トップ
>
媒
>
なかだち
ふりがな文庫
“
媒
(
なかだち
)” の例文
ですから、この指環は、いつも私の志気を鼓舞し、勇気を増すの
媒
(
なかだち
)
となりまして、私の為にはこの上もなき励まし手なのでございます。
こわれ指環
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
斯
(
か
)
うしてこの無邪気な少年の群を眺めるといふことが、既にもう丑松の身に取つては堪へがたい身の
苦痛
(
くるしみ
)
を感ずる
媒
(
なかだち
)
とも成るので有る。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
上の中央公論に載せた初稿は
媒
(
なかだち
)
となつて、わたくしに
数多
(
あまた
)
の人を識らしめた。中には当時四郎左衛門と親善であつた人さへある。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
以前は多量のホクチを
媒
(
なかだち
)
にして火を鑽って是を焚付けへ吹付けたものらしく、その痕跡は近世の火打箱の構造にも残っている。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
放蕩
(
ほうとう
)
の
媒
(
なかだち
)
、万悪の源、時珍が本草ことごとく能毒を挙げましたが、酒は百薬の長なりと
賞
(
ほ
)
めて置いて、多く
食
(
くら
)
えば
命
(
こん
)
を断ったと言いましたぜ
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
「ラテラノ」の寺、丈長き
尖柱
(
オベリスコス
)
、「コリゼエオ」の
大廈
(
たいか
)
の
址
(
あと
)
、トラヤヌスの廣こうぢ、いづれか我舊夢を喚び返す
媒
(
なかだち
)
ならざる。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
なさん是
却
(
かへつ
)
て
罪人
(
ざいにん
)
多くならん
媒
(
なかだち
)
也とあざけりし人多しとかや
是非
(
ぜひ
)
學者
(
がくしや
)
の
論
(
ろん
)
なりといにしへより
我朝
(
わがてう
)
の
掟
(
おきて
)
にぞかゝる事なけれども利の
當然
(
たうぜん
)
なり
新法
(
しんはふ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その方の召使いの妾等を願望の
媒
(
なかだち
)
となし、度々登城仕らせ、殊に数日逗留、その節莫大の金帛相い贈り、内外の親睦を結び置き候儀、不届き至極。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
讃否
(
さんぴ
)
は別として、現代思想というものが、幾分か領会せられる
媒
(
なかだち
)
になるとすれば、雑誌に家常茶飯を出すのも、単に娯楽ばかりでなくなりますね。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
そういう試みは一時的に多少私の不安を
撫
(
な
)
でさすってくれたとしても、更に深い不安に導く
媒
(
なかだち
)
になるに過ぎなかった。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
第二、亀の背に歌書きたるは何のためか、いたづらの遊びか、何かのまじなひか、あるいは紅葉題詩といふ古事に
傚
(
なら
)
ひて亀に恋の
媒
(
なかだち
)
でも頼みたる訳か。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
初
(
はじめ
)
飯沼弘経寺の梅痴上人が
媒
(
なかだち
)
をなしたという事をわたくしは聞いたのみである。三田台裏町妙荘山薬王寺に葬られて積信院一乗妙道大姉の
法諡
(
ほうし
)
をおくられた。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
媒
(
なかだち
)
は過し雪の日ぞかし」ともあれば「かくまでに師は恋しかりしかど、ゆめさらこの人を夫と呼びて、
倶
(
とも
)
に他郷の地をふまんとは、かけても思ひよらざりしを ...
