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凡
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すべ
ふりがな文庫
“
凡
(
すべ
)” の例文
凡
(
すべ
)
て
富豪
(
かねもち
)
といふものは、自分の
家
(
うち
)
に転がつてゐる
塵
(
ちり
)
つ
葉
(
ぱ
)
一つでも
他家
(
よそ
)
には無いものだと思ふと、それで大抵の病気は
癒
(
なほ
)
るものなのだ。
青磁の皿
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかし
凡
(
すべ
)
てこれらの手紙は受取る前から予期していなかったと同時に、受取ってもそれほど意外とも感じなかったものばかりである。
博士問題とマードック先生と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
時は
凡
(
すべ
)
ての傷を癒やすというのは自然の
恵
(
めぐみ
)
であって、一方より見れば大切なことかも知らぬが、一方より見れば人間の不人情である。
我が子の死
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
この
黄味
(
きいろみ
)
の強い赤い
夕陽
(
ゆうひ
)
の光に照りつけられて、見渡す人家、堀割、石垣、
凡
(
すべ
)
ての物の側面は、その角度を鋭く鮮明にしてはいたが
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
凡
(
すべ
)
て無邪気な遊戯の
限
(
かぎり
)
を
尽
(
つく
)
して
杯
(
さかづき
)
を挙げたが、二時間
後
(
ご
)
には
大風
(
おほかぜ
)
の過ぎた如く静まり返つて再び皆アトリエの中に絵筆を執つて居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
油煙
(
ゆえん
)
がぼうつと
騰
(
あが
)
るカンテラの
光
(
ひかり
)
がさういふ
凡
(
すべ
)
てを
凉
(
すゞ
)
しく
見
(
み
)
せて
居
(
ゐ
)
る。
殊
(
こと
)
に
斷
(
た
)
ち
割
(
わ
)
つた
西瓜
(
すゐくわ
)
の
赤
(
あか
)
い
切
(
きれ
)
は
小
(
ちひ
)
さな
店
(
みせ
)
の
第
(
だい
)
一の
飾
(
かざ
)
りである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
妾は真剣な方が、欲しいのよ。男らしく真剣に振舞う方が欲しいのよ。
凡
(
すべ
)
ての動作を手先丈でなく心の底から、行う方が欲しいのよ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
凡
(
すべ
)
ての考査の出発点となる、最も抵抗の少ない一点」の発見に努力したが、正直のところ私は、ほとんど何物も進め得なかった。
空家の冒険
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
ある日——それは
凡
(
すべ
)
ての点から私の計画に最も都合のよい日でした——私は兄夫妻に見送られて東京駅から下り列車に乗り込みました。
双生児:――ある死刑囚が教誨師にうちあけた話――
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それいと聖なる平安を保つ天の中に一の物體のめぐるあり、これに包まるゝ
凡
(
すべ
)
ての物の存在はみなこれが力に
歸
(
き
)
す 一一二—一一四
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
凡
(
すべ
)
ての美しい夢は、経験の結果から生れ出る。経験そのものからではない。そういう見方によって生きる人はセンティメンタリストだ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「ただ、正直に
凡
(
すべ
)
てを話して下さい。僕達がこうして君に詳しく聞くのも、結局君の無罪なる点をハッキリして置きたいためです」
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
貞時は
風致
(
ふうち
)
よろしき庭をひとまわり眺めやった。
凡
(
すべ
)
てが主人の好みが出ていて、その好みは
築庭
(
ちくてい
)
の
奥
(
おう
)
をきわめているようであった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
勿論
(
もちろん
)
余
(
あま
)
り
正直
(
しょうじき
)
には
務
(
つと
)
めなかったが、
年金
(
ねんきん
)
など
云
(
い
)
うものは、たとい、
正直
(
しょうじき
)
であろうが、
無
(
な
)
かろうが、
凡
(
すべ
)
て
務
(
つと
)
めた
者
(
もの
)
は
受
(
う
)
けべきである。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
薔薇
(
ばら
)
色、丁子色、朱色、
土耳古
(
トルコ
)
玉
(
だま
)
色、オレンジ色、群青、
菫
(
すみれ
)
色——
凡
(
すべ
)
て、
繻子
(
しゅす
)
の光沢を帯びた・其等の・目も
眩
(
くら
)
む色彩に染上げられた。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
万豊は
凡
(
すべ
)
てにハッキリしたことを口にするのが嫌いで、ひとりで歩いている時も何が
