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其方
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そつち
ふりがな文庫
“
其方
(
そつち
)” の例文
『
其邊
(
そのへん
)
には』と
云
(
い
)
ひながら
猫
(
ねこ
)
は、
其右
(
そのみぎ
)
の
前足
(
まへあし
)
を
振
(
ふ
)
つて
弧
(
こ
)
を
描
(
えが
)
き、『
帽子屋
(
ぼうしや
)
が
住
(
す
)
んで
居
(
ゐ
)
る、それから
其方
(
そつち
)
の
方
(
はう
)
には』と
他
(
ほか
)
の
前足
(
まへあし
)
を
振
(
ふ
)
つて
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
多分、お糸が出現してから、金五郎の心が急速に
其方
(
そつち
)
へ傾いて行くのを見て、一時は踊に沒頭して、何も彼も忘れようと骨を折つたのでせう。
銭形平次捕物控:060 蝉丸の香爐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ああ、今
其方
(
そつち
)
へ行くから。——さあ、客が有るのだ、好加減に帰らんか。ええ、放せ。客が有ると云ふのにどうするのか」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「さうですか。旦那はいける方だつたんですか。わたしと来たらお酒も煙草も、両方ともカラいけないんですよ。
其方
(
そつち
)
なら誰にも負けません。」
にぎり飯
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
級は違つてゐても、鈴の樣な好い聲で藤野さんが讀本を讀む時は、百何人が皆石筆や筆を休ませて、
其方
(
そつち
)
許り見たものだ。
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
其方
(
そつち
)
を振向くと、
丁度
(
ちやうど
)
、今
二十
(
はたち
)
位になる女が、派手な着物を着た女が、その
渡船小屋
(
わたしごや
)
の
雁木
(
がんぎ
)
の少し手前のところから水へと飛込んだ処であつた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
ハイ
御免
(
ごめん
)
なさい。主人「へい
是
(
これ
)
はいらつしやい。客「
此
(
こ
)
の
両掛
(
りやうがけ
)
を
其方
(
そつち
)
へお
預
(
あづ
)
かり下さい。主人「へい/\
畏
(
かしこま
)
りました。客「お
湯
(
ゆ
)
が
沸
(
わ
)
いて
居
(
を
)
りますかな。 ...
(和)茗荷
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
僕が
斯
(
か
)
ういふ科学書生で、
平素
(
しよつちゆう
)
其方
(
そつち
)
の研究にばかり頭を突込んでるものだから、あるひは僕見たやうなものに話したつて解らない、と君は思ふだらう。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
入物
(
いれもの
)
は
其方
(
そつち
)
のですが、
其
(
その
)
つまらん
中身
(
なかみ
)
は
持參
(
ぢさん
)
ですと
言
(
い
)
ひたい
處
(
ところ
)
を、ぐツと
我慢
(
がまん
)
して、
余等
(
よら
)
は
初對面
(
しよたいめい
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
をした。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「知らないわ。馬鹿らしい。
好
(
す
)
きな人がある位なら、始めつから
其方
(
そつち
)
へ
行
(
い
)
つたら
好
(
い
)
いぢやありませんか」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ゆうべは
夜中
(
よなか
)
から、よく
鳴
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
たよ——ちゝ、ちゝ——と……
秋
(
あき
)
は
寂
(
さび
)
しいな——よし。
其方
(
そつち
)
へやつときな。……
殺
(
ころ
)
すなよ。」
小栗
(
をぐり
)
も
傍
(
かたはら
)
から
手
(
て
)
をついて
差覗
