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呆
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あき
ふりがな文庫
“
呆
(
あき
)” の例文
さすが銭形の平次も驚き
呆
(
あき
)
れるばかり、朝から多勢来た参詣の男女のうち、どれが怪盗風太郎なのか、全くもって見当も付きません。
銭形平次捕物控:003 大盗懺悔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
村越 (
呆
(
あき
)
れたる
状
(
さま
)
して続く)小父さん、小父さん、どうなすった……どうなさるんです。おいくさん、お前
粗相
(
そそう
)
をしやしないかい。
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それでも割合に
痩
(
や
)
せも
窶
(
やつ
)
れもしないのが矢張り気違いの生理状態なのかと
呆
(
あき
)
れる。呆れながら加奈子は却ってそれが余計不憫になる。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「ああ
呆
(
あき
)
れた。あそこを見なよ。この
騒
(
さわぎ
)
のなかに
呑気
(
のんき
)
な顔をして将棋をさしている奴がいるぜ。ホラ、あそこんとこを見てみろ……」
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
勘八は驚き
呆
(
あき
)
れて、取蓄えてあった食物と獲物をそっくり提供すると、この連中はよろこんで、勘八に
黄金
(
おうごん
)
二枚を与えて行きました。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
わたしも
呆
(
あき
)
れてただぼんやりしている位で、その博識におどろくと共に、その記憶力の絶倫なるにわたしは
胆
(
きも
)
をひしがれてしまった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
扇風器の風を湯上りの背中へ浴びながら、彼は自分でもその現金さに
呆
(
あき
)
れるくらい、へんに冷淡に、そそくさとパンツへ脚を通した。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
今黒塗の盆を持って
畏
(
かしこ
)
まっている彼女とを比較して、自分の腹はなぜこうしつこい油絵のように複雑なのだろうと
呆
(
あき
)
れたからである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
側の者も、
呆
(
あき
)
れ顔した。しかし、さすがに二晩目は、宵のうちに眼がさめて、
大欠伸
(
おおあくび
)
を一つすると、それから体をもて余してしまった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから林の入口で馬車を降りて、一足つめたい森の中にはひりますと、つぐみがすぐ飛んで来て、少し
呆
(
あき
)
れたやうに言ひました。
よく利く薬とえらい薬
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「三十とはたちをすぎたおなごが二人、起きぬけでべべも着換えんとからに、十三センチ五ミリの朝顔じゃといや、聞いて
呆
(
あき
)
れら」
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
然しバスに乗りこむと、私は
呆
(
あき
)
れ返って、ウンザリした。厭な奴、思いがけない奴にばかり出ッくわす。土居光一が乗っている。ヤア。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そこで、まずそれを読んだというだけでも、
一手柄
(
ひとてがら
)
さ。ところがそこへまたずぶ
京伝
(
きょうでん
)
の
二番煎
(
にばんせん
)
じと来ちゃ、
呆
(
あき
)
れ返って腹も立ちやせん。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「エアさん、何んて
呆
(
あき
)
れたことをするのでせう、お坊つちやまを
擲
(
ぶ
)
つなんて! あなたの恩人の
息子
(
むすこ
)
さまを、あなたの若主人を!」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
と
呆
(
あき
)
れ顔で報告すれば、やがて敵の忘れた鎧を手にして戻るもの、平家の大幕をかついで帰るもの、いずれも口を揃えていうのである。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
七十にもなりそうな婆さんまでが、
跈跛
(
ちんば
)
ひきひき前垂に白米を入れて貰いまして、門を出ると直ぐ人並に歩いたには、
呆
(
あき
)
れました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
呆
(
あき
)
れるほど自信のないおどおどした表情と、若い年で女を知りつくしている
凄
(
すご
)
みをたたえた
睫毛
(
まつげ
)
の長い眼で、じっと
見据
(
みす
)
えていた。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
けれども王さまは、ひどい勘違いをなさっているので、僕は
