ねむ)” の例文
旧字:
おまけに横須賀の探偵とかいう人は、茶菓子を無銭ただでせしめてんだ。と苦々しげにつぶやきて、あらねむたや、と夜着引被ひっかつぎ、亭主を見送りもせざりける。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
嫁のお雪が十畳の広間を往ったり来たりして不動さまへお百度をあげて居りますると、其の内だけ伊之助はトロ/\ねむられますから、しんとして居る処へ伊兵衞が参り
「軒近に桶屋が来ているかの、竹のたがはじいたようじゃ。」と、またうとうととねむったほど、仏になってござるから、お京が今し帰った時の俥の音など、沙汰なしで、ご存じないが。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)