可笑
(
おか
)
しいのかいつもわらっているような表情だった。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
而
(
そ
)
してその時私は考へた、都会は美くしいが実に怖ろしい処だ、
彼処
(
あすこ
)
には黄金、酒、毒薬、芸術、女、
凡
(
すべ
)
てが
爛壊
(
らんえ
)
に瀕してゐる。
新橋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
……その遽しいすり足の音は、老中、若年寄、御部屋係の
凡
(
すべ
)
ての人々の注意を集めながら消えて行った。直弼は再び火桶を引寄せながら
城中の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
要するに、
是等
(
これら
)
のことは、
凡
(
すべ
)
てまだその人が活きている時の、精神的感応であるから、決して怪談ではなかろうというのである。
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
経済が「社会を構成する
凡
(
すべ
)
ての階級にその精神上の発達の物質的基礎を充実せしむるを以て最重の職分とするもの」(福田博士)であり
平塚・山川・山田三女史に答う
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
もしそれ愛によりて起る処の婚姻ならむか、舅姑なにかある、小姑何かある、
凡
(
すべ
)
ての関係者何かある、そも/\社会は何かある。
愛と婚姻
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは明治この
方
(
かた
)
起った著しい変化でありました。それ以前の日本人はほとんど
凡
(
すべ
)
て純粋に日本のものばかりで暮していました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
妻を
威嚇
(
いかく
)
せんと致しております事情を知りました時には、思わず悲憤の情に満たされて、又しても
凡
(
すべ
)
ての物を呪いたい気持になりました。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
自分が従来服従し
来
(
きた
)
ったところのものに対して或る反抗を起さねばならぬような境地(と私は言いたい。
理窟
(
りくつ
)
は
凡
(
すべ
)
て後から生れる者である)
性急な思想
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
反織の方は織賃銀何円に付いて
何反
(
なんだん
)
織ると云う約定で、
凡
(
すべ
)
て其の織る人の熟不熟、又
勤惰
(
きんだ
)
によって定め置くものでござります。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然
(
しか
)
し彼は決して、自分では気の毒だとも何とも思いません。そのうちには、
凡
(
すべ
)
ての研究は完成するだろうと、深く信じて居るのであります。
新案探偵法
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
そしてその死に民衆を「
嗾
(
そゝの
)
かす」ばてれん達は又国民を亡ぼして行く者と見做された事なぞも
凡
(
すべ
)
て尤もな事には相違なかつた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
前いったようにもろもろの恋愛事件が、
凡
(
すべ
)
て女の方からの、片思いに過ぎなかったということで
鳧
(
けり
)
のついてしまったのは不思議なくらいだ。
偽悪病患者
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
夢のなかの夢、わしはわが
欲望
(
のぞみ
)
の達する日まで
凡
(
すべ
)
ての夢を踏みにじっていた、そして其日が来た時、お前はわしの手から盗まれてしまうた。
ウスナの家
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
凡
(
すべ
)
て国民の物質的並びに精神的の幸福進歩を計るに欠くべからざる権利自由を列挙し、これらのものは政府において
恣
(
ほしいまま
)
にこれを制限しない
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
音、光、色彩、運動、そんなものが
凡
(
すべ
)
て自由性を失つてしまひ、たゞ白けた得体の知れぬ現実がぐんぐんと押し迫つてくる……
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
新らしい奉公人はその古い奉公人の為し
来
(
きた
)
ったことを少し見習って、その古い奉公人の出て行ったあとは自分で
凡
(
すべ
)
ての事に当るようになる。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
又
(
また
)
なんじら
我
(
わ
)
が
名
(
な
)
のために
凡
(
すべ
)
ての
人
(
ひと
)
に
憎
(
にく
)
まれん。されど
終
(
おわり
)
まで
耐
(
た
)
え
忍
(
しの
)
ぶものは
救
(
すく
)
わるべし。この
町
(
まち
)
にて、
責
(
せ
)
めらるる
時
(
とき
)
は、かの
町
(
まち
)
に
逃
(
のが
)
れよ。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