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
中にもこの服従と云ふものが、ステパンの為めには、僧院内の生活を余程
容易
(
たやす
)
くしてくれる
媒
(
なかだち
)
になつた。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
瓦に劣る世を
経
(
へ
)
よとは
思
(
おぼ
)
しも置かじを、そもや谷川の水おちて流がれて、清からぬ身に成り終りし、
其
(
その
)
あやまちは
幼気
(
おさなぎ
)
の、迷ひは我れか、
媒
(
なかだち
)
は過ぎし雪の日ぞかし。
雪の日
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
今日のりきみは身を
損
(
そん
)
じ
愚弄
(
ぐろう
)
を
招
(
まね
)
くの
媒
(
なかだち
)
たるを知り、早々にその座を切上げて
不体裁
(
ぶていさい
)
の跡を収め、下士もまた上士に対して
旧怨
(
きゅうえん
)
を思わず、
執念
(
しゅうねん
)
深きは婦人の心なり
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
いよ/\一室をてらさば吾が身上のこらずの
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
して
求
(
もと
)
むべし、
媒
(
なかだち
)
して玉はるべしといひしが、そのゝちなにの
便
(
たより
)
もなくてやみぬ、
空言
(
そらごと
)
にてありしと思はる云云。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
一方また、神祇官の
卜部
(
うらべ
)
を
媒
(
なかだち
)
にして、
陰陽
(
おんみょう
)
道は、知らず悟らぬうちに、古式を飜案して行っていた。
水の女
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
しかも
特質
(
もちまえ
)
のわがまま剛情が累をなして、明治政府に友少なく、浪子を
媒
(
なかだち
)
せる加藤子爵などはその少なき友の一
人
(
にん
)
なりき。甲東没後はとかく志を得ずして世をおえつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
読書、弾琴、月雪花、それらのものは一つとして憂愁を
癒
(
いや
)
すに足らず、
転
(
うた
)
た懐旧の
媒
(
なかだち
)
となりぬ。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いえ、ほんとうで。………その女房に
媒
(
なかだち
)
を頼みまして、一度か二度はそう云うこともございましたか知れませんが、格別打ち解ける、と云うところまでは参りませなんだ」
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
我
(
われ
)
即
(
すなはち
)
神となりたる也。感謝す、予はこの驚絶、駭絶の意識をば、直接に、端的に、神より得たり、
一毫
(
いちがう
)
一糸だに前人の証権を
媒
(
なかだち
)
とし、
若
(
も
)
しくは其の意識に依傍したる所あらざる也。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
獺
(
かわうそ
)
を
媒
(
なかだち
)
として文通するを、かねてかの魚を慕いいた
蛸入道
(
たこにゅうどう
)
安からず思い、
烏賊
(
いか
)
や
鰕
(
えび
)
を率いて襲い奪わんとし、オコゼ怖れて山奥に逃げ行き山の神に具して妻となる物語絵を見出し
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
斯かる
塲合
(
ばあい
)
に於ては
美麗
(
びれい
)
なる石斧石鏃類は幾分か交換の
媒
(
なかだち
)
の用を爲せしならん。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
S氏はこわれかかった仏像を
媒
(
なかだち
)
として昔の仏工とつき合っているだけに、いろいろ珍しい話を聞かせてくれた。特におもしろかったのは天平の仏工が台座の内側に残した落書きのことである。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
また天皇、その弟速總別の王
一
を
媒
(
なかだち
)
として、
庶妹
(
ままいも
)
女鳥
(
めとり
)
の王を乞ひたまひき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
それが更に仇を結ぶの
媒
(
なかだち
)
を為し、更に将来の大戦の種子を蒔くものであるとして、その次の大戦争がまたかくの如く更に新たなる仇を結んで、またその次の大々戦争の種子を蒔くものとすれば
列強環視の中心に在る日本
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
さりぬべき
媒
(
なかだち
)
をたのみて山中
正
(
まさし
)
に
嫁
(
とつ
)
がせしめ。家に仕えし老僕
某
(
なにがし
)
を始め下女など
数多
(
あまた
)
付き添わせ。近き渡りにしかるべき家屋ありしを求めて。これに住居させ。残るところなく世話をせしかば。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
この
雪冤
(
せつえん
)
の文を作った外崎さんが、わたくしの渋江氏の子孫を捜し出す
媒
(
なかだち
)
をしたのだから、わたくしはただこれだけの事をここに
記
(
しる
)
して置く。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
堂塔の新築改造には、
勧進
(
かんじん
)
、
奉化
(
ほうげ
)
、
奉加
(
ほうが
)
とて、浄財の寄進を俗界に求むれども、実は強請に異ならず。その堂内に通夜する
輩
(
やから
)
も風俗壊乱の
媒
(
なかだち
)
たり。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
かくて薄暗き
燈火
(
ともしび
)
は、これと親む
媒
(
なかだち
)
となるものなりと云ひぬ。紳士の詞は未だ
畢
(
をは
)
らぬに、傍より
叱々
(
しつ/\
)
と
警
(
いまし
)
むる聲す。そは
開場
(
ウヱルチユウル
)
の曲の始まれるが爲めなりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
むしろ文字を
媒
(
なかだち
)
として外国の文化に親しみ、久しく眼前の事実を
看過
(
みすご
)
して、ただいたずらに遠来の記録の、必ずしも正確豊富でないものを捜索していたことは
