつもの
爛漫
(
らんまん
)
とした大柄の娘の眼が涙を
拭
(
ふ
)
いたあとだけに、
尚更
(
なおさら
)
、
冴
(
さ
)
え
冴
(
ざ
)
えとしてしおらしい。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それでもだまって居るのは
尚更
(
なおさら
)
苦しくて日の暮しようがないので、きょうは少ししゃべって見ようと思いついた。例の秩序なしであるから、そのつもりで読んで貰いたい。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
古本屋を時々
覗
(
のぞ
)
くということは読者にとってのひとつの修養である。それは出版業者にとっても多く参考になることではなかろうかと思う。著者にとっては
尚更
(
なおさら
)
のことだ。
書物の倫理
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
が、そう云われてみると、忠次は
尚更
(
なおさら
)
選みかねた。自分の大事な場所であるだけに、彼等の名前を指すことは、彼等に対する信頼の差別を、露骨に表わす事になって来る。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
元来女の性質は
単純
(
シンプル
)
な物事に信じ易いものだから、
尚更
(
なおさら
)
こういうことが、
著
(
いちじ
)
るしく現われるかもしれぬ。それが
為
(
た
)
めか、かの
市巫
(
いちこ
)
といったものは
如何
(
いかに
)
も昔から女の方が多いようだ。
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
「両方ですわ。あたし、倭文子さんがあんな風だと、
尚更
(
なおさら
)
谷山が死んだのはうそのように思われるのです。この二つの事柄には、恐ろしい運命のつながりがある様な気がしますの」
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
日本音楽などは
尚更
(
なおさら
)
詰らぬものだと思う。
只
(
ただ
)
謡曲
丈
(
だ
)
けはやって居る。足掛六七年になるが、これも
怠
(
なま
)
けて居るから、どれ程の上達もして居ない。
下
(
しも
)
がかりの宝生で、先生は宝生新氏である。
文士の生活:夏目漱石氏-収入-衣食住-娯楽-趣味-愛憎-日常生活-執筆の前後
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
生活の外形のみのことではなくその精神も魂も二百円に限定され、その卑小さを凝視して気も違わずに平然としていることが
尚更
(
なおさら
)
なさけなくなるばかりであった。怒濤の時代に美が何物だい。
白痴
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ところがもっと近くによりますと、
尚更
(
なおさら
)
わからなくなりました。三疋とも口が大きくて、うすぐろくて、
眼
(
め
)
の出た
工合
(
ぐあい
)
も実によく似ているのです。これはいよいよどうも困ってしまいました。
蛙のゴム靴
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
収 僕の後では
尚更
(
なおさら
)
弾けなくなるよ。さあ愚図々々言ってないで。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
「そいつァ
尚更
(
なおさら
)
初耳
(
はつみみ
)
だ。——その
相手
(
あいて
)
ッてな、どこの
誰
(
だれ
)
よ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
まして
斯様
(
かよう
)
な大規模な深林に至っては
尚更
(
なおさら
)
のことです。
日本アルプスの五仙境
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
尚更
(
なおさら
)
逸
(
いっ
)
することのできない話である。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
女蛇に魅入られたようなタマラナイ気持になるだけよ。それがトテモ底強い魅力を持って迫って来るんですから
尚更
(
なおさら
)
、息苦しくなって来るのよ
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「あははは、お前のように云った日にゃあ、気の弱え者は
尚更
(
なおさら
)
踊れやしねえじゃねえか。まあそう
云
(
い
)
わずに踊ってやんなよ」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そうしたさもしい心の持主である上に、身体までが病毒に汚されて居たのですから、加藤家こそいい迷惑です。
況
(
いわん
)
や無邪気な友江さんは
尚更
(
なおさら
)
可哀相なものです。
暴風雨の夜
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
明
(
あ
)
けても
暮
(
く
)
れても、
眼
(
め
)
に
入
(
い
)
るものはただ
山
(
やま
)
ばかり、ひたすら
修行
(
しゅぎょう
)
三昧
(
ざんまい
)
に
永
(
なが
)
い
歳月
(
としつき
)
を
送
(
おく
)
った
私
(
わたくし
)
