“小川(をがは)” の例文
そして、變化(へんくわ)のない街道(かいだう)は相變(あいかは)らず小川(をがは)に沿(そ)うて、平(たひら)な田畑(たはた)の間(あひだ)をまつ直(す)ぐに走(はし)つてゐた。霧(きり)は殆(ほとん)ど霽(は)れ上(あが)つて、空(そら)には星影(ほしかげ)がキラキラと見(み)え出(だ)した。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
なじみに成(な)ると、町中(まちなか)の小川(をがは)を前(まへ)にした、旅宿(やどや)の背戸(せど)、その水(みづ)のめぐる柳(やなぎ)の下(もと)にも來(き)て、朝(あさ)はやくから音信(おとづ)れた。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
髮に微笑(ほゝゑみ)を含んで清い小川(をがは)の岸に寄りかかる少女子(をとめご)、金雀花(えにしだ)、金髮の金雀花(えにしだ)、色白(いろじろ)の金雀花(えにしだ)、清淨(しやうじやう)な金雀花(えにしだ)。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
そこにゐる時分は黄八丈の着附できりりとしてゐたといふが、人情本にのこる小三金五郎で有名な、額(がく)の小三の名をとつて、小川(をがは)小三といふ藝名で出た位だから、侠(きやん)だつたに違ひない。
河風 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
小(ちひ)さな土橋(どばし)が一(ひと)つ、小川(をがは)が山川(やまがは)へ注(そゝ)ぐところに架(かゝ)つてゐた。山川(やまがは)には橋(はし)がなくて、香魚(あゆ)の棲(す)みさうな水(みづ)が、京(きやう)の鴨川(かもがは)のやうに、あれと同(おな)じくらゐの幅(はゞ)で、淺(あさ)くちよろ/\と流(なが)れてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
中学(ちゆうがく)の四級生(しきふせい)にてありけむか精神啓微(せいしんけいび)をわれは買ひにき小川(をがは)まちにて
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
鹿(しか)が小川(をがは)の水(みづ)の中(なか)に立(た)つて、自分(じぶん)の姿(すがた)を水(みづ)に映(うつ)して
小川(をがは)の末にほの白く
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
まだ此(こ)の間(あひだ)は氣丈夫(きぢやうぶ)でありました。町(まち)の中(うち)ですから兩側(りやうがは)に家(いへ)が續(つゞ)いて居(を)ります。此(こ)の邊(へん)は水(みづ)の綺麗(きれい)な處(ところ)で、軒下(のきした)の兩側(りやうがは)を、清(きよ)い波(なみ)を打(う)つた小川(をがは)が流(なが)れて居(ゐ)ます。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
忽(たちま)ち夜(よる)の暗闇(くらやみ)の中(なか)に劇(はげ)しい水煙(みづけむり)が立(た)つて、一人(ひとり)の兵士(へいし)が小川(をがは)の中(なか)にバチヤンと落(お)ち込(こ)んでしまつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
小川(をがは)や溝や淺沼の
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
お節(せつ)にや拵(こしら)ふるに、このあたり門(かど)を流(なが)るゝ小川(をがは)に浸(ひた)して、老若男女(らうにやくなんによ)打交(うちまじ)り、手(て)に手(て)に之(これ)を洗(あら)ふを見(み)た。
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
小川(をがは)の油(あぶら)のやうな水面(すゐめん)は大(おほ)きく波立(なみだ)つて、眞黒(まつくろ)な人影(ひとかげ)が毆(こは)れた蝙蝠傘(かうもりがさ)のやうに動(うご)いてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
殊(こと)に今朝(けさ)も東雲(しのゝめ)に袂(たもと)を振切(ふりき)つて別(わか)れやうとすると、お名残(なごり)惜(を)しや、かやうな処(ところ)に恁(か)うやつて老朽(おひく)ちる身(み)の、再(ふたゝ)びお目(め)にはかゝられまい、いさゝ小川(をがは)の水(みづ)となりとも
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
第一(だいいち)相坂(あひざか)が確(たしか)でない。何處(どこ)を何(ど)う行(ゆ)くのだつけ、あやふやなものだけれど、日和(ひより)は可(よ)し、風(かぜ)も凪(な)ぎ、小川(をがは)の水(みづ)ものんどりとして、小橋際(こばしぎは)に散(ちら)ばつた大根(だいこん)の葉(は)にも、ほか/\と日(ひ)が當(あた)る。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
但(たゞ)し仔細(しさい)のない小川(をがは)であつた。燒杭(やけぐひ)を倒(たふ)したやうな、黒焦(くろこげ)の丸木橋(まるきばし)も渡(わた)してある。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
葱(ねぎ)の香(か)の小川(をがは)に流(なが)れ、とばかりにて句(く)にはならざりしが、あゝ、もうちつとで思(おも)ふこといはぬは腹(はら)ふくるゝ業(わざ)よといへば、いま一足(ひとあし)早(はや)かりせば、笹(さゝ)の雪(ゆき)が賣切(うりきれ)にて腹(はら)ふくれぬ事(こと)よといふ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
菖蒲(あやめ)、杜若(かきつばた)は此處(こゝ)ばかりではない、前日(ぜんじつ)——前々日(ぜん/\じつ)一見(いつけん)した、平泉(ひらいづみ)にも、松島(まつしま)にも、村里(むらざと)の小川(をがは)、家々(いへ/\)の、背戸(せど)、井戸端(ゐどばた)、野中(のなか)の池(いけ)、水(みづ)ある處(ところ)には、大方(おほかた)此(こ)のゆかりの姿(すがた)のないのはなかつた。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)