呆
(
あき
)
れました。おそれつつしんで退出したのですけれど、いや、ひどいなあ。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
何の
故
(
ゆゑ
)
とも知らねども正太は
呆
(
あき
)
れて追ひすがり袖を
止
(
とど
)
めては怪しがるに、美登利顔のみ打赤めて、何でも無い、と言ふ声
理由
(
わけ
)
あり。
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
釈尊が当り強い言語で伝道すると聞いて
呆
(
あき
)
れる一段あり(近年まである学者どもは蟻は香を出して意を通じ言語に代うと説いた)。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
私は浅ましい彼女の長生きに
呆
(
あき
)
れました。彼女は今はもうゴツ/\の硬い骨の上をたゞ一枚の皮が覆ふてゐるにすぎないのでありました。
白痴の母
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
「
昨日
(
きのう
)
も
一昨日
(
おととい
)
も、社へも往かないで、ふざけてたのでしょ、彼奴も
酷
(
ひど
)
い奴だわ、あれで名流婦人だなんて、ほんとに
呆
(
あき
)
れるわ」
一握の髪の毛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
筏を流して来た筏師は驚き
呆
(
あき
)
れてこの有様を見てゐましたが、早い流れでしたから瞬く間に筏は五六十間も下の方へ流れてしまひました。
山さち川さち
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
家のものがいって見ると、黒ぬり
蒔絵
(
まきえ
)
の重箱が、残ったお萩のはいったまま土中にあったので、かえって本当だったのに
呆
(
あき
)
れた。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
これはと大きに驚き
呆
(
あき
)
れて、
推
(
お
)
し
剥
(
は
)
がさんと力を
出
(
いだ
)
せど少しも離るることなければ、人を頼みて
挽却
(
ひきさ
)
らしめしも一向さらにその
甲斐
(
かい
)
なし。
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
それから、
踊
(
おど
)
れといえば
踊
(
おど
)
るし、
坐
(
すわ
)
れといえば
坐
(
すわ
)
るし、人形はいうとおりに
動
(
うご
)
き
廻
(
まわ
)
るのです。甚兵衛は
呆
(
あき
)
れ
返
(
かえ
)
ってしまいました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
森君は帽子を取ってペコンとお辞儀をして、坊さんが
呆
(
あき
)
れている暇にさっさと歩きだした。僕も少し呆れながら森君の後について行った。
贋紙幣事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
世間が『書生気質』や『妹と背鏡』や『小説神髄』を感嘆する幼稚さを
呆
(
あき
)
れると同時に、文学上の野心が俄にムズムズして来た。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
僕は
呆
(
あき
)
れて立って見ていると、𣵀麻が手真似で掛けさせた。円顔の女である。物を言うと、薄い唇の間から、
鉄漿
(
かね
)
を
剥
(
は
)
がした歯が見える。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
或時頼んで遣ったら、そこの
引手
(
ひきて
)
が三人の女を連れて来て、「どれでもお好きなのをお使い下さい」といったのには
呆
(
あき
)
れました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
十年前新妻の愚鈍に
呆
(
あき
)
れてこれを去り七年前には妾の
悋気
(
りんき
)
深きに
辟易
(
へきえき
)
して手を切ってからこの
方
(
かた
)
わたしは今に
独
(
ひとり
)
で暮している。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「まあ
呆
(
あき
)
れた」娘は行燈の火を明るくし、六兵衛のようすを吟味するように見て云った、「——あなたはいつもそんな恰好で寝るんですか」
ひとごろし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
誰しも国の自慢を言わぬものはないけれど、ここまで通り越してしまっては、うっかり
相槌
(
あいづち
)
も打てぬと
呆
(
あき
)
れ返ったのであった。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
老婦人は
呆
(
あき
)
れるようにいって、「何であんたはんに会わんのどっしゃろなあ。ここで、私のところでちょっとお会いしやしたらよろしがな」
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
若年
(
じゃくねん
)
の
折柄
(
おりから
)
確
(
しか
)
と意見を致したことはございましたが、此の
度
(
たび
)
の事には実に
呆
(
あき
)
れ果てまして
何
(
なん
)
ともお詫のしようがございません