でございますから、
尚更
(
なおさら
)
この
海
(
うみ
)
の
景色
(
けしき
)
が
気
(
き
)
に
入
(
い
)
ったのでございましょう
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
安「無理な事は聴かれませんよ、お前が仲に這入っては
尚更
(
なおさら
)
勘弁は出来ぬではないか」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二人死んだら
尚更
(
なおさら
)
いい。ああ、あの子は殺される。私の、可愛い不思議な生きもの。私はおまえを、女房の千倍も愛している。たのむ、女房を殺せ! あいつは邪魔だ! 賢夫人だ。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
段々機械の力に圧倒されて、正直な仕事が衰えてきた今日、
尚更
(
なおさら
)
手仕事のよき面を
省
(
かえりみ
)
るべきだと思います。ですが日本には果してどんな着実な手仕事が残っているのでありましょうか。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
頭が鋭くて
穿鑿症
(
せんさくしょう
)
にまで意固地が
募
(
つの
)
って、知性の過剰に苦しむ性質の男は、えて、このらっきょのような女に引っかゝるようです。
殊
(
こと
)
にその上皮が美人であったなら
尚更
(
なおさら
)
のことでしょう。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
自分や人の俳句を挙げて互に議論するような場合は
尚更
(
なおさら
)
に多くなる。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
いけ年を
仕
(
つかまつっ
)
てもとかく人
真似
(
まね
)
は
輟
(
や
)
められぬもの、
況
(
まし
)
てや小供という
中
(
うち
)
にもお勢は
根生
(
ねおい
)
の
軽躁者
(
おいそれもの
)
なれば
尚更
(
なおさら
)
、
倐忽
(
たちまち
)
その娘に
薫陶
(
かぶ
)
れて、
起居挙動
(
たちいふるまい
)
から物の言いざままでそれに似せ、急に
三味線
(
しゃみせん
)
を
擲却
(
ほうりだ
)
して
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そこに私が加わると、
尚更
(
なおさら
)
いけない理由があった。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
尚更
(
なおさら
)
怒って
楢ノ木大学士の野宿
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
けれども私が死にましたならば、
尚更
(
なおさら
)
深い、悲しみと、苦しみをアヤ子に与えることになります、ああ、どうしたらいいでしょう私は…………。
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
猫でもそのくらいなことがないとは云えぬ、———と、そう考えると、
尚更
(
なおさら
)
庄造はリリーに済まない気がするのである。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
相当
(
そうとう
)
長
(
なが
)
い
間
(
あいだ
)
こちらの
世界
(
せかい
)
に
住
(
す
)
んで
居
(
い
)
る
私達
(
わたくしたち
)
ですらそう
感
(
かん
)
ずるのでございますから、
現世
(
げんせ
)
の
方々
(
かたがた
)
としては
尚更
(
なおさら
)
のことで、
容易
(
ようい
)
に
竜神
(
りゅうじん
)
の
存在
(
そんざい
)
が
信
(
しん
)
じられない
筈
(
はず
)
だとお
察
(
さっ
)
しすることができます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
年月を
経
(
へ
)
た男女——少なくとも取り立てて男女などと感じなくなった自分達だけは、子の前などでは
尚更
(
なおさら
)
「夫婦」なんてぷんぷんなまの性欲の
匂
(
にお
)
いのする形容詞を着せられるのは
恥
(
はず
)
かしい。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今のこの時局に
於
(
おい
)
ては
尚更
(
なおさら
)
、大いに読まなければいけない。おおらかな、強い意志と、努めて明るい高い希望を持ち続ける為にも、諸君は今こそシルレルを思い出し、これを愛読するがよい。
心の王者
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
お前を親の様に、
尚更
(
なおさら
)
私が
楽
(
たのし
)
みをさしてから見送り
度
(
た
)
いから、もう一二年達者になってねえ、決して家来とは思わない、
我儘
(
わがまゝ
)
をすれば
殴打擲
(
ぶちたゝき
)
は
当然
(
あたりまえ
)
で、貰い乳をして
能
(
よ
)
く育てゝくれた、有難い
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
尚
常用漢字
中学
部首:⼩
8画
更
常用漢字
中学
部首:⽈
7画
“尚”で始まる語句
尚
尚侍
尚武
尚々
尚書
尚白
尚兵館
尚質
尚真
尚泰