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小舎
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こや
ふりがな文庫
“
小舎
(
こや
)” の例文
旧字:
小舍
私が若い頃登った山には、番人のいる
小舎
(
こや
)
が極めてすくなく、大体水に近い場所にテントを張り、飯をたいて食事をしたものである。
飢えは最善のソースか
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
かくして三時ちかく峠の
小舎
(
こや
)
にたどりついた。海抜六千尺。小舎は富士などの室のように、山かげに風をさけた細長い一つ家だった。
雪の武石峠
(新字新仮名)
/
別所梅之助
(著)
私はその
頸
(
くび
)
から
鉄鎖
(
てつぐさり
)
を取り、
羊飼
(
ひつじか
)
いに手伝わせて、ロボをブランカの死体をおいた
小舎
(
こや
)
へ運び入れて、そのかたわらに
並
(
なら
)
べてやった。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
牧場、牧舎の見廻りが一通り済んで、
小舎
(
こや
)
へ帰って、二人水入らずの
晩餐
(
ばんさん
)
の後、番兵さんは一個の
曲物
(
まげもの
)
を、茂太郎の前に出して言う
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
スパセニアが番人にいい付けて、水門を開いて水を落して見せるのだと、私たちを離れて
遥
(
はる
)
かの
小舎
(
こや
)
の方へ駈け去っていった時でした。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
このとき、ちょうど
同
(
おな
)
じ
村
(
むら
)
に
住
(
す
)
んでいる、
人
(
ひと
)
のいいおじいさんが、
山
(
やま
)
の
小舎
(
こや
)
でおそくなるまで
働
(
はたら
)
いて、そこを
通
(
とお
)
りかかったのであります。
いいおじいさんの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
荒れ果てて昔のおもかげもない、むさくるしい
小舎
(
こや
)
の中で、初めて観る西洋映画は、現実からはづれたやうな奇妙な感じだつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
「うむ、馬を
小舎
(
こや
)
に繋いで置いたから、急いで牡蠣を一
升
(
ます
)
やつてくれ。」フランクリンはかう言つて、
亀縮
(
かじか
)
むだ
掌面
(
てのひら
)
で
頤
(
おとがひ
)
を撫でまはした。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それでいざやろうという段になると、君が物置みたいな所から、切符売場のようになった小さい
小舎
(
こや
)
を引張り出して来るんだ。
雪後
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
ところがこれを聞くと、お婆さんは大層
憤
(
おこ
)
ってしまいまして、小さな
小舎
(
こや
)
から出て来ると、橋のまん中に立って怒鳴りました。
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
樺林
(
かばばやし
)
を
拓
(
ひら
)
いて、また一軒、熊笹と
玉蜀黍
(
とうもろこし
)
の
稈
(
から
)
で
葺
(
ふ
)
いた
小舎
(
こや
)
がある。あたりには
樺
(
かば
)
を
伐
(
き
)
ったり焼いたりして、
黍
(
きび
)
など作ってある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
椰子の葉で屋根をふいた、小さい見すぼらしい
小舎
(
こや
)
に棲んでいるが、
槍
(
やり
)
や刀や、弓、鉄砲だけは、立派なやつを持っている。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
爺さんはもう長い間木工場の手伝人夫をして、
何処
(
どこ
)
には何があるとか、何号の
小舎
(
こや
)
には
欅
(
けやき
)
の板が何枚あるとか、職工達の誰よりもくはしかつた。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
と見れば
後
(
あと
)
の
小舎
(
こや
)
の前で、昇が
磬折
(
けいせつ
)
という風に腰を
屈
(
かが
)
めて、其処に
鵠立
(
たたずん
)
でいた洋装紳士の
背
(
せなか
)
に向ッて
荐
(
しき
)
りに礼拝していた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
小舎
(
こや
)
に
歸
(
かへ
)
つてからもなほ、
大聲
(
おほごゑ
)
で
泣
(
な
)
きながら「おつかあ、おいらは
何
(
なん
)
で、あの
雁
(
がん
)
のやうに
飛
(
と
)
べねえだ。おいらにもあんないい
翼
(
はね
)
をつけてくんろよ」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
水車
(
すいしゃ
)
は、「カタン—コトン、カタン—コトン、カタン—コトン。」と
廻
(
まわ
)
っていました。
小舎
(
こや
)
の
中
(
なか
)
には、二十
人
(
にん
)
の
粉
(
こな
)
ひき
男
(
おとこ
)
が、
臼
(
うす
)
の
目
(
め
)
を
刻
(
き
)
って
居
(
い
)
ました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