(
さしのぞ
)
いた。
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
殺した時
其方
(
そつち
)
が
利根川
(
とねがは
)
へ死骸を
打込
(
うちこま
)
ふと
言
(
いつ
)
たら三五郎が言には川へ流しては
後日
(
ごにち
)
が
面倒
(
めんだう
)
だ幸ひ此彌十に頼んで
火葬
(
くわさう
)
に
爲
(
し
)
て
貰
(
もら
)
へば
死骸
(
しがい
)
も殘さず三人の影も
形
(
かたち
)
も無なるゆゑ金兵衞を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
五六三頁にも、お銀の言葉として「
其方
(
そつち
)
のお邸へ行つてはなりません」というのがある。
中里介山の『大菩薩峠』
(新字新仮名)
/
三田村鳶魚
(著)
さうすると何となく、どうしても、見にだけでも、
行
(
ゆ
)
かずには居られなくなる。……さう云つた訳で、ボールのある
毎
(
ごと
)
に、ちよい/\自分は
其方
(
そつち
)
へ出かけて行つて、人々の踊るのを眺めてゐた。
私の社交ダンス
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
併
(
しか
)
し
何
(
ど
)
ういふものか
此時
(
このとき
)
ばかり、
私
(
わたし
)
の
心
(
こころ
)
は
妙
(
めう
)
に
其方
(
そつち
)
に
引付
(
ひきつ
)
けられた。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
お酉さまへ
諸共
(
もろとも
)
にと言ひしを道
引違
(
ひきたが
)
へて我が
家
(
や
)
の
方
(
かた
)
へと美登利の急ぐに、お前一処には来てくれないのか、何故
其方
(
そつち
)
へ帰つてしまふ、
余
(
あんま
)
りだぜと例の如く甘へてかかるを振切るやうに物言はず
行
(
ゆ
)
けば
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ついでにこんなものも
其方
(
そつち
)
へ渡さう。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それもそこに行かうと言ふ意志がかれを其処に
伴
(
つ
)
れて行つたのではなかつた。かれは唯ぶら/\と歩いて
其方
(
そつち
)
へと行つた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
眞つ直ぐに兩國へかゝると、橋の
袂
(
たもと
)
で何處かの小僧さんが待つて居て、『増屋の主人が
小梅
(
こうめ
)
の
寮
(
れう
)
に居るから、
其方
(
そつち
)
へ持つて行くやうに』といふ
傳言
(
ことづて
)
です
銭形平次捕物控:075 巾着切の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此人が予の入社した五日目に来て、「今度小樽に新らしい新聞が出来る。
其方
(
そつち
)
へ行く気は無いか。」
悲しき思出:(野口雨情君の北海道時代)
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
勝手
(
かつて
)
に
木像
(
もくざう
)
を
刻
(
きざ
)
まば
刻
(
きざ
)
め、
天晴
(
あつぱ
)
れ
出来
(
でか
)
したと
思
(
おも
)
ふなら、
自分
(
じぶん
)
に
其
(
それ
)
を
女房
(
にようぼう
)
のかはりにして、
断念
(
あきら
)
めるが
分別
(
ふんべつ
)
の
為処
(
しどころ
)
だ。
見事
(
みごと
)
だ、
美
(
うつくし
)
いと
敵手
(
あひて
)
を
強
(
し
)
ゆるは、
其方
(
そつち
)
の
無理
(
むり
)
ぢや、
分
(
わか
)
つたか。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
エヽ
沸
(
わ
)
いて
居
(
を
)
ります…
奥
(
おく
)
の二番へ
御案内
(
ごあんない
)
申
(
まう
)
しなよ。客「エヽ
此莨入
(
このたばこいれ
)
は
他人
(
ひと
)
からの
預物
(
あづかりもの
)
ですから
其方
(
そつち
)
へお
預
(
あづか
)
りなすつて、
夫
(
それ
)
から
懐中
(
ふところ
)
に
些
(
ちつ
)
とばかり
金子
(
かね
)
がありますが、
是
(
これ
)
も一
緒
(
しよ
)
にお
預
(
あづか
)
りなすつて。 ...
