ねむ)” の例文
学年試験に及第が出来ぬと、最終の目的物の卒業証書が貰えないから、それで誠に止むことを得ず、眼をねむって毒を飲む気で辛抱した。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
よせば善かったが、つい覗いた。すると急にぐらぐらと頭が廻って、かたく握った手がゆるんで来た。これは死ぬかも知れない。死んじゃ大変だと、かじりついたなり、いきなり眼をねむった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
眼をねむッて一息に飲み乾し、猪口を下へ置いてうつむいてまた泣いていた。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
「叔母もそれでこうつらく当るのだな」トその心を汲分くみわけて、どんな可笑しな処置振りをされても文三は眼をねむッて黙ッている。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
梯子の通る一尺幅をはずれて、がんがらがんの壁が眼にうつる。ぞっとする。眼がくらむ。眼をねむって、登る。灯も見えない、壁も見えない。ただ暗い。手と足が動いている。動く手も動く足も見えない。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
西宮はうつむいて眼をねむッて、じッと考えている。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)