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せんぱう
と
是から
釣堀へまゐりますと、
男女の
二人連ゆゑ
先方でも
気を
利かして
小間へ
通して、
蜆のお
汁、お
芋の
煑転がしで
一猪口出ました。
困つたものだとは
思ひながらも、
一つは
習慣の
惰力でとう/\五
個月間やりつゞけた。さうすると、どうだらう。
或日先方の
奴が
突然僕の
内にやつて
來て……
付込度々無心に來れども
貸ぬ時は
事面倒に成べしと
思案を
爲して三五郎に向ひ
然までに
云るゝなれば
我今より品川迄用事あつて
行間先方にて
才覺致し遣すべしと
頓て
身拵へを
いよ/\といふ
日が
來た。
荷物といふ
荷物は、すつかり
送られた。まづ
男が
一足先きに
出發して
先方の
都合を
整へ、それから
電報を
打つて
彼女と
子供を
招ぶといふ
手筈であつた。
催促すると、まだ
先方から
戻つて
參りませんからとか
何とか
言譯をする
丈で
甞て
埒の
明いた
試がなかつたが、とう/\
持ち
切れなくなつたと
見えて、
何處かへ
姿を
隱して
仕舞つた。
發掘を
承知せぬので、
腹が
立つたから
惡口を
吐いたら、
先方も
憤つたといふ
説明。
先方では
大に
恐縮して、いろ/\
相談の
末、
或る
名高い
針醫が
亡つて、
其の
藥箱の
不用になつてゐたのを
買ひ
取り、それを
療法の
禮として
贈つて
來たのが、この
藥箱で、
見事な
彫刻がしてあつて
私は
今喰殺されるのは
覺悟の
前だが、どうせ
死ぬなら
徒は
死なぬぞ、
斯く
睨合つて
居る
間に、
先方に
卯の
毛の
虚でもあつたなら、
機先に
此方から
飛掛つて、
多少の
痛さは
見せて
呉れんと
考へたので
先方では
貴顕のお
客様ですから
丁寧の
取扱ひでございましてお
上の
方はお
二階或は
奥座敷といふので
私は
次の
室のお荷物の中の
少々ばかりの
明地へ
寐かして
頂く事に
相なりました。
年の
若い
丈、
凡てに
性急な
小六は、
兄に
頼めば
今日明日にも
方が
付くものと、
思ひ
込んでゐたのに、
何日迄も
埒が
明かないのみか、まだ
先方へ
出掛けても
呉れないので、
大分不平になつたのである。
平右衞門聞て
夫は
相應の
相談なり當人といふは
我等が
同町の
地主彌太郎方に勤居らるゝ又七と申者なり
隨分辛抱人にて
主人彌太郎事は
最早六十にもなれど一人も子なく金ばかり澤山ありて
地面は十三ヶ所も
持居此人
親分となる
積りなれば何事も
氣遣ひなし
先方へ
能々話せし上明日
御返事致すべしとて長兵衞を
露地は
打水か
何かして
有らう、
先方も
茶人だから客は
他になければお
前一人だから
広間へ
通すかも知れねえが、お
前は
辞儀が
下手で誠に困る、両手をちごはごに
突いてはいけねえよ