非常に可愛らしい処のある気持のいゝ人ですが気の毒な事には、その唯一のおどかしは
凡
(
すべ
)
ての人に役立つ
丈
(
だ
)
けの深味も強みも持つてゐません。
妾の会つた男の人々(野依秀一、中村弧月印象録)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
徳川中期以後は絵画のみならず
凡
(
すべ
)
ての芸事が実写的(写実的という語と少しちがう、何でも、本当らしくという、自然主義的というほどの意)
ばけものばなし
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
ゲーテは且て『恋愛に於て
凡
(
すべ
)
ては冒険である、何故なれば凡てが機会にのみ待たれなければならないからである』と云つた。
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
何物も在るのでなく、何物も成つたのでなく、
凡
(
すべ
)
てはつねに成りつつある、変化の永久の流れのうちには何等の静止もない。
ゲーテに於ける自然と歴史
(新字旧仮名)
/
三木清
(著)
而して文士の著作を
翫味
(
ぐわんみ
)
するもの、武士と平民との間に
凡
(
すべ
)
ての現象を通じて顕著なる相違あることを、研究せざるべからず。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
かつ歌合せの画を左右に分けて画に写したのであるから、左とあるのが
凡
(
すべ
)
て南岳の画で、右とあるのが凡て文鳳の画である。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
送った方が
可
(
よろ
)
しいと僕は思います。
凡
(
すべ
)
て女の惑いからいろんな混雑や
悲嘆
(
なげき
)
が出て来るものです。現に僕の事でも
彼女
(
あのおんな
)
が惑うたからでしょう……
恋を恋する人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
既に女学校在学当時から其の美しさは有名なもので、一度彼女を見たものは、
凡
(
すべ
)
てが彼女の讚美者となってしまったといってよい位だそうです。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
河床がひろいため、二人は
凡
(
すべ
)
ての灌木や草花の根本よりズッと下方にあったので、仰向いて草を眺めるような形になった。
サレーダイン公爵の罪業
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
村では眼ぼしい人、例えば村社の神主、収入役、それから長友先生など
凡
(
すべ
)
て、この不名誉な
醜聞
(
しゅうぶん
)
の被疑者として、被害を受けねばならなかった。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
凡
(
すべ
)
ての事象を、それに照らして判斷してゆく司法官の任務とは全く異つて、この法典を日常の鬪爭を通じて自らつくつてゆくことであるのである。
政治的価値と芸術的価値:マルクス主義文学理論の再吟味
(旧字旧仮名)
/
平林初之輔
(著)
「投手殺人事件」の
凡
(
すべ
)
ての鍵は、これまでに残らず出しつくされました。作者は、もはや一言半句の附言を要しません。
投手殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
人を悩殺する
媚
(
こび
)
がある。
凡
(
すべ
)
て盛りの短い
生物
(
いきもの
)
には、生活に対する飢渇があるものだが、それをドリスは強く感じている。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
併
(
しか
)
し
凡
(
すべ
)
てに
共通
(
けうつう
)
した
手法
(
しゆはふ
)
の
方針
(
はうしん
)
は、
由來
(
ゆらい
)
化物
(
ばけもの
)
の
形態
(
けいたい
)
には
何等
(
なんら
)
か
不自然
(
ふしぜん
)
な
箇所
(
かしよ
)
がある。それを
藝術
(
げいじゆつ
)
の
方
(
ちから
)
で
自然
(
しぜん
)
に
化
(
くわ
)
さうとするのが
大體
(
だい/\
)
の
方針
(
はうしん
)
らしい。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
私の期待は
凡
(
すべ
)
て裏切られ私の努力は凡て水泡に帰しました。貴方の家庭は私の全く予期しない複雑なものでありました。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
いうまでもなく
凡
(
すべ
)
ての管理人と同じように振舞って、村で小金でもためていそうな連中とは互いに
交際
(
ゆきき
)
をしたり、子供の名附親になったりするが
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
藩禄等は
凡
(
すべ
)
て旧に
依
(
よ
)
るのである。八月
晦
(
かい
)
に、馬場氏に嫁していた純が二十歳で歿した。この年抽斎は四十六歳になった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
“凡”の解説
凡(ぼん)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
凡
常用漢字
中学
部首:⼏
3画
“凡”を含む語句
大凡
凡人
凡百
凡庸
凡夫
凡河内
平凡
凡下
凡兆
凡慮
凡俗
凡情
凡物
凡々
凡有
凡川内
超凡
凡下放埒
凡事
非凡
...