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私
(
わたくし
)
は
呆
(
あき
)
れてそう
叫
(
さけ
)
びましたが、しかしお
爺
(
じい
)
さんは
例
(
れい
)
によってそんな
事
(
こと
)
は
当然
(
あたりまえ
)
だと
言
(
い
)
った
風情
(
ふぜい
)
で、ニコリともせず
斯
(
こ
)
う
言
(
い
)
われるのでした。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
わたしはむしろ
呆
(
あき
)
れるよりも気の毒になってきました。いったい、どうして彼女はそうした頑固な妄想を得たのであろうか。
メデューサの首
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
この質問には
流石
(
さすが
)
に安藤巡査も
呆
(
あき
)
れたと見えまして、暫く眉根を
顰
(
しか
)
めながら考えを絞っていましたが、やがて顔を挙げると
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
その様子に胸先ず安く、
遂
(
つい
)
に調金の事を申し出でしに、
図
(
はか
)
らざりき感嘆の体と見えしは
妾
(
しょう
)
の
胆太
(
きもふと
)
さを
呆
(
あき
)
れたる顔ならんとは。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
見すかされると
忽
(
たちま
)
ち狼心をあらわして、師と頼むべきあなた様へ白刃を向けようとは
呆
(
あき
)
れた奴。恐ろしい奴でございますなあ
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さ
候
(
さふら
)
へど私の取り得べき量を十倍もしたるばかりの
粥
(
かゆ
)
を白き平たき皿に盛りて鈴木の参りし時は
呆
(
あき
)
れ申し
候
(
さふらふ
)
。午後赤塚氏の診察を受け申し
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「なるほど、しかし……」といったんは
頷
(
うなず
)
いたが、熊城は強い非難の色を
泛
(
うか
)
べていった。「君の
粋物主義
(
ディレッタンティズム
)
にも
呆
(
あき
)
れたものさ。 ...
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
相手の中尉は元より、双方の介添人たちも少佐の言葉にすつかり
呆
(
あき
)
れてしまつた。が、少佐はそんなことには一切おかまひなく言葉をつゞけた。
風変りな決闘
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
礼助は
呆
(
あき
)
れた顔をしてみせると同時に、世間でも実枝が何時まで若き
寡婦
(
やもめ
)
で通すのかと興味を持つてゐるのだなと思つた。
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
お源は亭主のこの
所為
(
しょさ
)
に気を
呑
(
のま
)
れて黙って見ていたが山盛五六杯食って、未だ
止
(
や
)
めそうもないので
呆
(
あき
)
れもし、
可笑
(
おかし
)
くもなり
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
ところが、その落ちて来た品物を見ますと、何か変ったものでもあればよいがと、少からず期待していた彼は、余りのことに
呆
(
あき
)
れて了いました。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
同じ夜半にふたたび庭わたりをしているではないか、
凝然
(
ぎょうぜん
)
として経之は
呆
(
あき
)
れ返ったなかに、女のつよさ、一念の剛直さに眼をはなさないでいた。
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「どうも
呆
(
あき
)
れたもんだ」と彼は受話器をかけながら言った。「警視庁までが正義党の幽霊にとりつかれているなんて?」
鉄の規律
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
男
(
をとこ
)
らしうも
女
(
をなご
)
らしうも
見
(
み
)
えて、
獸類
(
けだもの
)
らしうも
見
(
み
)
ゆる
見
(
み
)
ともない
振舞
(
ふるまひ
)
! はてさて、
呆
(
あき
)
れ
果
(
は
)
てた。
誓文
(
せいもん
)
、
予
(
わし
)
は
今少
(
もすこ
)
し
立派
(
りっぱ
)
な
氣質
(
きだて
)
ぢゃと
思
(
おも
)
うてゐたに。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
風早の
面
(
おもて
)
はかつ
呆
(
あき
)
れ、かつ喜び、かつ
懼
(
をそ
)
るるに似たり。やがて証書は遊佐夫婦の手に渡りて、打拡げたる二人が膝の上に、これぞ比翼読なるべき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
呆
漢検準1級
部首:⼝
7画
“呆”を含む語句
痴呆
呆然
呆気
阿呆
寝呆
呆痴
呆痴者
呆返
阿呆鳥
阿呆顔
痴呆性
阿呆面
痴呆者
癡呆
痴呆奴
呆々
呆作
呆氣
空呆
阿呆陀羅経
...