“閉”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
23.3%
19.1%
15.3%
とざ12.7%
しま7.9%
ふさ6.5%
つぶ4.3%
1.6%
とぢ1.3%
つむ1.2%
1.0%
しめ1.0%
ねむ0.6%
たて0.6%
0.6%
とじ0.6%
とざし0.4%
ふた0.3%
とづ0.3%
0.3%
トジ0.1%
つぼ0.1%
0.1%
0.1%
たっ0.1%
ちめ0.1%
とず0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「そんなものはありません。旦那は用心深いから、表も裏も念入りにめて、家中皆んな留守のことにし、窓だけ開けて置きました」
男は黒き夜を見上げながら、いられたる結婚のふちより、是非に女を救い出さんと思い定めた。かく思い定めて男は眼をずる。——
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「貸家ですか。そこはJさんが雇い婆さんに一週間一ポンドずつやって、窓のてをさせていたんですがね。もういけませんよ」
ひさしぶりで、うしてかせたまゝ、りの小間使こまづかひさへとほざけて、ハタとひらきとざしたおとが、こだまするまでひゞいたのであつた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私は門のところにためらひ、芝生しばふの上にためらつた。鋪石道を往きかへりした。硝子戸ガラスど鎧戸よろひどしまつてゐて内部を見ることは出來なかつた。
醜いもの、汚れたもの、正しくないものに眼をふさぐことの出来た其頃の頭脳には、天然は唯美しいもの清いものとしてのみ映つた。
春雨にぬれた旅 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
「逸見流の矢は、もそっと長え。」藤吉は眼をつぶったまま、「関の六蔵一安かずやす三十三間堂射抜の矢、あれだ。いやに太短えもんなあ。」
物馴れた手先ふたりが半七を先に立てて再び両国へむかったのは、短い冬の日ももう暮れかかって、見世物小屋がちょうどねる頃であった。
半七捕物帳:02 石灯籠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
古書こしよ渋海しぶみ新浮海しぶみとも見えたり。此川まがくねり、広狭ひろせまい言ひつくすべからず。冬は一面に氷りとぢてその上に雪つもりたる所平地のごとし。
季和は早く睡ろうと思って無理に眼をつむって、何も考えないようにして睡ろう睡ろうとしたが、そんなことをするとなおさら睡れない。
蕎麦餅 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
五つ六つ七八つ続けざまに小腰をかがめて、どぎまぎ立ち上がる山木を、主人中将は玄関まで送り出して、帰り入る書斎の戸をばはたとしたり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
途端に、猿臂えんぴがぬッくと出て、腕でむずと鷲掴わしづかみ、すらりと開けたが片手わざはやいこと! ぴっしゃりとしめると、路地で泣声。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
学年試験に及第が出来ぬと、最終の目的物の卒業証書が貰えないから、それで誠に止むことを得ず、眼をねむって毒を飲む気で辛抱した。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
おこし或日庄兵衞は不※ふと道宅家へ參りしは夜の亥刻過なれども同人は留守るすにて近所の長家はみな戸をたて有道宅のうちは庄兵衞勝手おぼえし事故四邊あたりに人のなきを幸ひと水口みづぐちの半戸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「危篤だって? 誰が?」と蒲団から首だけ出して、眼をぶったまま、眠むそうな声で訊いた。
黒猫十三 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
出抜だしぬけに先生はこういって再度眼をとじてしまった、これだけのことをいうにもよほどタイギそうに次の語を発しない、予は思わずひざを進めて。
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
はじめより小やの入り口をとざし、人々ひそまりてのぞきゐたれば、こゝに人ありともおもはざるやうにて、大小の竜燈りうとう二ツ三ツ小屋のまへ七八間さきにすゝみきたりしを、かれがひかりにすかしみれば
榮子は御飯が熱いからいやつめたいからいけないと三度程も替へさせてやつと食べにかゝつて居るのである。それは母を見ぬやうに目をふたいで口をうごかして居るのである。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
けれどしようことなしにねむるのはあたら一生涯しやうがいの一部分ぶゝんをたゞでくすやうな氣がしてすこぶ不愉快ふゆくわいかんずる、ところいま場合ばあひ如何いかんともがたい、とづるにかしていた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しばらくして、さいだ眼を開けて見ると、大きな黒い門があった。門の上から太い松が生垣の外まで枝を張っていた。代助は寺の這入はいり口に休んでいた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それだもんで後白河法皇の長講堂の過去帳にも義王義女仏トジ等のが尊霊と一所に書き入れられたと云うことである。
百合の花がつぼんだ。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
さてその生平を叩けば言へらく、『わが小字は香玉、平康の巷にあだなる名をぞつらねし。さるからに道士にひかされてこの山中にめ置かれたる、浅まし』
『聊斎志異』より (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
馬春堂は格子の前まで出て来ましたが、急にソワソワとそこらを巡り歩きながら、何か考えていたかと思うと、戸まりもせずに続いて長屋を飛び出しました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今ならば巡査が居るとか人の家に駈込かけこむとか云うこともあるが、如何どうして/\騒々しい時だから不意に人の家に入られるものでない、かえって戸をたっ仕舞しまっ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その金エ引攫ひっさらって逃げ出す音に目エ覚して、後姿を見れば此の野郎でがんすから、魂消て口い明いたっきり、おッちめることが出来やしなかった、すると老爺さまがおこって早く名主どんのおちょうへ付けろ
夜着よぎ引きかぶればあり/\と浮ぶおたつの姿、首さしいだしてをひらけば花漬、とずればおもかげ、これはどうじゃとあきれてまたぞろ眼をあけば花漬
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
山城、門ヲズルヲ好ムヲ
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)