乾草の堆や
小舎
(
こや
)
などある畑の側の広場に立って、淋しい月あかりの海を見て立ちました。舟がかりをしている漁師の船窓にはあかりがこもっていました。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
馬の家の南に荒れた
圃
(
はた
)
があって、そこに
椽
(
たるき
)
の三四本しかない
小舎
(
こや
)
があった。陶はよろこんでそこにおって、毎日北の庭へきて馬のために菊の手入れをした。
黄英
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その時に、私達はそれをどう云ふ風に扱つたらいいだらう? 私達は其の牝牛共を囲ゐや
小舎
(
こや
)
の中に入れて、手の届く処におく、蟻も時としては木虱にさうする。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
小舎
(
こや
)
にはいって行くと、兎どもは、
腕白小僧式
(
わんぱくこぞうしき
)
に、耳の帽子を深くかぶり、鼻を
仰向
(
あおむ
)
け、太鼓でも
叩
(
たた
)
くように前足を突き出し、がさがさ彼のまわりにたかって来る。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
次に貧婦の
小舎
(
こや
)
を
敲
(
たた
)
くと、歓び入れてあるたけの
飲食
(
おんじき
)
を施し、藁の床に臥さしめ、己は土上に坐し終夜眠らず、襦袢を作って与え、朝食せしめて村外れまで送った。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
途中にあるグース・ポンドにはジャコウネズミの集団がすまい、かれらの
小舎
(
こや
)
を氷のうえ高く張っていたが、わたしが通りすぎたときには一匹も外に出ていなかった。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
欣之介は、自分の農園の中央部に小さな洋風の
小舎
(
こや
)
を建てて、そこでたつた一人で寝起してゐた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
正面に象の
小舎
(
こや
)
があり、左手に
茶店
(
ちゃみせ
)
があり、右手の岡の上にライオンや虎や豹のいる所がある。
動物園の一夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「うんにゃ、お日様にひどく照りつけられたせいだよ。
小舎
(
こや
)
で休んだらええかも知んねえ」
麦畑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
公園に着いた我々は、立派な樹木が並ぶ広い並木路を通って行ったが、道の両側には小さな一時的の
小舎
(
こや
)
或は店があって、売物の磁器、漆器其他の日本国産品を陳列している。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
でなければ鮮人の
小舎
(
こや
)
のように見ぐるしく、またバラックの網納屋のようである。それらの
家屋
(
チセ
)
も絵葉書なぞで見る北海道アイヌの伝統的
家屋
(
チセ
)
とはほとんど趣を異にしている。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
『
筋肉
(
にく
)
の固く引き
緊
(
しま
)
ってることといったら、まったく
吃驚
(
びっくり
)
するくらいで、鼻面が——針のように尖ってるのだよ!』そう言って二人を、非常に
瀟洒
(
しょうしゃ
)
な小さい
小舎
(
こや
)
へと案内したが
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「はっ」
小舎
(
こや
)
を開けると、吏員は、何か狼狽した顔つきで、息を
昂
(
たか
)
めていうのだった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
オリットの
小舎
(
こや
)
に着いた、私が恐い、怖ろしい
念
(
おも
)
いをしながらも、もう一遍後髪を引かれて見たいとおもった小舎の前の
深潭
(
しんたん
)
は、浅瀬に変って、水の色も、いやに白っちゃけてしまった。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
行つても/\知らん
地方
(
ところ
)
だ。
低地
(
ひくち
)
が高台になつて瀬の早い川が
逶迤
(
うね/\
)
と通つてゐる処もあつた。
烟突
(
けむだし
)
も無い
小舎
(
こや
)
や木の枝を編むで
拵
(
こしら
)
へた納屋が
後
(
あと
)
になつて、立派な邸や
石造
(
せきざう
)
の建物が見える。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
一体何者だろう? 俺のように
年寄
(
としと
)
った母親が
有
(
あろ
)
うも
知
(
しれ
)
ぬが、さぞ夕暮ごとにいぶせき
埴生
(
はにゅう
)
の
小舎
(
こや
)
の戸口に
彳
(
たたず
)
み、
遥
(
はるか
)
の空を
眺
(
ながめ
)
ては、命の綱の
掙人
(
かせぎにん
)
は戻らぬか、
愛
(
いと
)
し我子の姿は見えぬかと
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
陵の
供廻
(
ともまわ
)
りどもの
穹廬
(
きゅうろ
)
がいくつか、あたりに組立てられ、無人の境が急に
賑
(
にぎ
)
やかになった。用意してきた酒食がさっそく
小舎
(
こや
)
に運び入れられ、夜は珍しい歓笑の声が森の鳥獣を驚かせた。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それから
