“ねむ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ネム
語句割合
46.0%
37.0%
合歓6.8%
5.8%
合歡1.5%
0.6%
合歓木0.6%
0.4%
0.3%
麻酔0.1%
0.1%
0.1%
合歓花0.1%
0.1%
熟睡0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一方警察医の意見によると、院長の死は午前四時頃と推定され、その時刻には家人はまだねむっていて、物音なぞは聞かなかったこと。
三狂人 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
午前四時にのりこんだ船の中ではだれもねむろうとする者はなく、がやがやのさわぎの中で、「こんぴらふねふね」を歌うものもいた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
広野の中に刀禰とねの大河が流れていた。こも水葱なぎに根を護られながら、昼は咲き夜は恋宿こいするという合歓ねむの花の木が岸に並んで生えている。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
船が沈んで行くとき、わたくしはひどく気分が悪くなりましたので、無意識に今までより強く樽にしがみ付いて、目をねむつてゐました。
うづしほ (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
けてねむ合歡ねむはなの、面影おもかげけば、には石燈籠いしどうろうこけやゝあをうして、野茨のばらしろよひつき、カタ/\と音信おとづるゝ鼻唄はなうたかへるもをかし。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よせば善かったが、つい覗いた。すると急にぐらぐらと頭が廻って、かたく握った手がゆるんで来た。これは死ぬかも知れない。死んじゃ大変だと、かじりついたなり、いきなり眼をねむった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
乙女おとめたちの一団は水甕みずがめを頭にせて、小丘こやまの中腹にある泉の傍から、うたいながら合歓木ねむの林の中に隠れて行った。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
嫁のお雪が十畳の広間を往ったり来たりして不動さまへお百度をあげて居りますると、其の内だけ伊之助はトロ/\ねむられますから、しんとして居る処へ伊兵衞が参り
「いずれ、たった一人の姉をねむらして、身代を乗っ取ろうてえくれえの女だから——。」
何にしても、もっとよく麻酔ねむらせて、彼女を黙らせなければならぬので、私は矢つぎ早にクロロフォムを垂らしました。マスクがだらだらに濡れて、指先にしっとりと重さを感ずるぐらいでした。
麻酔剤 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「そんなときは、やっぱり恋人の手で麻酔ねむらせて貰わなければね」
麻酔剤 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
瑜ちゃんや、可憐かわいそうにお前はあいつ等の陥穽かんせいに掛ったのだ。天道様てんとうさまが御承知です、あいつ等にもいずれきっと報いが来ます。お前は静かにねむるがいい。
(新字新仮名) / 魯迅(著)
平田は上をき眼をねむり、後眥めじりからは涙が頬へすじき、下唇したくちびるは噛まれ、上唇はふるえて、帯を引くだけの勇気もないのである。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
なき母をあこがれて、父とともに詣でしことあり。初夏はつなつの頃なりしよ。里川に合歓花ねむあり、田に白鷺しらさぎあり。
一景話題 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つきたかく、かぜねむれる印度洋インドやう。 かゞみごとうみおもに。
午後、枕を出して置くと、翁は何時か横になつて、大鼾をかいて、楽々と熟睡ねむつて仕舞はれた。山の転んだような寝姿。
大野人 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
床の中に這入ってから翌日の小説執筆、十一時、十二時に至りてねむるというような段取りであった。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)