(和)茗荷
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
電車には近頃漸く乗り馴れた。何か買つて上げたいが、何が
好
(
い
)
いか分からないから、買つて上げない。
欲
(
ほ
)
しければ
其方
(
そつち
)
から云つて
来
(
き
)
て呉れ。
今年
(
ことし
)
の
米
(
こめ
)
は
今
(
いま
)
に
価
(
ね
)
が出るから、売らずに置く方が
得
(
とく
)
だらう。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
お
酉
(
とり
)
さまへ
諸共
(
もろとも
)
にと
言
(
い
)
ひしを
道
(
みち
)
引違
(
ひきたが
)
へて
我
(
わ
)
が
家
(
や
)
の
方
(
かた
)
へと
美登利
(
みどり
)
の
急
(
いそ
)
ぐに、お
前
(
まへ
)
一
處
(
しよ
)
には
來
(
き
)
て
呉
(
く
)
れないのか、
何故
(
なぜ
)
其方
(
そつち
)
へ
歸
(
かへ
)
つて
仕舞
(
しま
)
ふ、
餘
(
あんま
)
りだぜと
例
(
れい
)
の
如
(
ごと
)
く
甘
(
あま
)
へてかゝるを
振切
(
ふりき
)
るやうに
物言
(
ものい
)
はず
行
(
ゆ
)
けば
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其進路
(
そのコース
)
に
沿
(
そ
)
うて
其方
(
そつち
)
此方
(
こつち
)
に
排置
(
はいち
)
されました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
此方の紐と
其方
(
そつち
)
の紐とを結び合はせた。ぐつと引上げた。つぎはぎだらけの茶色をした帆が川風にはた/\動いた。
船路
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
「
其方
(
そつち
)
からは行けませんよ。厚い
生垣
(
いけがき
)
があつて、北へ行くには南の方へ出て、屋敷をグルリと一と廻りするんです」
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
菊池君はヤヲラ立ち上つて、盃を二つ持つて来たが、「マア
此方
(
こつち
)
へ来給へ、菊池君。」と云ふ西山社長の声がしたので、盃を私と志田君に返した儘
其方
(
そつち
)
へ行つて了つた。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其
(
そ
)
の
臭
(
くさ
)
さと
云
(
い
)
つては、
昇降口
(
しようかうぐち
)
の
其方
(
そつち
)
の
端
(
はし
)
から、
洗面所
(
せんめんじよ
)
を
盾
(
たて
)
にした、いま
此方
(
こなた
)
の
端
(
はし
)
まで、むツと
鼻
(
はな
)
を
衝
(
つ
)
いて
臭
(
にほ
)
つて
來
(
く
)
る。
番町
(
ばんちやう
)
が、
又
(
また
)
大袈裟
(
おほげさ
)
な、と
第一
(
だいいち
)
近所
(
きんじよ
)
で
笑
(
わら
)
ふだらうが、いや、
眞個
(
まつたく
)
だと
思
(
おも
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何
(
なに
)
をしやアがる、
押
(
お
)
しやアがるな、モツと
其方
(
そつち
)
へ
寄
(
よ
)
りやアがれ。
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「待つてくれ、醫者が居るなら、
其方
(
そつち
)
は急ぐことはあるまい、——その時碁を打つて居たのは誰と誰なんだ」
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いづれも
其方
(
そつち
)
にのみ気を取られて居るから、自分の其処に行つたのに誰も気の付く者は無い。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
『昼寝してたんぢやないのか! 今神山さんが来たが、
其方
(
そつち
)
へ行つても
可
(
い
)
いか?』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
豊年
(
ほうねん
)
坊主は、
小奴
(
こやつこ
)
の三味線で、何にか踊つてゐたやうで、大きな花火が揚がつて、皆んな
其方
(
そつち
)
を向いた時、お絹さんはいきなり悲鳴をあげて船底に倒れました。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かう言つて人達は
其方
(
そつち
)
の方へと走つて行つた。それは町の角である。長い町を通つてこれから寒い風の吹く野に出ようとする角である。通りかゝつた荷車や人足や女子供などが一杯に其処に立留つた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「おツ、數珠をきつて、岡つ引の子分にならうか、——若し又、
其方
(
そつち
)
が負けたら」
銭形平次捕物控:219 鐘の音
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「卑怯は
其方
(
そつち
)
だ。名乘らなきや眼へ行くぞツ」
銭形平次捕物控:156 八千両異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「本人の氣持などを
其方
(
そつち
)
のけにね」
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“其方”で始まる語句
其方除
其方此方
其方儀
其方退
其方達
其方共
其方法
其方共儀
其方們
其方側