小舎
(
こや
)
に帰って寝ましたがね、いゝ晩なんです、すっかり晴れて
庚申
(
かうしん
)
さんなども実にはっきり見えてるんです。あしたは霜がひどいぞ、砂利も悪くすると凍るぞって云ひながら、寝たんです。
化物丁場
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
年少組はバクスターを
首領
(
しゅりょう
)
にして、ヴィクンヤなどを入れておく
小舎
(
こや
)
を建てることにむちゅうになった、小舎はサクラ号から持ってきた板をもってつくり、屋根は松やにを
塗
(
ぬ
)
った
油布
(
あぶらぬの
)
をもっておおい
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
村はずれの小さな
小舎
(
こや
)
、それがふたりの家でした。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
家鴨の子は泣き泣き
小舎
(
こや
)
の前に帰つて来た
都会と田園
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
きし
方
(
かた
)
の
悔
(
くい
)
をもて築きたる此
小舎
(
こや
)
は
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
鍛冶倉は眼へ血が入ったので、夢中になって、金蔵の首へかけた縄は放さずに
小舎
(
こや
)
の外へ転がり出す。金蔵はそれに引っぱられて
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
冬
(
ふゆ
)
になって、
雪
(
ゆき
)
が
地
(
ち
)
の
上
(
うえ
)
に
積
(
つ
)
もると、
鶏
(
にわとり
)
は
小舎
(
こや
)
の
中
(
なか
)
に
押
(
お
)
し
入
(
い
)
れられてしまいました。そして
外
(
そと
)
へ
出
(
で
)
ることを
許
(
ゆる
)
されませんでした。
ものぐさなきつね
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
思ひあきらめて、ゆき子は、マアケットでカストリをビール壜に分けて貰つて
小舎
(
こや
)
へ戻つた。富岡は炬燵につつぷしてうとうとしてゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
赤錆
(
あかさ
)
びたトタン張りの
小舎
(
こや
)
が点在して色のさめた洗濯物やボロ
蒲団
(
ぶとん
)
など乾してあるのが哀れに目立つ戦災風景だつた。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
キチガイのように
暴
(
あ
)
れ狂い、
哭
(
な
)
き
喚
(
さけ
)
ぶアヤ子を、両腕にシッカリと
抱
(
だ
)
き
抱
(
かか
)
えて、
身体
(
からだ
)
中血だらけになって、やっとの思いで、
小舎
(
こや
)
の処へ帰って来ました。
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
家鴨
(
あひる
)
に
天空
(
そら
)
がどうして
飛
(
と
)
べませう。それども
一生懸命
(
いつしやうけんめい
)
とびあがらうとして
飛
(
と
)
んでみたが、どうしても
駄目
(
だめ
)
なので
泣
(
な
)
きだし、
泣
(
な
)
きながら
小舎
(
こや
)
にかへりました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
広島県の者だと云う
壮
(
わか
)
い木客の一人が、その時ふらふらと
起
(
た
)
って外へ出て往った。一座の者は便所にでも往ったろうと思っていると、
小舎
(
こや
)
の外の崖の方から
死んでいた狒狒
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
昇等三人の者は最後に坂下の植木屋へ立寄ッて、次第々々に見物して、とある
小舎
(
こや
)
の前に立止ッた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
案内者は峠の
小舎
(
こや
)
にたしかに泊れるといい、M君もとまってよさそうだったが、見わたす空に明日のよき
兆
(
さが
)
しめすものは、露ないので、私はかえる方がよいと言い出した。
雪の武石峠
(新字新仮名)
/
別所梅之助
(著)
其日は
始終
(
しじゅう
)
跟
(
つ
)
いてあるき、翌朝山の上の
小舎
(
こや
)
にまだ寝て居ると、白は戸の
開
(
あ
)
くや否飛び込んで来て、
蚊帳
(
かや
)
越
(
ご
)
しにずうと頭をさし寄せた。
帰
(
かえ
)
りには、予め白を
繋
(
つな
)
いであった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「では、可成り遠うございますな。私は河向うの或る
小舎
(
こや
)
に寝泊りしておりますので」
幻想
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
欣之介は或日、——それは麦打のすんだ後で、農家の
周囲
(
まはり
)
には
到
(
いた
)
る
処
(
ところ
)
に
麦藁
(
むぎわら
)
が山のやうに積んである頃のことであつた——庄吉と二人で農園の一つの
隅
(
すみ
)
へ小さな
小舎
(
こや
)
を一つ建てた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
舎
常用漢字
小5
部首:⼈
8画
“小舎”で始まる語句
小舎人
小舎開
小舎人童