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いよ/\一室をてらさば吾が身上のこらずの
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
して
求
(
もと
)
むべし、
媒
(
なかだち
)
して玉はるべしといひしが、そのゝちなにの
便
(
たより
)
もなくてやみぬ、
空言
(
そらごと
)
にてありしと思はる云云。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
この書生輩の
行末
(
ゆくすえ
)
を察するに、専門には
不得手
(
ふえて
)
にしていわゆる事務なるものに長じ、
私
(
し
)
に適せずして官に適し、官に容れざれば
野
(
や
)
に煩悶し、結局は官私不和の
媒
(
なかだち
)
となる者、その大半におるべし。
学者安心論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
さすがに広き玄関前もところせきまでつらなりたり。こは篠原子爵が宮崎一郎の
媒
(
なかだち
)
にて。松島秀子と新婚の祝宴を開くなり。故子爵が世にあらば鹿鳴館などにて西洋風の
饗応
(
きょうおう
)
をひらかるべきなれど。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
幾らか気色を直し
肝癪
(
かんしゃく
)
を
和
(
やわら
)
ぐる
媒
(
なかだち
)
となり、失せた血色の目の
縁
(
ふち
)
に
上
(
のぼ
)
る頃、お万が客は口軽く、未練がないとはさすがは兼吉つあんだ、好く言つた
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
江戸には雪の
降
(
ふら
)
ざる年もあれば、初雪はことさらに
美賞
(
びしやう
)
し、雪見の
船
(
ふね
)
に
哥妓
(
かぎ
)
を
携
(
たづさ
)
へ、雪の
茶
(
ちや
)
の
湯
(
ゆ
)
に
賓客
(
ひんかく
)
を
招
(
まね
)
き、
青楼
(
せいろう
)
は雪を
居続
(
ゐつゞけ
)
の
媒
(
なかだち
)
となし、
酒亭
(
しゆてい
)
は雪を
来客
(
らいかく
)
の
嘉瑞
(
かずゐ
)
となす。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
この時アヌンチヤタが我を
卻
(
しりぞ
)
けて人に從ひし悲痛は、却りて我心を抑し鎭むる
媒
(
なかだち
)
となりぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
これは書状に申遣候筈なれども、人を
媒
(
なかだち
)
にして申が
却而
(
かへつて
)
こたへ宜候哉。私詩をほらせくれよと書肆のぞみ候。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
歳
(
とし
)
も十七なればかねて
聟
(
むこ
)
をと思ひをりたるをりからなれば、かのしのび男が
実心
(
まごゝろ
)
に
愛
(
めで
)
て
早速
(
さつそく
)
媒
(
なかだち
)
の
橋
(
はし
)
をわたし、
姻礼
(
こんれい
)
もめでたくとゝのひて
程
(
ほど
)
なく男子をまうけけり。
其家
(
そのいへ
)
今
猶
(
なほ
)
栄
(
さか
)
ゆ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
わたくしは永く其人がわたくしの研究上頗る重大なる資料を得る
媒
(
なかだち
)
をなしたことを忘れぬであらう。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
特に
彼
(
かの
)
過去帖に遠近の
親戚
(
しんせき
)
百八人が挙げてあるのに、初代瑞仙のただ一人の実子善直というものが
痕跡
(
こんせき
)
をだに
留
(
とど
)
めずに消滅しているという一事は、この疑を助長する
媒
(
なかだち
)
となるのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
末造がお玉に買って遣った紅雀は、図らずもお玉と岡田とが
詞
(
ことば
)
を交す
媒
(
なかだち
)
となった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
殊に比良野助太郎と書した荷札が青森の港に流れ寄ったという流言などがあって、いよいよ心を悩まする
媒
(
なかだち
)
となった。そのうちこの年十二月十日頃に青森から発した貞固の
手書
(
しゅしょ
)
が来た。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
これぞ余が
冤罪
(
えんざい
)
を身に負いて、暫時の間に無量の
艱難
(
かんなん
)
を
閲
(
けみ
)
し尽くす
媒
(
なかだち
)
なりける。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
これぞ余が寃罪を身に負ひて、暫時の間に無量の艱難を
閲
(
けみ
)
し盡す
媒
(
なかだち
)
なりける。
舞姫
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
これぞ余が
冤罪
(
ゑんざい
)
を身に負ひて、暫時の間に無量の
艱難
(
かんなん
)
を
閲
(
けみ
)
し尽す
媒
(
なかだち
)
なりける。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その容貌の見合でさえ、
媒
(
なかだち
)
をするものの云うのを聞けば、いつでも先方では見合を要せないと云っているということだ。女は好嫌を言わない。只こっちが見て好嫌を言えば好いというのだ。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
これも間接に山城河岸の父子をして
忌諱
(
きき
)
を知らしむる
媒
(
なかだち
)
となったであろう。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
何遍
(
なんべん
)
言うてもあの女でない女房は生涯持ちませぬとの熱心に、物固い親類さへ折り合ひて、小花を嫁に取引先なる、木綿問屋の三谷が
媒
(
なかだち
)
したとか、兼吉はまたけふが日まで、
河岸
(
かし
)
を変へての
浮気勤
(
うわきづとめ
)
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
媒
常用漢字
中学
部首:⼥
12画
“媒”を含む語句
媒介
媒妁人
媒酌
媒妁
媒酌人
霊媒
媒人
媒介者
媒氏
媒鳥
媒灼
媒合
媒婆
媒埃
媒介人
媒人口
媒人役
媒妁口
媒妁役
媒体
...