たて)” の例文
おこし或日庄兵衞は不※ふと道宅家へ參りしは夜の亥刻過なれども同人は留守るすにて近所の長家はみな戸をたて有道宅のうちは庄兵衞勝手おぼえし事故四邊あたりに人のなきを幸ひと水口みづぐちの半戸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
格子戸をたて切ると、折柄の風、半纏を横に靡かせて、甚八、早くも姿を消した。
たてきってあったような、その新建しんだちの二階の板戸を開けると、直ぐ目の前にみえる山の傾斜面にひらいた畑には、麦が青々と伸びて、蔵の瓦屋根かわらやねのうえに、小禽ことりうれしげな声をたてていていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ずらりとたて切った縁側の雨戸に、白っぽい日光が踊っている。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)